ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない 作:カツヲ武士
オリ設定
オリ展開
嫌いな人は読み飛ばし
うーん。この人達って、ずっと気を張ってて
疲れないんですかね?
50階層から撤退して来ること3日。
敵は最速で殲滅してようやく18階層に
着いてリリが最初に思った事がコレです。
いや、確かに謎の視線については
わかりませんでしたが、実際に一番
ヤバイ時に手を出してこなかった
時点で手を出す気が無いことはわかると
思うんですが・・・まぁお客さんの
リリが居たから気を抜けないって
言うのもあったかもしれませんけど、
アレは気負いすぎだと思うんですよね。
剣姫さんと狼さんがなんかリリを
意識してましたけど、アナタ方では
返り討ちですよ?
勇者さんが気を使いすぎで倒れそう
でしたし、とりあえず今夜くらいは
気を使わなくても良いように
リリはちゃんとした宿を取りましたが、
ちゃんと休んでくれますかね?
明日合流するまでには皆さん少しは
回復してて欲しいモノです。
――――――――――――――――――――
「いやーリリルカさんには気を使わせ
ちゃったよね?」
「そうよねぇ。わざわざ高いお金を
払って宿を取るくらいだもの」
「だよねー」
まったく。アイズとベートが無駄に
リリルカさんを意識するから、フィンも
無礼なことをしないようにって
神経を尖らせるし、三人がそんな
感じだから他のみんなもピリピリしてさ、
もう疲れたよー。
アレじゃあリリルカさんだって
気疲れするよね。
「けど、実際さ。アイズがリリルカさんを
気にしたところで意味ないよね?」
「そうね。リリルカにはリリルカの
戦いかたがある。アイズが技術的に
未熟なのは確かだけど、リリルカの
真似は出来ないわ」
武器が違うし、スキルも違う。
種族だって違うから参考にしようと
すれば、逆に悪くなるって話だよね。
「んー。農家さんはなんでアイズに
剣術を教えてあげないのかな?」
私たちには色々教えてくれるのに。
「先生の考えはわからないけど、
あの人にはあの人の明確なルールが
あるわ。おそらくそのルールに抵触
したんじゃないかしら?」
「あぁ、独特のこだわりがある人だからね」
悪気があろうと無かろうと、
知らないうちに相手を傷つけてる
時だって有るからねー。
いや、初対面の時に自分を探ったから
とか言われたらどうしようも無いけどさ。
「とりあえず私たちだって疲れてるんだから、
今日はさっさと寝ましょ?
明日には地上に戻って、一日休んでから
今回のドロップアイテムとかの換金よ。
アイズには打ち上げの時にでもやんわり
と教えて上げれば良いじゃない」
「それもそうだね。拠点に帰るまでが
探索って農家さんも言ってたし」
あの人のお陰でティオネもフィンの
ところに夜這いとか行かなくなったし。
コレでフィンもゆっくり休めるから
万々歳だよね!
―――――――――――――――――――
「ようやく18階、か」
帰りにここまで気を使ったのは
随分久しぶりな気がするよ。
今までならラウルの練習を兼ねて
彼らにやらせてたけど、流石に
今回みたいなイレギュラーに対しては
僕が指揮を取らなきゃ不味いからね。
「いつもより疲弊しとるの。
気持ちはわからんでもないが、な」
「ガレスもお疲れさま」
正直あの視線の主の意図がわからないから
ずっと気を抜けなかったし、アイズと
ベートがリリルカさんにちょっかい
出さないかとか警戒してたけど・・・
ガレスはガレスで低レベルの団員を
抱えて先頭を進んで罠や敵襲を
警戒していただろうからかなり疲れたはず。
「いや、儂はそれほどでも無かったの」
「へぇ?随分余裕じゃないか」
何も無かったのは事実だけど、
ずっと気を張り詰めてたらすぐに
バテると思うけど?
「リリルカが警戒しとったからの」
「休ませてあげなよ?!」
いや、何してんの?働かせすぎだって
わかってたよね?!
