東方新記伝 : リメイク版   作:黒鉄球

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第十三話 宴会〜人形使い〜

 

 

 

文から解放された俺は縁側で日本酒を嗜んでいた。怒涛の質問攻めで疲れたということもあってか口に運ぶ回数は増えていた。だが酒に強い体質なのかあまり酔ってはいなかった。因みに今は俺一人だ。霊夢とフランはレミリア達の元へ向かっていた。なぜ俺が向かっていないのかというと知ってる人の元へ行ったら入り浸りそうで他と交流が持てないと思ったからだ。せっかく自分の能力のことを吹っ切ったのだから色々な人と話したかったのだ。これはその前の休憩のようなものだ。

 

「おーい!」

 

あぁ、神様よ。何故休憩をしているのに更に疲れるような人間を俺の元へと呼び寄せるのでしょうか、と神にはあまり祈らないくせに神に文句を言う俺であった。

 

「よう皐月!友達連れてきてやったぜ!」

 

霧雨魔理沙はそんなこともつゆ知らず、満面の笑みで俺の元へと駆けてきた。

 

「頼んでもないことをわざわざやりに来るとはご苦労なことで。で、その子の名前は?」

 

皮肉たっぷりの答えを返しながらも一応傍にいる少女のことを聞く。

 

「アリスよ、アリス・マーガトロイド。よろしく」

 

そう答えたのは魔理沙ではなく傍の少女だった。青色と白いフリルを基調としたドレスを着た金の単発をしていた。ぱっと見人形に見えるほど顔が整っていた。こういうのを「わぁ、お人形さんみたい」というのだろう。え、違う?気にしない気にしない。

 

「よろしく。俺は神条皐月だ。誠に遺憾ながらそこの騒がしい金髪魔女っ子の……知り合い?みたいなもんだ」

 

「ひっでぇな!友達だろ!?」

 

「あら、奇遇ね。私も誠に遺憾ながらこの子の知り合いなの」

 

「アリスまで!?」

 

ジョークの応酬で肩をがっくり落とす魔理沙だが俺もアリスも気にしない。相手にすると面倒臭そうだから。それにしても適当なジョークにちゃんと返してくれるとはこいつ中々やるな。姫様との会話を覚えててよかったぜ。お陰で距離感を間違えずに済んだ。

 

「安心しろ魔理沙、軽いジョークだよ。ちゃんと友達だって思ってるから」

 

「当たり前だ!出会い頭にどキツイ事言いやがって!ちゃんと友好関係築けてるようで安心だよちくしょう!」

 

ここで安否を心配してくれる魔理沙はやはり優しいと思う。隣にいるアリスも魔理沙に「ゴメンゴメン」と肩を軽く叩きながら言っていた。こいつらも大概仲がいいな。それよりも俺はさっきから気になってることがある。アリスの横に浮いているものについてだ。

 

「なぁ、それ人形か?なんで浮いてんの?」

 

俺は横に浮いてる人形について指摘した。どう考えても異能の類だが一応聞いておいて損はないだろう。初めて話す相手にはもってこいの話題だろうから。

 

「え、あぁ。私の能力よ。『人形を操る程度の能力』っていうね。今はこの子は半自律型の人形なんだけど、いつか完全自律型の人形を作るのが私の目標なの」

 

人形使いアリス・マーガトロイドと言ったところだろう。アリスが「挨拶しなさい」と言ったら人形がお辞儀をして来た。半自律型というのはどうやら本当らしい。俺は指を顎にあて、「なるほど」と一言ついた。それ程に面白い能力だと思った。

 

「完全自律型の人形か。それは意志を持った人形を作るってことか?」

 

「あら?この答えにすぐにたどり着くなんてあなた中々頭の回転が早いのね」

 

アリスは感心したように言った。俺も「まぁな」と一言言った。なぜ、俺がこの答えにたどり着いたのかというのはとてもシンプルな答えだ。先程人形はアリスの命令で挨拶をした。これは人形に魔力を流して命令を下しているのと同義だ。つまり完全自律型というのは命令をする事なく動く人形ということになる。あたりをつけるのは造作もないことだった。

 

「お前凄いな……。魔法のことなんて全く分からないのに」

 

魔理沙が目を見開いて驚いていた。魔法歴で言えば断然俺より先輩だ。てんでど素人な俺が導き出したのが信じられないのだろう。

 

「外の世界じゃクローンなんてものを作ろうとしてる時代だからな。想像するのは難しくねぇんだよ」

 

「くろーん?なんだそれ?」

 

クローンとは細胞を活用して作り出された人間のことを指す。その細胞の持ち主と同じ容姿、同じ声、同じ思考能力を持った分身だ。幻想郷には伝わっていないのか魔理沙は目に見えてはてなを浮かべていたので説明してやった。魔理沙もアリスも「ほへー」と夢物語を聞いたかのように返事をしていたのがなんとなく面白かった。

 

「外の世界の連中は面白いこと考えるな!」

 

魔理沙は単純だから無邪気なことを言っているがアリスはずっと黙っていた。

 

「………ねぇ」

 

答えがまとめ終わったのかアリスは口を開いた。

 

「そのクローンって本当にその人なの?」

 

「いい質問だな。こればっかりは俺も分からんし想像でしか言えないけど俺はその人とは呼べないな」

 

アリスは俺の回答に対してやはりと言った顔をしていた。普通に考えたら「クローンってその人の思考を持った分身だろ」という答えに辿り着く。だがそこまで単純な話ではない。その細胞の持ち主の記憶を持った全くの別人(・・・・・)なのではないかと俺は考えている。思考回路は全く同じでもその次に考えるのはあくまでその時生きてるそいつ自身だ。同じであって同じではない行動をとる。なにせ全く同じことをする人間はこの世には存在しない。見て、触れて、学んだものが違うのならばそれはもう一つの可能性のその人だ。同一人物であって別人であり、別人であって同一人物なのだと俺は思う。

 

アリスは俺のこの説明に納得をした顔をしていた。魔理沙も同様納得した顔をしていた。魔理沙、バカなのに頭いいから理解してるんだよな。なんか悔しい。

 

「あなたのいた世界って凄いのね。でも、理論上は出来そうなものなら私の悲願もいつか叶うのかしらね」

 

クローン技術の話を聞いて少し自信がついたのか笑顔だった。アリスの目的は完全自律型の人形を作ること。人格を埋め込み、人と同じ様にする。科学的にはそれなりの理論が成り立っている中、魔法にもその理論はあるはずだと考えたのだろう。俺は思った。魔法使いというのはみんなこういう生き物なのか、と。魔理沙を除いて。

 

「いま少し不穏な空気を感じたぜ」

 

………魔法使いはみんな心を読む力でもあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 




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