聖戦士†有双 (恋姫†有双分岐ルート)   作:生甘蕉

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2話 道場入り

 簡単に自己紹介を終えて、リの城に就職した俺は翌日の強獣狩りを命じられた。

 正確には命令じゃなくてお願いだったけど、やっかいになっている身だし断るなんてできないよね。

 

 強獣ってのはさっき戦ったドラウゲンのような巨大な生物。

 媒体によっては恐獣って字を使われるのでどっちが正しいのかわからなくなることもあるけど、聖戦士伝説では強獣と表記されていたはず。ようは怪獣だ。

 オーラバトラーを含むオーラマシンはこの強獣を素材に作られている。

 

 それで、自室となる部屋を与えられて今日はもう休めってことになったんだけど。

 

「なんじゃこりゃあ!」

 

 前時代的なトイレで思わず叫んでしまった。

 トイレにではない。さすが王城、それなりに綺麗にはなっている。

 そこではなくて問題は俺の股間だった。恐る恐るもう一度見てみる。

 

「W0?」

 

 え?

 なにこれ?

 

「XX?」

 

 バスターやサテライトってのは言いすぎだけどさ。

 一刀君でいうところの本体が2倍。

 俺はオーラロード(仮)を通っている時に出たメッセージを思い出した。

 

『???×2、適用しました』

 

 ???って、ランダムじゃなくてただの伏字かよ!

 華琳ちゃんがここにいなくてよかった。こんな気持ち悪い状態、見せるわけにはいかん。

 こりゃ他の能力も早急に確認しないといけないな。

 

「マジかよ……」

 

 部屋に戻って鏡で自分を確認したら、もう一つ異常を発見してしまった。

 おっさんだった俺が若くなってる!

 どおりでベルトが緩く感じられたのか。

 これが『かね×2』か『けいけん×2』のどちらかの効果なんだろうか?

 もしくは聖戦士伝説の主人公は18歳だったからそれに合わせて?

 

 わからん。

 若返ったのはありがたいかもしれないけど、原因がわからないのは気持ち悪い。誰か説明してくれ!

 ……道場主ならなにか知っているかな?

 自殺してまで道場へ行くつもりもないのですぐには確認できないか。

 

 

 ◇

 

 

 翌日。

 日課である朝のセーブをしようとしてセーブスロットが増えていることに気がついた。その数、15。

 PSのメモリーカードかよ。……聖戦士伝説な世界に合わせたんだろうか?

 それなら恋姫世界でだって、もっとセーブスロットがあってもよかっただろうに。

 今までの恋姫世界のセーブデータは13~15にセーブされているようだ。

 

 今日は強獣狩りということで、いきなり俺が使うことになる『パンツァードラグーン』を紹介された。

 パンツァードラグーン、通称『飛竜』は昨日ゲドが倒した怪獣と同じ野生のドラウゲンを飼いならし、戦闘用に調教して装甲をくっつけた機甲竜だ。

 聖戦士伝説では文字数の問題からか『P-ドラグーン』もしくは飛竜と表示されることが多い。

 飛竜はリの騎士たちが騎馬代わりにしている。リの騎士団は竜騎士団ってことだね。

 

 ええと、聖戦士なら飛竜ぐらい乗りこなせて当然ってこと?

 ゲームプレイ時も思っていたけど無理でしょ。

 騎士団の連中だっていきなりは乗れなかったでしょうに……。

 

 しかしこれが主人公補正というやつだろうか、俺はあっさりと乗れてしまった。

 そりゃ恋姫世界で乗馬の経験はあったけど!

 怪獣みたいな巨馬にも乗ったけど!

 

 たぶん大人しい初心者向けの飛竜を回してくれたんだろう。思ったとおりに動いてくれる。いいドラウゲンである。

 

 んで、飛竜の紹介の次はライフルを渡された。

 初めて乗った飛竜の上でライフルをバンバン撃って巨大な獣を狩る。

 こうして自分がなってみると聖戦士伝説の主人公って何者だったんだ、ってな状況だよなあ。俺はやっていけるんだろうか?

 

 不安に襲われながらも飛竜で飛ぶバイストン・ウェルの空はそれなりに爽快で、目的地である『強獣の森』にすぐ着いてしまった。

 強獣の森はリの国にある、野生の強獣が多く出現する危険ポイント。最近ではガッターという強獣が異常に増えて森の外にまで出て暴れているらしい。

 

 強獣が増えたこの状況、ゲームでは原因が結局不明なんだよね。経験値や資金稼ぎのためなんだろうけどさ。

 オーラマシンの素材になるわけだし、近隣の住人には悪いけど、ここで強獣がわいてくれないと困るわけだ。

 

「ガッターが4か」

 

「いきますぞ!」

 

 ちょっ、レンがいないんでむこうの方が数が多いんですけど!

 だいたいさ、王、騎士団長、聖戦士の3人だけなんていくらなんでも舐めプすぎじゃない?

 俺も入れていいか微妙だが全員国の重要人物なんだし、もっと護衛に騎士や兵を連れてこようよ!

