ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない   作:カツヲ武士

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第77話

「よし、休憩だ」

 

「・・・はいっ!」

 

『・・・』

 

ふむ、弟子に鍛えられたおかげか呼吸の

乱れや体内の魔力や気の流れが

ディ・モールトベネ!だな。

まぁディはイタリア語の文法上

正しくないらしいが・・・それが良い!

 

冗談はともかく、基礎鍛錬は

ダンジョン探索なんかしなくても

出来るし、俺も農作業やら何やらで

わざわざダンジョンなんぞに行って

られん。かといって歓楽街で鍛錬って

言うのも違うからって言うんで

ソーマファミリアの敷地内で

リリルカを鍛えるのは良い。

 

良いんだが、なんでソーマはこっちを

見ながらティスティングしてるんだ?

 

「ソーマ、何度も言うが俺は基本的に

酒を飲まんし、昼間は尚更飲まんぞ?」

 

『知ってるさ。だが飲めないわけ

じゃないだろう?

そもそもこの酒はお前から得た知識と

お前の農場の野菜で出来た酒だ。

ソレを飲むのは生産者の義務では無いか?』

 

そう言われてしまえばそうなんだが。

 

前と違って酒を飲んで変な事を口走った

としても、狐憑きだなんだでムラハチされて

殺されるような世界でもないから別に

問題は無いんだ。

 

だがなぁ。コイツは違うだろ?

 

「なら預かって後で感想を・・・」

 

『それじゃ俺が味見出来ないだろ!』

 

やっぱりか。

 

「結局は付け合せの料理を作らせたい

だけだろうが」

 

『旨い酒に旨い料理。それの何が悪い?!』

 

開き直りやがった。流石インドの酒神だ。

 

こんなんでもディオニュソスみたいに

無駄に悪巧みしない分、付き合いやすいと

言えば付き合いやすいんだが。

 

「・・・先生すみません」

 

「ん?あぁ心配するな。リリルカが

悪いわけじゃ無いからな」

 

実際悪いか悪くないかで言ったら

誰も悪くない。

酒神が旨い酒を作って飲まそうとするのも

当たり前だし、真昼間から飲まない俺も

常識で考えたら問題ないだろ。

 

そもそも俺だってソーマがこう言うヤツ

だって知った上で来てるんだから、特に

無礼でも何でもないぞ。

 

「とりあえず今日はコレくらいだな。

本格的な鍛錬は、アッチで弟子に

任せるからお前は汗を拭いて酒造りに

行くといい」

 

「は、はい!」

 

うむ、微妙に怯えてるな?弟子とはしっかり

上下関係を結べたようで何より。

 

『おや?修行をつけるために来たのに

リリルカを遠ざけたか。

つまり私に何か用があると?』

 

まったく、最初からこのくらいの賢さを

見せればリリルカもお前に失望なんか

しなかったろうに。

 

いや、賢かったから下界の子供に

失望したんだったか

 

「まぁそうだ。料理は作るから、

食いながら聞いてくれればいい」

 

『そうか・・・ちなみに聞いたからと

言って、私がお前の悪巧みに乗るとは

限らんぞ?』

 

「構わんよ。とりあえず俺が知ってる事を

お前が知ってるかどうかの確認と、もし

知らないなら知っておけって話をする

だけだからな」

 

別に乗る必要など無い。お前のソーマと

違って、情報は知るだけで人生を狂わせる

毒なんだよ。

 

『・・・お前の言葉には嘘がない。

だからこそ心底恐ろしいと思う』

 

「そうか?なら良い事を教えてやろう」

 

『良い事?』

 

「恐怖は進化に必要なモノだ。つまり

お前はまだ成長できる」

 

『・・・お前に殺されない限りはな』

 

俺に殺されても天界に送還されない

ことは知らんだろうに、随分とまぁ

警戒されたものだ。

 

それだけ今は下界を満喫してると

言うことかね?

 

「別に死因が俺とは限らんだろ?

恨みつらみで言えばリリルカだって

相当なモノだし、似たようなのが

他にも居るんじゃないのか?」

 

『否定はせん。だがお前に殺されるのが

一番苦しみそうなんでな』

 

「あぁ、それはこちらも否定しない。

貴様の今までの所業を考えれば

・・・まぁ楽に死ねると思うな?」

 

実際普通に死なせる気などないしな。

他の連中と同じように髪の一本、

爪の一枚まで有効利用してやるさ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

・・・恐ろしい男だ。

 

ヤツが乗り込んできたのは

4,5年前だったか?

