チート特典エロ同人のおっさん   作:ワックス

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薬取歌

「やあ、調子はどうでやすか?」

「今回は遅かったな、今日から開店だ」

 

 暫くおっさんは顔を出していなかった。その間に妙にもじもじしてる人に事業計画話してお金借りたり、建物選んだり仕入れたり、この世界の常識を聞いたりしていた。

 

「おっさんは佐藤さんのチート特典でやすから、貴方が必要としていない限りおっさんは現れないんですぜ」

「まあ今まで助けてはもらっていたと思うけど、何か認めたくないな」

 

 というかそういうギミックだったのか。

 

「さて、お店の店員は佐藤さんと……このメスエルフは?」

「この前ダンジョンで助けた子のルーエ。冒険者を諦めたんだってさ。地元への交通費を稼ぐために働き口探してたから」

 

 おっさんがいない間にもちょっと色々有ったのだ。店員も欲しいけど、ケモミミーさんはギルドの仕事有るから手伝えないし丁度良かった。

 エルフは長く生きてるからか、頭の良さはともかく知識は豊富なものが多い。具体的に言うとルーエは五桁の掛け算を九九のように暗記している上に言語を十以上話せる程で、頭脳労働では引っ張りだこな人材だったりする。正直この店で働くには勿体無い。

 

「おっさんは何をやれば良いんで?」

「そうだな。この世界不思議なことにレジもコインカウンターも有るし会計はこっちでやるから、他の品出しとか頼める?」

「はい、任されやした」

 

 何度かこの世界のコインカウンターを弄る。この国のコインは全て同じ大きさ、同じ厚みであり特定の金属がどれだけ含まれているかで価値が決まる。

 偽物を掴まされないようにカウンターに付いている投入口に入れると、重さ大きさで本物か見分けることができるようになっているらしい。

 

「そんな初体験前の童貞みたいに緊張せずに気やったほうがいいですぜ?そんなんじゃ立つものも立ちませんぜ」

「…………」

「どうせ新しい店といっても近所にコンビニやラーメン屋ができるようなもので、そんなに大したことじゃないんです。ヤり部屋に行くような気分で気軽に……」

「……結構悩んだ身としては少しイラッとくるが確かにそうだな。まさか特別な店というわけでもないし行列が出来るなんて無いし」

 

 そう思い外を見ると、やはり誰もいない。ちょっと残念だが安心もした。

 

「さとう店長、もうそろそろ時間なので、旗の準備してきます」

「わかった。お願いします」

 

 この地域だと店は営業中は旗を上げる。前の世界のopenーcloseのひっくり返すやつみたいなものだ。

 

「あ、そうだ佐藤さん。この前送った封筒見てくれやしたか?」

「見たよ。これからは音声とかいらんから紙で――」

「いや、そっちじゃなく一緒にはいってた薬なんでやすが……」

 

 カランと扉からベルが鳴り、纏まった人数が入ってくる。

 

「ルーエ!!来たぞー」

「おー悪くないじゃん」

「サトウさんおはようございます」

「ふぁぁ……皆よく眠くないね」

「んー、ちょっと変わった雰囲気」

 

 ルーエの元仕事仲間だ。地元でも友達だったらしいが、これは……お客様で良いんだよな?

 少し迷ってると裏からルーエが戻ってくる。

 

「おお、いらっしゃいナルミー」

「おうルーエ元気そうだな。皆が折角だしここでお金落としていこうってな」

「使ってけ使ってけー」

 

 ワイワイしながら彼女たちが商品棚を見ていく。取り合えず開店0人は回避できたようだ。

 そのうち他のお客様もチラホラ入ってきて仕事一日目が始まった。

 

 暫くして、棚の補充と整理をし始めると不意に袖を引っ張られる。振り替えると大人しそうな人間の女性がいた。

 

「あの……探してるものがあって」

「何をお探しで?」

「ぁの……その……子供が出来る薬を」

「えっ」

 

 有るといえば有るが、何故それを知っているのか。

 

「その、ギルドの私のお友達が教えてくれたんです。ここで働いている人に薬に詳しい人がおるって。わたし、子供が出来なくて………」

 

 ……理由は結構切実だ。だが、良いのだろうか。おっさんのにより作られた孕み100%と書かれたふざけたような薬をこんなに悩んでいる人に渡しても。飲んだらエロ同人補正で感動3000倍とかフタナリになるとか副作用あるかもわからないし。

 

(佐藤さん……おっさんです……いま催眠術の応用で心に話しかけています……あの薬に副作用は無いです……ご安心を……)

 

何かもうおっさん何でもありだな。

 

「……効果も副作用についても確かな保証は出来ませんが。それでも良いなら」

「ありがとうございます!」

 

 裏から何かあったとき用に取っていた五角形に折られた紙に包まれた薬を持ってくる。

 

「こちら飲み込めば効果が出るらしいので……」

「これであたし、今度こそ……!」

 

 色々大変なことがあったのかなと考えていると、レジのルーエが助けが欲しいとジェスチャーをしていた。

 

「では、お会計はあちらで」

「はい!!」

 

 とレジの応援に行こうとすると、今度は別の人に袖を掴まれる。

 

「性病に効く薬があるって……」

「ちょっとお待ちくださ――」

「勃起するようになる薬があるって本当ですか?」

「あのー避妊薬あるって……」

 

 ……いったい何が起きてるんだ

 

(おっさんです……佐藤さん、お店が繁盛するようにギルドの行き遅れメスを使ってそれとなく宣伝しておきました……)

 

 お前の仕業だったのか!

 

 

 ーーーーその後、俺の店は性の悩みを解決してくれるとして繁盛しました

 


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