ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない   作:カツヲ武士

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今日もまた迷える子羊が救われた

地上のお話

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嫌いな人は読み飛ばし


第51話

「いらっしゃいませー」

 

って何だ、桜花さんか。

この人と千草さんは最近ウチに

来るようになったけど、買い物目的じゃ

無いのよねぇ。

何たってポーションはミアハ様が無料で

優先的に配ってるし、毒消しとかも

そんなに使うワケでもないし。

 

しかし「優先的に」「無料で配る」

かぁ・・・もはや商売じゃないわ。

そりゃ他の医療系ファミリアにも

文句言われるってばよ。

 

「もう店舗とは別に診療所とかを作って

そこにミアハ様を閉じ込めて外出禁止

にしてしまった方が良いと思う」

 

とかアミッドさんにも言われるのも

当然の話よね。

 

私たちだって零細だったときに

近場でこんなことされたら洒落に

ならなかったもの。

 

医療系はレベル2のアミッドさんが

珍しいくらいで、レベル1しか居ない

ファミリアがほとんどだし。

ミアハ様のアレが本気で生死に関わる

問題なのは痛いほどよく分かる。

 

医療系やツケで飲む飲み屋から

災厄のヒモ神とか言われてるの

知ってるかしら?

 

関わったら確実に損をする貧乏神とか

サイコロの数だけポーションを放出してる。

とか言われてるけど反論できないのよ。

だって放出してるのはポーションどころか

現金もだし。まさに貧乏神よ。

 

私個人としては義手の借金も返して

普通に店舗経営できるけど、

ソレをやれば他の医療系から

「殺す気か?!」って迫られるし・・・

 

おかげでウチは主神が趣味でポーション

作ってるだけの胃薬とお菓子のお店よ。

 

大体医療系ファミリアの会合で

 

1・ポーションを店頭に置くな。

 

2・ミアハ様に釣られてポーションを

買いに来た冒険者は他の店に回せ。

 

3・毒消しやその他の薬はOK。

でもミアハ様が無料配布し始めたら

制作も販売も禁止。他店に回せ。

 

 

・・・こんなこと義務付けられた

薬局って何よ?

 

知ったこっちゃないって言えば、

私たちに追い詰められた他のファミリアの

人達にミアハ様が殺されて天界に送還され

ちゃうし。その後で私も殺されちゃうわよね。

 

今でさえなんとか我慢して

もらってるんだもん。

 

現在ミアハ様の行動は会合に参加

している医療系ファミリアの団員に

監視されてて、無料配布をすると

配布した本数がカウントされるのよね。

 

それで会合の時に

「ミアハ様がいなければ売れた分」

として何割か割り増し計上されて、

その分を私が購入してるのよ?

 

購入したポーションは私が調合して再度

作り直された後で回復効果のある

お茶やお菓子に混ぜられますって

 

・・・ハハッ。

 

何が悲しくてレベル1が作った

品質が安定してないポーションを

定価で大量に買った上で作り直して

処分しなきゃいけないのよ!

 

 

更に今はミアハ様がタケミカヅチ様や

ディオニュソス様を巻き込んで

先生に喧嘩売ろうとしてるし。

 

周りの目が凄いことになってるの!

医療系のみんなは先生を敵に回す気

なんか無いから、いい加減にしろ!

って突き上げが凄いし。

 

イシュタルファミリアのアイシャさん

以外の戦闘娼婦さんたちからも

被害者面するなって怒られるし!

 

もう勘弁してよ!

 

とりあえず今日桜花さんを説得して

タケミカヅチ様の愚行を止めるわ!

 

「桜花さん。春姫さんが極東に居たとき

の知り合いらしいですけど、

今はオラリオの娼婦なんです。

あんまり周囲を嗅ぎ回るのは

やめた方が良いですよ?」

 

狙いが春姫さんなのか先生なのかは

知らないけど、先生が笑ってるうちに

止めて!もう少し周りの目を見て!

 

「・・・気付いてましたか」

 

「そりゃそうですよ。

春姫さんが来た次の日とかを狙って

ウチに来たり、タケミカヅチ様が

色々探ってるのは有名ですよ?」

 

ウチのミアハ様と一緒に作戦会議とか

言ってツケで飲んでるし。

 

ツケって借金なんですけど?

一体誰が支払いに行ってると

思ってるんですかねぇ?

