ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない   作:カツヲ武士

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褐色女神様の愉悦は続く

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第34話

「・・・」

 

「なんじゃフィン?そんなところで

固まって。ナァーザから

試供品が届いたんじゃなかったか?」

 

「うん、試供品は届いたよ」

 

届いたんだが・・・

 

「ふむ、その箱か?中にお前のファンから

恋文でも入っておったのか?」

 

そんな事ならどれだけよかったか・・・

あぁ、一応確認して貰おうかな

 

「なぁガレス、これを見てくれ。

コイツをどう思う?」

 

僕の目がおかしいだけかもしれないしね

 

「うほっ!凄く・・・高そうじゃな」

 

「だよなぁ~」

 

いやいや、わかるよ?

試供品だし、何だかんだ言っても

僕はロキファミリアの団長だからね。

 

香炉一つ取ってもしっかりしたのを

使わなきゃって言うのはわかるんだ。

 

だけどね?僕は所詮冒険者なんだよ!

美術品とか持たせらせても使いづらいよ!

 

コレにお香を入れろ?マジかよ!

 

多少は頑丈に作ってるとは言ってたけど、

ナァーザの手が震えてたからな!

アミッドも見ないようにしてたし!

 

「・・・因みにいくらくらいするんじゃ?」

 

「第2等級武装に匹敵するらしい。

美術品としての付加価値無しで、な」

 

「「・・・」」

 

「・・・アイズやベートには見せるな。

リヴェリアやレフィーヤもだ。

ロキもヤバイかもしれん。

下手に騒がれて壊したら洒落にならんぞ」

 

そうだよなぁ。美術品は

弁償します!で済まないよなぁ。

 

「じゃが、考え方を変えれば、

これも良い機会ではないか?」

 

「・・・何が?」

 

そう思うならお前が使うか?

 

「お主が目指してるモノはただの猪

ではあるまい?小人族を引っ張るなら

力だけではなく、文化的なモノでも

立場を上げられるのではないか?」

 

「?!」

 

確かにそうだ!今までは力で劣るなら知恵と

勇気で勇名を上げようと思っていたけど、

美術品や文化財で築いた名声だって

立派な名声じゃないか!

 

むしろ個人の武に頼るよりも、誰でも

できる工夫によって芸術に昇華させる事が

できる分、小人族だって頑張りやすい!

これこそが知恵じゃないか!

 

もっと言えば個人で作るのではなく

小人族だけで工房を構えて作れば

その名声は小人族全体のモノになる?!

 

くそっ!何故気付かなかった!

ソーマファミリアで最高の酒を造るの

だって、究極的には同じことなのにっ!」

 

「また心の声が漏れとるぞ。

だがまぁそうじゃな。小人族の酒蔵で

造られた酒とか、小人族の工房で

造られた美術品とか、所謂ブランドを

作るのも再興と言えるじゃろうよ」

 

そうだよな。僕は焦りすぎていたのか。

 

この香炉は彼が造ったモノをイシュタル

ファミリアから借りたらしいけど、香炉とか

関係無しにただの置物としても秀逸過ぎる。

 

更に空焚き防止や火事防止の工夫までして

あるとか。この小さな香炉にどれだけの

技術を費やしているのか・・・

 

完璧紳士は美術品まで網羅してるんだな。

 

僕も勇者とか言われてるけど、彼から

見たらただの蛮族なんだろうなぁ。

 

あぁ、弟子入りしたい。

 

「ガレスが言いたいのは、今後はとりあえず

近くに美術品を置いて、美的センスも鍛える

ようにしろってことだよね?」

 

まぁ弟子入りするにしても最低限の

知識や品性は必要だよなぁ。

リリルカさんみたいに幼少の頃から

鍛えるのとは違うんだから。

今まで何してた?何が出来る?って聞かれて、

槍と書類仕事が出来ます!ってただの武装

事務員じゃないか。

 

「そうじゃな。偽物や贋作を見抜く為には

本物を知らねばならん、コレは武装だけの

話では無いと言うことじゃな」

 

確かにその通りだ。今まで考えもしなかった

事だが、今後は審美眼も養って行こう!

