ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない 作:カツヲ武士
オリ設定!
オリ展開!
嫌いな人は読み飛ばし
「ほほう・・・」
こちらにも先触れの使者と言う文化が
あったのか?と思いましたが、
師からの使者であればそれも当然ですね。
あの方は基本的に相手の無礼や無作法は
許しますが、自身は礼儀や作法を
遵守する方です。
内容を考えれば性急ではありますが
その理由が理由です。
本来なら18階層で別れ、一日早く
リリルカが先行する予定でしたが
道中で己より明らかに強い敵である
(この時は正体不明だったようですね)
伯師妹に出会った為、警戒して単独行動を
抑えたと言うなら当然の事と言えましょう。
伯師妹もタイミングが良いのか悪いのか。
一応道中ナマモノに会って伝言を伝えた
と言うことですから、今後は何かしらの
行動を起こすでしょう。
いま私が考えるべきことは、
師と内縁の妻の狐殿と、ミアハとか
言う師を貶める神の下僕の犬が一緒に
35階層まで居ると言う事実です。
しかしわかりませんね
「師と狐殿は良いとして、その犬は
なんなのでしょう?リリルカは何か
聞いていますか?」
敵の下僕にわざわざ師妹や私の情報を
与える意味がわかりません
「私も最近はさっさと殺すべきだと
思ってるんですけど、改善するかも
しれませんし・・・利用価値も
あるみたいなんです」
「利用価値?」
それが無ければわざわざ生かしません、か。
「では師との会話はその犬も聞くのですか?」
正直邪魔はいらないのですけどね
「いえ、私とナァーザさんは闘技場で
鍛錬して春姫さんも筆頭様への
アイサツが終わったらそのまま鍛錬
に参加することになってます」
「ふむ、狐殿からのアイサツですか。
それでは多少の準備が必要ですね。
すみませんが師には・・・貴女の
往復の時間も込みで半日ほどお待ち
頂くようお願いできますか?」
場所が場所ですから、師だけなら
笑って許して下さるでしょうが、
流石に狐殿をなんの準備もなく迎える
わけには行きません。
リリルカが持ってきたアイテムの中
にはその為のモノもあるでしょうしね。
「分かりました。そうなるとおそらく
明日の到着になると思われます」
「ん?あぁ、コレから半日だと
地上では深夜になるのですか?」
18階層で昼夜の確認は出来ますが
一度瞑想に入ってしまうと時間の
感覚がまったく無くなってしまう
のがダンジョンの難点です。
「そうですね。先生も夜は寝るもの
と言う方ですから、野営した後で
来ることになると思います」
ふむ、師を野営させるなど・・・と
言いたいところですが、準備に時間が
必要なのも事実。
さらに師は師で野営すら楽しむ方
ですから問題ありませんか。
「了解しました。ではそのように。
師にはよろしくお伝え下さい」
「はい!では失礼します!」
さて、掃除と沐浴と準備をしなくては・・・
師の弟子の筆頭たる私が狐殿に無作法は
できませんからね。
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「はわわわわ」
どうしましょう、どうしましょう!
正妻様が37階層にいらっしゃる方
だったなんて聞いてませんでしたから、
何も用意をしてきてません!
ご挨拶します!と言ったものの
初対面で何も持ってないのはダメです!
お、お土産になるようなモノは・・・
お料理や食器しかありません。
先生はソレで十分と言ってますが、
殿方と奥様は違うのです!
「リ、リリルカ様!何か、何か
お土産は無いですか!」
正妻様にお会いするとわかって
いるのですから、何かしらの用意は
ありますよね!
「いや、特にないですね」
なかった!
「うーん、先生が服と剣を持って
来てますから、春姫さんはご飯と
お茶で良いと思いますよ?」
「だーめーでーすー!」
お客様のおもてなしならば
それで良いのでしょうけど、正妻様と
内縁の妻では格が違うのですよ?!
最初のご挨拶もできないようでは
「コイツ認めません」
とか言われてしまいます!
