ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない   作:カツヲ武士

22 / 127
地上に戻ったロキファミリア。
苦労人フィンの胃はどうなる?
白兎は?!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


第22話

「ふ、ふふふ」

 

『ガレス、フィンが泣きながら書類書いとるぞ』

 

「・・・まぁ、そっとしてやってくれ」

 

いや、事情は聞いとる。

犠牲者がおらんかったのが奇跡や。

・・・いや奇跡ちゃうな、ラウルの判断が

良かったんや。

いくらミノタウロスが逃げたのが

予想外とは言え、ウチらが怪物進呈

なんかしたら洒落にもならんよ。

 

しかも5階にまで行ったミノタウロスが

おったって。

ベートはニマニマしとったけど

笑い事ちゃうで。

下級冒険者なら絶対死ぬやん。

 

そんでもってリリルカには散々

醜態をさらした挙げ句、打ち上げ

云々には呼ぶなって釘刺されたんやろ?

 

ラウルの成長は嬉しいが

ソレ以外が全滅って。

 

しかもアイズたんやベートの報告と

ティオネやティオナの報告に差が

有りすぎる。

 

リヴェリアはアイズたんやベートに近くて

ガレスはティオネやティオナに近い。

ラウルやその他は深く関わってないので

わからん。

 

迷惑をかけたのはわかるが、一体

どこまで補填すべきなんやろな?

下手なことしたら普通に酒を止められるで。

 

『なぁ、ガレス。リリルカからは

報酬は経費でえぇ言われたらしいけど、

この場合の経費って何なん?』

 

色を付けるにしても適正価格を知らんとな

 

「まず、レベル5の冒険者・・・本人は杜氏と

言っとるが、ソレを半月雇う分の人件費だな」

 

『杜氏って』

 

いや、まぁソーマファミリアやからな。

とりあえずソレはギルドからの依頼やった

からアッチに請求出来るか。

 

「それに装備品のメンテナンス料金」

 

うん、普通に必要経費やな。

不壊属性でもメンテナンスは重要。

 

『せやけど、リリルカの装備はヤツが

作ったんやろ?

メンテナンス料金っていくらが妥当なん?』

 

アイツの鍛治能力ってどのくらいなんやろ?

 

「リリルカも良くわからんらしい。

とりあえず第一級武装のメンテナンス

料金を用意する予定じゃ」

 

ティオネやティオナが言うには尋常やない

くらいの高級品らしいけど、そんなんで

ええんかな?

もし足りなくてもギルドに請求したるから

ウチらの持ち出しにはならんからええけど。

 

それでも一応装備についてはファイたんに

聞きに行こか。

なんでも不壊属性の武器の大量発注が

必要らしいし。

 

『ま、それもえぇ。あとは?』

 

他に経費として浮かぶのは消耗品とか

しかないけど、なんかあるやろ?

 

例えば迷惑料とか。

 

何だかんだで働かせたのは事実やし。

 

「いや、それだけで良いそうだ」

 

『はぁ?!』

 

なんやて?!普通に考えたらもっと

あるやろ?ドロップアイテムを何割とか

換金したぶんを何割とか?!

 

『・・・もしかしてウチらに貸し作って

なんかさせる気か?』

 

いくらフィンが惚れてて、探索で世話に

なって、ソーマファミリアからお土産の

神酒セット貰ったから言うてもなぁ!

 

・・・あかんやん。断れる気がせぇへん。

 

「疑うのも無理はないがな。

リリルカが言うには

『深層が見れましたし、なかなか貴重な

アイテムも見つけましたから私としては

問題ありません』だと」

 

『中々貴重なアイテム?なんかあったん?』

 

何かを見つけて、優先的に渡したとか?