ただ乗り込んできた理由が我々を

説教しに来たというのだから驚きだった。

 

問題は説教の内容だ。

当時のリリルカの境遇に対して

来たならばまだわかる。

当時の私はあまりに無関心で

あまりに無責任であった。

他の神も、下界の子供たちもその

境遇を哀れんではいたし、死なない

ように援助もしてくれていたようだ。

 

・・・もう少しヤツが来るのが遅ければ

紳士同盟が出動してきたかもしれん。

 

だがアレが指摘してきたのは

子供への扱いや眷族に対する無関心

ではなく、人的資源の無駄使いに

ついての説教。

すなわち、これだけの人員が居るなら

使うならもっと効率よく使え、

壊すならもっと効率よく壊せ、だ。

 

アレにとって、神もヒトも等しく素材。

アレが私やザニスを見る目・・・

今思い出しても震えが来る。

 

もし抵抗していたら、今頃生きた

まま腕やら足やらを捥がれて

転がされた挙句、適時回復させられて

無限の素材の供給源とされていただろう。

 

実際闇派閥の主神が天界にも戻らず

行方不明となっているらしい。

・・・潜んでいると言う可能性も

あるが、おそらくはヤツの手で加工

されている。

 

「本来は殺すヤツにしか見せんが特別だ」

と言って鞘から抜かれた剣を見て

思わず死を幻視した。

あの剣の呪いは間違いなく神の呪いだ。

更に誰かに喋れば私もこうなると言う

無言の脅し付き。

 

つまりヤツにとってリリルカは確かに

素質のある弟子ではあるが、彼女を

育てた本来の目的は私を捌く大義名分。

 

さらに怖いのは、リリルカにはその辺を

きちんと説明していたところだ。

 

ただ利用するのではない。ソレで私が

変わらなければ、自分が引き取って

育てると言う覚悟まで見せたからこそ

リリルカはヤツに従うのだ。

 

アレは優しくはあるが甘くはない。

ヤツが私に突きつけたのは因果応報。

 

私が下界の子に関心を払わぬなら、

自分も敬意なぞ払わんと言う当たり前の理。

 

その結果どうなるかをアノ剣を

見せられて理解させられた。

 

・・・私は奴に逆らう気はない。

 

普通に付き合えば新酒の原料やアイディア。

技術や付け合せの料理など様々な利点が

あるのもわかってるしな。

 

リリルカのレベルアップも奴の許可を

得てからだか、別にそれは構わん。

 

私の子が自らを鍛えてその器を完成

させていく様を見るのは楽しいし、

私に口を挟む権利など無いのは重々

承知の上だ。

 

それに他の眷族たちもリリルカに感化

されて成長している。

ヤツのおかげで充実していると考えれば

恐怖よりも感謝の方が強いくらいだ。

 

だが、今回のは何か裏があるのか?

 

「知性がある、もしくは喋る魔物を探している」

とか言っていたがなぁ。

 

どうも奴の地元では、珍しいことは珍しいが

そこそこ居る存在らしい。

こちらで言えば極東の狐人みたいなモノか

 

例えでセイレーンや人魚を出されたが、

「人間と同じ頭と内臓を持ち、歌を

唱えるなら喋るだろ?」と言われれば

『ア、ハイ』としか言えん。

 

カーリーにも知恵ある魔物を探して

もらっているらしいが、なんでも

地元の知性ある魔物に頼まれたんだとか?

 

確かに同胞が珍しい魔物として売られて

いたり研究材料にされているなら

何とかしたいと思うのは当然だし、

別に私も魔物だから必ず殺さねばならん

と思ってるわけでもない。

 

それに知性ある魔物を認めないなら

ナーガの眷属やガルーダはどうなんだ?