「そもそも筆頭様はモノで釣れる
ような方ではありませんし、先生
からのお土産以上に嬉しいモノ
なんて無いんじゃないですかね?」
「そ、その気持ちはわかりますが!」
確かに旦那様から頂いたモノが一番
嬉しいのはわかりますが!
だからといって何も持たないのは
いけませんよ!
「あぁ心配するな。こういう場合の作法もあってな」
「さ、作法があるのですか!」
流石先生!何も用意しなくて良いと
言うのは意地悪でもなんでもなく
根拠があってのことだったんですね!
「うむ、俺が持ってきた土産を春姫が
手渡すのが作法だな」
・・・旦那様が作った服を正妻様に
お渡しするのですか。
なるほど!確かに内縁の妻とはいえ
奥向きの理屈では夫婦ですからね。
旦那様の紹介でお会いするのも
普通ですし、夫婦で別々にお土産を
渡すのもおかしい話。
問題は相手が正妻様だということですが、
先生の地元ではそれで良いというの
でしたら、それが良いのでしょう!
「よ、よろしくお願いします!」
「・・・それは明日弟子に言ってやれ」
ーーーーーーーーーーーーーー
うーん、春姫さんが舞い上がってるわ。
まぁ気持ちは・・・わからないけど。
ミアハ様に奥さんがいて、その人に挨拶に
行くってなったならアレなんだろうけど
私はミアハ様の奥さんって段階で我慢
できそうにないからねぇ。
正妻様ぁ?一番大事なときに居ないで
何を偉そうに!って喧嘩しちゃう
可能性が高いわ。
まぁその一番大変な理由を作ったのは
私なんだけど。
だけどなんだかんだでずっと一緒に
居たし困ったところもあるけど、
ソレもショウガナイって思っちゃってる。
先生に迷惑をかけるのは止めさせない
とダメなんだけどね。
けど今回は色々知りすぎた感じが否めない。
フレイヤ様がベルに目をかけてて
試練を作ってるとか、ヘルメス様が
ソレに便乗してベルを主人公にした
物語を作ろうとしているとか。
ベルに何があるのかはわからない。
正直、今はただの夢見がちな新人
冒険者でしかないよね。
けど、あのオッタルさんがベルの為に
ミノタウロスを鍛えてるって証拠が
ある以上は嘘じゃないんだと思う。
自分の進む道や、自分の選んだ道が
神様によって勝手に決められてる
なんて言うのは正直面白い話では無い。
だけどベルが自身の夢を叶えるために
ダンジョンに潜るなら、ソレは他人
の目的とぶつかることを意味する。
ソレが嫌なら力をつけるしかない。
知恵を磨くしかない。
それにフレイヤ様が与えようとしてる
試練はベルにとってのきっかけとも言えるわ。
そのきっかけが無くてウダツの
上がらない冒険者はいくらでも居る。
欲しても得られないモノを用意
してくれてるんだもの。
冒険者ならむしろ感謝すべきよね。
それに試練の内容もちゃんとベルが
対策を練ってれば問題なく突破
出来るレベルのもの。
ミノタウロスは確かに強敵だけど、
一度上層で襲われたベルがなんの
備えもしてないはずがない。
咆哮は危険だけど、ソレ以外なら
レベル1でも戦える。
別に特殊な装備品でもいいよね。
魔剣みたいな使い捨ての武器だって
ミノタウロスを倒せるし、
何かの罠でもいい。
ソレで足を壊せば一番怖い突進力が
無くなるからね。
魔法も覚えたらしいし、相手も
強化種じゃないなら多少頑丈で戦いを
覚えただけのミノタウロスだもの。
対策自体は変わらない。
むしろトラウマを解消できる優しい
試練とも言えるわ。
ソレを考えれば私にもフレイヤ様と
ヘルメス様の違いは分かる。
フレイヤ様はベルを英雄に育てたくて
ヘルメス様はベルを主人公にしたい。
英雄は進む道は自分で決めるけど、
主人公は作者の都合で動くもの。
そもそも下界に暇つぶしに来た
神様に善悪を期待するなってことか。
ミアハ様は・・・性分よね。
行動自体は善だけど、その結果が
周囲を傷つける悪になってることを
理解出来てない。
行動も視野もあまりにも狭いのよね。
だからヘルメス様やディオニュソス様の
都合の良いように動いてる。
先生もソレを知ってるから殺さない。
人形を壊しても人形使いが生きていれば
同じことが繰り返されるだけだもの。
次の人形が誰かわからなくなるから
生かされてるのよね?
