シーラがくれたオーラバトラーは1機ではなかった。
ボチューンの親衛隊用のカスタムタイプであるボテューン。
模型誌の企画AURA FHANTAZUMに登場したオーラバトラー。まぎらわしい名前だがAURA FHANTAZUMにはそういうのが他にもあったりする。
聖戦士伝説では量産機のくせにカラーバリエーションがなく、リの国で使用してもシーラ近衛隊仕様なのは残念なんだか、ファンクラブ仕様が使えて嬉しいんだか。
バルカンの位置が太股から手に移っちゃったけど、移動力が大きくて使いやすい量産型最強オーラバトラーの一角だ。
ゼルバインは聖戦士伝説オリジナルの高性能機で、同じくカラバリなしの量産機。ビルバインの変形機構をオミットした量産型であり、北郷君にも渡されている。
聖戦士伝説だと、このくらいのタイミングでゼラーナ隊がゼルバインを連れてトルール城を襲うんだよなあ。ゼルバインが登場する数少ない戦闘。
で、撃墜したゼルバインを回収して量産できるようになる。
そして、ヴェルビン。
そう、ヴェルビンである!
アニメには登場せず、AURA FHANTAZUMにて発表されたもう1つのビルバイン。
スポンサーである玩具メーカーの希望によってデザインされたビルバイン。それを世界観に合うようにリデザインされたヴェルビン。
変形はしないが高機動型のオーラバトラーだ。武装もオーラソードとクローのみという重武装型のズワァースの対極。
聖戦士伝説にも登場しなかった幻の人気オーラバトラー。
ヴェルビンがもらえたのは正直嬉しい。
だけど、AURA FHANTAZUMだとブラウニー、ビランビーと発展していって高機動型の究極に達したのがヴェルビン。だからアの国製だと思っていたんだよなあ。
まあ、TOYでナの国の近衛騎士団長専用って設定でビルバインのようなカラーリングも販売されたから、今はもう設定が変わっているのかも。
「わが近衛騎士団の長も満足に動かすことのできない難物のオーラバトラーですが、聖戦士ならば問題はないでしょう」
「ありがとうシーラ。最高の贈り物だ!」
思わずシーラを抱き上げてくるくると回ってしまった。それぐらいに有頂天だ。
当然だろう。だってヴェルビン大好きだもん!
聖戦士伝説でも強化型や改良型なんて手抜きのオリジナル機出さないでヴェルビンやガーゴイルを出せとずっと思っていたのだよ、俺は!
「ずいぶんな喜びようね」
「ヴェルビンは華琳ちゃんのビルバインの別の姿みたいなもんだからね。ある意味お揃いなんだよ!」
さっきまで俺は藤色の主役ダンバインに乗るつもりだったけど、ヴェルビンがきたんなら話は別。ヴェルビンはもちろんボウに開発チャレンジしてもらうけど、たぶん無理そうだからね。俺専用機ということになるだろう。
量産できるといいなあ。ビルバインの量産型がゼルバインだから、ヴェルビンの量産型はジェルビン? それともリの国のだから……リビルバイン?
いや、リゼルバインか。むう、女の子になりそうな名前だな。これで行くか。
略称リゼルだと変形しそうな気もしてくるけど!
◇
ヨルムーンガント大浴場の検査をおえて湯上がりのボウに、入手したオーラバトラーの調査、開発と新しい量産機の構想(?)を伝えた。
ほぼ完成したヨルムーンガント内にも機械の館があるので、
「また苦労をかける」
「おまかせください」
ボウも地上界についてくることを望んでいてくれて助かるよ。報酬もはずまないとね。
むこうにいったら嫁さんも探してあげないと。
あっちの女の子は美人ばかりだからついてきてくれる騎士、兵士たちも喜ぶはず。余計なお世話かな。
北郷君たちもヨルムーンガントの姿に驚いているようだ。
思っていたよりも大きかったかい?
「本当に完成していたのか」
「巨大戦艦で一番遅い完成になっちゃったけどね」
「コーイチ王に相応しい見事な艦です」
「グラン・ガランもシーラ女王に相応しい優雅な艦だよ」
ゲームオリジナルの巨大戦艦ヨルムーンガントって聖戦士伝説ではサイズ不明で、マスターファイルだと巨大戦艦にしては小型艦扱いされてしまう。なに140メートルぐらいって。小さすぎでしょ! 搭載オーラバトラー数も10機程度って戦力低く見積もりすぎ。マスターファイルは独自解釈が多いよなぁ。
だがこの世界のヨルムーンガントは違う!