等と言われたらな。

確かに彼はヴィシュヌ様の乗り物となった存在

だがソレまでは神族に敵対する魔物扱いだった。

まさか彼を出されたらカーリーも

納得するしかなかっただろう。

 

ついでにガネーシャも魔物を調教してるし、

彼らとの共存も可能だろうよ。

 

何と言ってもヒューマンやエルフ、ドワーフ

だって戦争はしていたし、小人族も種族ごと

奴隷のような扱いを受けていた時期だって

あったんだからな。

 

しかし、その存在を認めない連中が

居るのも確かだ。

 

探索系ファミリアの冒険者にしてみたら

魔物は殺すもの。

下手に情けをかければ殺されるし、

ダンジョンで出会ったら知性があるか

どうかなんてわからんだろう。

 

魔物にしても、自分達に無条件に敵意を

向ける冒険者に接触はできまい。

 

結果闇派閥が捕らえて、研究機関や好事家に

売りさばき資金源にしている。

 

ヤツは売った闇派閥や買った連中を捌き、

売られた魔物を解放しているわけか。

 

それで、社会性を持たせるために農業を

させていると・・・

農作物の量や陶磁器の話を聞いてヤツ一人で

出来る事では無いとわかっていたが、まさか

そんなことをしていたとはな。

 

闇派閥を滅ぼさない理由は、奴等が

ダンジョンの中で知性ある魔物を見つける

手段を有している可能性があるから。

 

知性ある魔物は知性の無い魔物に襲われる。

故に同類が保護するか、闇派閥に捕らえるか、

そのまま魔物に殺されるかとなる。

 

殺されるくらいなら闇派閥に捕らえてもらい

出荷したところを、解放して保護すると言う

のが今の流れ。

 

ガネーシャファミリアの怪物祭は、

もしかしたら知性ある魔物との融和策の

可能性も有ると言っていたな。

 

私に望むのは野菜の納品場所の提供か。

 

今まではデメテルのところに運び込んだり

イシュタルのところに運び込んだり

していたが、量が多くなって来たので

どうしても知性ある魔物の手が必要だと。

 

しかしこのオラリオで彼らが人目に着けば

大騒ぎになるから、昼夜問わず人通りが

多いイシュタルのところには運ばせられない。

デメテルの回りはヘルメスやディオニュソス

が何かを企んでいるから向かわせない。

 

それなら弟子が居る我々ソーマファミリアの

倉庫に搬入させて貰えれば、問題は解決する

と判断したわけだ。

 

なんにせよ我々がすることは、倉庫を貸し出すだけ。

 

ヤツは業者や取り引き相手を倉庫に

来るようにすれば良いだけか。

 

不審者の取り締まりはコチラでやっても

良いし、ヤツが殺っても良い。

 

ふむ。特に損はない。断れば野菜の供給が

無くなるが、命を奪ったり危害を加える気も

無いと言っていた。

 

脅しにしては軽すぎるが、間違いなく

本心だった。

ヤツにしてみたら本題のついでの交渉

なのだろうな。

 

本命はあくまで知性ある魔物に対する私の

反応の確認だ。

知ってるか知らないか、それと少しでも

嫌悪の感情を見せていたら・・・

 

ヤツが嘘を吐かないのはいつでも殺せるから。

それと相手の器を見定めるためだろう。

 

ヤツは常に本気だ。そんな相手に小手先の

話術や虚偽など無意味。

そこで中途半端な応対をすれば信用に

値しないと判断され、素材予備軍となる。

 

今はミアハとヘルメスとディオニュソスか?

 

馬鹿なヤツらだ。下界に降りて子供たちと

同じように過ごすと言いながら、やはり

彼らを見下している。

 

下界の子供たちは貴様らの人形では無い

のだぞ?

 

・・・私は人形扱いどころか酒しか見ていな

かったから、本来なら奴等以下なのだろうが、

ヤツ的には情状酌量の余地が有ったようだ。

 

「酒の神が酒を使って眷族を使うのは

当たり前。酒に溺れて歪んだのは

お前の眷族個人個人の問題だ」

 

と言われたが、コレが思考誘導や人形扱いと

判断されていたらどうなっていたことか。

 

まぁ眷族には奴等と距離を取るように

命じたし、元々私は社交的な性格では無い。

 

無駄な接触をする気も無いから、暫くは

秘密厳守で倉庫の提供をしようじゃないか。

 

何せヤツが遠征から返って来たら

リリルカもレベル6だ!

 

ガチムチ三信のお陰でソーマを味見して

下界の子供視点のダメだしが出来るよう

になったし、更に良い酒が造れるぞ!

