聖戦士†有双 (恋姫†有双分岐ルート)   作:生甘蕉

35 / 38
感想、評価ありがとうございます


34話 一騎打ち

「失敗したのね」

 

「うん。ビルバインは捕捉できたんだけど、乗り移るのに失敗しちゃった」

 

 落下死後、道場で華琳ちゃんたちと合流。以前にやった飛竜からの落下死は途中で気絶したんでそれほどでもなかったんだけど、慣れかそれとも限界突破(カンストオーバー)したせいかは不明だが死の直前まで意識があって、迫り来る痛みに怯え続けた。辛かったよ。

 やっと死ねたかと安堵してたら、そこには当然、シーラもいて。

 

「ビルバイン?」

 

「シーラには悪いけど、あれは俺たちが貰うよ」

 

「いえ、どうしてビルバインが?」

 

「んん? シーラがよこしたんじゃないの? 北郷君に贈るって」

 

 詳しく説明すると、どうやらナの国の女王としてシーラが聖戦士である北郷君に贈ったというワケではなく、近衛兵たちがテスト中のビルバインを勝手に北郷に横流ししようとしたらしいとのこと。

 まあ、聖戦士専用として開発されたビルバインはオーラ力が大きくないと性能発揮できないから、聖戦士じゃないと満足にテストできないってのもわからないでもない。

 だがそうでもなく、シーラのファンクラブはシーラ女王と俺の結婚に反対していて、しかしそれでも女王に逆らってリの国を直接襲撃することもできず、こっそりとゼラーナを支援して俺を困らせよう、ってことみたいだ。

 

「本来ならばあなたに渡すように指示したのですが、反対が多くそのままにしていたのをあの者たち……」

 

「そうなのか? なら俺が貰っちゃっても問題ないのね」

 

 アニメではショウにシーラがビルバインを贈ったんだけど、こっちだと嵐の玉で俺が先に助けちゃったからショウ担当のはずの北郷君とシーラが会ってない。北郷君にビルバインを贈ろうとはならなかったのかな。

 

「ええ。でもできれば私から直接贈りたかったのに」

 

「気にすることはないわね。使うのは私よ。皇一に使ってもらいたいなら直接渡せばいい」

 

 たしかにシーラから俺用にって貰った物を華琳ちゃんにあげるのはちょっと気まずい。ここはそうじゃなくて奪ったという形にしておいた方が俺の精神衛生上にもいいか。

 ビルバインは強いんで華琳ちゃんに渡すのは当然。身を守る為にも乗ってもらいたいからね。

 

 だがそうなると北郷君にビルバインが行く目はないのかな。変形してウイングキャリバーになれるビルバインなしだとシルキー・マウの救出のための移動が面倒なような。そうなるとジャコバとの面会もどうなるか。

 面会なんてなくてもジャコバが排除を止めるとは思えない。気にすることもないか。むしろ浮上イベントが早まる?

 

 ま、こっちに不都合があった時はやり直せばいいだけだ。セーブスロットが増えててよかったなあ。

 とりあえず今回はビルバインを入手ってことで。俺も乗ってみたいしな。

 

 

 ◇ ◇

 

 

 ビルバイン奪取にやっと成功。

 あれから三度ほど失敗して、その間にシーラがビルバインの資料を調べ、コクピットハッチの開き方を教えてもらったので、なんとか操縦席に潜り込めた。

 

『貴様、なにものだ?』

 

 ノイズ混じりのモニターに映るのは髭の生えた爺さん。エイブ・タマリか。記憶に自信がないが名前は白鯨のエイハブ船長からじゃなかったっけ。

 ラウの国の軍人だけど、ビルバインを預かってきてるんだからよほど信用されているんだろう。エレの副官ぽいポジションになるし。

 補給艦グリムリーの艦長で、ゴラオンの艦長にもなるんだよな。……だとすると、今のゴラオンって誰が艦長やってるんだ? それともこれはゴラオンからの通信? ビルバインを運んできたって考えるとグリムリーからだと思えるのだが。

 

「人に尋ねる時はまず自分から名乗るってのはバイストン・ウェルにはないのか? まあいい。俺はコーイチ。そう言えばわかるか?」

 

『な、なんだと? リの国の好色王か! なぜビルバインに!?』

 

 なにその好色王って? 初耳なんですけど!

