ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない 作:カツヲ武士
オリ設定
オリ展開
嫌いな人は読み飛ばし!
芋虫の誘い通りに37階層に来ましたが
・・・何ですかこの威圧!
前に通った時はこんなの無かったですよねぇ?!
これからお会いするのは、これほどの気配を
隠蔽出来る程の使い手なんですか?!
「ねぇ、この感じって」
「・・・洒落にならないわね」
「あぁ、階層主など目じゃないな」
単純なモンスターとは違い、人の知性を
持った強者ですからね。
更に言えば先生のお弟子さんですから
冒険者と言うよりは狩人でしょう。
ならばすでにここはその方の狩場です。
油断慢心したら狩られますね・・・。
「ようこそおいでくださいました」
「「「うわっ!!!」」」
「・・・っ!」
いきなりですかっ?!
「師の使者に対してシツレイでは
あったと思いますが、こちらにも
事情がありましてね。
その辺はご容赦願います。
あぁ無論不敬の罰は後程師より
直接受けます。
ですからアナタ方は安心して
師からの御用向きを果たして下さい」
「えっ正面?!」
「なっ?!」
「いつの間にっ!」
・・・油断も慢心もしていないハズ
だったんですけどねぇ。
まさか正面に立たれても声を掛けられる
まで気付かないなんて。
先生以外にコレが出来る人が居るとは
思いませんでしたよ。
「ふむ、リリルカは警戒を緩めてませんね。
結構、流石に師の教えを受けた者が
この程度で不様を晒すようなら遠慮なく
矯正してましたよ」
危ないところでしたっ!
この方はヤると言ったら絶対にヤる。
いえ、言わなくてもヤった後に当たり前の
ようにヤったと報告するくらいの怖さが
あります!
間違いなく先生のお弟子さんですよ!
しかもリリの名前を知ってる?!
「すみませんがリ、私の名前は誰から聞いた
のでしょうか?先生では無いですよね?」
先生はまだ接点が無いはずですからね
「・・・あぁ、シツレイしました。
まず私の名はエインと申します」
「どうも、リリルカ・アーデです」
知ってるみたいですが相手は先輩みたいですし、
明らかに目上の方ですからね。
アイサツはきちんとしなくてはいけません。
「えぇ、ソレは良い心がけですよ」
心を読まれた?!
「貴女はまだ己を隠すことが苦手の
ようですね?
馴れれば表情と雰囲気で大体は理解出来ます。
師もそうでは有りませんか?」
た、確かに先生はそんな感じの事を
言ってました!
「話を進めますと、リリルカとそこの二人。
ティオネとティオナの名は先日のロキ
ファミリアの遠征の折りに耳に挟んでましてね」
「やはりあのときの視線は貴女でしたか」
この方ならば納得です。あの視線も
もしかしたらリリが気付くかどうかを
試したのかも知れませんね。
「えぇ、そのせいでアナタ方の帰還の際には
随分と気を使わせてしまいましたね」
「いえ、ダンジョンで気を使うのは当然です、
それに貴女のお蔭で早く帰還が出来ました
からむしろ感謝してますよ」
コレは本当です。気を使ったのは主に
勇者さんですしね。
「なるほど。ダンジョンへ潜る心構えも
出来ているようです。結構なことですね」
「・・・ありがとうございます」
当然のように上から目線ですけど
王族さんとは違ってソレが当たり前の
ような感じがして、不快にはなりません。
この人はどんな立場の方なんですかね?
「わざわざ師の関係者が纏まって来るくらい
ですから私に用が有ったのでしょう?
まずは用件を・・・そうですね最初は
リリルカから聞きましょうか」
あ、そう言えばそうでした!
