ゼット・ライトはアニメ及び聖戦士伝説とあまり違いはなさそうだった。
わりとのん気なことを言っているけど、このままだとショットに功績を全部持っていかれてしまって、それを愚痴ることになるぞ。
で、肝心の相手の方なのだが。
「関羽?」
「い、いかにも。関雲長です!」
しかもなにか様子が微妙?
聖戦士伝説のここでのマーベルはそうだったとはいえ、ラース・ワウからの脱走が近いからってあの関羽がこんなに緊張するとは思えないんだが。
「俺は天井皇一。今はこっち風にコーイチ・アマイって名乗ることにしてる。君たちよりも先にバイストン・ウェルに落っこちちゃってさ、隣の国のリでなぜか王様をやっている」
関羽の場合はウ・カンか。いかにもダンバインぽい名前になるな。もしくはゾイドジェネシス?
ってそんなに睨まないでください。
「関羽には新しいオーラバトラーのテストパイロットをやってもらっています」
なぜか緊張で無口になっている関羽に代わりショットが紹介を続ける。ゼットのことがないのは自分が開発者だって売り込みか。こんな感じでゼットが手柄を総取りされ、まるでダメなオーラマシンの開発者になるのかな。
「新しいオーラバトラーってこのサーバインじゃないのか? ちょっと疲れたがすごい力を感じた。大したものだな」
「開発中ゆえ、詳しくはお伝えできないのが残念です」
ふむ。聖戦士伝説だとゲドを上回ると自負していたけど、今造っているはずのダンバインじゃサーバインに劣るんだよなあ。だから言えないか。
というかなんでか知らんが聖戦士伝説のダンバインって弱いんだよね。アニメ準拠ならもっともっと強くないとおかしいのにさ。
「ふむ。楽しみな話だがそろそろお暇する時間のようだ」
「そうですか、では……」
ここでゲームと同じく関羽が俺たちを城門まで送ると言ってきてくれた。
うん。全然話ができてないからもう少し話したいもんな。
召喚される前の大陸がどんな状況だったのかとか。
「問題はサーバインをどうやって運ぶかだが……どうだろう、ドレイク殿がナムワンの技術提供を申し出てくれている。ここでも売っているようだし、買っていっても構わぬか?」
「少しお待ちを……」
ショットが伝令を走らせて待っている間に関羽と話す。
「……コーイチ王、劉玄徳殿のことをご存知ないだろうか?」
「劉玄徳って劉備? ごめん、名前ぐらいしか知らないよ。大事な人なのかい?」
「ええ……」
そうか。この関羽は俺の知ってる、一刀君と結婚した関羽ではない。
真・恋姫か、それ以降の恋姫世界から召喚された関羽なのだろう。
あっ、ショットのとこにさっきの兵が走ってきた。
「お待たせいたしました。どうぞ、お買い上げくださいますようにとドレイク殿からです。価格も通常よりもお安くするようにと命を受けております」
「通常? まるで他にも卸しているような言い方だな。当然か。これほどのオーラマシンだ。各国も欲しがるか」
「……さすがは賢王の後を継いだ王、ですな」
いや、知ってるだけだってば。
事前にオウエンに相談していた額――俺の覚えていた聖戦士伝説でのナムワンの価格――の半額でナムワンを購入する。これも『かね×2』の効果だろうか?
サーバインを搬入してもらって俺たちは帰路につく。
関羽の見送りは城門ではなく、ナムワンのドックまでとなった。
「ここまでかな? このまま行くと関羽までお持ち帰りすることになる」
「そ、そうですね」
あれ、関羽落ち込んでるな。劉備のことが聞けなかったのがショックなのか? リに来たくなくなったら困るぞ。
でもこれ以上関羽と接触しているとドレイクに疑われるかもしれないし……フィナに伝言を頼むか。
ナムワン級にアルダムを収納させている間に、フィナが関羽のそばまで飛んで行き耳元でメッセージを聞かせると、再び関羽は真っ赤になってゆっくりとナムワンのブリッジを向いてから頷いてくれた。
これで大丈夫だろう。
あとは慣れないナムワン級を飛ばして無事に帰るだけだ。艦長はいずれ巨大戦艦の艦長になるんだからとザンにやらせてみる。
「関羽なら脱走程度でそんなに緊張しないと思ったけどなあ」
「あの人が真っ赤になっていたのはコーイチさんのお顔のせいですよぉ……」
「え……げっ! ナラシ!」
「はっ」
そういや眼鏡外したままだった。サーバイン入手に浮かれてすっかり忘れていたよ。預けていたナラシから慌てて眼鏡を回収し、装着する。
「別れ際に「待っている」なんて伝言を貰っちゃ、きっと勘違いしてますよぅ」
「HAHAHA。それはないさ」
いくら一刀君と結婚してない関羽だからってそんなことはないよ。
……たぶん。
「コーイチ王の素顔が知れ渡ったら国中から縁談が舞い込みやすぜ」
「ザン、俺が結婚してるって知ってるだろ。オウエンにもそういうのは断るように頼んでいる」
俺に縁談持ち込むくらいならゴードに、いやマスタードラウゲンに嫁を見繕ってやれってさ。
トルール城に帰投後、機械の館に直行しサーバインとナムワンを徹底的に調査させる。爆弾や盗聴器の類が仕掛けられてないかも含めて。
そして解析が終わったらサーバインの操縦席を普通の物にできないか改装の計画を立ててもらう。このままだともしも華琳ちゃんを運ぶことになった時に膝上に座らせることができないからね。
でも実際に改装するのはダンバイン入手後になるのかな。参考になる操縦席が必要だ。
◇ ◇
数日後。タペヤラ――白亜紀の翼竜の一種――という艦名にしたナムワン級の慣熟飛行のついでの強獣狩りから帰ると、サーラも戻っていた。
関羽を連れて!
