不本意ながらもリの王となった俺は慣れない政務で疲れ果てていた。
季衣ちゃんの溜まった書類を手伝ったことはあったけど、そんなレベルじゃないよこれ。聖戦士伝説の主人公もちゃんとやってたんだろうか?
「コーイチ王はよくやっておる」
執務室にもよく顔を出しアドバイスをくれるマスタードラウゲン。傭兵と名乗ったのを忘れているんじゃなかろうか?
こっちは助かってるからいいんだけどさあ。
「お疲れ様です」
「フィナもサポートありがとうな」
「い、いえ」
フィナは文字もちゃんと読めるんで非常にありがたい。
バイストン・ウェルはテレパシー的なもので会話ができるけど文字はそれが働かないんだよね。
「捕虜はどうしている?」
「大人しくオーラマシンのことを話していやすぜ。ドレイクに見捨てられたとわかったのが効いたようですな」
ドロで俺を襲ったドレイク兵たちは捕虜として扱っている。
バーンには始末するなんて言ったが貴重なオーラマシンの乗り手だ。味方にならずとも操縦方法等の情報は出させたい。
「そうか。ちゃんと協力してくれてるんだ、殺すなよ。逆にドレイクのとこに戻ったら証拠隠滅のために殺されるって教えておいてくれ」
「ですな」
まあ、別に逃げ帰られても特に困りはしない気もする。
……油断しすぎか?
「オウエン、機械の館はどうなった?」
「先程完成しました。こちらが機械の館を任せているボウです」
オウエンが連れてきた男が頭を下げ、自己紹介を始めた。
ボウ・ダトラ。
入手したオーラマシンを調べて『開発』し『生産』できるようにしてしまう有能すぎる技術者だ。開発できるのは量産機だけだけど、それでも凄いだろう。
「そうか。ドロとゲドを開発しておいてくれ」
鹵獲したドロではない。あれはうちの騎士との戦闘でボロボロになっている。ドレイクから入手した物。オウエンがドロとゲドを購入してきたのだ。
このドロ、聖戦士伝説ではなぜか1人で操縦できたが、こちらではアニメと同じく動かすには4人が必要。
そのため捕虜にしたドレイク兵も4人いたりする。
「はい。コーイチ王、我が国オリジナルのオーラバトラー『アルダム』も開発可能です。いかがいたしますか?」
「もちろん開発だ、頼むぞボウ」
アルダムは聖戦士伝説オリジナルのオーラバトラーだ。
武器やデザイン、それに色からダーナ・オシーやボゾン系列に見えるが、ゲドを元に開発された設定だったりする。ギブン家の技術者が関わっているとかそんな裏設定がほしいところである。
そんなアルダムだがゲドはおろかダーナ・オシー、ボゾンよりも使いやすい名機なのだ。量産したい。
……カオスルートに行くならドラムロの方が強いんだったな。どうすんべ?
「ガロウ・ランの残党を見つけたよ」
「リの国のキャスウェル山か。わかった。すぐにでも討伐に出たいとこだけど、あそこなら人里から離れているし、騎団を強化してから向かうことにする」
いつの間にか執務室にいたサーラ。まさに忍者。ダンバ忍サーラ……なんか情報収集失敗して捕まりそうだな。
彼女の報告でマスタードラウゲンが今にも飛び出しそう。
「サーラはドレイクの居城ラース・ワウでそろそろ召喚されているはずの新たな地上人を調査だ。できれば聖戦士の方と接触。ドレイクのやり方が気に食わないようだったらリの国にスカウトしてくれ」
「そんなことまでわかるのかい? コーイチ王は千里眼だね」
まだ召喚されてないかもしれないけどマーベルはこちらに引き込みたい。
これはテストでもある。どこまで聖戦士伝説と違ったことができるかの。
ゴードを生存させることはできたが、結局俺は聖戦士伝説と同じく王にされてしまった。
濃い顔だけどダンバインのヒロインであるマーベル・フローズンは聖戦士伝説ではここでは仲間にできず絶対にギブン家へと行ってしまう。
ここで仲間にできれば聖戦士伝説とはかなり違った行動を取れるということになる。
それにロウとカオス、どちらのルートに行くにせよマーベルを仲間にできるのなら戦力がかなり増強されることになるからありがたい。
◇
「こんなもんか」
「さすが聖戦士ですな。もはやコーイチ王にかなう騎士はリにはおりますまい」
マウンテンキャスウェルに集結していたガロウ・ラン残党は楽勝だった。
だって俺、
後で他の騎士たちもレベルアップ技で上げておこう。
トルール城に戻るともう、ドロ、ゲド、そしてアルダムの開発が終了していた。
聖戦士伝説の開発は1度戦闘すれば開発終了してしまうのだ。こっちでもその仕様らしい。ボウ
リの国はパンツァードラグーンの装甲化のために強獣素材の加工に慣れている職人がいるって下地もあったとしても驚異的なスピードといえよう。
アルダムは濃紺で細身のオーラバトラーでゲドと同じく内蔵されている武器はなく、長く鋭い3本の指でオーラソード――オーラバトラーサイズの剣――や射撃武器を持って戦う。
「これがアルダムか。ステータスはたしかにゲドより性能は上だな」
「量産いたしやすかい?」
うーん。アルダムも嫌いじゃないけど、できればドラムロを量産したいんだよなあ。
聖戦士伝説だとドラムロ強いから。アルダムと違って