ただ、用件と言われましてもねぇ。
「私は先生から、深層に行って階層主を倒して
来いとしか言われて無いんです。その上で
もしも貴女にお逢いできたら鍛えて貰えと」
「ふむ、まぁ確実に私に逢えるかどうかは
わからない状況でしたからね。
曖昧になるのも妥当と言えば妥当でしょう。
ただ、鍛える前にいくつか聞きたいのですが」
「なんでしょう?」
「まず最初の疑問なのですが、そもそも師が
鍛えてる貴女を何故私に鍛えさせようと
してるのかわからないんですよね。
何か聞いてますか?」
あぁなるほど。普通なら自分で鍛えろ
ってなりますよね
「はい、先生と私たちは所属してるファミリア
が違いまして、外聞もあるので修行は
どうしても一定以上追い込めないんです」
リリ的にはしっかり見てくれてるし、治療も
きちんとしてるから構いませんが、周りに
虐待だとか言われたら先生のイメージに
傷が付いちゃいますからね。
「なるほど。ダンジョンの中でも知り合い等に
見られたら、無用の勘違いを生みますか」
そうなんですよね。
エロフはソレで勘違いして先生に
喧嘩を売りましたからね。
先生が周りを気にして修行をするように
なったのはアレからなんですよねぇ。
冒険者みたいなクズ共なんか先生が
気にしなくて良いのに!
本当、邪魔しかしないエロフですよ!
「更に初対面の私なら甘えも無いでしょうし
きっちり死の手前まで追い込めますからね。
流石我が師。無駄がありませんね」
「・・・ソウデスネ」
うわぁ、追い込む気満々ですよ。
「では次の質問です。貴女方を追い込む分には
構いませんが、回復手段はお持ちですか?
腕や足を折ったからと言って一月も二月も
ここに居座る気はないですよね?」
「はい、先生からエリクサーやハイポーション
を沢山持たされていますから、回復手段は
大丈夫です。多分ですけどこれが切れたら
帰ってこいと言う指示だと思います」
妙に沢山持たされましたからね。
階層主に挑むためと思いきやこの方の
修行の方がきつそうです。
なにせ、当たり前に骨を折る気ですからね!
「ほうほう。つまりそちらの備えも万全、と。
あぁ、ちなみにココの闘技場の地下には
私が拠点としてる安全地帯がありますから、
休憩や睡眠は心配しないで下さい」
「安全地帯?!」
そんな情報はギルドにも有りませんでしたが、
深層は未踏破領域が沢山ありますから不自然
と言う程の事はありませんよね。
「さて、こちらからリリルカに対しての
質問は終わりですが、そちらからは何か
有りますか?」
聞きたいことはありますが・・・
下手に触れたら修行が厳しくなる
パターンですよね。何となくわかりますよ?
「今は特に無いです。後から浮かんだら
聞いても良いですか?」
急ぎでもありませんしね。
「えぇ、それで構いません。答えられる
ことならお答えしましょう。
ではリリルカとの質疑はコレまでとします。
次はそこの姉妹ですね。話しても良いですよ」
話しても良い?
そう言えば二人もアレンさんも一言も
口を挟んできませんでしたよね?
「「ぷはっ!」」
――――――――――――――――――――
「「ぷはっ!」」
よ、ようやく喋れるわ!
何をされたかは知らないけど、一切声が
出ないようにされたのはリリルカとの
会話を邪魔しないためか!
「な、何をされたかはわからなかったけど、
とりあえず喋れるってことは危害を加える
気は無いってことですよね?」
ティオナが敬語?!いや、まぁわかるわよ?
ローブと仮面で顔を隠してるけど、明らかに
先生と同じで礼儀には五月蝿い人っぽいし。
「そうですね。師の使いに危害を加える
気はありません。ただ、話をしてるときに
周りで騒がれるのは嫌いでしてね」
「そ、そうなんですね」
・・・そうとしか言えないわよ。
「さて、リリルカとの話を聞いていたら理解
できたかと思いますが、先にこちらから
質疑しますので答えられる事に答えて下さい。
あぁ、答えられないことには答えられないで
構いませんよ。わかりましたか?」
「「はいっ!わかりましたっ!」」
「よろしい。師の薫陶が行き届いている
ようで何よりです」
今、返事が遅れてたら絶対にヤバイ事に
なってたわよね?
この人はテルスキュラの二人よりヤバイわ!