 

そのときにお店の店員さんから、

「物騒な相談は勘弁してくれ」って

懇願されてるんだからね?!

 

「有名って・・・じゃあ無双農家も

知ってるんですか?!」

 

「当たり前じゃないですか。

イシュタル様が、あなた方が先生に

迷惑をかける前に潰そうとしたのを

止めたのは先生ですよ?」

 

春姫さんの知り合いだし、

アレはアレで面白いからって。

 

こっちは笑えないわよ!

 

「そんな馬鹿な!」

 

「馬鹿なって。イシュタル様だって、

自分のところの娼婦が原因で

お客さんに迷惑をかけるわけには

いかないじゃないですか」

 

そのお客さんが先生って、普通に

アイシャさんや団長さんが動くわよ!

 

「いやそっちじゃなくて、何で

無双農家が俺達を庇うんですか?

彼なら自分を嗅ぎ回る俺達を

消すくらい簡単でしょう?!」

 

「簡単に消せるからですよ」

 

だからミアハ様だって先生に

殺されてないんだし。

 

「?!」

 

「現状の皆さんでは弟子のリリルカさん

にすら勝てません。

そんな人たちが動いても先生には

何の痛痒も与えられないんです。

だからこそ先生はアナタ方がどのような

工夫で自分に何をするのかを確認しよう

としてるんですよ」

 

「・・・強者の余裕ってことですか」

 

純粋に何をしようとしてるのかって

興味もあるんだろうけどね。

まぁ自分を威嚇してる小動物を

観測してる感じではあるわね。

 

「そうですね。油断や慢心、増長や驕り

ではなく余裕なんです」

 

だから足元は掬くえない。

諦めて現実を見て黙って

冒険してなさい。

 

「・・・俺たちでは春姫は救えませんか」

 

ん?救う?

 

「えっと、春姫さんに何かあったんですか?」

 

普通に幸せにそうにしてるわよね?

リューさんなんて羨ましそうに見てるし。

 

「何かって!娼婦なんですよ?!」

 

「先生専属ですよね?」

 

春姫さん本人も言ってたけど、専属なら

内縁の妻みたいなもんじゃない?

 

「専属だからって!!」

 

あぁ、コレは勘違いしてるわね。

このままだと暴走して先生に迷惑

かけちゃう。

その大元の原因はミアハ様だし。

間違いなく責任問題になるわよね。

 

・・・冗談抜きでヤバいんじゃない?

 

「桜花さん、いくつか勘違いを

しているようなので教えておきます。

落ち着いて聞いてください」

 

「勘違いだと?そんなことっ!」

 

「黙れ、殺すぞ」

 

落ち着けって言っただろうに、

本気で洒落にならないんだよ?

 

「?!」

 

「お前のせいで私たちが殺されたら

どうしてくれる。

先生本人が笑って許しても、周りが

いつまでも笑って許すと思うな」

 

少なくともソーマファミリアと

イシュタルファミリアはアンタらの

動きをマークしてるんだからな!

 

「・・・落ち着いたようなので

簡単な事情を説明しましょう。

本来なら娼婦の裏事情を語るのは

マナー違反でしょうが、勘違いの

挙句、先生に迷惑をかけるのは

春姫さんも望みませんからね」

 

当然私もね!

 

「・・・」

 

よし黙ったな?ちゃんと聞きなさいよ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「そもそも春姫さんはイシュタル様の

下で娼婦にならなければ、奴隷として

狐人愛好家にでも買われていました」

 

「奴隷?!」

 

娼婦よりタチが悪いじゃないか!

どういうことだ!?

 

「春姫さんの実家に出入りしていた商人が

彼女に目をつけていたらしく、冤罪を

押し付けたそうですね」

 

「冤罪・・・」

 

「なんでも出入りの商人が持ってきた

神饌を食べてしまったとか。

神に仕える職であったご両親にとっては

許せなかったことらしく、彼女は

勘当されました。

そしてその商人に損害を補填すると

いう形で預けられたそうです。

その後オラリオに連れてこられた

ときにはすでに奴隷扱いだったとか。

この時点で怪しいでしょう?」

 

「そんなことがあったんですか!」

 

箱入り娘の春姫が親元を勘当

されたら生きてはいけない・・・

その商人が生活の術のない春姫を

騙して罠に嵌めたのか!