 

「いや、普通に深層で採取出来るアイテムだ。

それもリリルカが自分で見つけて入手した

モノだから、こちらが譲渡した訳ではない」

 

『・・・』

 

そりゃ、普段深層に潜らんヤツにしてみたら

貴重品なんやろうけど、ソレって完全に

ウチらには何も求めとらんよな。

 

「ティオネは『謝罪とかお詫びは要りません。

そっとしておいて下さい』と言われたらしい」

 

『どんだけ失望されてんねや』

 

つっても、行きも帰りもやらかして、

迷惑かけっぱなしの醜態を晒しまくりや

からな。印象が良くなる理由は無いけど。

 

「で、なぜかギルドの床が血塗れだったのが

我々のせいだったと判明したため掃除を

してきて、今は打ち上げの前に反省会を

するかどうか悩みつつ、ラウルたちに換金

やら何やらをさせてる間に収支の確認と

怪物進呈に対しての顛末書の作成中じゃな」

 

『そりゃ・・・泣くしかあらへんなぁ』

 

このままなら反省会も打ち上げも絶対に

荒れるし、現実逃避をしようにも目の前の

書類が許さへん。

 

問題をおこしたものの死者や重傷者がおらん

かったし、その後の対応も悪くなかったから

罰金とか始末書やなくて顛末書なんやな。

コレを書いて提出しないことには

反省しとらんって周りから思われる。

 

・・・なんでミノタウロスが逃げたか

わからんから書きようが無いやろうけど、

その辺はなんとかするんやろなぁ。

 

そんでそのあとに反省会を先にしたら

打ち上げが微妙になるわな。

 

幹部にしてみたら問題だらけやけど、

普通に着いていった連中にしてみたら

全員無事に生還しとるし、収支も黒字。

 

最後の怪物進呈も連中の中ではしっかり対処

できたから楽しく飲みたいだろうし、

残ってた連中だって話を聞きたいやろ。

 

それを考えたら打ち上げが先なんやけど、

フィンやガレスはうやむやにしない為にも

反省会が必要やと思っとるわけか。

 

けど幹部が沈んどったら他の団員も

楽しくは飲めんよな。

フィンの気分を切り替える特効薬からは

呼ぶなって言われとる。

幹部無しで行かせるか?・・・厳しいな。

 

「あの、団長?」

 

『ティオネ?女連中は風呂に行ってたと

思っとったけど、なんかあったん?』

 

今は求婚とかやめたげて!

 

「いや、軽く汚れを落としてからナァーザの

店に行って来たんです」

 

ナァーザ?確かミアハんとこの団長やったか

 

「回復効果のあるお茶の新作です。

色はアレなんですけど、飲めば体の中から

疲れと胃を治してくれるとか」

 

噂の最強の胃薬か?!

 

「ティオネ・・・ありがとう。

ありがたく頂くよ」

 

めっちゃ儚い笑顔しとる?!

 

「はいっ!(よっしゃぁ!

弱ったらあえて攻めずに癒せ。

そうすることで弱さを見せてくれる

ようになる!そうですよね先生っ!)」

 

『ティオネが普通に気遣いしとるし』

 

「それくらい酷かったんじゃよ・・・」

 

「セットでお菓子もあるし、淹れ方も

教わってきたからロキやガレスもどう?

そんなに甘くないらしいし、流石に団長も

一人で飲み食いはアレでしょうからね」

 

『嘘の欠片もないホンマの気遣いやな』

 

「フィンへの気遣いのついでじゃがな。

ありがたく頂こうか。

フィン、お前も少し休め」

 

「・・・そうだね。ティオネ、頼めるかい?」

 

「はいっ!(周りの人間を巻き込めば

自然と団長のハードルも下がるっ!

そして巻き込むなら同性かつ年長の

ガレスが狙い目っ!完璧よ、完璧紳士よ!

流石は先生っ!ナァーザの店に居てくれて

ありがとうございますっ!)」

 

『報われた女の笑顔しとるわー』

 

もちろん下心はあるやろうけど、普段なら

フィンにしかやらんことを

ウチらにも用意するなんて相当やぞ・・・

やっぱり気遣いの方が大きいみたいやな。

 

 

 

まったく、どんだけ醜態を晒したんや。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「なんと言いますか。台風みたいな

感じでしたね」

 

いきなり店に来て『胃薬を!違うっお茶を

頂戴!ありったけっ!』だからなぁ。

 

「あれも恋する乙女だからな。シカタナイネ」

 

うん、まぁ女としては共感は出来るけど。

それよりもそろそろロキファミリアが

遠征から帰ってくるだろうからって

新作のお茶とお菓子を持ってきた

先生の慧眼が凄いよね。

普通なら遠征から帰ってきても

お茶を買いに来ることなんてないわよ?