 そりゃ嫁さん多いけど!

 美少女ばかりだけど!

 敵国ではそんな呼ばれ方してんのかよ。さすがにサーラやオウエンが気を使って俺に隠したんだろうか。

 

「マニュアル、ありました!」

 

「でかしたフィナ!」

 

 俺がエイブと話してショックを受けてる間にフィナがマニュアルを発見してくれた。真っ先に無線誘導の自動操縦をオフにしなくては。ふむふむ、んー? ああ、これかな?

 

『なにをするつもりだ?』

 

「ん? ビルバインを貰うだけだ」

 

『馬鹿な! 王でもある聖戦士がコソ泥まがいのことをすると言うのか!』

 

「さんざんリの国を襲っているラウの蛮族がなにを偉そうに言うんだか」

 

 コソ泥って言われてもなあ。シャアだってMK-II強奪したじゃん。

 今までラウの本土には積極的に攻めずに、リの国の防衛に専念してたからなめられちゃってるんかね?

 

『それは聖戦士カズト・ホンゴウのものだ!』

 

「いやいや、シーラ女王に確認してみるといい。このビルバインはナの国から盗まれた物だって言うから。俺はそれを取り戻しただけだ」

 

 あ、黙っちゃった。ははーん。シーラ女王に内緒でこっそりっての、エイブも知ってんのね。

 もし北郷君にビルバインが渡ってそれをシーラが知った時にどう誤魔化すつもりだったんだろうね。ラウの国が持ち出したとなれば国際問題だが。

 うん? ああ! 別にラウの国じゃなくてもいいのか。ガロウ・ランに強奪されてそれを北郷君が取り返したってことにでもしようとしたのかな? ガロウ・ランならシーラも攫われてるから強く言えないだろうし。

 

「まったくもう。ビルバインよりもフォイゾン王の心配をしろっての。まだ生きてんだよな?」

 

『なんだと貴様!』

 

 アニメ通りの展開だとフォイゾンはもう死んでいるんだけど、どうなっているかな?

 道場で聞いた華琳ちゃんや愛紗の話だとまだゴラオンから出撃してはいないはず。エレちゃんに教えた情報が役に立っているといいのだが。

 フォイゾンが生きてた方がエレちゃんの苦労が減る。死因である黒騎士を潰しておいたとはいえ、あの子は応援したい。ピネガンを助けられたかもしれないのにそれをしなかったという負い目があるから。

 

「フォイゾン王が先走らないようにようく言っておけ。じゃあな。エレちゃんによろしく。絶対に無茶させるなよ!」

 

『貴様、姫様になんという』

 

 うるさくなりそうなので通信をカット。

 ビルバインの操作を一通り試してから戦闘に向かう。こいつの座席(シート)、変形でシート自体も動くんだけどそれでも、ウイングキャリバー時にかなり倒れている(リクライニング)。これさ、長時間乗って前を見続けると首が疲れるんじゃね? だから寝ててもいいように自動操縦があるのかね。

 しかもその苦労する前方視界があまりよくない。ウイングキャリバーはあくまでオマケと考えた方がよさそうである。量産機が変形をオミットされたのもその辺が原因だろう。

 

 大体にして聖戦士伝説ではウイングキャリバーの使い勝手が悪い。移動力がアップしたところで分離や変形に1ターン使ってしまうのでは役に立たない。さらにはビルバインをウイングキャリバーに変形させたままマップクリアするとゲーム進行に致命的な問題が発生するというバグがあったりする。Best版では修正したらしいけどさ。

 まあ華琳ちゃんに渡す前に問題点は俺が洗い出しておきゃいいか。

 

 視界は悪いながらもさすがは高速移動形態。目的の戦場にはすぐにたどり着くことができた。……できたんだが、この状況はなに?