猪では小人族を率いる事なんか出来ないんだ!

 

「団長!」

「フィーン!」

 

「ティオネにティオナ?」

 

ダンジョンに潜って

無かったのか?

 

「おはようございます団長、ガレス」

「二人とも。おはようございます!」

 

「あぁ、おはよう」

 

「うむ、おはよう。それでどうした?

お主らはダンジョンで慣熟訓練中では

無かったか?」

 

うん、そうだよね。まだ二日くらいだけど

馴染んでる感じはしてるよね。

成果があるようで何より。

 

「はい、そうなんですが・・・」

 

「農家さんから提案?依頼?されたんだよ

ソレでちょっと判断がつかなかったから

フィンに聞きに来たの!」

 

うんうん。各自で考えて動くのと

暴走して越権行為するのは違うからね

 

「それで、彼に何を頼まれたんだい?」

 

「「実はですね・・・」」

 

 

―――――――――――――――――

 

「「深層ですか?」」

 

いきなり先生から依頼があるなんて

言うから、何かと思えばリリルカと

フレイヤファミリアのアレンと一緒に

深層へ行け?

 

「うーん。下層くらいなら問題無いん

ですけど、深層となると・・・」

 

「ですね。流石に団長の許可が

必要になります」

 

ベートとかアイズなら勝手に行きそう

だけど、流石に私たちまで団長を

苦しめる訳にはいかないわ

 

「モチロンわかってる。ただでさえ

面倒な依頼な上、フレイヤファミリアと

ロキファミリアは競合相手だしな」

 

そうなのよね。別に私は恨みとか

ある訳じゃ無いけど、今まで

お互いに襲撃とかしてたみたいだし。

 

「けど、ソレをわかった上での依頼

ですから、農家さんには何か理由が

有るんですよね?」

 

そうよね。先生が無意味にこんなこと

言って来るはず無いわよね

 

「そうだな。まずは深層で武者修行してる

ヤツへの届け物だ」

 

「「武者修行?」」

 

まぁ一時期のアイズみたいな感じかしら?

 

「リリルカからの報告を聞いてな、

もしかしたら謎の視線はソイツの

可能性もあるんだ」

 

「えぇぇ?!」

 

「つまりその人は一人で深層に

居るんですか?!」

 

頭おかしいんじゃない?!

 

「可能性はある。しばらく会ってないから

確証は無いんだが、そーゆーことを

しそうなヤツだと思ってくれ」

 

「「は、はぁ」」

 

強さを求めすぎでしょう・・・

 

「それで、『まずは』って言う事は他にも?」

 

あぁ、そうよね。あまりの衝撃に確認を

怠るところだったわ。

 

「お、よく気付いたな。ティオナも

着実に成長しているようで何より」

 

「えへへ~」

 

私だって気付いてましたよ!

 

「二つ目はお前たちとリリルカに偉業。

つまり上位の経験値を積んで欲しくてな」

 

「ソレは積めるなら積みたいですけど」

 

「そうそう簡単には行かないのでは?」

 

だからこそレベルアップは難しい

モノなんだから。

 

「その辺は報酬と被るんだが、

俺にはモノを教えることに特化した

アビリティとスキルがあるのは

なんとなくわかってるだろ?」

 

「はい、団長も言ってましたね」

「ですね!」

 

だからこそ私たちも少しの教えで

成長出来てるんだし。

 

「そのスキルは試練を与えるって

スキルでな。簡単に言えば、

試練をクリアしたら上位の経験値を得ると

共にステイタスの成長に補正がかかる」

 

「「えぇぇ?!」」

 

「そ、ソレ喋って良いんですか?!」

 

かなりヤバイじゃない!レベルアップ

し放題ってことでしょ?!

 

「問題ないな。必ずクリア出来るわけじゃない。

それにクリア出来なかったら普通に死ぬし」

 

「あ、あぁ。そうですよね。

試練ってそういうモノですよね」

 

うん、あくまでクリア出来たらだもんね。

レベルアップに相応しい試練に襲われる

って考えたら、ありがた迷惑なスキル

なのかもしれないわ。

 

「つまり、リリルカさんに試練を与えるので

付き合って欲しいって事ですか?」

 

そういうことよね。

 

「だけど報酬とか言ってませんでした?」

 

「その通り。ついでにお前たちも受けて

おけば恐らくレベルアップ出来るぞ?」

 

「「えぇ?!」」

 

ど、どういうことだってばよ?!

