ラース・ワウに潜入していたサーラが戻ってきた。
サーラは有能でいろんな情報を持ってきてくれるんだけど、地上界に行っちゃうと出てこなくなるから貴重な女性キャラが減るんだよね。
地上界じゃ彼女がスパイ活動なんてできないから当然っちゃ当然なんだけどさ。
「コーイチの言うとおり、2人の地上人が召喚されていたよ」
「やっぱりか」
「1人はゼット・ライト。オーラマシンの技師だよ」
マダ……ゼットか。オーラマシンの技術者としての能力はショットより上なんだよな、実は。
だけどドレイクに取り入るのが上手かったショットに開発者としての手柄を総取りされるんだっけ。
こいつも仲間にできればいいんだけど、聖戦士伝説だと味方になっても結局最後はショットと一緒に裏切るからどうしようかね。
「もう1人はコーイチが欲しがった聖戦士、関羽だ」
「はい?」
関羽?
え、マーベルじゃないの?
もしかしたら華琳ちゃんたちの可能性もあるかもと期待してオーラマシンの色を黒にと指示していたけど、まさかの関羽?
召喚されたのが俺の知っている関羽で、一刀君と
「コーイチ? 関羽はコーイチの読みどおりドレイクが気に食わないようだ。脱走計画を持ちかけたら乗り気だよ。手はずは整えている」
「……ギブン家はどうしている?」
「よく知ってるね。ギブン家も地上人や技師を奪おうと目論んでいたよ。協力してもらうかい?」
どうする?
ここでギブン家に協力してもらったらロウルート行きは確実だろう。
でもギブン家って俺的に評価が低いんだよね。
「協力は不要。できればギブン家にも関羽を脱走させるのがリの国だということがバレないようにしてくれ」
「そうかい、わかったよ」
関羽をそのままゼラーナ隊へ持ってかれそうだもんな、マーベルポジ的にさ。
華琳ちゃんたちじゃないのは残念だけど、一刀君がどうなってるか知っているかもしれない。必ず仲間にしたい。
「絶対に関羽の脱出を成功させる! 必要な物があったら言ってくれ」
「ずいぶんな入れこみようだね。あの嬢ちゃんずいぶんと綺麗だったけど、そのせいかい?」
「妻の知り合いかもしれないからな」
「コーイチさん、結婚してたんですか!?」
珍しく大きな声を上げてフィナが驚いた。
華琳ちゃんたちを見たらもっと驚くだろうな。なんでこんなおっさんに美少女嫁が5人も、ってさ。
あ、今の俺はおっさんじゃないんだっけ。
「新婚だったのに俺だけがバイストン・ウェルにきちゃってさ……。元気だといいんだが」
「コーイチさん……」
「だから地上人を探させたのかい。こりゃなんとしても関羽を連れてこなきゃ駄目だね」
「頼む、サーラ」
関羽のことはサーラに任せるしかできない。
いや、アルダム騎団でラース・ワウに攻め込めばなんとかなるが他国への侵略になりそうだし、それでは関羽も仲間になってくれないかもしれない。
関羽、一刀君と離れ離れになって精神状態がよくない可能性があるもんな。できるだけ怒らせないようにしないと。
一刀君、どうしているかなあ。
◇ ◇
「それでなんでグラバス狩りなんですかい?」
「強獣の森に飽きた、ってわけじゃないけどさ。グラバスっていい素材になるんだろ」
「かなり強力な強獣でさあ」
「アルダムならいけないか?」
グラバス。硬い甲羅を持つとされる水棲の強獣だ。ドラムロの強化型オーラバトラー『ガドラム』の装甲に使われている。
これを狩りにきたのはガドラムを造ろうというわけではなく、オーラバトラー用の武器の素材としてだ。
聖戦士伝説には出てこないが『ガーゴイル』という『ビアレス』の強化型オーラバトラーもあって、こいつは強力なんだけど量産されなかった。その理由の1つがグラバス素材を使ったトマホークだ。研磨に時間がかかり過ぎるらしい。
強い武器が欲しくなった時にグラバスの武器を手に入れようとしても間に合いそうにないので、今のうちに製作に着手しようというわけなのだ。
「たしかにグラバスは美味と聞きやすが」
やっぱりカニなんだろうか?
華琳ちゃんや秋蘭がいたら美味しく料理してくれただろうに……。
強獣狩りなんて季衣ちゃんも喜んで参加したがりそうなのにな。
某狩猟ゲームのBGMが脳内で流れていたグラバスとの戦いはさすがに硬い外殻相手に難儀した。
刃物ではなく、質量兵器で内部にダメージを与える方が楽だったか。でっかいハンマーやメイスを持ってくるべきだった。
「メイスプライヤーを造ってもらうべきか?
