『>』も付けていません。これを着けるのは番長だけです
>長い建造時間が終わりに近づき、連絡が届いたので工廠まで訪れた
明石「来ましたね、お待ちしてました」
工廠妖精s「こっちでまっときんしゃい」
工廠妖精s「ゆっくりしていってね」
>湯呑でお茶を飲んでいるようだ
明石「落ち着いちゃってまぁ……、こっちは緊張でドキドキなのに」
工廠妖精s「のむか?」
>妖精さんサイズは小さすぎて飲めない
……あ、茶柱が立ってる
工廠妖精s「いいおちゃですねぇ」
工廠妖精s「おまんじゅもありますよ」
工廠妖精s「おしごとたいへんでしたねぇ」
明石「あのお饅頭、私が取っといた奴じゃ……」
>それは、お気の毒に……
>……?
鳴上「……明石」
明石「はい?」
鳴上「妖精さん、増えてないか?」
明石「あー……、よくあることなんで気にしないでください」
>よくある!?
明石「彼女?達の事はあまり深く考えない方がいいです……」
>妖精さんは深淵か何かなのか……
???「随分妖精さんの数が多いな」
吹雪「今朝方から、また居ついちゃったみたいで……」
???「良いじゃないか、妖精さんは居心地の良い場所に移り住むと聞くし……、む?」
???「工作艦明石とお見受けしたが、其方は?」
明石「……大きな艤装ですね~」ボソッ
>吹雪と夕立が身に着けていた艤装よりも、大きな砲塔が取り付けられている
主兵装だけで自身の背丈ほどありそうだ……
明石「お見受けされた通り、私が工作艦の明石です! ……で、こちらが」
鳴上「今現在この鎮守府で提督をしている、鳴上悠です」
>自己紹介と共に握手の為、手を前に出した
……だが、目の前の彼女は怪訝な視線を送ってくる
長門「……戦艦、長門だ」
長門「聞き間違いだろうか、貴殿が提督と、そう言ったのか?」
>頷き、視線を返す
すると渋々ながら、握手には応じてくれた
長門「……、鎮守府の内情把握をしたいのだが、それに精通した者は?」
吹雪「秘書艦は私です。一番詳しいとなると大淀さんですけど……」
鳴上「大淀なら、後で備蓄の確認に此処へ来るらしい」
長門「なら、私もここに残ろう」
長門「聞きたいことが幾つか出来たのでな、……構わないか?」
明石「え、えぇ、私は大丈夫ですけど……」
>……明らかに不審がられている
>とにかく現在は戦力が足りていないこと
そして別鎮守府から、艦娘捜索の任務が来ていることを話した
長門「なるほど、それでこの長門を……」
長門「……いや待て、それならば巡洋艦等の燃費の良い艦で捜索するのが妥当ではないか?」
長門「そうでないとしても索敵に長けた、空母や軽空母が狙い目だったのでは……」
吹雪「建造依頼をしたのは司令官ですけど、建造依頼を聞かずに妖精さん達が貴方を呼んだんです……」
工廠妖精s「ひとりはみんなのため」
工廠妖精s「みんなはひとりのため」
工廠妖精s「きてくれてぐらしあす」
>はは~、と長門を囲んでフヨフヨと浮いている
それを聞いた後、長門も大淀と同じように暫く考え込んでしまった……
―――
長門「大淀」
大淀「はい?」
彼がいなくなった後、入れ替わりで工廠へやってきた大淀に声を掛ける
理由は勿論、彼が本当に提督としての責務を負っているのか、それを確かめる為だ
長門「彼の言葉はその、本当なのか?」
大淀「疑われるのも無理はないと思います」
大淀「……ですが、本当ですよ」
長門「……戦況はそこまで悪化しているのか? 見た所学生……、高校生くらいだろう?」
大淀「悪化するにしても少し先の話になりそうですが、その為に私が彼を提督に推薦したんです」
長門「少し先……?」
……違う、違和感の正体はそこじゃない
長門「推薦した、と言ったか?」
大淀「はい、状況を鑑みて適任だと判断しました」
長門「学徒出陣……、分らないわけではあるまい? その意味も、学生たちが辿った最後も……」
大淀「……」
長門「……彼は若すぎる。学があったとしても、それに伴った結果が出せるとは限らん」
長門「そして提督というものは、一朝一夕で成れるほど簡単な職務ではない」
大淀「現在鎮守府総出で彼の手助けをしながら、技術と心構えを教えている最中です」
長門「だとしてもだ。第一、彼には軍人らしさが感じられない」
長門「それに此方は提督に命を預ける身、彼にその責が負えるとは思えん」
長門「……信用ならんというわけではない。唯、心配なんだよ」
半分は建前だが、もう半分は本音だ。寧ろ本音の部分が大きい。
……提督とは、艦隊指揮を任され、上に立つものとして部下の命全てを背負い、敵を討たなければならない
失敗すれば、最悪の場合全滅し、自分が背負っていたもの全てを失う。その時には、自分自身さえ失うかもしれない。
まだ学生である彼に背負わせるには、あまりにも重すぎるのだ。
大淀「分かって、います」
大淀「……ですがこの鎮守府の現状から、彼に頼るしかなかったのです」
長門「なら、その理由を是非聞かせてほしい」
大淀「現状説明から入りますが、長くなりますよ?」
長門「元より、それを聞くために此処に残ったんだ。構わないさ」
―――
間宮「……あら? 貴方が長門さん?」
長門「む……、間宮か?」
間宮「はい、間宮です。建造されるとは聞いてましたけど、此方に顔を出して頂けるとは」
長門「いやまぁ、成り行きでな」
大淀「すみません間宮さん、此処へお連れしたのは私なんです」
間宮「いえいえ! 構いませんよ、……お昼まだでしたよね?」
大淀「そうなんですけど、先に長門さんとお話があるので……」
長門「そういう事なんだ、場所を借りるが……」
間宮「ではお好きな席へ、お茶出して来ますね」パタパタ
大淀「あの、提督達も食事を取られてないので、差し入れをお願いしてもいいでしょうか?」
間宮「はーい! じゃあ妖精さん達、お仕事ですよー」
給糧妖精s「おいしいしょくじつくります?」
給糧妖精s「あれがよろしいかと」
給糧妖精s「あれですな」
給糧妖精s「「「びふてき、さけ、びふてき、さけ、びふてき……」」」
給糧妖精s「かくしあじは?」
給糧妖精s「「「まぜてある! うぇいぱあー!」」」
間宮「滅茶苦茶じゃないですか!? ちゃんとお仕事してください!」
給糧妖精s「びふ……さけ……」
長門「……大丈夫なのか?」
大淀「あれで平常運転なんです……」(溜息)
妖精さんを見ている時、妖精さんもまた貴方を見ているのだ……