 

「けど、良かったんですか?

弱った男を落とす方法とか教えて」

 

人によっては不快になる場合とかも

あるわよね?

そうなったら恨まれるんじゃないの?

 

「今回教えたのは、別にフィンが損をする

類いのモノじゃないからな。

アレが酒なら下心を疑って警戒するだろうが、

薬にもなる茶と付け合わせのお菓子だぞ?

それに、気遣いは本心からのモノだ。

本心から気遣われて悪い気がする男は

居ないし、フィンはベートのように

粗暴でも無い。きちんと効果はあるさ」

 

なるほどなー。流石は先生。

ミアハ様は神だからわからんって言われて

るけど、それは言い換えたら無責任な事は

しないって事だもんね。

 

「とりあえずティオネが来たと言うことは、

リリルカも風呂と更新が終わったら

来るかもしれん。いつも通り装備品は

預かっておいてくれ」

 

「はい、了解です」

 

専用の金庫に入れないとナニかが

おこるらしいから。忘れずに入れないと!

 

「それと、もしナァーザの

都合が良ければ飯でも付き合って

やってくれんか?アイツのこと

だから愚痴も溜まってるだろうし」

 

「もちろんですよ!」

 

私にも溜まった愚痴があるからね。

 

「助かる。それでは、

この店の無料券をやろう」

 

「えっ?無料券ですかっ?!」

 

しかもこのお店ってフレイヤ様

お気に入りのお店じゃない?!

 

「色々あってな。予約無しで行っても

服もレンタルしてくれるし、その間に

個室を取れるから大丈夫だぞ」

 

「色々って・・・」

 

まぁ今更この人にそんなこと言っても

無意味よね。

個室なら愚痴も言えるし、

服もレンタルしてもらえるなら

何の問題も無い。それに無料だし!

 

こんな形で綺麗な服を着れて美味しい

ご飯を食べながら友達と愚痴を言い合える

場を提供してくれるなんて、流石は完璧紳士!

 

「ではありがたく・・・」

 

今日かな?明日かな?リリルカさんが

来なかったら誘いに行こうっ!

 

『貴様ぁ!そこでナニをしている?!

ポーションは売らんぞっ!さっさと帰れ!

と言うか直ぐにナァーザから離れろっ!』

 

「「・・・」」

 

「まぁ、頑張れ」

 

「・・・はい」

 

アレは俺にもどうしようもないって目を

しないで下さいよっ!

私にもアドバイス下さいっ!

 

 

―――――――――――――――――

 

 

・・・ふむ。

 

「ど、どうでしょう?」

 

『見事よ。流石に最初に飲んだ彼の

お茶には届かないけど、

この短期間で明らかに上達してるわ』

 

「はいっ!精進しますっ!」

 

(師匠っアンタすげぇよっ!)

 

まさかココまで味に違いが出るとは

思わなかったわ。

アレン以外には分かってないくらいの

繊細な違いだけど。だからこそ深い・・・

 

『それとアレン?』

 

「はっ!」

 

『なんと言えば良いかわからないんだけど、

少し雰囲気が変わったかしら?』

 

表現が難しいのだけど、自然な形?

 

「お、恐らく彼から教わった呼吸法が

影響を与えているモノと思われます!」

 

(すげぇよ!師匠が言った通り、フレイヤ様は

違いのわかる方だったっ!)

 

『呼吸法?』

 

何かしら?吸って吐く呼吸よね?

 

「はっ!武の世界において呼吸は基本にして

奥義です!己の呼吸を理解し、相手の呼吸を

理解することで、相手を崩すことも出来れば

自然と寄り添うことも出来ます!」

 

・・・なんとまぁ。

確かに夜の営みの際に相手の呼吸を

見て合わせることもあるけど、ソレを

ごく自然に行わせるのね?