俺のクリアボーナス『かね×2』によって収益が増している上に、強獣の森へ通いまくって稼いだ資金と素材でリの国にあまり負担をかけることなく建造。
俺の無理な注文に応えるチート技術士ボウによって対空砲も充実。サイズもゴラオン以上の大型艦となっている。ウィル・ウィプスやゲア・ガリングに対抗するためにもオーラバトラーを多く持っていかなきゃいけないからね。
オーラマシンの搭載数、多いよ。パイロットよりも多いぐらいだ。あっちで武将達にも渡したいもん。
だけどグラン・ガランの城っぽいあの優美さは持っていないのは残念だ。アイロンじゃなくて日本の城っぽいデザインを注文すればよかったか。
「で、ゼラーナ隊はこれを奪うつもりかい?」
「……ドレイクと袂を別つというのはマジなのか?」
「もちろん。地上界に帰るために協力していただけだからね。地上界に帰れて、それにドレイクたちもついてきちゃったら戦うことになるだろう。奴は地上の世界征服を目論むのは明らかだ」
ドレイクだけじゃなくて華琳ちゃんも目指しそうだったり。大陸だけじゃなくて世界全部をさ。俺としてはそんなの面倒なんだけどね。
でも日本には行きたいかも。もうお米って作っているんだっけ?
「三国志の頃ならオーラマシンがあればそれも可能、か」
「逆に補給では苦労しそうだろ、食料も含めて。だから、物資も多めに用意しておかないといけないのさ。連れて行く人員は最低限にして、ね」
「それなのに、聖戦士について行きたいという者が多くて困っているわ」
死ぬまで帰ってこれないこと、リの国の人的資源の低下、等をさっ引いても、食料他の必要物資のことを考えれば連れて行く人数は少ない方がいい。
オーラバトラーの操縦はそれほど難しくないので、機体さえあれば魏軍で対処できるはず。
「おかげであっしとオウエンも居残りでさ」
「なるほど。騎士団長が残るというのならば、思い止まる者も増えましょう」
シーラの言う理由も期待してるし、オウエン抜きだとリの国も困る。ザンだって残ってくれればオーラマシンが無くなった後でも戦力的に問題はあるまい。むしろついてこられてもあっちの有能な美少女たちにおされて立場なくなりそうだ。
だけど、それでもついて行くって者が多いのも事実で選抜試験すらやってたりするのがね。
「ゼラーナ隊も残ってくれないかい? 決戦の時にオーラマシンに乗っていなければバイストン・ウェルに居続けられる」
浮上の先が、フランチェスカのある現代日本になる可能性もなくなる。北郷君の結婚を勧める理由の1つだ。
まあ、オーラ力の大きさで決まるんなら
「そんなワケにもいかない。あんたが言ってることがどこまで本当かなんて証明できないだろ」
「俺がシーラやエレちゃんの敵になることはないって断言してもいいけど、証明しろってどうりゃいい」
「問題はありません。これから行われる聖戦士カズトたちの結婚式と同時に、私とコーイチ王の結婚式も執り行うのですから。私たちの繋がりの証明となりましょう」
「シーラ女王?」
にっこり微笑んだシーラちゃんに北郷君が頬が染まる。赤くなるのも無理ないぐらいシーラは可愛いが、その頬にチャムのキックが炸裂。
痛かったのか、頬とそれに尻をさする北郷君。キーンに抓られたのかな。
「結婚式前に浮気するな!」
「そ、そんなつもりじゃ」
ああ、心友の一刀君を思い出すなあ。
あの結婚式の時は緊張しまくりだったっけ。
……思い出してたらなんか泣きそう。嫁さんの次くらいには会いたい友人に、もう会えないなんてさ。
「どうなさいました、コーイチ王?」
「い、いや……シーラがあんまり綺麗だから見とれてたよ」
「まあ」
既にナの国の婚礼衣装を纏っているシーラ。褒めるのも当然だ。
俺だけじゃなく華琳ちゃんが今にもベッドに連れ去りそうな視線を送っている。その華琳ちゃんや愛紗、蓮華も着飾っていて綺麗。花嫁衣裳じゃなくたって目立つこと間違いなしだ。
「ほ、本当に結婚するんですか?」
「聖戦士カズト、ずっとそう言っています。私が国のために望まぬ結婚をしなければならない、とでも近衛騎士に言われましたか?」
