シーラ・ラパーナとエレ・ハンム。2人の姫――正確には片方は女王――をフォウに乗せてナの国の王城であるウロポロス城へと飛ぶ。
先触れは出してあるが襲われるかもしれない。
俺だけ――フィナはついている――、しかもオーラバトラーとドッキングしたウイングキャリバー1機だけというあからさまに狙ってくれとばかりの獲物なのだから。
王自ら行くことはないと止められはしたけどナの戦力も見たかったし、俺ならやり直しが効くからね。
これでナの国の出方も見ることができるだろう。シーラが御せるか、それとも暴走するか。
「本当に護衛もないのですね」
「シーラの言うナの国の正義とやらを試したいからね」
「無謀な」
「ほいほいと城を出てガロウ・ランに捕まった子に言われても」
マジでなんでガロウ・ランにさらわれちゃったんだろうね。薄い本へのネタ提供? オーラバトラー戦記だったら確実に酷い目にあっていただろうなあ。
ああ、このシーラは陵辱されてなかったよ。だって初めてだったし。大事な商品だからってガロウ・ランも手を出さなかったのかな。
「そのおかげでとても素晴らしいものをいただきました」
隣を見るんじゃなかったよ。頬を染めたシーラが意味ありげにお腹をなでているんだもん。エル・フィノまでそのお腹に耳あてているし。
いや、流されてシちゃったけどまだデキているかなんてわからないよね? オーラ力でわかるとでもいうの?
もしデキていたら俺の死亡フラグっぽいんですけど!
まあどうせ帰ったら死ぬことになるんだけどさ。
後ろの席のエレちゃんが睨んでいるのがちょっと気になる。フォウは基本2人乗りなんだけどスペアシートがあってエレちゃんにはそこに座ってもらっている。座り心地悪かったかな、ゴメンね。
「あれがウロポロス城か。さすがにオーラマシンが展開されているな。シーラ女王、無線で連絡してくれ」
そのためにシーラを副操縦席に乗せていたけど、エレちゃんでもよかったかな。母親と離れて心細いだろうから、いい席に座らせてあげればよかったよ。
「本当に私を帰すつもりなのですね」
「早い方がいいだろう。それとも華琳ちゃんともっと楽しみたかったかい?」
新たな美少女とあって華琳ちゃんがはりきっちゃったんだよね。こっちの世界は恋姫世界と違って見た目が可愛い娘が少ないもんなあ……。
ため息の後に通信を始めるシーラ。
ウロポロス城側も半信半疑なのだろうがすぐに攻撃してくる気配はなかった。
フォウを自動操縦に切り替えて、合体したカットグラの操縦席へと移動する。フォウは合体時、接続したオーラバトラーの操縦席へ移動できるようになっているのだ。
あ、俺がカットグラの操縦席に乗ったままフォウを無線操縦して操縦席2つにシーラとエレちゃんに座ってもらえばよかったかも。
でもフォウと合体時のオーラバトラーの操縦席って視界が悪くて操縦しにくいからそれはないか。
「それじゃドッキング解除して着陸させるからシートベルトをちゃんとしておいてくれよ」
カットグラで上から持上げるように支えながらゆっくりと着陸したが、それでも震動があったので可愛い悲鳴が2つ聞こえた。
確認にきた城の騎士がフォウから降りたシーラを確認して跪く。
「シーラ様、よくぞ、よくぞご無事で!」
周りの騎士も一緒に跪いた上に泣いてるし。
感動、というよりは暑苦しい。
エレちゃんも降りたのを確認して声をかける。
「シーラ女王、エレ王女のこと、頼みましたぞ」
「はい。フォイゾン王の元へ必ず届けましょう」
「ならば長居は無用だ。離陸するから離れてくれ」
騎士たちの視線がきつかったのと、そんな中でシーラとの婚約を発表するのもちょっと面倒だったのでさっさと帰ることにした。
なのに、カットグラからフォウへ移動する俺にシーラが駆け寄ってくる。
「なんだ?」
「エル」
「はいはい」
シーラの命令か、エル・フィノが素早く俺の眼鏡を外し、それに驚いた隙にシーラの顔が急接近。俺はあっさりと唇を奪われてしまった。
そして高らかに掲げられる一輪の花。
「ナの国の女王シーラ・ラパーナ。リの国の王コーイチ・アマイの求婚を承諾しました!」
やられた。シーラが手にしているのはポロポウズの花。そう、蓮華たちに求婚した時に使った花で、異性に渡すと求婚、受け取ると承諾って便利なアレだ。
むこうに行った時に季衣ちゃんたちにもあげるために栽培していたんで、ついシーラにもあげちゃったんだよね。
うわ、キテルキテル。騎士たちからの殺気がびんびん、びんびんと。
いや、華琳ちゃんや春蘭ほどのはないから大丈夫か。
「リの国とナの国の友好の証として聖戦士関羽が愛機カットグラをここに進呈する!」