 

「それで本来なら奴隷として売られる

ところでしたが、売りに出される前に

極東の狐人という珍しい種族である

春姫さんの情報が、歓楽街を仕切っていた

イシュタル様の耳に入りました。

そして春姫さんを見て気に入った

イシュタル様が彼女を買いました。

神様は珍しいモノが好きですからね」

 

「・・・それで?」

 

モノ扱いは気に食わねぇが、オラリオの

人間からすれば春姫の事情なんて関係

ねぇからな。あくまで一人の奴隷だ。

そのくらいは俺だってわかるさ。

 

「なんでも春姫さんを連れ帰った

イシュタル様が眷族として恩恵を

授けたとき。彼女にとても珍しい

魔法が発現したそうです」

 

「珍しい魔法?」

 

「さすがに内容は聞いてませんけどね。

よほど珍しい魔法だったようで、

イシュタル様は春姫さんの扱いを

通常の娼婦ではなく、ある種の特別

扱いをしようと考えたんです」

 

「特別扱い・・・」

 

まぁ珍しい魔法が発現したらそうなるか

 

「そんな時、もともとイシュタル様と

付き合いのあった先生から、

自分のスキルとアビリティを試し

たいので弟子を斡旋してくれないか?

という要請がありました」

 

「無双農家のスキルとアビリティ?」

 

・・・この情報は知っても良いのか?

あきらかにヤバい情報だろ?

 

「スキルは知りませんがアビリティは

【教導】で教えを受けた者の成長に

ブーストがかかる類のモノらしいです」

 

「成長にブースト?!」

 

やべぇアビリティじゃねーか!!

 

「まぁ先生を知ってる人なら大体

知ってる情報ですからね。

別に口止めもされてませんし」

 

「そ、そうですか・・・」

 

とりあえずはコレを知った

からといって問答無用で

殺されるってことは無いんだな?

 

「口止めされてないとはいえ

言いふらして良い事ではありません。

そのへんは常識をわきまえてください」

 

「・・・はい」

 

そりゃそうだ。

 

「そこでイシュタル様は当時レベル3で

戦闘娼婦の指揮官的存在でもあった

アイシャさんと、新人の春姫さんを

先生の弟子としました」

 

「・・・戦力の底上げと春姫の魔力の

アビリティを上げる為、ですか」

 

珍しい魔法なら魔力を上げれば効果も

上がるからな。

イシュタルにしてみたら損はねぇ。

 

「そうですね。それでアイシャさんが

先生と春姫さんが顔を合わせた初日に

春姫さんを専属で買って欲しいと先生に

頼んだんです。

わかりますか?先生が春姫さんを

望んだのではありません。

アイシャさんと春姫さんが先生を

望んだのです」

 

「・・・それは何故?」

 

「前提条件として、珍しい魔法をもつ

春姫さんは娼婦という身分から

抜けることは出来ません。

イシュタル様が手放しませんからね」

 

「・・・そうですね」

 

無双農家が身請けをしないんじゃない。

魔法の関係で身請け出来ないのか。

 

「その上で春姫さんの境遇を聞いて

哀れんでいたアイシャさんが、

いろんな男どもに取っ替え引っ替え

抱かれるよりは専属の方が良い。

少なくとも先生はイシュタル様とも

親交が有り、無下には扱わないだろうと

いう確信があってお願いしました」

 

「・・・なるほど」

 

どうせ娼婦なら・・・か

確かにそうかもしれん。

 

「基本的にイシュタルファミリアでの

専属娼婦と言うのは、娼婦の中では

最高の待遇と言っても良い待遇です。

なにせその人以外に客を取る必要もなく、

その人が居ないときは自由に過ごしても

良いとされてますからね」

 

閉じ込められたり、自由を拘束

されてるわけじゃないってことか

 

「そして先生の指導でレベルアップした

春姫さんは【調合】のアビリティを取り、

自由時間を使って料理やお茶の調合など

趣味を満喫してます。

それも良いモノが出来たらイシュタル様

からボーナスまでもらってるんですよ?」

 

・・・良い生活だな。

 

「ダンジョンでも、春姫さんは基本的に

戦うことはありません。

重い盾を持たせてのランニングで

筋力と敏捷を鍛え、その盾で

モンスターの攻撃を受けることで

耐久を上げて、調合で器用、魔法で

魔力を上げています」

 

重い盾を持たせて走らせてるって

のはそれか・・・

 