北郷君はまだショックを受けている。もしかしてシーラを狙っていたのだろうか。
嵐の玉で出会ったのが俺じゃなくて北郷君だったらシーラも攻略されていたんだろう。一刀君だったらむこうでエッチしてたかもね。それともダンバインの中ですらありえるか。
シーラとの結婚式は急遽決定された。のではなく、俺には内緒で準備が進められていたらしい。嫁さんたちも知っていたんだとさ。だから着替えもわりと早く済んだ。
ヨルムーンガントの完成もそのために俺に知らせるのを少し遅らせていた。まあ、緊急時にはすぐに知らせる予定だったらしいけどさ。
花嫁衣装で乱入してきそうなリムルだが、遠乗りにつれて行ったバーンはしばらく戻ってこない。山奥の砦の一つに避難という形でしばらく滞在してもらうからだ。オーラバトラー戦記での最後とちょっと似てるね。
オーラマシンも配備されていない砦とは名ばかりの僻地。いくらリムルでも飛竜無しでは脱出できまい。そのまま結婚式も知らせず、ヨルムーンガント出航まで隔離する。バーンにはその間にリムルといい仲になってもらいたいものだ。
「ナの国でやらなくていいのかい?」
「恥ずかしながら、我が国で行うと暴動が起きそうなのです」
「当然よ! 相手は好色王なんだから」
チャム、ため息つかないでくれ。泣きそうになるから!
その呼び方はあんまりだよ。
シーラは国民に大人気で、その彼女の結婚相手が既に嫁さんを何人ももらっている、ってのは反対するのも納得してるけどさ。しかも全員美少女でそりゃ悪名もつけたくなるってもんか。
「むこうに戻った時も蓮華との結婚を知られて似たようなことが起きないか、心配だ」
「大陸でも結婚式をしなくてはいけないわね。人数も増えるでしょうし」
「うむ。オレの娘だけじゃなくて、もっと増えるかもな」
「まだいるのか?」
いやいや、馬超との結婚だってまだそうなるか、わかってないんだからね。
でも、華琳ちゃんの花嫁姿がまた見たいって春蘭たちは絶対言うか。
愛紗も義姉妹に結婚式見せたいだろうし。
「エレ王女を呼べないのが残念ですが、地上界での結婚式には参加してもらいましょう」
「エレ様まで!?」
「なんか勘違いしてない!?」
嫁じゃなくて招待客って意味だよね、シーラ。
なんでうんうんわかってるって顔で肯いてるかな、パットフット。
そしてなぜ俺の髪をぎゅっと握っているかな、フィナ?
「カズトには私たちがいるからな」
「そうよ。これ以上いらないでしょ」
「ねー」
左右の腕をキーンとガラリアにとられ、頭の上にチャムの北郷君。君は羨ましそうに見ているニーに気づくべきだろう。あえて無視しているのかもしれんが。
ニーはリムルと会えると思っていたらしく、ポロポウズの花を手にがっくりと落ち込んでいた。
まだ未練あったのか。
しっかり面倒を見られるんなら任せても……いや、リムルはしっかり見張っていられる人物じゃないと任せられないか。彼にはドレイク討伐に集中してもらおう。
できればニーにもバイストン・ウェルに残ってもらいたいものだが、一応、ゼラーナ隊のリーダーだしなあ。
◇ ◇
結婚式は無事に終了。他国の攻撃やゼラーナ隊の工作もなかった。
どうやらゼラーナ隊は結婚式という予想外の展開に流されてしまったよう。
うむ。作戦勝ちだな。
俺も流されただけだけどさ。
初夜もよかった。シーラだけじゃなくてこっちにいる嫁さん全員で。浮上に備えて繋がりを深めておいたよ。みんな同じ世界に浮上できるようにね。
ちょっと疲れてはいるけど、気力は充実している。
「初夜も済ませたし、死亡フラグが減ったな」
「新婚さんも危険だけど」
「そうだった。油断しちゃダメか」
一緒に朝食を取りながら北郷君と談笑する。あの時の一刀君と違うのは嫁の数が違うから疲れをそれほど感じないこと。一刀君は疲れを顔に出しながらもやり遂げた感じだったっけ。
「それと、ゼラーナにオーラバトラー用の剣を支給しておいた。あ、結婚祝いには縁起が悪いって思わないでくれよ。災いを断ち切る、未来を切り開く、って刃物は縁起物なんだから。悪意はないんで使ってくれ」
「オーラバトラー用の剣?」