「では最初の質問です。貴女方は師から
何を言われてますか?何か届け物は
預かってますか?」
「はいっ!先生からは、リリルカさんの試練に
付き合うことと、貴女に会えたら届け物を
届けて欲しいって言われましたっ!」
よくやったわティオナ!コレで
何で届け物を知ってるの?なんて答えてたら
「質問に質問で返すな」って言われて、問答無用
叩きのめされてたわよ!
リリルカとの会話を聞いてたけど、この人
絶対に容赦も遠慮もしないわ!
「ふむ、そうですか。つまりは貴女方も
鍛えろと言うことですね。
確かに縄鏢や流星錘は場所を取りますし、
加減をしつつ教えるのは難しいですからね」
この人もコレを使えるの?!
いや、だから先生は私たちにコレを
持たせたのか。
「で、師からの届け物とは何でしょう?」
ん?何か嬉しそうにしてる?
今まで感情なんか見せなかったのに?
「はいっ。服を一式預かって来ました!」
「ほほう、服ですか。確かにありがたい
話ですが微調整が必要ですね。
このような場所だとそれも難しいのですが、
それについて何か言ってましたか?」
「「わ、私たちは何も聞いてないです!」」
そうよね。着替えとは言え、確かに
微調整は必要だわ。
声しか聞いてないけど明らかに女性だし!
サイズだって極秘案件よね!
「あ、あの・・・」
「どうしましたリリルカ?何か質問でも?」
何か聞いてるのかしら?あ、いや、そうか!
「先生が造ったモノですから、サイズの
自動調節機能が付いてると思います!」
そうよね。アレンさんは知らないだろうけど
リリルカの装備に付いてたんだもの。
この人の装備にだって有るのが普通よね!
「ほう、自動調節機能。流石我が師」
興味深々だわ。まぁ私達だって驚いたし
ゴブニュとかも大騒ぎだったもんね。
「さて、では早速着替えたいのですが。
少々お時間を頂いても?」
「「「はいっ!ごゆっくりどうぞ!」」」
駄目だと言ったら殺る気だったわよね?
―――――――――――――――――
ふむ、流石我が師。
私が直接お会いしに行かなかった事から
種族的な問題に気付いてましたか。
まぁナマモノ側か赤髪側かわからなかった
でしょうが、だからこその自動調節機能付き。
いやはや。身を浄めておいて正解でした。
冒険者の服を加工したとは言え、
流石にあのような見すぼらしい格好では
人前に出られませんからね。
赤髪から貰ったローブなんて
ただの布ですし。
しかも赤髪ときたら、この布の下が
あの格好でしょう?痴女じゃないですか。
さてさて、師はどのような服を造って
くれたのやら・・・いやぁ楽しみです。
ほほう、無駄な露出を控えた道着型ですか。
更にこの色合いは・・・ふふっ。
柄は金糸と銀糸。印象的には月明かりを
浴びて淡く輝く冬の夜ですか。
師と昭ですかね?それとも師と私?
どちらにせよ私だけの為に造ってくれた
のが良くわかる逸品です!
靴まできちんと揃えてくれてますし、
流石我が師ですね!
おっと、感じ入ってる場合では
ありませんね。
未熟者とて師の遣い。無礼はいけません。
「お待たせしました」
―――――――――――――――――――
「お待たせしました」
「「「「・・・!」」」」
お、思わず跪いて頭を下げちゃいました!
だけどソレはリリだけじゃありません。
アレンさんやティオナさん、ティオネさんも一緒です!
フレイヤ様や王族さんを見慣れているはずの
皆さんですら、咄嗟に跪いて頭を下げるのが
当たり前と言うことですか?!
渡された服は明らかに上質の素材です。
色合いは青と黒と基調とした上品なモノ。
形は先生が好んで着る極東風の道着と
呼ばれる露出が少ない服。
金糸と銀糸による目立たないけど無駄の無い
装飾が、ただでさえ溢れている気品に
彩りを加えてます!
いやいやいや、現実逃避してる場合じゃ
ありません!今はそれどころじゃ無いです!