「先生の専属ですからね。先生や

レベル5のアイシャさん。

もしくはレベル6の団長さんが監修

して自衛の技術とサポーターとしての

知識と経験を身につけさせてるんです」

 

「なるほど・・・」

 

俺たちのところよりよっぽど

安全じゃねぇか。

 

「それに先生個人の話になりますが、

先生を狙う女性は非常に多いのですが

基本的に先生はそのへんの女性と

関係をもつことはありません。

例外は娼婦のアイシャさんと春姫さん

くらいです」

 

男としては・・・わかる。

女を弄んだりしてるわけじゃねぇ。

むしろ誠実なんだろう。

 

「春姫さん自身も先生を好いていますし

生活に不自由はしてません。

先程も言ったようにイシュタル様が

春姫さんを解放することはありません。

この前提条件があった上で聞きますが、

貴方は春姫さんを何から救うんです?」

 

「春姫が無双農家を好いてるなら、

娼婦と言っても相手をするのは

好きな男だけなわけですか」

 

無双農家の女性関係を見れば、

娼婦を辞めたらその関係が止まる

可能性が高い。

つまり俺たちの横槍のせいで

春姫は好いた相手と引き離される。

 

「生活にも不自由してませんね」

 

「・・・そうですね」

 

金銭的にもそうだしダンジョンでも

安全に鍛えてる。

きちんと自分の居場所があるわけだ。

・・・このまま無双農家に預けた

方が春姫は幸せに暮らせるのか。

 

「お話はわかりました。

我々が無双農家を勘違い

していたのも納得できました」

 

コレはもう良い。春姫については

俺から千草や命に言ったあとで本人に

会いに行って確認してくれば良い。

話に聞いた通りなら無双農家も

春姫も二人に会うことに反対は

しないだろうさ。

ただなぁ・・・

 

「えぇ、言いたいことはわかります。

そもそもの原因はウチのミアハ様が

原因なんですから」

 

そうなんだよなぁ。

いや、ミアハ様だけのせいにする

つもりはないぞ?

感情的になってきちんと確認

しなかったタケミカヅチ様にも

非はあるし、他の神様だってそんな

勘違いした俺たちに関わって

イシュタルファミリアに睨まれたく

なかっただろうさ。ただなぁ・・・

 

「とりあえず、先生に関しては

ミアハ様の言うことは無視で

お願いします。」

 

「え?」

 

もしかして仲悪いだけか?

 

「あの人はタダでポーションをくれる

神様であって、それ以上でもソレ

以下でもないと思って下さい。

知りたいことがあったらコッチで

教えますから探らないで下さい。

探ったらダメなことはダメって

教えますから。

とりあえず先生は良いヒトです。

・・・イイネ?」

 

「ア、ハイ」

 

ダメだ。この話題でこの人に

逆らったら冗談抜きで殺られる!

 

実際はどうか知らんが、そこは

まだ俺たちが殺されてないって

ことが一つの証拠になるしな。

 

・・・早めに確認に行かせよう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『くっ!ヤツめ!タケミカヅチにまで

手を回してきやがったか!!』

 

『落ち着けミアハ、サンジョウノは

イシュタルファミリア所属だ。

どうしたって圧力がかかるさ』

 

『ディオニュソス・・・そうだな。

だが圧力がかかろうとタケミカヅチは

俺たちを売るような神じゃない。

まだ我々の存在はヤツには

気付かれていないはずだ!』

 

『そうだ。こうして会議を開ける

のがその証拠。

・・・ロキにもヤツに対する警戒を

呼びかけてはいるが、やはり簡単

には動けんようだ』

 

『まぁ最大手だからな。そう簡単には

動けんだろう・・・だがまさかヤツが

闇派閥と繋がりがあったとはな!』

 

『確定ではないが、かなり高い確度の話だ。

ヘルメスやウラヌスも探ってはいるが、

なかなか尻尾を掴めん。探ってるのが

バレたら神とはいえ俺たちもヤバい。

ミアハ、お前も気をつけろよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あぁ!ナァーザは俺が守ってみせる!』

 




行方不明の異端児の関係上
去勢大神さんや水銀さんに象さんは
本気で主人公くんが何らかの形で
闇派閥に関わってると思ってます。

拠点は探れないし、イシュタルと
近いし・・・怪しいよね?

ミアハ死すべしってお話
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