「ああ。硬いグラバスの甲羅を研磨した名品だ。日本刀型のも作ってもらったんだけど、なんか俺には合わなくてね。君なら上手く使えるだろう」
以前に狩った水棲の強獣グラバス。その甲羅の研磨に時間がかかったがついに完成した。聖戦士伝説では地上界で手に入れることができる最強のオーラソードが日本刀型だったんで作ってもらったんだけど、俺って日本刀より剣の方が慣れてるんで西洋剣型のグラバスソードの方がいいみたい。数値は同じくらいなので北郷君に渡すのも面白いだろう。
ヴェルビンにはそのグラバスソードを2本装備させることにした。ビルバインの必殺技って二刀流のイメージもあったりするんだよ。だからヴェルビンにもね。
嫁さんたちや馬騰のオーラバトラーもグラバス武器を装備しているよ。
「ありがとう。俺もそっちの結婚祝いしたいけど、渡すものがなくてすまない」
「構わないさ。誤解を解いてくれたんだから」
さすがにむこうでどんな関係になるか不明だから
本来の主人公が恋姫世界で敵になると大変そうだしね。
朝食後、ついにヨルムーンガントの出航。ザンを残して行くので艦長は華琳ちゃんだ。
「皇一はゼラーナ隊と同行してシーラを送っていきなさい。ヨルムーンガントはナブロの砦のゴラオンと合流するわ」
国中で祝ったので、ドレイクも俺とシーラの結婚式を知ったことだろう。グラン・ガランにシーラ不在となれば、きっとウィル・ウィプスを動かす。それだけではなく、シーラがグラン・ガランに戻るのを邪魔するのは間違いない。
ゼラーナ隊だけでは不安なのでこっちからも戦力を出すがナの国への手前、俺が出ないワケにはいくまい。シーラから贈られたヴェルビンで護衛することで、俺とシーラの結婚を示すのだ。
「サーラからの情報だと、ドレイクにせっつかれてビショットのゲア・ガリングがやっと動き出した。ナブロに向かっているようだから注意してくれ。クの国のビアレスはいいオーラバトラーだ」
ビアレスは近接武器が斧なので他機種と使いまわしが効かない欠点はあるがそれを差し引いても名機だ。斧だって、購入できる最高級品の
残念ながら聖戦士伝説ではバリエーション機が出ないけど、AURA FHANTAZUMには最終生産型ってのがあったりするので改良型とか強化型なんてオリジナル色違いを出すより、そっちを出すべきだったと思う。
「皆様、エレをお願いします」
「任せてパットフット。エレは私にとっても妹のようなものだから」
蓮華はエレちゃんを可愛がっている。亡国の姫という立場が近いもんな。髪の色も似ているし。
孫尚香がなんて言うかな。シャオちゃんだったら「ならシャオの妹ね」とか言いそう。どっちも特徴的な髪型だよね、重力に逆らったさ。
あのシャオちゃんにも会いたいなぁ。
パットフットのことはゴードがなんとかしてくれるはず。くっついちゃってもいいのよ。
「マスタードラウゲン、いえ、ゴード王。リの国を頼みます」
「任されよう。聖戦士の願いが叶うことを祈る」
仮面を外したゴード王に王家の剣を返却し後を任せる。これでもう、俺は王様やらなくていいってことだよね。肩の荷降りたー!
王家の剣が無くなったので代わりに持つのは黒い剣。聖戦士伝説では重装甲ボチューンと改良型ダンバインって黒いオーラバトラーが出てくるからそれができないかボウに頼んだ結果できた副産物。結構切れ味もいいんだよ。
「ザン、オウエン、今まで世話になった。ありがとう」
「聖戦士の下で働くのは悪くなかったですぜ」
「聖戦士殿についていく騎士、兵たちをお願いします」
「わかったよ。そっちも元気で王を支えてくれ」
国民をあずかる重責は減ったけど、ついてくる連中はやっぱり俺が面倒みなきゃならんか。
ついてくるやつらは苦労かけることになるが、福利厚生はちゃんとするからな。その辺も華琳ちゃんと相談してあるし。
「サーラの情報にも助けられた。連れて行けないのが残念だよ」
「さすがに地上界のことはわかんないからね、役には立てないさ」
「閨でがんばってくれてもいいのよ」
「光栄だって返しておくよ。あんたがガロウ・ランじゃないってのが未だに信じられないね」
華琳ちゃんは結局、サーラに手を出したのだろうか?