「騎団のためにあと4機だけ増産しようか。ザン、ナラシ、バラフ、ラージャの分だ。マスタードラウゲンはオーラマシンには乗せないように」
「心得ております」
オウエンが頷く。オウエンも俺たちがバイストン・ウェルから排除された時、ゴード王だけでも残したいのだろう。
地上へ行くならカオスルートじゃないと全滅ルートになるんで悩むとこだよな。
まあ、セーブはしてあるんで今回は色々試せばいいか。
……オーラマシンの開発を決めた後のセーブだから、オーラマシン無しルートにいこうとしたら最初から始めないといけないんだっけ。
ドラグーンだけで戦うのはキツイなんてもんじゃない、ドMルートだからそっち進むことはないだろうからいいか。
「あ、これから造るオーラマシンの色は黒にしておいてくれ。俺が地上界で所属していた軍の鎧の色だから」
ゲームではリ軍のオーラマシンの色はほとんどが青系だったけど、華琳ちゃんたちと合流できると信じて魏軍カラーにしておこう。
アルダムも元々黒っぽい紺色だからちょうどいいし。
◇
強獣の森で騎士たちのレベル上げと資金稼ぎを行う。アルダムを生産するのもタダでできるわけではないからね。
でも俺の記憶よりも資金の入りがいい気がする。
クリアボーナスの『かね×2』が機能してるのかもしれない。
ますます『けいけん×2』が謎になってきたが、既にカンストオーバーしてるし経験値が2倍にならなくても困りはしない。スタート時のメッセージによれば使うと記憶を失うことになるらしいし。
ゲームの聖戦士伝説だったら今頃はゴードの死を国民や諸外国に知らせるかどうかの選択があるんだけど……。
「どうかなさったか?」
マスタードラウゲンとなってピンピンしてるんだよな。こいつも能力値高いしカンストオーバーしてるからドラウゲンでもオーラバトラーに勝てるだろう。
それにとっくに俺が新たな王だって発表しちゃってるから選択に悩む必要もないわけで。
質問がオウエンやザンから発せられることはなかった。
「コーイチ王、ドレイク殿の使者が参りました」
「そうか。今ちょっと手が離せないからザン、応対してくれ」
「了解ですぜ」
なんかザン、騎士団長って言うより山賊の頭みたいな口調なんだよな。ゲームでもこうだったっけ?
ドレイクの使者はたしか、領内の強獣退治の援助要請ってやつなんだよな。
これってドレイク値の上下がある選択なんだよなあ。どうすんべ?
ドレイク値ってのは分岐に関係する数値だ。ドレイクの好感度みたいな言い方でちょっと嫌かもしれない。
ザンが戻ってくる前に決めておきたいけど。
うーん、カオスルートに行くとしてもドレイク値は低い方がいいか。
そう思ってたらザンが断ってしまったようだ。
「すいやせん、つい。詫びの品も寄越さずにどの面下げて「御助勢を願う」ときたもんで……」
「俺はまだ新米の王だ。ドレイクになめられてるのかもしれないな」
「しかも「騎団の指揮は聖戦士コーイチ殿に是非とってもらいたい」などとぬかしやがったんでさ!」
今考えるとこれもよくわからないよな。聖戦士である主人公の力を見極めようとしたのか?
でもこっちだとさ、前回ドロで王を暗殺しようとしたのがバレてるんだけど。
「また王を狙うとでも言うのか! あからさますぎやすぜ!」
「そうとも限りませんよ。ドレイクは同じアの領主、ロムン・ギブンと対立していると聞きます。新たな王とつきあいを持ちたいのかもしれません」
「きっちり詫びを入れるのが先ってもんだろうが!」
ザンの怒りをオウエンが冷まそうとしたが、あまり効果はなかったようだ。
うーん。
「やっぱり出陣しよう。オウエン、ドレイクに使者を」
「コーイチ王?」
「ここはリの力を見せつけておくべきだ。騎士たちも強くなり、騎団のアルダムの配備も完了した。あの禿になめていい相手かどうか思い知らせておこう」
「なるほど。ただ恩を売るだけではない、ということですな」
なんだろう、俺ってば恋姫世界にいた時よりも好戦的になってる気がする。
王様をやるために華琳ちゃんを意識しているせいだろうか。それとも若くなったせい?
「マスタードラウゲンは念のために城に残ってくれ。なにか仕掛けてくるかもしれん」
「了解ですぞ」
騎団本隊がアルダムを使う分、それまで使っていた飛竜が空いている。防衛力も問題はない。
マスタードラウゲンに竜騎士をもっと育ててもらってもいいかもしれないな。
◇
「コーイチ王!? そのオーラバトラーはいったい……?」
「我がリが造り上げたオーラバトラー、アルダムだ。なかなか強いぜ。ドレイク殿の新型ほどではないだろうがさ」
そうバーンに謙遜、というか嫌味をぶつけながらアの国の町を襲う強獣の群れと戦う。
オーラバトラーでの戦いももう慣れているうちの騎士によって強獣たちはあっさり駆逐された。
ザンも三騎士もみんな
「な、なんという強さなのだ……」
「そうか? 知ってて聖戦士を呼んだんだろう。ドレイク殿はさ」
「お館様が……御助勢、感謝いたしますぞ」
「バーン、貸し追加な」
早く返した方がいいぞ。返してくれなかったらショウを『修羅』にしちゃってバーンの出番を完全に消し去るぜ。
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