これは政治的な結婚だとアピールしても殺気は収まらない。シーラは人気が高いもんなあ。
憧れていた騎士も多いのだろうね。やつらからすればアイドルに手を出した不届き者ってワケだ。
あ、近衛騎士といえば、ボチューンのカスタムタイプであるボテューンに乗っているんだった。
ボテューンは聖戦士伝説だと移動力が高くて使いやすい高性能量産機だったなあ。地上に出ちゃうとオーラバリアが発生するから射撃武器の数よりも移動力の方が重要なのだ。
カットグラのお返しにボテューン売ってくれてもいいのよ。
「ご無事で」
もう一度口づけしてきたので、今度は華琳ちゃん仕込みのテクニックで仕返し。脱力した彼女を慌てて近づいてきた、たぶん近衛騎士団長っぽい騎士に渡してやっとフォウへと移動する。
近衛騎士団長にすっごい睨まれたけど気にしない。
「それじゃエレちゃん、無茶はするなよー」
搭乗ハッチ閉める前にエレちゃんに向かって叫んだら『それはあなたの方です』ってオーラ力のテレパシーっぽいのが届いた。
やるなあ。シーラと一緒に
シーラの方も俺のオーラ力を上回っちゃったんで少し早まったかもしれない。
でも嫁になる子の安全のためだから必要なことではあったはずだ。女王という立場のせいか毅然とした態度の多い彼女だけど、あっちの時はやっぱり可愛かったしね。
◇ ◇
嫉妬に狂った
ボテューン見たかったんだけどなあ。展開していたオーラバトラーに白いボチューンはいたから、あれが近衛騎士用だとするとまだ開発されていないのか?
「おかえりなさい」
「ただいま。異常はなかった?」
「表面上はね。でもみんな不安になっていたわよ。いくら聖戦士だからって1人で送っていくなんて」
むう、華琳ちゃんたちがいれば騎士や兵たちは心配しないと思ってたけど、そうでもなかったか。
嫁さん以外は俺の能力を知らないのだから、よく考えたらそれは当然だった。
「さあ、セーブは済ませたかしら?」
いとも容易く奪われる俺の命。華琳ちゃんも
道場へやってきた俺は、ひきつぎリストを確認。直後、シーラが道場へと出現する。
「え? ここは……」
「ようこそシーラ。煌一の秘密の園へ」
「なにその微妙にドキドキする名前は。ここはタイガー道場でしょ」
状況についていけないシーラに華琳ちゃんたち聖戦士嫁が説明する。
俺の方は季衣ちゃんたちに状況を解説。
「兄ちゃんまた浮気したの!?」
「いや、政略結婚だからね」
「貴様、本当に皇一か? お前はそのようなことは一番嫌っていたぞ」
春蘭に剣を向けられてしまった。でもまさか春蘭が俺のことをわかっていてくれたなんてすごく嬉しい。
そう感動で涙していたらすぐに剣を引っ込めてくれて。
「なんだ皇一か」
なにその納得の仕方は!
秋蘭もうんうんて頷いているし。桂花は華琳ちゃんの話に参加したいのかそっちにいっちゃった。
「あの子は大国の女王で、華琳ちゃんのお気に入り」
「またか」
「うん」
「貴様、なぜ止めなかった!」
俺も止めたんだってば。でも無理だったんだよ。それにやっぱりダンバインキャラだとシーラ様は大好きだったもん、俺も流されるのは当然だよなあ。
春蘭が俺の襟元に掴みかかっていると当のシーラが近づいてきた。
「私も望んだことです」
「ふん、どうせこやつの顔に引っかかったのだろう。いいか、こいつは顔だけだぞ。へたれの泣き虫だ」
事実だけど嫁に言われると泣くぞ!
◇ ◇
シーラはすぐに俺の能力を理解してくれ、むこうの嫁さんたちに自己紹介し嫁さんたちも名乗った。
いつものように情報交換すると、シーラは地上界にも戦乱がおこっていて俺が早くあっちに行きたがっているということに納得したようだ。
「聖戦士として以外の戦いもあなたたちにはあったのですね」
「うん。シーラが女王だけではなく、可愛い女の子でもあるようにね」
後ろの方で「あんなことを言えるなんてやはり偽者ではないのか?」なんて声がしたけど気にしない。
むこうの嫁たちとキスしてから道場から戻ってきた。セーブはトルール城に帰ってきてすぐのだ。
聖戦士伝説だともう第6章。この章の最後で浮上することになる。いよいよ道場以外で季衣ちゃんたちと会えるのだ。
この後は聖戦士伝説と同じくドレイクと軍議するために多島海に行かなければ。でもその前にサーラからも情報を確認して、と。
「バーン・バニングスを連れてきたよ」
お、やってくれたかサーラ。
これで上手くいけば地上界での強敵である黒騎士を誕生させないですむ。
ついでにリムルをバーンに押しつけることができれば最高なのである。
リムルは嫁にしないでいいよね?