それでも多分限界が近いわ。
リリルカさんもイシュタルファミリアの
人たちも何度も警告はくれている。
そして私はソレを無視してる形。
ここまで迷惑をかけて、警告まで
してもらってるのに態度を改め
無いのは明らかに失敗だった!
先生だって優しくはあるけど甘くはない。
・・・現状を甘く見すぎてたのね。
今はもう私に利用価値が無いと判断されたら
すぐにでも殺されちゃうでしょう。
違うか。私たちにそこまでの価値は無い。
先生が私たちから手を引くだけで勝手に
死ぬもんね。
ミアハ様は絶対に止める。
説得しても改善してもらえなかったら
ディアンケヒト様に借金返してから
無理やり袋に詰めて都市外に逃げよう!
これから迷宮都市は荒れるから
その方がミアハ様も私も安全だし。
なんたって
「・・・知性ある魔物が実在した」
この存在は迷宮都市を大きく揺さぶる
ことになるわ。
リリルカさんも喋る人魚に会って
情報をもらったらしいし、そもそも
私たちに接触してきたウィーネも
知性ある魔物だった。
ギルドもガネーシャファミリアも
すでに知ってて、ソレを認知させる
ために色々動いてる?
先生は闇派閥に捕らえられて外に
売られた彼らを開放して自分の
農園で働かせてる?
今や普通にお茶や野菜の収穫まで出来る?
オッタルさんには言わなかったけど
もしかしたらダンジョンで死んだ
ヒトの魂がリンネの輪に入れずに
そのまま魔物に入ってる可能性まである?
リンネって言うのがよくわからなかった
けど、ヒトの魂は死んだら天界に行くの
よね?でも天界に行くことが出来ずに
ダンジョンに捕まってしまった魂が
新たに生まれる魔物の体に宿って
しまったら・・・魔物にも人間にも
狙われる彼らが生まれるのね。
魔物は殺すものだと考えてる迷宮都市
の冒険者にしてみたら衝撃的な話。
私もそうだったし、今だって
正直魔物と分かり合えるって
言われても・・・
「ナァーザさんは魔物にトラウマが
ありますからね、中々納得は
難しいかもしれませんよねぇ」
・・・口に出してたか
「そうですね。まぁ先生も無理に
納得する必要はないって言って
くれましたから幾分は楽ですけど」
魔物より、同じヒトの方が大量にヒトを
殺してると言われればその通りだって
言うのもわかるんだけどね。
「それはそうです。所詮ダンジョンに
潜る冒険者は独立独歩で自己責任が原則。
先生が何を言おうが最終的には自分の
意思で全部決めなきゃ行けません」
「・・・そうですね」
ソレを言えば私達も自己責任。
準備が足りなかった。
訓練が足りなかった。
連携が足りなかった。
覚悟が足りなかった。
だからこうなった。
そう言われたらソレ以上は何も言えない。
ダンジョンで魔物に殺されて、
それから魔物に生まれ変わって
冒険者に殺されるよりは、
死ななかっただけマシとも言えるしね。
「それでも、もしナァーザさんが
先生と敵対する道を選んだら・・・」
あぁ、別に言わなくても良いのに。
リリルカさんは優しいなぁ。
「・・・出来たらあんまり
痛くしないで欲しいですね」
それとダンジョンで殺すのは勘弁
して欲しいかな。
「あぁソレは安心してください。
一撃で頭を潰してあげますよ!」
安心・・・まぁある意味では安心
できるかな。
「あ、あはは。そうならないように
努力しますね」
そう、これ以上の怠慢は許されない。
全力でミアハ様を説得しなきゃ!
もし無理でも逃げるか、最悪の場合は
リリルカさんにお願いしよう!
