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ただの興味本位だった。小さい頃読んだ本で、「隠し部屋に使われるのは地下」というのを見たことがあった。だから金目の物があればラッキーくらいに思ってたんだ。なのにまさか……。
「あは、アハハ、アハハハハハハハハ!!」
こんなやばいものを引き当てるとは思わなかったぜ……。
ーー------
「狂気というものはお嬢様の妹様に巣食う闇の部分です。……貴方が探していた方です」
咲夜の声はとても震えていた。今にも逃げ出したい、そんな感情を感じ取れるくらいに。正直俺も逃げたいくらいだ。
「なんなのこいつ?普通にここから離れたいくらい面倒な魔力持ってない?魔理沙、あんた何したのよ」
霊夢はさらりと普通に話している。が、額から冷や汗が流れているのが見えた。霊夢もこいつの危険性を理解している、ということか。
「なんもしてねぇ!……って言っても嘘なのはバレるよなぁ」
「当たり前でしょ。アンタと一緒に出て来たんだから」
あっけらかんと話している二人。こいつらこれだけの危機に直面してもアホな会話をするくらいの余裕はあるのか?肝が座ってるな。
「………地下室があったんだ。私はそこを開けてアレと会ったんだよ。なんか閉じ込められてるっぽかったから出したらあの魔女のいるでっかい書庫に出てそれで……」
魔理沙はそこから先を言わなかった。口を噤み、目を逸らしていた。え、なに?こいつなにやったの?すげぇ気になるんだけど。その意図を汲んでか分からないが紫色のドレスのようなものを着た女の子が喋った。
「あ、貴女が私の大事な本を盗もうとして私と戦闘になったんでしょ……」
………とんでもなくしょうもないことやってんなバカ魔理沙。
「そ、それはそうだけど……。でもお前私の話だけじゃなくてフランの話も聞かずに流水に閉じ込めたろ!なんて言ったっけか?『あなたは出てきてはいけない。大人しくしてなさい』だったか?その言葉のせいでこいつがこうなったんだろ!」
魔理沙の怒号が響いた。側にいたお嬢様(?)は目を逸らし、フランなる子を見ていた。……なるほどね。つまりこういうことだな。
「偶々地下室を発見した魔理沙はそこの金髪の子を地下室から出した。んでさまよってたら紫ドレスの子がいた書庫へ侵入。戦闘になったが先にフランなる子を封じた結果暴走状態に陥った。封じた理由はこの子の暴走を未然に防ぐため。だが、それが裏目に出てしまった、と」
「…………ええ」
紫ドレスの子が短く返事をした。やれやれだ。どんな事情にしろ狂化する子を閉じ込めるのはナンセンスだ。一体どれくらいの期間閉じ込められてたのかは知らんけど悪手だ。って言っても聞かないだろうなぁ。さっきの霊夢とのやりとり聞いててわかったけどわがままそうだし。
「……フラン、今すぐ部屋に帰りなさい」
「……オネエサマ。ワタシハモドラナイヨ?ズットヒトリデ、ミンナカラハナシテワタシヲノケモノニシテタ」
姉と妹、これは姉妹喧嘩……なのか?狂化してるとはいえ自我があるのか?
姉の方はゆっくりと前進し、彼女から見て左の方は指をさした。
「戻りなさい!」
「……モウイヤダ。ズットトジコメテ!ワタシトハナシモセズニ!キョウモソウ!ソラガアカクナッテルナンテシラナカッタ!マタワタシ二ナイショデ!」
ここまで来ると事の発端が分かってきた。この異変の奥深くには……姉としての想いがあるようだ。……だが、こんな方法じゃ誰も救われない。こんな事じゃ、妹を真の意味で救うことにはならない。この数秒で俺は俺の中での最善の策を打ち出した。あとは……やるだけだ!