 

「モノを教える為には、相手の状態を

認識する必要があるからな。

なんとなくだがわかるんだよ」

 

「はぁ、そうなんですか」

 

もうなんでも有りよね・・・

 

「そんなわけで報酬はレベルアップに

必要と思われる上位の経験値と

ステイタス成長補正による成長ボーナス。

ティオナには魔導書で、ティオネには

美術品を予定している」

 

「魔導書ですか?!」

 

あぁ、ティオナは魔法に憧れてたもんねぇ。

だけど、私に美術品?なんで?

 

「ティオネは不思議そうな顔をしているな」

 

「えぇ、まぁ、それはそうですよね?

私は別に美術品に興味は無いですし」

 

一体何のために?

 

「あのなぁティオネ、普通に考えろ」

 

「はい?」

 

何を?

 

「フィンの妻が、脳ミソまで筋肉の

蛮族の娘で良いと思うか?」

 

「はっ!」

 

・・・・・・ウカツッ!

 

そうよね!脳筋が団長の妻に

なれるわけないじゃない!

勇者の妻にはソレに相応しい

品格が求められる!

 

「さらにフィンは小人族。

基本的に器用が高い種族だ」

 

「はっ!」

 

つまりは美術品や文化財を作製

するのに向いてるのね!

その長の妻が美術に対する

知識が無いなんて・・・有り得ないっ!

 

「審美眼というのは本物を知らなければ

養えん。更に本物の美術品は金を積めば

買えると言うモノではない」

 

「そうよ!ソレで騙されたって話は

其処ら辺に溢れてるわ!

だけど、先生なら!」

 

「そうだ。俺なら神が認める各種美術品を

提供できる」

 

くっ!コレは欲しい!審美眼を

養うためにも本物の美術品が欲しい!

 

「知識は後からでも詰め込めるし、

知らなければ聞けば良い。

だがな、最終的に必要となるのは

本物と偽物を見分ける確かな目だ。

コレを鍛えるには時間と現物が必要不可欠。

後から焦ったところで騙されて終わりよな?」

 

「・・・仰る通りです、私には

理解が足りていませんでした!」

 

そうよね、お金は武器や食べ物を買う

ためだけにあるんじゃないわ。

そんなの戦ってるだけじゃない!

 

私達は何のためにテルスキュラを出たの?

それ以外を知りたかったからでしょ?!

力が無ければ奪われる。

だけど、レベル2とかレベル3の人達は

みんなが奪われて不幸なの?

神の恩恵を受けてない人は不幸なの?

違うわ!ソレは何故?

戦い以外を知ってるからよ!

団長の妻になるには確かに力は必要。

けど、力は腕力だけじゃない!

知力・・・それと文化系への理解力が

必要だったのね・・・

 

「現実に気付いたティオネに良いことを

教えてやろう」

 

こ、これ以上何を教えてくれると?!

 

「見た目が良ければ良い訳ではない。

知性が有れば良い訳ではない。

文化に理解を示せれば良いと言う訳でもない。

美術品に対する審美眼が有れば良いと

言うモノでもない」

 

「そ、そんな?!」

 

それなら私は何を目指せば良いのよ!?

 

「そーゆーのを合わせて女を引き立てるモノ。

コレを女子力と言う!」

 

「じ、女子力?!」

 

なんて崇高な響きっ!

 

「ちなみにリヴェリアには無い。だから

ヤツはいつまでたっても独り身だ」

 

「た、確かにっ!」

 

綺麗で知性があって、文化を理解して

品格があるように見えても、女としては

負け犬ってことよね?

 

「ティオネ、女子力が欲しいか?」

 

「はいっ!」

 

欲しい!私は今、心の底から女子力が欲しいと思っていますよっ!

 

「いい返事だ。ならばくれてやる!