 なんか愛紗のサーバインとボチューンが一騎打ちしてて、他のオーラマシンがそれを観戦中なんだけど!

 ダークブルーの基本色に両肩と喉元がピンクってあのボチューン、フォイゾン専用機だろ。

 

『やっと成功したようね』

 

「う、うん。それよりこの状況は?」

 

『フォイゾンが我慢出来ずにドレイクとの一騎打ちを求めてウィル・ウィプスに突撃、ドレイクが応じずに砲撃しようとしたのを愛紗が察知して阻止、代わりに一騎打ちを受けたのよ』

 

『すみません。私も止めたのですが……』

 

 通信をオフにしてたからか、華琳ちゃんのオーラ力によるテレパシーのようなもので情報交換。そこにエレちゃんが申し訳なさそうに謝ってきた。彼女も限界突破(カンストオーバー)させたせいか、これができるようになっているんだよね。

 

 アニメだとビルバインが出る前にフォイゾン死亡だったけど、聖戦士伝説だと一騎打ちはこの次のマップじゃなかったっけ? でもあれ、一騎打ち戦闘じゃなくてマップ画面でのショボいイベント扱いだったしなあ。

 

 一騎打ちの方は若竹色のサーバインが優勢。ボチューンは軽くあしらわれている。そりゃ聖戦士伝説最強のプレイヤー機サーバインに限界突破(カンストオーバー)の愛紗だ。ボテューンですらないボチューンでは善戦していると言うべきだろう。

 

『フォイゾンの気迫が実力以上に戦わせているわね』

 

「ああ、オーラマシンはそんなとこあるよなぁ……って!」

 

 ビルバインをオーラバトラー変形させ、観戦しながらも愛紗が負けるはずがないと安心して周囲を警戒していた俺は、付近にいたレプラカーンの一機がオーラキャノンを一騎打ち中の方向に向けているのを発見、オーラソードライフルを発射する。

 

「俺の嫁相手におっ起ててるんじゃない!」

 

 弾は当然のように命中。レプラカーンの股間のオーラキャノンは見事に粉砕された。しかもクリティカル演出の光まで出ているので、あのレプラカーンのパイロットの方にもダメージが入っているかな。オーラ力の感じでは地上人ではなさそうだから気にはしないけど。

 一騎打ちとは別の場所で発生した爆音に愛紗も気づいたのか、オーラソードを鞘に収めるサーバイン。あれ、ボチューンも引き下がって行っちゃったよ。

 フォイゾンも満足したのかね?

 

『ありがとうございます、ご主人様』

 

「いや、どうなったの?」

 

『水を差されたということで、一騎打ちを取りやめました。どうやらゴラオンは撤退するようですね』

 

『皇一もさっさと撤退なさい。謎のオーラバトラーを墜とせってドレイクが怒っているわよ』

 

 謎の機体って……ああ、そうか。ドレイク側には俺、まだ連絡してなかったっけ。その謎の機体であるビルバインがフォイゾンを仕留めるのを邪魔したんだから腹も立つ、か。こりゃ俺だってばれない方がいいな。

 俺はビルバインをウイングキャリバーに変形させて戦場からさっさと逃げ出すことにした。ビルバインはこの後、俺が奪ったってドレイク側には誤魔化すことにしよう。

 ドレイク軍のオーラバトラーやウイングキャリバーが追ってくるけど、余裕で振り切った。これは言うしかあるまい!

 

「我に追いつく敵機無し」

 

 あ、もしかしてウイングキャリバーでマップクリアって扱いになっちゃうのかな、これ。

 バグらなきゃいいけど。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。