こんにちは、血さんお気に入り登録ありがとうございます!
※今回は5,000字以上書いたので長めです。退屈だったごめんなさい
なんじゃこりゃ。まずこれが一言目だった。何についてかと言えば俺の目の前の光景だ。俺は紫の言う通り北北西に向かって進行し、紅い館を見つけた。明らかに目に悪そうだったからすぐ分かった。どうせ霊夢達は正面から突っ切っただろうと決めつけ、門から堂々と進もうとしたらなんと地面が門をめがけて一直線に抉れているではないか。そしてその中には綺麗な赤い髪の女性が寝転んでいた。十中八九
「ん……」
微かに声が聞こえた。赤髪の人の声だろうな。さて、どうしようか。どう見てもボロボロだし、放っておけば衰弱するだけだ。このまま放っておくのはなんだか悪い気もする。溜息をつきながら俺はその女性に近づいた。敵なのはわかっている。だがここでこいつに恩を売っておけば少なくとも今襲われることはないだろう。多分。
俺は自分の右手に力を集中させ、彼女に触れた。その瞬間身体は翡翠色に包まれ、みるみるうちにキズが消え、癒えていった。これで完治しただろうよ。ひとまず声をかけてやった。
「……え?あの、あなたは……?」
予想外だったのだろう。めちゃくちゃ驚いた顔をしていた。いや、まぁそうだろうよ。霊夢にやられ、気がついたら目の前に男が居たんだからそりゃ驚くわ。だがまぁ正体も聞かれたんだ。答えてやるか。
「俺は神条皐月だ。赤色で腋を出した容赦のない破廉恥巫女と白黒で金髪の魔法使いを追ってきたんだが」
「あぁ、これはこれは。私は
赤髪の女性改め美鈴は律儀に名前を名乗ってくれた。これだけでわかる。こいつ普通にいい奴だわ。うちの巫女さんが容赦なくてごめん。心の中で反省をしている時に美鈴は質問をしてきた。なぜ自分の体の傷が治っているのか、どうやったのか、と。ふむ……律儀に答えてやる義理は全くないけど答えれば恩を売れるかもしれない。結果的にこいつに恩を売ったとなれば
「
嘘は言ってない。
「む、難しいことは分かりませんが傷を治してくれて有難うございました。何かお礼をさせてくれませんか?って今戦いの最中ですのでまた今度ですけど」
なんて言ってきた。なら俺はすぐにそのお礼ってのを使わせてもらう。
「いや、今頼む。俺にこの館を案内してほしい。あー、安心しろ。君の主人に敵対する気は無い」
「え、ならどうして、ですか?」
「俺の用事は赤い服を着た金髪の幼い子に会うことだからだ」
「なっ!?」
何かまずいことでも言ったか?俺はただ人に会いに来たと言っただけ。そこまで驚かれるようなことは言ってないはずだ。なのに何故目を見開くほど驚いたんだ?
「どうしてあなたが妹様の事を
なるほど、そりゃビビるわ。どうやら俺が夢で見た子は思った以上に複雑な局面にあるらしい。しかしまずったな。美鈴の警戒心は一気に高まってしまった。少しだが殺気が込められてる。誤解を解くには俺の予知夢の事を話すしかない、か。
「実はだな、!?」
言いかけた時だった。突然美鈴の後方、つまり館から爆発音が聞こえた。だが俺はその一瞬前にとてつもなく冷たく、重い妖力を感知した。美鈴を思わず振り返り、今にも駆け出しそうになっていたが俺がすぐに肩を掴んで止めた。この機を見逃すわけにはいかない。この騒動に乗じて館内へ入って俺の目的を果たす。その為には説得をしなければ。
「なぁ美鈴。俺はこの館に用がある。お前も今用が出来たはずだ。ここで俺といがみ合って時間を潰すより俺と一緒に中に入った方が得だ。それに俺は回復させることができる。中に一緒に行けばお前の仲間を回復させてやることもできる。どうだ?利点はあるぞ」
「………迷ってる場合ではないですね。わかりました!一緒に来てください!」
俺たちはお互いの利点のために館内へと進んだ。……これが異変時じゃなけりゃ割とテンション上がっていただろうなということは心に留めておこう。だって美鈴美人なんだもん。
館内の扉を抜けるとそこは広い踊り場になっていた。きっと貴族が住んでそうな雰囲気だっただろうな。………床のクレーターと散乱したナイフ、そして辺りが暗くなけりゃだけど。
そんな感想を抱きながらも俺はきちんと見逃さなかった。二階へ続く階段の前で誰かが倒れていた。暗くて誰かマジでわからんけど。
「え………咲夜さん!?」