だが当然ただで手に入る力など無い。

代償が必要となるのは・・・わかるな?」

 

「モチロンです!そのためなら私は修羅にだってなります!」

 

何だってやるわよ!邪魔するなら

深層のモンスターだって踏み潰す!

 

「いや、修羅に女子力無いから」

 

「・・・ですよねー」

 

だからコレが駄目なんだってば。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

いや、途中からどうなるかと思ったけど、

最終的に彼が常識人でよかった。

 

「とりあえずティオナもティオネも

依頼は受けたい訳だよね?」

 

「「はいっ!」」

 

まぁ魔導書と美術品も欲しいだろうけど、

ステイタスにボーナスがついて、

上位の経験値が手に入るならコレに

乗らない冒険者は居ないよな。

 

彼にはリリルカさんやイシュタルの眷族を

鍛えた実績が有るから、嘘って線は薄い。

 

「遠征の前にステイタスアップ、もしくは

レベルアップ出来るなら、

ファミリアとしても損はないのぉ」

 

「そうだね。リリルカさんに関しては恐らく

階層主狙いだろうけど、カドモスだって

十分な経験値になるはずだし」

 

あとは視線の主か・・・まだ確定情報では

無いけど、深層で武者修行してるくらいなら

かなりの実力者だ。

恐らくは都市外の冒険者だけど、

調べておく必要もある。

何の繋ぎもなくて、遠征の帰りに襲われたら

洒落にならない被害が出るからね。

 

「あとはフレイヤファミリアのアレンか」

 

レベル6の猫人で槍使い。

正直興味はあったんだ。

 

「ロキがどう思うかわからんが、儂は

良いと思うぞ?そもそもこういう機会は

逃すべきではない」

 

「そうだね、間違いなく成長の機会だ」

 

それに断ったら、アレンとリリルカさんが

二人っきりで深層に潜るかもしれないからな!

 

「よし、とりあえずロキやリヴェリアには内緒にしておこう」

 

アイツら邪魔するだろうし。

 

「ふむ、それに下手に話してしまえば

「平等にしろ!」とか言ってアイズを

押し付けかねん。そうなれば間違いなく

断られるじゃろうからのぉ」

 

「だと思うよ。基本的に仲良くすることは

良いことだ。でも、だからって成長の機会

やらレベルアップまで並ばせるのは違う。

それは平等という名の差別だ。

 

実際に今までのレベルアップは

特別扱いを受けてたアイズの方が

早かったんだしね。

 

今回はティオネとティオナにその機会が

訪れた。それだけの話さ」

 

確かに特殊な生まれかもしれないけど、

苦労してるのはアイズだけじゃない。

リリルカさんやこの二人に比べたら、

むしろアイズは恵まれてる方だろ?

 

「「じゃあ?!」」

 

「うん。許可を出そう。どうせ君たちは

ダンジョンでトレーニングしてるって

話をしてるから、嘘にもならないしね」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「頑張ってくるんだよ」

 

「「はいっ!」」

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

しかし、女子力が無いから行き遅れる、か。

まったくもってその通りだ。

 

「女子力のぉ、確かにアヤツには無いわな」

 

「だね。一緒に里を出た親友はしっかり

結婚してて子供まで居るってのに」

 

わざわざ指摘はしてやらんが。

 

「うむ。それに美術品やその知識もくれると

いうなら、お主にも良いことじゃしな。

嫁云々は別として、副官みたいな

形で傍に置いてみたらどうじゃ?」

 

「・・・それは僕も考えてたよ」

 

だよなぁ。ティオネが着実に外堀を

埋めてきてる感じだけど、実際かなり

役に立つんだよなぁ。

 

特別扱いするならどう考えてもお人形さん

よりもコッチだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロキ、リヴェリア。

僕たちがいつまでもお前たちの

おままごとに付き合うと思うなよ?

 

 

 

 




勇者さんは明確な目的があって
ロキファミリアに居ますからね。

原作でも妖怪功名置いてけなので、
名前が売れるなら手段を選びません。

わざわざ馬鹿正直にスキルを話した
主人公くんの狙いとは?!ってお話
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