他にも城の侍女たちに別れを惜しまれているのが怪しい。
愛紗、馬騰は騎士たちと激励しあっている。あいつらはよく生身での訓練をしていたやつらだろう。2人の指導のおかげで強くなったと泣いていた。
たしかに強くなっている。
もはやリの国に心残りはない。
◇
城で国民への最後の別れを済ませ、俺たちはトルール城を後にする。失敗してロードしない限り、もう戻ることもあるまい。
ドレイク軍に発見されるのを防ぐために、シーラを送るために同行するのは俺だけ。ゼラーナではなく大グリムリーに乗艦している。
「ミヤランの海でグラン・ガランと合流か。ウィル・ウィプスも近い、と」
ナの国は海を挟んでアの国の東にある。で、リの国は断崖を挟んでアの国の西にある。つまり、最短距離を通ろうとしたらアの国の上空を通過することになってしまう。
北はラウの国。北に向かうヨルムーンガントを旗艦とした艦隊とは別れて南に進路をとり、アの国上空を迂回してミヤランの海を目指す。遠回りだが余計な戦闘をするよりは早くつく。
その予定どおりに空の航海は順調ではあった。合流目前で敵と遭遇するまでは。
「ここまで戦闘がなかっただけで上出来か」
「グラン・ガランは目と鼻の先なのにー」
「ウィル・ウィプスと先に会ってしまいましたか」
『ウィル・ウィプスはゼラーナが引き受ける。シーラ様は早くグラン・ガランへ!』
ゼラーナからの通信。既にオーラバトラーを展開している。これじゃドレイクを誤魔化すのはやりにくそうだ。
ウィル・ウィプスの周りに展開していたオーラバトラーも向かってきた。って、このオーラ力は張遼と呂布じゃないか!
完全に待ち伏せされてたな、こりゃ。
「ゼラーナだけじゃ無理だ。俺も出る。シーラ、次に直接会うのは地上界だ!」
「ご武運を!」
大グリムリーをグラン・ガランに向かわせ、俺はヴェルビンで出撃。
新たなオーラバトラーの力強さを感じながら北郷君たちのそばへ飛ぶ。ガラリア(ヴァルキリア)はバルバインでキーンはボチューンか。北郷君はちゃんとゼルバインにグラバス刀を装備させてくれていてちょっと嬉しい。
これでキーンも聖戦士伝説オリジナルのオーラバトラーだったらバランスがいいトリオになるのに。
「呂布のレプラカーンには1機じゃ無理だ。北郷君たちは3機で当たってくれって言うべきか?」
「数では勝ってても、俺たちの方が貧乏クジにしか思えないな、それ」
「俺は1機だし、張遼だって強いっての」
北郷君と軽口をかわしながらドレイク軍オーラバトラーに備える。先陣を切って現れたのはやはり張遼のビランビーだった。
「見たことないオーラバトラーやけどやっぱコーイチやな、おひさー。っと、ゼラーナといるワケないってドレイク言うとるから、コーイチじゃなかったわ」
「俺の顔を忘れるなんて冷たいな、関羽を連れてくればよかったか」
「そりゃ魅力的やな。けど、あんたともいっぺん
ドレイクは本気で俺がいないとは思ってないだろう。もし俺がいてもついでに倒せればいいし、俺が生き残ってもゼラーナ隊と同行してるとは思わなかったと言い張る、か。
俺たちが話している間に呂布のレプラカーンとドレイク軍の他のオーラバトラーも接近。ドラムロ多数にビランビー、レプラカーンが数機か。っと、俺たちを無視してグリムリーを追おうとした部隊に向かって手持ちのオーラランチャーを発射。ヴェルビンは近接武器オンリーだったので、持ってきたのはブラウニーで使っていたバストールと同型の物だ。
「ここから先は通行止めだ」
「うち相手に余所見とは余裕やな!」
うぉっ、返礼とばかりに張遼ビランビーもオーラランチャーを撃ってきた。ギリギリで回避するとすぐに剣まで迫ってくる。鋭い斬撃だ、受け止めたのがグラバスソードじゃなかったら折られてたかも。
「よう受け止めた」
「そりゃまあ、こっちの方が聖戦士は長いからね、っと」
至近なのに構わずにオーラランチャーを向けるとビランビーが離れる。それにも関わらずに発射。その弾はドラムロに命中、爆散させる。
当たったよ、ヴェルビン反応がいいな。エイムもバッチリだ!
