東方新記伝 : リメイク版   作:黒鉄球

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レポートあって進まないなーと思った矢先にインフルエンザにかかりました。更にテスト日というクソ事態。運命様は俺のこと嫌いなのですか?

天空の覇者さん、クロス・スカーレットさん、バクテストさん、fiaeheizaiさん、よしぺーさん、白兎。さん、黒ノ姫さん、伊那神さん。お気に入り登録ありがとうございます。


第二話 全てを受け入れる幻想郷は怖い

「こんにゃろー!何であたらねぇんだ!」

 

光の玉を大量に浴びせてくる金髪魔女っ子。

 

「アホか!これでも精一杯逃げてんだ!まずそこ褒めろ……よ!」

 

いきなり戦いを挑まれたポケモントレーナー気分の俺。

 

「反撃してるじゃねぇか!」

 

「………ねぇ。何であいつあんなに動けてんのよ。本当に一般人なのかしら?」

 

「どう考えても違うわね」

 

我関せずな腋巫女と扇子で口元を隠してる金髪美女。

 

「分析してないで助けてくれませんかね!?」

 

元はと言えばお前らが余計なこと言わなけりゃこうなってねぇんだよ!

 

 

 

 

 

 

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一通り幻想郷の事を聞いた俺はここに残り続けることを決めた。ここから俺の新たな生活が始まるぜヒャッハーとなっていたのだがすぐに問題に激突した。

 

「あんた寝床どうするの?」

 

そう、俺の住居である。ここにお部屋探しマストがあれば苦労はないんだろうけどそんなものはないという。さて、どうしたものか。この際今日は野宿でもいいんだよなぁ。一応提案してみた。

 

「やめた方がいいわよ。ここには人を喰う妖怪だっているし中には盗賊に成り下がった人もいるから殺されちゃうわよ?」

 

成る程それは面倒臭いな。気配消せば何とかなるかな。

 

「それにあんたやけに霊力(・・)が高いんだから余計ちょっかいかけられるわよ」

 

「………なんて?」

 

ものすごく変な声が出た。今霊夢は『霊力』つったのか?え、嘘でしょ?俺そんなの知らない………わけではないけど。どうしよう、俺のこれ(・・)については語りたくないんだよな。いかん、トラウマが。

 

「だから霊力よ。結界のことをなにも不思議がらなかったじゃない。だから知ってるもんかと思ってたけど?」

 

迂闊すぎるだろ俺。普通は結界だなんだってのは一般人には縁遠いただの絵空事のような力だ。愚かすぎて泣けるぞ……。適当に誤魔化すしかないな。

 

「俺の世界じゃ霊媒師ってのがいてだな。いや、俺は信じてないんだけど神殿を築くだとか結界を張って悪霊をどうとかってのがテレビでやってんだ。まぁただ何となくで「へーそりゃすごいや」くらいに思ってただけだ」

 

めちゃくちゃ早口で弁明した。やばいちょっとやばいかなりやばい。完全に嘘下手くそな人だよこれじゃ。霊夢の反応はどうだろうかと見ているとすぐさまジト目になった。

 

「……男って嘘をついたり、やましい事があると早口になるって紫から聞いたんだけど本当みたいね」

 

バレテーラ……。ちくしょう紫とか言う人許さん。いつか会ったら弱み握っていじり倒してやる。黒い感情はさておき、どうしたものか。俺のことを伏せつつ言うか。くそ、面倒な。

 

「………俺の知り合いが使えるんだよ。俺は霊力が多いだけのただの木偶の坊だよ」

 

嘘は言ってない。知り合いが使えるって点は嘘じゃないからな。

 

「それは興味深いですわね」

 

途端に寒気がした。後ろから声が聞こえてきたからである。気配を察知させず、突然現れた声。……女性か。さて、その顔拝もうか!

