「わかりました」
「へ?」
「コーイチ王の提案を受け入れましょう」
不戦協定をか?
たしかにありがたいが、こうすんなり受け入れられるとなにか企んでいるんじゃないかと勘ぐりたくもなる。
自分たちの、バイストン・ウェルのための行動が俺たちには押しつけであると聞かされたので、正義を口に出しにくくなって混乱してるのかも。
「ただし、秘密同盟のような形では民もついてきません。正式な形で同盟国となってくれるならば、です」
「ドレイクの敵となることをはっきりとせよ、と?」
なるほど、そうきたか。
さっきシーラの説得を軽く流しちゃったんで、ここで反ドレイクルートへの分岐をねじ込んできたというワケね。
美少女なだけじゃなくて女王としての強かさもしっかり持っていると。
「はい。いずれ戦うなどと言われても納得できません。証明を見せていただきたいのです」
「証明ね。ならばシーラ・ラパーナを皇一の婚約者として認るわ」
「ちょっ、華琳ちゃん!?」
いきなりなにを言い出すのさ。そんなにシーラが欲しいのか?
やっぱり俺よりも美少女の方がいいのか?
欲求不満なら夜もっとがんばるから!
「諸国で聖王と呼ばれる皇一と聖女王と呼ばれるあなたとの婚約ならば民も納得するのではなくて?」
「いや、敵国の同盟国の王な俺となんて、大臣連中が反対するでしょ?」
あと、『聖王』ってちょっとイタいんですけど。
たしかに聖戦士伝説のエンディングでそう呼ばれるルートもあるけど、マジでそんな呼ばれ方してんの?
桂花に聞かれたら鼻で笑われたあげく、絶対に別の字をあてるぞ。
「はい。ですが民は喜びます。臣たちは私を降ろし新たな王をたてようとするでしょうが、その者ならば私が地上界へと行った後にナの国を任せられるかもしれません」
「おいおい、どーゆー計算なのさ。しかも地上界に出るつもりなのか?」
「でなければあなた方の悲願は達成できませんのでしょう? そのためには手段を選ばないようですので。ドレイクの悪意を潰すためであれば、この身など。それとも他に方法があるのですか?」
うっ、手段は選ばないって言われるとショックだけど、たしかにどんなことをしてでも恋姫世界には戻らなければならないワケで。
だけど問題はそーゆーことじゃなくてだね。
「だ、だがいいのか、婚約だぞ! 結婚の約束だぞ!」
「わかっております。国同士の繋がりを作るのに手軽かつ確実な手段です」
「いや、お手軽って言われても」
上流階級の連中の結婚に対する認識ってそんなのばかりなんだろうか?
だからあの
シーラが愛人なんて作るとも思えないが……親衛隊の騎士との愛人関係とかあってもおかしくはない?
「皇一は嫌なのかしら?」
「そうですか。私ではご不満だと言うのですね」
げっ、なにこのプレッシャー!
そりゃ聖戦士伝説ではシーラのオーラ力がゲーム中トップだったけどさあ。
主人公キャラよりも上なそのオーラ力も乗ってるユニットのせいであまり発揮できなかったんだよね。
「あのね、キミはただの約束だと思っているかもしれないけど、俺は一度結婚したら絶対に別れるつもりなんてないから!」
そんなことしたら他の嫁さんたちも俺と別れるなんてことになりそうで怖い。
そうならなくても浮気なんかされたら絶対に泣く自信がある!
「それは婚約成立ということでよろしいのですね。わかりました。末永くよしなに」
「たたみ込まれた!?」
頭を下げると同時に黒いオーラ力が消失するシーラ。
もしかして俺の錯覚ではなかったのかとも思えるほど感じなくなったが、俺の頭の後ろに隠れたフィナがまだブルブルと震えているので現実なのだろう。
「言質を取られた皇一が悪いわね」
「シーラ女王もご主人様の色香に惑わされたか」
「まさに傾国の美男ね」
嫁たちが勝手なことを言っている。愛紗、色香ってなんだよ、色香って。まるで俺が誘惑したみたいじゃないか!
というかだな、反対はないの?