名前的に女性のようだ。美鈴はその咲夜とやらに駆け寄った。俺はその後を追うように歩きだした。
そこには銀髪の女性がいた。お嬢様に見えるしメイドにも見える。いや、メイドだな。前掛けかけてるし(意味不)。
「咲夜さん大丈夫ですか!?」
美鈴は慌てていた。もしかしたらこのメイドがここまでボロボロになった姿を見たことがないのだろう。しかし
「咲夜さん!目を覚ましてください」
お前はお前で慌てすぎだろ……。
「落ち着けよ。これくらいの傷ならすぐに治せる」
俺はそう言って右手を翳した。美鈴の時同様に身体が翡翠色に包まれ、傷が塞がっていった。
……何やってんだろうな。昔の俺なら『知らん』の一言で何もしなかっただろうに。
「……め、めい…りん………?」
「咲夜さん!目を覚ましたんですね!」
俺ちょろい疑惑を頭で考えていた間に目を覚ましたようだ。美鈴は現状を理解出来ていない咲夜を置いてけぼりにする程喜んでいた。とても微笑ましい。そう思った。俺の能力でこんな光景が見られるとは思わなかったな。
「どうして美鈴、貴女がここに?なぜ私の怪我が?そして貴方は?」
質問が多いな。まぁでも無理ないか。霊夢にやられ、気を失って、気がつけば傷は全快。目の前には美鈴と見知らぬ人たる俺がいる。致し方ないだろう。
「俺の名は神条皐月。美鈴は俺が連れてきて、怪我は俺が治した」
とても簡単に説明をした。咲夜は、
「そうですか……」
と納得したかのようなことを言った。だが、目は完全に警戒していた。そりゃそうだ。見ず知らずの男がいきなり現れて傷を治したというのだから。俺でも普通に警戒する。何か裏があるのでは?と勘ぐるのが普通だろうな。
「それで皐月さん、と言いましたか。なぜ私の傷を治したのですか?そして何故ここへ赴いたのですか?」
「また質問か。お前の傷を治したのは美鈴にここへ案内してもらうために交わした約束を実行する為。この館に来たのは紅白巫女と愉快な白黒魔法使いを追って来たから」
「……ということは貴方も異変を解決するために来た、ということですか?」
「ま、あながち間違っちゃいない」
もう一つ理由があるけどもそれについては言わなくてもいいだろう。余計に警戒心を煽るだけだ。美鈴が何かを言いかけて黙ったのはその事を察したからだろう。心の中で言っておこう。ありがとう。
「……傷を治していただいた事には感謝します。しかし」
咲夜は治ったばかりの体を起き上がらせ、スカートの中からナイフを一本取り出して切っ先をこちらへ向けた。彼女の目は、明らかに敵を見る目だった。
「お嬢様の敵は私の敵です。恩があってもこれだけは覆りません。ご退場願います」
なるほどな。咲夜はこう言いたいのか。「恩があるから一度は見逃す」と。正直ホッとした自分がいる。普通ならこういう反応で間違いない。自分の主人の敵だという人間をそう簡単に先に進ませるわけがない。だから咲夜の行動に間違いはない。だが俺もそう簡単に引き下がれない理由がある。やはり本当の理由を話す必要がありそうだ。
俺はそう思っていた。だが何故だ。何故
「どういうつもり?貴女はこの男を、お嬢様の敵を先に進ませると?」
「違います。彼は敵ではないんです!彼は、妹様を……」
「くたばれぇ!!」
美鈴が何かを言いかけた時、天井が崩れ落ちた。それと同時に聞こえた聞き覚えのある声。俺は咄嗟に弾幕を展開して瓦礫の相殺をした。全く……下に人がいることを考慮できんのかあのバカ巫女は。
「あんた!いい加減退治されなさいよ!」
「そう言われてハイそうですか、と退治される輩がいるかしら?博麗の巫女」
上の階から瓦礫と共に降って来たのはバカ巫女とウェーブのかかった紫の髪、赤い瞳、そして人間にはない黒い羽を生やした幼い少女だった。って爪長い。なんだこいつは……。まぁいい、取り敢えず言わないとな。
「霊夢、スカートの中見えてるぞ」
「え!?…って皐月?なんであんたここにいんのよ!っていうかあんたその二人私が倒した門番とメイドじゃない!なんで一緒にいんのよ!説明してもらうわよ!」
「ギャーギャーやかましいぞ。情報収集の為だよ。それよりお前あそこまでやる必要ねぇだろ。ボロボロだったぞ」
「加減したわよ。ちょっと強くやっちゃったけど……ってなんでそいつら怪我治ってんの!?」
「………気力じゃね?」
「納得できるか!」
