書類をトントンと揃えてから袋に入れ、荷物を準備していると郵便受けに手紙が入る音が大きく鳴った。
「何が来たんだろう」
「心当たりは無いんですか?」
ケモミミーさんはおっさんが居ないと普通に話す。最初は違和感があったが、今では慣れた。
一度作業を中断して郵便受けに向かうと、1枚の封筒が入っていた。送り主は……おっさんと書いてある。封を切り、中身を見ると1枚の変わった紙が……
『ほら、もう一度いってみろ』
『フーッフーッ、あ、あたしはおっさん様のメス――』
ビリィと紙を破る。何かもう少しで何かが危なかった気がする。
「あ、これってnhoo記録用紙ですね。高いし短時間ですけど音声と画像の記録が出来るんですが……まさかこんなことに使うとは」
本当だよ。何でファンタジー世界で知らない奴の寝とられアへ顔ダブルピースビデオレター送られなきゃいけないんだ。
「あ、まだもう一枚入ってますよ。えーっと……」
『わ、わかりました!!ギルドから貴方のお店に無利子無担保返金義務無しで資金を提供しますので、だから早く、私にその――』
「……嫌いな人の惨めなところ見てたら何か興奮してきました。ねぇ、計画書出さなくてよくなったみたいなので今からヤりません?」
「まだ日が高いから……後、中身はともかく提出は必要だろ」
せっかく書いたのを無駄にするのも何か悔しいし。
「じゃあ早く出してきて帰ったらヤりましょう」
「……何か昔の時代は10人兄妹とか居たのがわかるな」
元々今日提出しに行く予定だったので、既に準備はほとんど終わっている。
「じゃあ私は先に向こうに行ってますね。私の担当ではありますけど、流石にプライベートでこういう関係となると色々問題ありますので」
「分かった。じゃあちょっと遅れていくわ」
「早く終わらせて帰りましょうね」
軽く伸びをしてからケモミミーさんは立ちあがり、そのまま部屋を出ていった。
俺は荷物を纏めてから封筒を机に仕舞おうとすると、中にまだ何かが入っていることに気が付く。上手く取れないので、中身を机の上にバサバサと落とすと数枚の5角形に折られた紙に日本語で書かれている。内容は『今度生む薬』『生える薬』『媚薬』『でかくする薬』『沢山出る薬』etc……
俺は少し迷ってから幾つかを机に仕舞って、残りはゴミ箱に投げ捨てた。
窓から外の大時計を見るが、全然時間は進んでいなかった。
「まだ早いけど、寄り道しながらいけばちょうど良い頃に着くかな」
この世界には時計は既に存在している。腕時計も高額だが存在している。聞いたところによると、蒸気機関も有るらしい。まだ、蒸気機関を利用した物は存在していないみたいだがらこれからもしかしたら工業化していくのかもしれない。別に俺が発明しても良いかもしれないが……
「せっかくのファンタジーを楽しまないとな」