 

「はぁ……また来た」

 

「そんなこと言わないで笑顔でいなさい。貴女可愛いんだから」

 

「あーはいはい」

 

適当に流された人は上半身だけを外に出し、下半身を目玉だらけの空間に入れてる。……え、誰?なにその目玉?怖いんだけどめっちゃ怖いんだけど。っていうかなんだこの妖力……妖怪の主レベルじゃねぇか。

 

「あのぉ……霊夢さんや?この人誰です?」

 

「なにその爺さんみたいな聞き方。さっき言った紫よ」

 

「どうも〜♪」

 

ジト目のまま面倒臭そうな顔をしている霊夢とは反対に笑顔で手を振っているこいつが……紫。こいつが…………霊夢に余計なことを言ったやつか。やめよう、こいつにちょっかいかけるの。殺されるわ。

 

「ねぇ、なんでこの人引いてるの?」

 

「あんたみたいなのが来たらビビるわよ。霊力持ってるってことは紫の妖力くらい感知できるでしょ」

 

的を得ているとしか言えない。実際少しビビってる。なににビビってるってこんな妖力を持ったやついじり倒そうとした俺にビビってる。バカジャネーノ。

 

「そんな引かなくていいわよ。私は八雲紫よ。この子の親代わりで幻想郷の管理者なの」

 

「賢者って呼ばれてるわ。っていうかあんた親じゃないでしょ。妖怪だし。しかも親代わりって自称でしょ」

 

自己紹介の言葉に続いて『賢者』という言葉を使った霊夢。っていうか自称なのかよ。

 

「……神条皐月だ。今日から幻想郷で世話になる。よろしく」

 

「ええ、よろしくね」

 

今日ここで、初めて妖怪を見た。俺はここで固く誓った。余計なことするのやめよう、と。

 

 

 

 

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場所は変わって博麗神社の中。とりあえず上がっていきなさいとの事でお邪魔させてもらった。そして八雲から幻想郷のことを色々教えてもらった。システムについてと彼女が博麗大結界の維持をし、幻想郷の創設者であることを。

 

「大方分かったよ。殺し合いを廃止して『弾幕ごっこ』ってのに変わったこととか知らなかったからな」

 

俺は霊夢の出してくれたお茶を啜った。美味いなこの茶。日本人の血筋素晴らしい。

 

「でも貴方は使えないのでしょう?さっき言ってたものね。『霊力が大きいだけの木偶の坊』って」

 

部屋に上がる際全身を出して俺と向かい合う形で座った八雲が言った。なんだか導師のような服着てるし、八卦描かれてるから陰陽師かと思った。妖力持ってんだから妖怪だっつーの。

 

「その光の玉?の出し方知らんしな。でもあれだろ?普及して間もないんだから殺し合いとかザラにあるんだろ?」

 

「残念なことにね。知的指数が高い妖怪は従ってくれてるんだけど本能の赴くままに動く妖怪もいるから」

 

「その度に私が退治しに行かなきゃいけないんだからやってらんないわよ」

 

頬杖をついて愚痴る霊夢。妖怪が暴れるたびに退治しなきゃならないらしい。どうやらこいつは妖怪を退治してその対価として食料を貰ってギリギリの生活を送ってるというのだ。道理で500円に対して感激の目をしてたわけだ。それなんてブラック企業?

 

「そのおかげで貴女餓死してないんだから文句言わない。というか貴女、神社でダラダラしてるだけじゃない」

 

「うっ……」

 

痛いところを突かれたのだろう。表情が変わった。なんだ、自業自得じゃないか。こいつなに自分のせいじゃないですオーラ出してんだ。おい、こっち向け。

 

「魔理沙がやってるんだからいいでしよ!私はお茶とお茶受けがあれば生きていけるのよ!それに山菜もある!こうしてやっていけてるんだからお願いだからそんな可哀想なものを見るような目で見ないで!」

 

半泣きしながら抗議してくる霊夢を本当に可哀想な目でみてる八雲。いや、どう考えても霊夢が悪い。

 

「だって貴女あんまり外に出ないじゃない。そういうの『にーと』っていうのよ」

 

それは語弊があるが大方あってる。働かずに引きこもってるやつをニートというがこいつは多少は働いている。頻度は少ないっぽいけど。

 

「……誰か異変起こせ」

 

「おい、不穏なこと言うな」

 

異変というのは幻想郷で起きた事件のことを指すらしい(八雲談)。とんでもなくとんでもないことをほざきやがったこのやろう。実はこいつを退治したほうがいいんじゃないか?