「
俺はフランをまず無力化するために攻撃を放った。察知していたのかすぐに躱されたが興味はこっちに移ったようだ。
「アハ♪アソンデクレルノ?」
こちらに目を向けた瞬間汗が吹き出した。空気がさらに重く、禍々しくなったからだ。俺の心臓の鼓動が速い。胃がキリキリする。覚悟を決めていたとはいえ、これだけやばい相手だとは。でも……逃げねえよ。
「来い!俺が飽きねぇように遊んでやらぁ!」
俺はそう叫ぶと大量の弾幕を展開した。
「コンナノ……キカナイ!」
フランは容易く弾幕を躱し、右手に炎を集中させていた。俺はそれを目で確認し、上へとジャンプした。
『禁忌 : レーヴァテイン』
フランは炎の剣を顕現させて斬りかかってきた。一瞬驚いたがまだ予想の範疇だ。落ち着いて対処すれば問題はない。
俺はそれをバックステップで躱した。多少熱を浴びたが大したダメージはない。
「コレダケジャナイヨ?」
フランは即座に炎の剣を切り返した。だが、見た目通り子供の太刀筋故に単調だ。これくらいなら何度振ってきても意味はないな。次は弾幕に電撃を仕込んで無力化するか。
「サセナイヨ? [禁弾 : スターボウブレイク]!」
レーヴァテインを振りかざしながら無数の弾幕を上空へ展開するフラン。降り注ぐ弾幕の動きはさほど早くないが動きにばらつきがある。一つ一つに意思があるように。
数が多くてうまく捌き切れない、か。そう判断した俺は即座に両手から雷を散らした。
「
両手から発せられた雷は降り注ぐ弾幕を悉く破壊した。俺はすかさずポケットに仕込んでおいた
「ドッカーン!」
フランへと撃ち込まれたレールガンはフランにたどり着く前に
「気をつけてください!妹様は【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】を有してます!」
美鈴がすかさず注意勧告をしてくれた。が、【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】って全然程度じゃなくないか?完全にチートやん。チーターやん。と、ここで一つ思い出したことがある。俺が夢で見た光景だ。確かあの時……霊夢は大量の血を流していた。体が壊れたのではなく、血だけ……。まるで内部のみを破壊されたかのように。…………そうか、そういうことか。
「やっぱりこの戦い、
俺は結論を出すとすぐに一つの策を思いついた。最初に思いついたのはフランを無力化して大人しくさせること。だがこれだけじゃ不完全だということに気がついた。なら……彼女の精神を揺らす方法を取ればいい。……やりたくないけど。
「フラン!いい加減にしなさい!今すぐに部屋に戻らないと本気で怒るわよ!」
俺が行動を開始する前にお嬢様が動き出した。だが、今説教をするのは悪手だ。精神は揺らぐけど、間違いなく悪化する。
「ウルサイウルサイウルサイウルサイ!オネエサマバッカリ!」
姉への不満を表したかのようにフランの持つレーヴァテインが激しく燃え上がった。マズイな、これ以上余計なことを言えば姉といえど
「待ってください妹様!お嬢様は……」
「ダマッテテメイリン。ウルサイヨ?」
そう言ってフランは右手を美鈴に伸ばした。まるで何かを掴むように。その光景を見た瞬間、俺の身体は脳が判断するより先に動いていた。
「待ってフラン!!!」
お嬢様の声が響いたがフランはそれを聞かず、その手で拳を作った。何かを潰すかのように。その瞬間になにかが弾け飛ぶ音が聞こえた。美鈴は血塗れとなり、それでもその子の体に異常は見られなかった。そりゃそうだろうよ。たった今弾けたのは
「……え?なんで、貴方が」
「うるせぇよ………。今お前がやられたら…………俺の……思惑から外れ…る」
右目が見えない……。血の気が一気に引く感覚がある。僅かに顔を右に向けるとありえない量の血が腕から流れているのが見えた。寧ろ、この状態でよく生きているなと思った。でもまだここでくたばるわけにはいかない……。今この瞬間、真っ青な顔をしているフランに畳み掛けなければ俺の作戦は完成しない。俺はもうすでに痛みを感じなくなった右腕をフランに向けた。
「……どうだ?お前がやったことだぞ………。お前、が、壊した……ものだ。楽しかったか?フラン……」
くそ、もうか細い声しか出ないか。だがこれでいい……でなければあいつの顔が
「……ゼンゼンタノシクナイ。コンナノ……ワタシハノゾンデナイ!」
フランは泣きながらにそう叫んだ。………あと一押しだな。
「お前が、なんで閉じ込められたのかはもはや言わずともわかる…………。でも、閉じこもってちゃ……なんも解決しねぇんだよ……。認めたくねぇだろうけど認めろ!受け入れろ!」
「で、デモ……私のチカラは人をキズツケルんだよ?ウケイレラレルワケ……」
俺の状態、言葉を聞いて心なしか話し方に変化が見られた。……これで終わり、だな。
「俺が、受け入れ……て、やるよ………。肯定してやるから……な…」
俺は喋りながら感じ取っていた、もう長くない、と。意識が混濁して、深い闇に入りそうな感覚……。俺はそれに委ねるように意識を手放した。あぁ、そういや、魔理沙と霊夢には事情を話さないと、な。
最後に俺は、フランの泣きじゃくる声を聞いた気がした。
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