だけどおかしいわ

 

『彼が武を教えてくれたの?』

 

ロキファミリアの剣姫だって教えて

貰ってないし、そもそも私たちには

そう言う教えを授ける理由がない。

むしろ以前オッタルが言ったように

断るのが妥当なはず。

 

「はっ!正確には呼吸は武にも使えると

言うだけで、全ての基本です。

茶を淹れるためにも必須の技能と

言う事でしたので修得するように

指示を受けました!」

 

『あぁ、なるほど』

 

それならわかるわ。そもそもお茶の淹れ方を

学んできなさいと命じたのは私ですものね。

私に美味しいお茶を飲ませるために自分の

指示に従えと言う形にすれば、私の眷族なら

絶対に指示には逆らわないもの。

 

お茶だけでなく、眷族にまで深さを加えて

くれるなんてね!

 

ふふふ、一杯食わされたけど、

これは心地良い敗北感ね。

どこまでもやってくれるわ!

 

『アレン、今日は付き合いなさい』

 

「はっ!」

 

(師匠ぉぉアリガトォォォ!!)

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「・・・」

 

コレはどう表現したら良いモノやら

 

「わ、私は美味しく無いですよ!」

 

レベルも上がり、とりあえず試し斬り

をするために双頭竜を探してたら

妙な動きをするモンスターが居たので、

追い込んで水揚げしたら喋る人魚とは。

 

そりゃ、まぁ、上半身が人の形をしてて

内臓もあるなら喋れるでしょうけど。

 

「あ、あの?!聞いてますか?」

 

喋れるなら、とりあえずアイサツですよね。

 

「こんにちわ。私はエイン、貴女に名前は

ありますか?」

 

「えっ?」

 

呆けてますね。アレでしょうか?

とりあえず「自分は美味しく無い」と

だけ喋れるとか?

西蒙にも居ましたね、コロサナイデ!

しか喋れない人たちが。

 

「言ってる言葉はわかりますか?

わかるなら頷く・・・頷くがわからないと

困りますね。

わかるならわかると言って下さい。

それ以外ならわからないと見なして捌きます」

 

「わかりますっ!わかりますから

捌かないで!」

 

ふむ、捌くの意味まで理解してますか。

 

師曰く、人と動物の違いは知性にある。

 

ならばこのナマモノは人として扱っても

大丈夫ですね。

 

「それで、名前はありますか?」

 

「ま、マリィです!」

 

名前まであると言うことは、名前をつける

存在がいるということ。

つまり同じように言葉を喋る仲間が居ますね。

 

「ではナマモノ、質問するから答えなさい。

あぁ、別に話せないことは話さなくて

良いですよ。そんな身の上してたら

色々あるでしょうし」

 

「ナマモノって……きゃっ?!

ナニ?今のナニ?!」

 

「あぁ、質問に対してはハイです。

喋れないこと、わからないことなら

そのまま喋れません、わかりませんで

結構。よろしいですね?」

 

「ハイッ!」

 

ふむ、気の代わりに魔力で代用しましたが

人魚にも効きますか。

いやはや、魔法は使えませんから魔力が

無いと思ってましたが、そもそも私達は

魔石に含まれる魔力を摂取してますからね。

魔力がないはずがありませんでした。

 

それにこのナマモノ。傷は瞬時に

回復しても痛みは有る。

痛覚があると言うことは神経があると

言うこと。ならば経絡もありますね。

 

ふふふ、コレだけでも収穫ですよ。

 

「・・・」

 

さてさて、久しぶりの話し相手です。

色々教えてもらいましょうかね。

 

「では最初の質問です」

 

「ハイッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女は魔石、食べますか?」

 

 

 

 




しっかりと各方面に
根回しをしていく先生の図。

リリルカを拠点には連れていけないので
ミアハのお店で連絡をとりあってるもよう

紳士諸君。残念ながらリリルカの装備は
きちんと洗濯した後で持ってきているぞ



なぞのおりきゃら、やっと登場ってお話。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告