 

「お前異変を解決する側の人間だろうが……」

 

「異変を起こすのは妖怪の専売特許じゃないわ。誰でも起こすし、誰もがそれを止め「おーい霊夢!遊びに来てやったぜー!」………面倒くさいのが来たわね」

 

ため息をつきながら縁側へ向かう霊夢。面倒くさいと言っておきながら向かうのだから実は真面目で優しいのではないかと錯覚する。金にがめついしワガママだけど。あれ?今ので良いところ帳消ししたぞ。

 

「あんた昨日もきたじゃない。なにしにきたわけ?」

 

「だから遊びに来てやったんだって。今日は絶対ここに来なきゃって私の勘が囁いたんだ」

 

「それ私のセリフ」

 

顔だけ襖から顔を出して様子を見ると黒い大きな帽子が見えた。片手に箒、白と黒を基調とした服、そして金髪。見てくれだけだと所謂『魔法使い』のようだ。俺に気付いたのだろう、目を見開いた。

 

「霊夢、そいつなんだ?私の知らない間に男でも作ったのか?」

 

「ばっか違うわよ。外来人よ。今日ここで拾ったの」

 

おい待て誰が捨て犬か。

 

「お前外来人か!私は霧雨魔理沙だ、ヨロシクな!」

 

「元気いいなお前……。神条皐月だ、幻想入りしてこのまま移住する気なんでよろしくな霧雨」

 

「魔理沙でいいよ。霧雨って言われるの慣れてないし」

 

当たり障りのない挨拶で終わらせる。霧雨改め魔理沙は笑顔で返して来た。多分こいつは裏表のない性格なのだろう。元気100倍ア○パ○マ○なのだろう、というのが第一印象。静の霊夢、剛の魔理沙と言ったところか。どこの北斗兄弟だお前ら。

 

「魔理沙、丁度いいわ。皐月の相手しなさい。かなり多くの霊力を有してるわよ」

 

八雲がひょっこり顔を出して余計なことを言った。

 

「待てや、俺は霊力だけで弾幕撃てないって言っただろ。だからそんな目を輝かせんな魔理沙。俺は戦えない」

 

「なら教えてやるよ!あ、大丈夫加減するから!」

 

 

そういう問題ではない。と言ってもこいつは聞かないな。こいつ我を是が非でも通すタイプか。確かに少し面倒くさい、ほら霊夢。なんか言ってやれ。お前は俺の味方だもんな!

 

「いいじゃない、やってみなさいよ。あんただってこのままじゃ妖怪に食われて終わるだけよ?」

 

えぇ………魔理沙に味方すんのかよ

 

「弾幕は威力だぜ!」

 

おっとものすごくやばい言葉が聞こえたぞ?

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

ということがあった。あの後適当にやったら光の玉が出て来て、この状況。流石にヤバイ。なにがヤバイって「加減する」とか言っておきながらかなりの量の弾幕を展開してるのがヤバイ。生身の状態でここまで逃げきれてるんだから褒めて欲しい。

 

「お前実は戦い慣れてるんじゃないか?!」

 

「んなわけあるか!こんな状況初めてだわ!つーか加減はどこいった!?」

 

「お前が予想以上に逃げるからいらねぇなって判断したんだよ!」

 

弾幕を打つ手を止めない魔理沙に対して全力で走り回ってる俺。ふざけんなそんな理由で殺されかけてたまるか!あ、死なないんだっけ。これ遊びなんだっけ。にしてもやりすぎだろ。

 

「皐月!走りながらでいいから聞きなさい!」

 

「無理あるけど何だ?!」

 

「変化球投げなさい!外の世界での『やきゅう』を連想しなさい!そしたら一矢報いることが出来るわよ」

 

「八雲お前馬鹿じゃねぇの!?今の状況で出来るわけねぇだろ!」

 

全力疾走でなんとか避けてるのに変化球なんて投げる余裕ねぇよ?無理難題すぎるだろ。一発でも当たったら俺のことがバレる。それだけはなんとか避けたい。あと野球なんてよく知ってるなお前!

 

「それともう一つ!」

 

「なんぞな?!」

 

なんだ?また余計なこと言うのか?俺には無理だあきらめろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のことは紫でいいわよー!」

 

「今言うことじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空気を読め!呼ぶけど!お前がそれでいいならな!でも!タイミングが!!おかしい!!!