・・・先生は実験するって話だしね。
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どうやら視野は開けたようですね。
流石にこれだけの情報を貰って
意識改善しないなら、地上に戻って
ステイタス更新した後で貧乏神を
ソーマファミリアとイシュタル
ファミリアで監禁してましたよ?
これなら大丈夫でしょう。
筆頭様にはきちんとフォローして
あげます。
命奪崩壊拳は使ってもらいますけどね!
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「来ましたか・・・」
数は3?リリルカと他2名は知らない
気配ですが、4人では??
「久しいな弟子。俺を呼びつける
とは偉くなったもんだ」
くぁwせdrftgyふじこlp?!
「リアクションに幅が増えたか?
だが妙に緊張してる・・・まぁ
久し振りだし、春姫も居るから当然か?」
「こ、この腹黒腐れ目はっ!
感動の再会とかそういうのは
ないんですかっ!」
私の覚悟と緊張を返せ!
「ん?いや、お前が俺に会いに
来るのはわかってたからな。
こっちも色々準備はしたが、
感動云々を俺に求めるのは・・・
無理がないか?」
確かにそーだけど!
外道にそんなの求めるのは
間違ってるって思うけどっ!
こう、色々あるでしょう?
・・・それもこれも私を信頼して
いたって言うならしょうがないですけどね。
「そーですかそーですか。
それで、とんでもない無茶降りをする
腐れ目で、腹黒で、無情で、非道で、
悪逆な師匠はこんな素直ないい弟子に
対して何かないんですか?」
ほら、褒めるなり頭を撫でるなり
しても良いんですよ?
「弟子としてなら・・・技が鈍ってる」
「・・・申し訳ありません」
言葉の選択を間違えました。
そりゃそーですよね。
鍛えることは怠ってませんでしたが、
師が亡くなってからは李厳殿も多忙
でしたし、私は私で西蒙の内政と
戦と子育て。ソレが終わったら晋国内の
監査でしたから、個人技なんて維持が精一杯。
卑弥呼殿や左慈殿に鍛えて貰うことも
ありましたが、やはり流派が違うので
基礎鍛錬だけでしたし。
せいぜいが至上を使った剣技を磨く
だけで、他は劣化したでしょうね。
あぁ、失望させてしまいましたか・・・
「だが想像を絶する多忙の中、師である
俺が居ないのにそこまで武を維持出来た
のは見事と言って良いだろう。
流石は最高で自慢の弟子だよ」
「そ、そうでしょうそうでしょう!
私は素直で最高の弟子ですからね!」
失望されてません!むしろ褒められた?!
いや、まて、この人が褒める時は
絶対に裏がある!
「これからは暫く俺の錆落としに
付き合ってもらう。
ついでにお前も鍛え直しだ」
ん?それなら別にいつものことです。
むしろ望むところと言えますね。
「前と違って俺も劣化して無いし
今更無駄な政治を教える必要もない。
白っ子も見つかったし、まずは徹底的に
武を磨こうか!」
・・・待て待て。伯師妹はともかく、
今の師は相当ヤバいんじゃないですかね?
「わ、私は文官ですから・・・」
「そうか、なら今は無職だな」
ウカツっ!!まさかここでこんな
罠を仕掛けてくるとはっ!
「・・・お前の就職については良い。
お前から聞きたいこともあるし、
お前にやってもらうこともあるからな」
「あぁ、また悪巧みですか?」
まったくこの人は。目は腐ってませんが、
腐った心は治らないようです。
「そうだ、今回はお前も最後まで
付き合ってもらうぞ雪蘭」
「無論です林冲様のお好きなように」
前みたいに置いて行かれても
困りますからね。
無理矢理にでも着いていきますよ。
「取り合えずあれだ、頭を撫でて
やるからその仮面外せ。
・・・それともソレは外せないのか?」
「・・・そういえば私、仮面してましたね」
犬耳、瀬戸際に追い詰められてることを
自覚してようやく覚悟完了したもよう
リリルカもなんだかんだで友達だから
心配と失望の間で揺れてたんですね。
この二人はこんな感じで良いんです。
当人同士がわかってれば良いんです。ってお話