「リリルカからの申し出じゃよ。
おそらく儂らを信用しとらんのじゃろうな」
「・・・あぁ、なるほど」
アイズとベートがあんな調子だし
組織的にもグダグダなところを
見せ続けたからなぁ。
そりゃ自分で警戒したほうが気も
楽だろうさ。
「仕事は丁寧で無駄がない。
罠やモンスターの発見も早いし
その対処も完璧じゃ。
儂らは後ろや意図してないところからの
強襲に備えて欲しいと言われたら断れん」
「・・・そうだね」
先頭集団で、謎の視線の主に即座に対処
出来るのはガレスとリリルカさんだけ
だったから役割分担としてはそうなるか。
僕たちは僕たちで後ろから来る敵を
警戒する必要があったし、リヴェリアは
真ん中で全体の纏め役だ。
それにリヴェリアはアイズが50階層の
デカブツを倒したことで、その前の
ことをうやむやにしようとしてるけど
それとコレとは話が違う。
これからも深層に潜るには、団員の
教育と組織の引き締めが必要だ。
とは言え僕にはそのノウハウがない。
今から急に厳しくしても、ただの
自己満足で終わる可能性が高い。
ん~とりあえず教育に関する知識を
つける必要があるね。
僕の目的を達成するには後進も
鍛えなきゃいけないんだし。
あとは・・・リヴェリアとアイズを
抜いてダンジョン探索をすることも考える
必要があるな。
みんなリヴェリアの魔法に頼りすぎだし、
アイツ自身にも
「魔法があればなんとかなる」って
油断と慢心があるのはわかった。
アイズにだって罰を与えないと
示しがつかない。
ダンジョン出入り禁止はアイズに
とっての罰になるのは団員全員が
知ってるしね。
「しかし、今回の遠征で痛感したが、
やはり儂らは教育者には向かんの」
「……そうだね」
僕達が長年鍛えてきたアイズやベートより、
彼が短時間鍛えただけのティオネとティオナ
の方が冒険者として優れてるのは誰だって
わかることだ。
技術や力がどうこうじゃない。
冒険者としての在り方が違う。
元々名声目当ての僕と、王族としての
責任を放り投げたリヴェリア。
豪快だが根が単純なガレス。
誰も彼も教育者には向かないだろう。
基本的に探索系のファミリアは力を重視
するから、どんなに頭が良くて素晴らしい
理論をもつ人の言うことでも、本人に
力が無ければ理屈倒れで終わってしまう。
他人に何かを言う前に自分を鍛えろって
話だね。
実際伸び悩んでいたアイズにはそんな
感じで近寄ってきた連中も居たし。
彼のように自分をしっかり鍛えた上で
他人に教えを授けることが出来る人間
なんて、居ないんじゃないかな?
それを考えたら、初対面で、
いやその前に無礼を働いて
印象を悪くしたのは痛かった。
くそっ!ロキとリヴェリアのアホめっ!
いくらアイズが心配だからって隠れて
素行調査って何様だよ!
あっちから来たならまだしも、こっちが
弟子になりたいなら通すべき筋と礼儀が
有るだろう?
そんなこともわからないから王族扱い
なんだよっ!
かといって今更謝罪するのも違うし。
同じ小人族で槍と棒の違いはあるけど、
同じ長物を使うリリルカさんをあそこまで
育て上げたんだ。
もちろんリリルカさんの素質も
有るだろうけど、あの戦いかたは
彼が教えたからこそのモノ。
武の世界では無駄の無い動きには美が宿ると
言われるけど、アレがそうだ。
・・・僕も鍛えて欲しいなぁ。
「何を考えとるのかはわかるが、お主は
ロキファミリアの団長じゃ。
他所のファミリアの人間に教えを
受けるのは外聞が悪すぎるぞ」
「くっ!」
そうなんだよ。彼がどうこうじゃなくて
僕の立場が邪魔をするっ!
このままだとラウルを団長にして
僕が自由になるまで何年かかる?
そのときの僕に力はあるのか?
・・・リリルカさんが居れば小人族の
誇りと自立については心配は要らない
だろう。
あとは僕自身の幸せを求めて動いても
良いはずだ!」
「心の声が漏れとるが、まぁお前が
自分の幸せを求めるのは間違って
おらんよ。
だが、リリルカへの求婚は暫くやめい」
「なんだって?!」
それをやめるなんてとんでもない
「あくまで暫く、じゃ。今回は流石に
迷惑をかけすぎじゃよ」
くっ、確かに!
「まったく、報酬をどうするか頭が痛いわい」
・・・そう言えば報酬の件もあったね。
ドロップアイテムや採取品で
とりあえずの収支は黒字だけど、
コレから深層に潜るためには
どうしても不壊属性の武器が必要になる。
幹部の分だけ作るにしても相当な予算だ。
出来るだけ支出は押さえたいけど
リリルカさんへの報酬はきちんと
払わないと駄目だ。
僕だけじゃなくロキファミリア全体の
恥になるからね。
「ちなみにリリルカさんは報酬について
何か言ってたかい?君のことだから
さりげなく聞いてるんだろ?」
豪快だけど意外とこういうところは
抜け目無いからね。
「・・・掛かった経費だけで良いそうじゃ」
「無欲なのか、それとも僕たちと関わりたく
ないのか・・・」
まぁ、両方だろうなぁ。
「おそらくは両方じゃろうな。
そもそもソーマファミリアは生産系。
儂らに素材を依頼することはあっても
同行する必要なぞ無いんじゃ」
「まったくもってその通り。
しかも今回はファミリア関係なしに
彼女個人での参加だからね」
彼女にしてみたらそっとしておいて
くれって感じだろう。
「・・・何でリリルカを同行させた?