「なんですか、それ?」
オーラバトラーは通信機が内蔵されているので、Pドラグーンの時のように大声を出す必要がないのは助かるな。
フィナも飛竜のそばで飛ぶよりオーラバトラーのコクピット内の方が楽そうだ。
当然のように一緒にアルダムに乗ってるフィナだけど、スパロボみたいに精神コマンドはない。オーラ力はプラスされてるかもしれないけどさ。
それでもオーラ力の監視などのサポートをしてくれている。他のフェラリオのようにあまり煩くないのもありがたい。
「重い武器だと機動性が損なわれるか。難しいとこだね」
「このグラバスで武器を造るんですよね?」
「ああ。かなりでっかいのも獲れたから、そいつの鋏で剣や大鎌を造っておこう」
華琳ちゃんたちがもし召喚されてしまっても渡すことができるように、ね。
春蘭の剣はいいとして、秋蘭の弓や季衣ちゃんの鉄球のオーラバトラー用のをどうするかが問題だけどさ。
……桂花になにも用意しないのもマズイな。なにか考えないと。
◇ ◇ ◇
狩りのあとの帰りはちょっと面倒だ。
早くオーラシップを用意しないと。オーラバトラーや飛竜で強獣を文字どおりに持ち帰らなければならないんだよ。
途中で落としたらスプーンで変身しようとするかもしれないぜ。
あれってカレーじゃなくてハヤシライスらしいけどな。
どっちでもいいから食べたい。やっぱり地上に出るルートを選ぶか?
でも全滅エンドは嫌なんだよなあ……。
んん?
関羽が召喚されたってことは、もしかしたらこの世界の地上界はまさかの恋姫世界ってこともありえるのか?
ショットとゼットもいるらしいからなんとも言えないけど、その2人がいないとオーラマシンの開発が進まないからというゲーム世界の強制力っぽいのと仮定すれば……。
あ、でも召喚された関羽がフランチェスカの生徒な関羽の可能性もあるのか。早く会って確認したい。
焦れながらもトルール城に帰投。
すぐにグラバス素材を職人に預けて、やはり加工するには研磨に時間がかかるのを確認。
「円盤や筒状の砥石を高速で回転させて研磨するわけですか。地上界には便利な機械があるのですね」
仕組みを解説してオーラバトラーサイズのグラインダーの製作をボウに依頼した。ついでに旋盤やフライス盤等の俺の知っている工作機械も説明しておく。これで少しは完成が早まるだろう。
もしかしたらオーラチェーンソーやオーラドリルができるかもしれない。
「お帰りなさいませ、コーイチ王」
「ああ。留守中、なにかあったか?」
最近は俺が城を離れる時は、レベルが
「ドレイクからの使者が参りました」
「見せたいものがあるからラース・ワウにきてくれとのことでしたぞ。是非とも国王の目で直に見て欲しいと」
「こりないやつらですぜ。まだ王の命を狙ってるんですかい」
「いや、そうじゃないだろう。俺の知ってる物語にもある流れだ。たぶんオーラシップを見せてくれるんじゃないかな?」
オーラシップを、自分の強大な戦力を見せつけて協力したほうがいいよと半ば脅すのだ。
バイストン・ウェルの人間には有効な手段だろう。
俺は知ってるから意味ないけどさ。
「オーラシップ。空を飛ぶ戦艦、でしたな?」
「ああ。設計技術をリに譲渡しようかという誘いもあるはずだから、もしかしたらそれをこの間の詫びにするつもりかもしれないな」
「なるほど。バーンも我らの戦力にビビッていやしたし、懐柔しようとしてもおかしくはない、か」
見せられると思うオーラシップ『ナムワン』は戦艦というには武装も少なく、輸送艦レベルなんだけど、さっきのように強獣素材を運ぶには便利だろう。
「それにそろそろドレイクに会っておくのも悪くないかもしれない。地上人も紹介されるはずだ」
場合によってはそのままお持ち帰りに……サーラが脱出の準備をしてるからその必要はないか。
「護衛として騎団本隊を連れて行く。ラース・ワウを直接目にしておこう。マスタードラウゲン」
「うむ。留守は任されよ」
たしかビアンの町にガッターが多数侵入してくるフリーシナリオが発生するんだけどこれはマスタードラウゲンの
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