「やるやないの!」
「張遼に集中したいのに邪魔が多い!」
「悪いなあ。ウチも一騎打ちしたいけど、やつら、させてくれへん」
ちっ、オーラランチャーは5連。片手にしか装備してこなかったので、これではグリムリーを追われてしまう。
ならば目標を変える、か。
「こっちも悪いな! 地上に戻れたら酒おごるから!」
「なんやそれ! って、ウチよりも速い!?」
ビランビーから離れてウィル・ウィプスへと向かうヴェルビン。ナの国製に変わったけど、高機動型の究極という設定は残っていたのかビランビーは追いつけない。
単機特攻なんてフォイゾンのこと言えないと苦笑しつつ、ビランビーや他のオーラマシンの砲撃を回避する。反応も悪くないよ。このオーラバトラー、俺と相性が抜群だ。
「よしっ、グリムリーを追うのは諦めたな」
「無茶しないでください!」
「すまん!」
回避運動をとりながらフィナに謝る。道場を知らないフィナにとっては自殺行為にしか思えないんだろう。ウィル・ウィプスが近づくにつれて砲撃が激しくなってきたしそれも当然か。
ブル・ベガーも多いな。うわ、ショットのスプリガンもいるよ。
少しでも数を減らしておくかと残り少ないオーラランチャーをブル・ベガーに全弾発射。艦下部のオーラキャノンに命中し、撃沈。
「やったけど弾切れ! こんなことならビルバイン借りてくりゃよかった!」
「後ろからきます!」
華琳ちゃんにヨルムーンガント艦長を任せたんだからビルバイン空いてたのに、つい入手したばかりのヴェルビンに浮かれて乗ってきたことをちょっと後悔しつつ、フィナの警告に従って回避。
この攻撃はスプリガンからか。聖戦士伝説ではそんなに強くなかったけど油断できる相手じゃない。というか、この状況で相手してたらマズイな。
空になったオーラランチャーを投げ捨てながらスプリガンから離れ、グラバスソード二刀に持ち変える。
追ってこない? ウィル・ウィプスが近すぎて砲撃しづらいのね。お、ライネックが出てきた。ウィル・ウィプスに配備されていたか。乗っているのはドレイク軍のエリート兵ね。今の内に倒しておこう。地上界に行かれると面倒だ。
◇ ◇
「オーラ斬りぃ!」
ライネックが真っ二つになって墜ちていく。
さすがボチューンを作ったナの国製。オーラ力を剣に集中させる機能を持ってるので、ただでさえ強いグラバスソードの切れ味がいい。
この機能はハイパー化防止機能として、リの国製のオーラバトラーにも搭載している。うちのは限界オーラ力以上のオーラ力を半ば強制的に剣に送ってハイパー化を防ぐ安全装置でもあるのだ。
つまり、オーラバトラー本体がハイパー化するのではなく、オーラソードがハイパー化する予定。まだ試してはいないけど。
二桁に及ぶ敵オーラバトラーを撃破したり、追いついてきた張遼ンビーと戦ったりしてる内に攻撃が少し緩くなってきた。グラン・ガランが近づいてきたようだ。
『ご無事ですか?』
「無事だよシーラ、さすがにちょっと疲れてるけど」
俺だけじゃなくてヴェルビンも筋肉痛を心配するぐらい働いた。グラバスソードじゃなかったら剣ももたなかったかも。ドレイク軍のオーラバトラーは重装甲揃いだから。
北郷君たちが呂布を抑えてくれていて本当によかったよ。あっちも無事だろうか。北郷君とガラリアはともかく、キーンにも新型オーラバトラーを支給してあげるべきだったかもしれない。ラナウン・シーとかなかったのかね。
呂布だってことを考えると、戦う時はワイヤークローに投網をセットしたオーラバトラーを複数用意してみるか。あっちで作れるといいのだが。
『かかれ! ドレイク軍を殲滅せよ!』
通信機からもシーラの号令が聞こえ、ナの国軍とドレイク軍の戦いが始まった。
今の勢いならウィル・ウィプス墜とせそうではあるけど、帰るためにそれはできない。ジャコバさん早くしてくれないかな。
お、やっと光り出したか。弾切れなのが悔やまれる。今こそウィル・ウィプスに撃っておきたいのに。
『この光ですか?』
「ああ、地上界で会おう!」
さあ、みんなとはぐれないように季衣ちゃんや春蘭たちを強くイメージしなくては!
行くぞ、恋姫世界へ!
目的達成なので完?