 

「逃げんな!!」

 

怒号が飛んできた。いや、待って無理死んじゃう勘弁してください。

 

「当たったら痛いだろう……が!」

 

右手で生成した弾幕(10個)を同時に投げた。ただ……大暴投してるけど。

 

「どこ投げてんだ?これで終わらせてやるぜ!《恋符 : マスタースパーク》!」

 

魔理沙は箒の上から物体を取り出した。目に見えるレベルで力が収束していくのが分かる。間違いなく……。

 

「魔理沙のバカ!スペルカードなんて撃ったらここ荒れるでしょうが!」

 

「え?そこ?」

 

「霊夢、そこじゃないわよ。このままじゃ皐月が跡形もなくなるわ」

 

「そこ!冷静に分析すんな!そう思うんならあいつを止めろよ!」

 

「くらえ!」

 

どうやら充填が済んだようだ。あーあ、このまま当たったら死ぬのだろうか。いつぞやか死のうとした時のことを思い出す。まぁ挫折したけど。これが走馬灯か。だが………。

 

「食らうわけねぇだろ!お前がくらえ!」

 

俺は右腕を横に払った。手元には何もないが。しかし弾幕はある(・・・・・)。10個の光の玉はものすごい速度で魔理沙の腕に命中した。

 

「ぐっ……!」

 

魔理沙の腕が逸れ、七色の光線が放たれた。俺の約2メートル左に。地面を抉って。もう一度言うぞ。地面を抉った。

 

「お前なんてもん撃ったんだ!死ぬ!普通に考えて今の当たったら俺死んでるから!」

 

「お前だってなんて事するんだ!弾幕の威力じゃねぇぞ今の!明らかに本気でやっただろ!」

 

「威力高めないと今の光線当たってただろうが!ナイスプレイだと褒めて欲しいレベルだわ!」

 

ギャーギャーと喚く俺と魔理沙。今のは完全に速度重視で撃ったけど威力が思いの外高かったらしい。でも可愛いものだろ。お前のアレに比べれば。

 

「はいはい喧嘩しない。今回はあなたの負けよ魔理沙。それに皐月、あなたもよくやったわね」

 

仲裁に紫が入ってきた。た、助かった……。

 

「紫が変化球投げろって言ったんだろ。だから暴投して死角から撃つ方法を思いついただけだ」

 

「それでもよ。寧ろあの土壇場でよくやったと思うわ。スジがいいのかしらね?」

 

ここまで褒められると少しむず痒い。スジがいい、か。

 

「どうしたんだぜ?そんな顔して」

 

いつのまにか下に降りてきていた魔理沙がとても不思議そうな顔をした。理由は分かってる。分かってるが多分言っても彼女らにはわかるまい。

 

「誰かに褒められるなんてなかったからつい、な」

 

「どういうことかしら?」

 

やはり分からないだろう。俺と彼女らはあってまだ間もない。俺の過去を知らない以上意味はわからないだろう。俺はなんでもねぇよ、と言って次の言葉を発した。

 

「それより魔理沙、お前あの威力やばいでしょ。なにをどうやったらあの威力になるわけ?」

 

「え、言ったろ?弾幕は威力だって」

 

キョトンとして「当たり前だろ?」みたいな顔をしてきた。いや俺初心者なの忘れてないこいつ?鬼畜の所業なんだけど。

 

「俺初心者だぞ?戦いの「た」の字も知らない弱者に対して撃っていい威力じゃないよ?」

 

「いや、アンタの動きどう考えても慣れてる動きなんだけど」

 

「無我夢中だっただけだ!あんなミラクル起こせるか!」

 

冷静にツッコミを入れる霊夢に対して更にツッコミを乗せた。普通無理だろあんなの躱すの!

 

「でもそのおかげで身を持ってわかったでしょ?幻想郷がどういう場所なのか」

 

「まぁ、そうだが……それにしたって酷くありませんかね?」

 

とてつもなくひどいと思う。紫さんだから扇子仰いでないでちゃんと話ししてください。

 

「……幻想郷は全てを受け入れるわ。でも、それはとても残酷なこと。否定をしないってことですもの」

 

「たしかに残酷だな。俺の未来が」

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷は全てを受け入れる。それ即ち善人も悪人も弱者も強者も全てを赦すということ。否定も肯定もせず、ただそれを受け止める。故に、弾幕ごっこなんていう抑止力が生まれたのだろう。世紀末のような世界にならないように。楽園と、なるように。故に俺はこんな言葉を発した。

 

 

 

 

 

「幻想郷怖いわ」

 

 

 

 

 

 




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