「愛紗たちはいいのか? 俺が嫁さん増やしても」
「今頃聞きますか? 馬騰殿の娘の時は聞かなかったのに」
いや、だってさっき怒ってたじゃん、すっごく。
嫉妬してくれるのは愛されてることの証明だから嬉しいんだけどさぁ。
さて、どう誤魔化せばこの局面を乗り切れるか、だな。
愛紗の喜ぶことって、ええと……。
「よし! 愛紗、約束だったな、サーバインを愛紗に譲ろう」
「ご、ご主人様?」
「そして空いたカットグラを不戦の証明としてナの国に贈呈する。聖戦士の使っていたオーラバトラーだ、不満はあるまい」
少しもったいない気もするが、こちらの覚悟を示すということはできるだろう。
「それでは愛騎を譲ったコーイチ王はどうするのです?」
「ナの国と戦う意思がないという表明だ。そちらがリの国と戦うということでもなければ、俺がオーラバトラーに乗る必要はないだろう? 民を守るため、強獣との戦いには使用するがそれは別にブラウニーⅡやドラムロで十分だ」
どうだ、これならば同盟の証としてシーラと婚約する必要はあるまい。
そりゃシーラは美少女でダンバインキャラでは好きなキャラだし、スパロボでもグラン・ガランの方を育ててたけど、実際に嫁にしたいかって言われると困る。
俺には華琳ちゃんたちがいるし、さらに女王な嫁追加なんて大変すぎる。この聖戦士伝説世界のシーラは面倒そうな子でもあるしさ。
ラウの国との戦いではどうするかは言明しない。まあ、エレちゃんの話を聞いたフォイゾン次第だけど。
俺が戦えないのをわかって攻めてきた卑怯者だ、とでも宣伝すればフォイゾンは嫌がるだろう。
ゼラーナと戦う時は……バストール、俺用に調整するかな?
いざとなったら俺も仮面をつけて正体を隠して戦えばいいだけだ。
「シーラとならばそれぐらい出してもいいでしょう」
「えっ」
「ずいぶんと物騒な結納品だな。オレのとこもオーラバトラーでいいぞ」
なになに?
どうあっても婚約は覆せないの?
馬騰ちゃんも結納品にオーラバトラーよこせって……古代中国にも結納ってあったっけ?
まあ、仲間になってくれるなら馬超たちにもオーラバトラーは必須だろうけどさあ。
ボウに新型オーラバトラーの開発、がんばってもらうしかないか。
「なあ、本当にいいのか? ゴード王が生きてるからって、俺がナの国に婿入りするってのは無理なんだが」
「はい。どの道、他国の王族との結婚という話はいつもあがっていました。ならば、この婚約以上のカードはありません」
「シーラ様、ずるい……私もお父様に話をつけなければ!」
俺との結婚を政治カードにしないでほしいのだが。
リムルもなんか妙な決意をしたのか、オーラ力が燃え上がってるし。シーラのオーラ力に比べたら微々たるものなんだけどさ。
「話はまとまったわね。それではシーラ、あなたが口先だけではないことを見せてもらいましょう。覚悟はできているわね?」
「もちろんです。私の言葉に偽りはありません」
「皇一、閨に行くわよ!」
やっぱりか。
華琳ちゃんにとっては政治的な価値はオマケ程度で、そっちが本題なんだね。瞳もオーラ力もギラギラと勢いよく輝いている。
「こ、婚前交渉は拙いだろ?」
「私の時は強引だったのに」
「それを言われると……」
あの時はまさか華琳ちゃんと結婚できるなんて思いもしなかったわけで。
もうそれで死んでもいいっていうか、死んでもなんとかなるからって、あまり先のことなんて考えてなかったような気もする。
「ナの国に戻れば考えを改めるかもしれないわ。その前に皇一を刻みつけておきなさい」
「わかりました。聖戦士の種を貰っておくのもいいですね」
いやいやいや、なんでお腹に手を当ててそんなことを言いますかね!
聖少女どこいったのさ!!
ショウへの恋心は隠したシーラ様ですが
政治利用できるとなればこうなるかもってことで?