今はこれで納得してほしいのだが……。だが霊夢と合流出来たのは運がいい。俺の予知夢で見た金髪のロリっ子がこの場にいない時点で未来が変わったのか。それともこのタイミングでは出会わないのか。どっちにしろ今俺の目の前には霊夢がいる。ちょっと安心した。
「「お嬢様!敵の侵入を許して申し訳ありませんでした!」」
俺たちの会話の隣では美鈴と咲夜が紫髪の少女に頭を下げていた。ていうか今
「過ぎたことは仕方ないわ。ってそこのあんた。今失礼なこと考えなかった?」
す、鋭いやつだ。でも多分だけど俺以外でもこう思う奴はいるだろう。つまり俺は悪くない。社会が悪い。
「まぁいいわ。それよりボコボコにやられたはずの貴女たちが今無傷なのかしら?」
やはりそこに目をつけたか。そりゃ俺の気力発言で丸め込めないよな。主人だもんな。
「それは……」
咲夜は言いにくそうだった。まぁそりゃそうだ。敵である俺に治されたなんて口が裂けても言えないわな。言わなきゃダメだよなー。
「皐月さんが治してくれたんです!」
「え!?」
美鈴が包み隠さずどストレートに言った。もちろん今の声は霊夢のもの。こ、この野郎俺が言わなかったことをさらっと言いやがって。まぁここにいる時点で話さにゃならんとは思ってたからいいけどさぁ。
「サツキ?この男のことかしら?」
お嬢様(仮)は俺に指をさした。美鈴は一瞬の迷いもなく頷き、お嬢様(仮)は俺の方へ向いた。
「私の従者の怪我を治してくれたこと、礼を言うわ。でも良かったのかしら?敵に塩を送る真似して。貴方と私は敵なのでしょう?」
「俺があいつらを治したのは俺の目的のためだ。俺は」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
言葉を今度は別の知った声に遮られた。それも霊夢と真逆で地下から。今度は魔理沙か。こいつらは騒ぐことしかできないのか。
「そ、そこどいてくれ!」
魔理沙はどうやら箒に乗って逃げてきたようだった。その証拠に一直線に俺の方へ向かってきた。え、待ってそのまま行くとぶつかるんだが!?
「え、いやちょっ、ぐぇっ!?」
案の定俺の腹に突撃してきた。箒の先端が腹にめり込んだせいで空気が全部出て、危うく吐瀉物発射するところだった。……くそいてぇぞこの野郎ちゃんと前見ろよ。
「いってぇな魔理沙この野郎!箒の先端がめり込んで超痛かったんだが!?」
「え、皐月?なんでお前ここに……ってそんなこと言ってる場合じゃないんだ!」
魔理沙は慌てているように見えた。俺は魔理沙に事情を聞いた。魔理沙がそのことを話そうとした直後、何かが地下から飛んできた。今度は瓦礫かと思ったが砂埃の中に見える黒いシルエットはどう見ても人だ。それも自ら飛んだわけではなく、まるで吹き飛ばされたかのようだった。俺は魔理沙を即座にどかし、その影の方へと飛んだ。
辛うじてその影を捕まえることに成功した。その影は予測通り人だった。薄い紫色のドレスのようなものを着た紫髪の女の子だった。俺の腕の中の彼女は少し怪我を負っているようだった。
「おい、大丈夫か」
「え、えぇ。平気よ……ハァ…ハァ………」
俺の声に軽く反応をした。息切れしてるし明らかに平気そうではないが取り敢えず突っ込むのはやめた。そんなことよりもまずあいつらの元へ行ってこの子を預けるのが先決だ。
俺はすぐに方向転換し、霊夢達の元へと降り立った。霊夢も魔理沙も何か言いたげな顔をしていたが無視することにした。それどころじゃないのでな。
「パチェ!?どうしてこんなに怪我を……!なにがあったの!?」
「フ、フランが……
「なっ、なんで!あの子は地下にいたはずでしょ!どうして外に……!」
お嬢様(仮)は驚いていて、とても焦っていた。理由はわからないが彼女らにとっても不測の事態だということだろう。……まさかこのタイミングであの予知夢が現実に?だとしたら運命のいたずらが過ぎるだろうが……。とにかく、説明をして貰わないと困る。いつまでも動かずにこの
「おい、狂気ってのはなんだ」
「狂気というものはお嬢様の妹様に巣食う闇の部分です。……貴方が探していた方です」
やはりそうか。どうやらここが俺にとっての、こいつらにとっての最大の分岐点になりそうだ。
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