 なんて思っても後の祭り。戦うしかない。

 

 

 ◇

 

 

 まあ、あれだ。飛竜に乗っての戦い。

 ガッターも怖かったけど、やつらは飛べないんで余裕だった。恋姫世界で美少女武将と戦場で会った時の方がよっぽど死を覚悟するってもんだぜ。

 行動順を示すバー――行動ゲージ――もちゃんと目標の頭上に見えたんで戦闘も間違いなく聖戦士伝説なのが確認できた。こうなったら後でアレをやるしかないな。

 

 で、油断した俺はガッターがブレスを使うのを忘れ、急に飛んできたブレスに驚いて飛竜から落下、墜落死してしまった。

 

 

 道場にて嫁たちと会う。

 あれ? いつもいた道場主が今回はいないな。

 

「お前が皇一だと?」

 

「なんで疑問系……ってそうか俺、若くなっちゃってるんだっけ」

 

「おっちゃんが兄ちゃんになっちゃった!」

 

 季衣ちゃんはすぐに俺だとわかってくれたようで嬉しい。

 春蘭と桂花はまだ疑っているのかジト目で睨んでる。

 

「なんかね、今回、新たな世界を始める時にクリアボーナスってのが適用されれてね、こんなになっちゃってるんだよ」

 

「本当に? ならばお前が皇一だと証明なさい」

 

 そ、そんなこと言われても……。

 どうしようか悩んでいたら秋蘭に眼鏡を奪われてしまった。

 

「こうすればいい。華琳さまは皇一の顔が見たかったのだ」

 

「そ、そうなの?」

 

「夫の顔を見たいと言うのは当然でしょう。それともあなたは妻の顔を見たくはないのかしら?」

 

「……わかったよ。俺だって眼帯のない春蘭の素顔が見れて嬉しいもんな。綺麗だ、春蘭」

 

 春蘭は眼帯をしておらず、無事な左眼を見せていた。

 以前は眼帯を外して見せてくれたことはなかったので、初めて見る妻の顔だった。

 

「なっ、貴様っ!」

 

 春蘭が真っ赤になってしまった。怒らせてしまったか?

 

「そ、その顔で綺麗だなんて言われたらドキドキしちゃうよ、兄ちゃん」

 

「そう? 俺なんかより、みんなの方が綺麗で可愛くて輝いている。ドキドキするなんて生易しいもんじゃないんだけど」

 

 たった1日離れていただけなのに、みんなが眩しすぎる。

 今さっきまでいたのはおっさんばかりの世界だったもんなあ。

 それにみんなの姿は英雄譚・革命バージョンでまだ見慣れていないし。

 

「ふふっ、言うようになったわね」

 

「本当に皇一か?」

 

「道場にいる時点で間違いはなさそうだけど……」

 

 春蘭と桂花はまだ駄目なの?

 君たちの見た目の変化よりは変わってないと思うんだけど。

 

「とにかく、俺がクリアボーナスで若返って行ったとこはとんでもない世界でさ。化け物とおっさんだらけの世界だったんだ」

 

 恋姫世界が恋しい。

 そりゃむこうにだって美少女は出てくるだろうけど数は少ないし、せっかく主人公ポジションになれたというのに聖戦士伝説はヒロイン不在のゲームだもんなあ。

 恋愛関係のイベントは一切無かったと言っていい。

 

「そこに皇一が行ってしまったと言うの?」

 

「ああ。大陸とは別の世界だよ。華琳ちゃんたちは?」

 

「以前と同じ陳留……と言いたいところだけど、少し違うわね。季衣と桂花がまだ部下になっていないのは、それ以前に戻ったからだとして……」

 

「以前はいなかった気がする華琳さまの従妹たちがいるのだ」

 

 秋蘭が続けた。

 あまり確信したような言い方ではなかったけれど。

 

「皇一にはまだ会わせていないわね」

 

「華琳ちゃんの従妹というと曹仁、曹洪、曹純?」

 

「それも知っているのね?」

 

 やはり革命世界なのだろうか。

 嫁さんたちの衣装を見る限り、その可能性が高そうだ。

 

「うん。徐晃はいる?」

 

「来たばかりよ」

 

 まだスタートしたばかりみたい。

 だから季衣ちゃん、桂花と合流していないのか。

 

「一刀君は?」

 

「まだ名を聞かないわね」

 

 あれ? 徐晃と一緒に陳留入りしたわけじゃないのか。

 蒼天の方じゃないのかな。

 

「季衣ちゃんの方はどう? 典韋はいる?」

 

「うん。おかしいよね? この前まで兄ちゃんに聞かれても知らなかったのに、昔っからのボクの友達なんだよ」

 

「そんなもんだよ。たぶんこの後、季衣ちゃんたちの村が賊に襲われるかもしれないから用心しておいてね」

 

 その討伐で季衣ちゃんが華琳ちゃんの部下になるんだったよな。一刀君がいないんなら微妙に違うのかもしれないけど。

 

「桂花は……賊退治の食料計算、季衣ちゃんの分を忘れないようにね」

 

「あんたに言われなくてもわかってるわよ!」

 

 ちゃんと教えたんだから後で感謝とは言わないまでも、怒らないでくれよ。

 

「以前とは違うだろうけど、華琳ちゃんならたぶん大丈夫。……浮気しないでね?」

 

「安心なさい。男はあなただけよ」

 

 男は、ね。まあ女の子に関しては諦めるしかないだろう。

 変に我慢しておかしくなられても困るし。

 それを考慮しても嬉しい。涙が出そうなほどに嬉しい台詞だ。俺も華琳ちゃんだけ……他にも嫁がいるから言えん。

 

「皇一の方こそ浮気は……美しい娘なら増やしてもいいわ」

 

「あのね、おっさんばっかだって言ったよね。だいたい俺に浮気なんて不可能なのよく知ってるでしょ」

 

「どうかしら?」

 

「……俺の方はちょっとどうなるかわからない。なんとかして華琳ちゃんたちの所へ帰るつもりだけど、時間がかかりそう」

 

 道場(ここ)で会えたってことは望みがないわけじゃないと思う。

 最悪の場合でも恋姫世界のセーブデータも残ってるからなんとかなるはずだ。

 

「そう。ならば早く戻ってきなさい」

 

「うん。絶対に!」

 

 俺は嫁さんたちのいる恋姫世界に戻る。

 たとえどんな手段を使っても!!

 

 




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