スゴイ。完全に聖戦士伝説とは違う展開である。
「……あの、コーイチ王は?」
「俺だけど? ……ああ、そうか。オウエン、人払いを」
謁見の間で会ったのがまずかったな。余計な目撃者が出ないようにしてから、眼鏡を取る。
「コーイチ王御本人でしたか。一瞬、影武者かと」
眼鏡してても見分けをつけてくれ。
無理か。嫁さんたちだってわかってくれたの華琳ちゃんだけだったもんな。
「なんとまあ、ラース・ワウで噂になっていた魔性の美を持つ聖戦士ってのがホントだったとはね」
「なにそのイタイの。やめてくれサーラ。俺はただの地味なおっさ……男だよ」
おっさんって言うには若返っちゃったもんなあ。
身体は青年、頭脳はおっさん、なのさ。
「よく来てくれた関羽。歓迎するよ」
「は、はい。……地上へ戻る手立てを探っているというのは本当なのでしょうか?」
サーラはそれを餌に関羽をスカウトしたのか。
ドレイクのとこやギブン家の密偵だと望み薄って感じだったんだろうな。
「本当だ。俺も帰りたい。だが、簡単には帰れそうにない。それまで俺は聖戦士としての務めを果たそうと考えている。関羽も民のために力を貸してくれないか。当面はリのためということになるけど」
「それは無論です。あなたを主としましょう、ご主人様」
「えっ?」
「お嫌、なのですか?」
「う、ううん。ちょっと驚いただけだ。よろしく頼むよ、関羽」
まさか俺が関羽にご主人様と呼ばれることとなろうとは。一刀君と結婚した関羽と違うとはわかっているとはいえ、微妙な感じだ。
この関羽はまだ一刀君とは会ってないんだろうか?
真や革命世界の関羽だったら一刀君が別勢力というのもありえるが……魏には行ってなさそうなので俺の嫁たちは手を出される心配はない。そう信じるしかない。
「私のことは愛紗とお呼びください」
「それが君の真名だね。俺には真名がなくて教えることができないんだけどいいのかい?」
「構いませぬ」
真名まで貰っちゃったよ。華琳ちゃんは褒めてくれるだろうか?
それとも少しは妬いてくれるだろうか?
「真名ってなんですか?」
「家族や親しい者以外は知っていても呼んじゃいけない神聖な名前、であってるかな、愛紗」
「はい、そのとおりです」
フィナを見る愛紗の目が輝いている。可愛いものと認識されたみたいだ。
フェラリオを妖怪変化って恐れることはなさそうで、ちょっとほっとした。
「愛紗。がんばって一緒に地上に帰ろう」
「はい、ご主人様!」
……心友の一刀君はどうしているかな?
君の愛紗じゃないから、「ご主人様」って呼ばれても俺のこと、嫌いになったりしないよね?
さて、無事に愛紗を仲間にできたわけだがこれからが問題だ。
なぜならこの次にくる選択はとても重要なもの。
ここの選択でロウルートかカオスルートかが決まってしまうほどのものなのだ。
もちろん上書きしないスロットにセーブはしておくが、どっちを選ぶか正直な話、まだ悩んでいたりする。
愛紗を仲間に入れた以上、ロウルートの方がいいかな?
じゃないと愛紗がゼラーナに行きそうかもしれない。
だけど、華琳ちゃんだったらカオスルートで覇王になるのを目指すだろうなあ。
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