命懸けのダンジョン探索で
お主が公私混同するとは思えんが」
「・・・理由の一つは、ギルドからの依頼だよ」
ガレスには知っておいてもらおうか。
「ギルドから?リリルカを名指しでか?」
「そうだ。名目上は、こんなに早くレベル五に
なったことに対する不正の調査だ」
「ふむ。実際リリルカを知らなければ
そう言った声が出るのもわからんではない」
彼とリリルカさんが不正なんかする必要が
ないが、そういう声があったのも事実だ。
「これに関しては、彼女の技術と冒険者と
しての立ち振舞いを見れば水増しや
不正は無いことは一目でわかる」
「そうじゃな。アレはきちんとした理論の
元に効率的に無駄なく鍛えられた一振りの
刀剣よ。不正や水増しでなんとか出来る
モノではないわい」
まさしくその通りだ。
無駄がないからレベルアップも早いし
立ち振舞いにも隙がない。
かと言って余裕や遊びが無いわけでも無い。
リリルカさんはアイズと違ってしっかり
人生を楽しんでいる。
「それで、他には?」
「ギルドが何かを企んでいて、彼女と
ソーマファミリアを巻き込もうとしている
みたいだね」
あわよくば彼も。けどそれは彼の怒りを
買うことになると思うんだけど。
連中、その辺には気付いてるかな?
「企み・・・のぉ」
「内容はわからないけど、その辺は神が絡んで
いるからね。ロキに任せるしかないよ」
アレはそういうのには強いからさ。
「ギルド関係なら仕方あるまいよ。
あとはお主にとっても悪い話では
無かったのとアイズやベートの
意識改革が目的か?」
「そうだね。僕個人もリリルカさんと接点が
欲しかったのも事実だ。そしてあの技を
見れたのは正直予想以上の収穫だった」
流水。とでも言うのか。
相手の流れを自分の流れに巻き込んで
コントロールする技術。
あれだけの数を相手に余裕をもって
行えるのであれば、彼女の技量は
僕を遥かに凌いでいる。
「ティオネとティオナが言うには、
習っとる呼吸をある程度修めれば
出来るようになる、と言われたとか?」
「らしいね」
僕も出来なくはないが、あくまで一対一や
技術的に差がある相手にだけだ。
戦場で周囲の全てを把握して、場を
コントロールするなんてことは不可能。
「あれじゃ、マトモな呼吸法を知らない
アイズやベートが、ティオネ達に勝てない
のも当たり前だ。
技術の根幹からして違うんだからね」
アレを知れば僕は更に上に行ける!
強くなる切っ掛けが目の前に有るのに
掴めないのがもどかしいっ!
ソレもコレも
「リヴェリアのせいだ」
「・・・まぁ、間違ってはおらんな」
―――――――――――――――――
「アレン、重要なのは呼吸だ。
ただ茶葉を入れるのではない。
適温を維持しつつ、お湯の流れを見切り、
茶葉を傷めないようにすることで
味に深みと丸みが出るんだ」
「くっ!深いっ!」
「フレイヤクラスの神の味覚は
この丸みにも気付く。
他の奴等がお前の真似をして淹れても、
フレイヤならば味の違いを理解するだろう」
「た、確かにあの方の味覚ならそうだっ!」
いやほんと。明確に差が出るからな、
つーかアイツら基本的にガサツだから
適当な味しか出せんだろ?
ワインとかも正しい淹れ方が
あるんじゃなかったか?
「お前は猫舌が幸いして舌が繊細だ。
この味の違いを理解してフレイヤに
着いていけるのは眷族の中ではお前だけ
だろうな」
熱いものとか辛いものは味雷を刺激して
鍛えてくれるが、やり過ぎるとマヒに
近い感じになるからな。
「?!・・・師匠、俺はやるぞ!
何がなんでもこの茶の淹れ方を
修めて見せるっ!」
「うん、良い覚悟だ」
根がくそ真面目だし、フレイヤが関わると
面白いくらい集中的とやる気が増す。
ついでにちゃんと呼吸も教えておこう。
猫人は初めてだからこの機会に
きちんと見ないと・・・男だけど。
なにせアイツが男になる可能性だって
あるからなぁ。
そもそも俺が知るアイツって男だし?
なんにせよ俺にも得がある以上手は抜かん。
しっかり茶と呼吸の基礎を修めてもらおう。
いろんな意味でオッタルを焦らせてくれよ?
王族さんはなぁ。
勇者と重傑の、二人だからこそ
口調です。
アレン強化フラグ?
妹さん、可愛いですよねってお話。