大体、何ですかこの方は?!
ただそこに居るだけでわかる教養と気品。
自然体で有りながら一切の隙が無い立ち姿!
コレはまさしく前に先生に見せてもらった
剣身一体の極致です!
その上で仮面で顔を隠してるのが無礼では
なく当たり前と思えるほどの存在感!
あちらが何もしていなくとも、問答無用で
頭を下げ無ければいけないと感じるほどの威!
ロキファミリアの王族さんなんて
目じゃありません!明らかにその上・・・
王様じゃないですかっ!
最低でも物語に出てくる英雄ですよ!
あのローブだけでこの気配を隠す?!
有り得ませんよ!どれだけの達人ですか?!
しかも先生の事を師と呼んでましたよね?
あの人はこの方に教えを授けたんですか?!
もぉどうすれば良いんです?
お言葉を待つのが正しい作法を
なんですか?
リリの考えが追い付きませんよぉ
――――――――――――――――――――
「(・・・ティオネ、この人って)」
えぇ、思わず頭を下げちゃったけど
明らかにリヴェリア以上のお偉いさんね。
何せ、ただそこに立っているだけで
教養と気品に裏付けされたナニかを
高い次元で纏ってるのがわかる。
この人に比べたら所詮リヴェリアは王【族】
この人は文武を極めた本物の王様よ!
しかも冷たい威圧だけじゃない、
さっき先生からの服を渡したとき
隠しきれない喜びがあったわ!
暖かさと冷たさを併せ持ち、問答無用で
人を惹き付ける不思議な力。
まさか、コレが女子力?!
・・・この人に教えを受けることが
出来たなら、私は戦士としても女としても、
間違いなく成長出来る!
こんな人と知り合いだなんて、流石先生ね!
――――――――――――――――――
コレは何だ?まさか俺が問答無用で跪く?
いや、この方にはソレを当たり前にする
ような威と、力がある。
この方が纏う空気はフレイヤ様とは
違った美しさがあるっ!
フレイヤ様が目指す文武を極めた英雄とは
こう言う存在なのか?!
・・・オッタルでは駄目だな。
この方を越える猛々しさはあっても
それだけだ。
ソレはソレで自然の美しさと言えるかも
知れんがこの方を見た後だと、どうしても
見劣りしてしまう。
この方は言うなれば人の極致!
鍛えてきただけではない、
学んできただけでもない。
生活の全てを成長の糧として飲み込み
己を磨いた結果の完成品!
オッタルが雄大な自然石なら
この方は河を流れることで磨きあげられた
大理石を更に職人が加工した芸術品。
フレイヤ様が目指す文武を兼ね備えた
英雄が、まさかこのような場所にすでに
存在していたとは予想も出来なかった!
俺は本当にこの方の教えを受けれるのか?
無礼は晒してないよな?
フレイヤ様の名に傷が付くし、何より
この方に失望されるのが怖いっ!
――――――――――――――――――――
おや、跪きましたか。まぁあんな貧相な布と
師が私の為に用意した服では比べ物に
なりませんからね。
私もつい嬉しくて気配を抑えるのを忘れて
しまいましたし。
失敗失敗、弟子失敗ですね。
通常であればこの態度で正しいのでしょうが、
今はあくまで同じ師のもとで教えを受ける
同門の徒。なればこそ私が譲るべきですね。
「あらためて名乗ります。私はエイン。
今は同じ師に学ぶ者として、
あなた方には親しみを込めて筆頭と
呼ぶことを許しましょう。
・・・コンゴトモヨロシク」
ま、まさか、なぞのおりきゃらが
主人公くんの弟子で筆頭の彼女
だったなんてっ!
み、見抜けなかった!
この海の作者の目をもってしてもっ!!
・・・まぁ元の世界では
普通に王様で英雄ですよ?
地域によっては神格化されるレベル
彼女の治めた領地と人口を考えたら
オラリオのような都市国家では
逆立ちしても勝てません。
王の威が背中に背負った臣民の命に
比例するなら、文字通り威の桁が
違いますってお話