 

 

――――――――――――――――

 

「いや、ソーマファミリアにいるから

杜氏なんてしてますけど、そもそもリリは

お酒って好きじゃないんですよねー」

 

先生も味見以外じゃ飲まないし、リリの

人生を狂わせた元凶じゃないですか。

 

まぁこうして酒場でナァーザさんと

ご飯食べながら飲む分には楽しいから

良いんですけど、ソーマ様が造った

お酒の味見とダメだしとか。

まるっきりトラウマ直撃案件ですよ!

 

あのときは先生が『子供に酒を飲ませるな』

って言ってソーマ様たちをど突いて

くれましたし、体に残ってた成分もしっかり

抜いてくれたから良いモノの、

そうじゃ無かったらきっと今もリリは

お酒に囚われて悪さしてましたよ?

 

「ま、まぁソーマ様の造ったソーマは神様が

飲むお酒ですからね!

先生も不変の神様を酔わせるんですから、

下界の人間にとっては毒になるって言って

ソーマ様を説教したんですよね?」

 

「そうですねぇ。あのときは先生に

『酒を飲んだ事無いヤツにアルコールの塊を

飲ませたら壊れるに決まってるだろ』って

言われて、ソーマ様も『はっ(゜ロ゜)!』

って顔してました。

神の常識非常識とは良く言ったモノです」

 

いやほんと。リリの意思がどうこうじゃなく

初めから間違ってるんですからね。

 

はぁ~あのときソーマ様が改心しなかったら

リリを引き取って貰えたのになー。

 

「あはは、私からすれば先生の常識も結構ぶっ飛んでますけどね」

 

ん、ナァーザさんはわかってませんね

 

「先生の常識は先生が研究者として研究を

重ねて立証した事柄がほとんどです。

中途半端な倫理とか思い込みが無いから

9割方が事実です。

だからあれは非常識と言うよりは私たちの

視野が狭いんですよ」

 

ある意味で神様達の視点と同じですけど、

神様は地上と天界の常識の差を理解出来て

無いのに対して、先生は何故か天界の

常識まで理解した上でのモノです。

なんと言うか、完成度が違うんですよね。

 

「なるほどなー。だけど9割なんですか?」

 

「残りの1割は可能性だそうですよ。

『遊びがないとつまらんだろ?』

って言ってましたよ」

 

完璧主義者に見えて、完成品は作らない

のが先生の方針です。

常に上を目指せって言う発破をかけてる

とも言いますけどね。

 

「可能性ですか、そうなるとやっぱりアノ話は

本当なんですかね?」

 

「・・・酒場でする話じゃありませんよ?」

 

情報漏洩は処刑案件です。

 

「あ、そ、そうですよね!そんな怖い目

しなくても大丈夫ですよ!」

 

「お酒飲んで話題を出す時点で駄目なんです。

先生の信頼を裏切るようなら・・・

ナァーザさんでも消しますよ?」

 

お酒の勢いを舐めてはいけません。

それに実際リリ達の会話を盗み聞きしてる

連中だって居るんです。

 

もともとはリリが誘った縁。

幕を引くのもリリの仕事ですよね。

 

「・・・はい、すみませんでした」

 

「ナァーザさんは軽率過ぎるんですよ。

もう少し自分が色んな方々に狙われて

居ると言う立場を理解してください」

 

貧乏神の件もそうですし、闇派閥や生産系

にも狙われてるって言うのに・・・なんで

さっさと引っ越さないんですかね?

 

「先生の信頼と言えば私ですよね」

 

「エロフは帰れ」

 

「「あぁん?」」

 

「・・・ミアさんに怒られますよー。

いや、私が悪いんですけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の探索で、先生の探しモノが見つかると

良いんですけどねー。

あのときは他の人たちも居たんで聞けません

でしたが、筆頭様は何か知ってますかね?




原作では白兎がリリルカを死んだことにして
探索とか言ってますがねぇ。

隠したりしないで、珍しいけど自分の
周囲には結構居るぞ?的なニュアンスで
存在を周知させていくスタイル。

昔(○年以上前)から周囲(拠点)に居るし、
頼まれても居るので嘘を言ってません

ギリシャ神話の連中は外見で差別する
(ウラヌスがソレをやった)からギルドや
ギリシャ連中を信用しないスタイル。

インドはスケールが大きいから
大丈夫だろうってお話

一応インドだから無条件に言ってるわけ
ではなく、吹聴して回らないようなのにしか
言ってませんよ?
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