ふ、筆が乗って……、許して……
吹雪「……」
球磨「……こりゃ酷いクマ」ウーム
球磨を旗艦とした水雷戦隊は、先ほどの連絡ポイントから、近くの小島へと航路を取っていた
敵との交戦もなく、快適な航海を続けていたのも束の間、陸地まで辿り着いた先には異様な光景が広がっていた
深海棲艦との交戦が無かったのも、この惨状を見れば合点がいく
夕立「これ……、深海棲艦の艤装っぽい?」
吹雪「うん……」
ボロボロになり、修復も不可能――尤も、修復方法は不明だが、使い物にならないだろう深海棲艦の艤装
海岸には少なくない数が流れついていた。恐らく、付近に潜んでいた逸れ艦隊の物だと考えられる
球磨「クマー……、水偵で島の回りを回ったけど……、どこもこんな感じクマ」
球磨「提督に連絡取るクマ、二人は警戒と捜索頼むクマ」
吹雪・夕立「了解!(ぽい!)」ビシッ
球磨「いい返事クマ、じゃあ任せたクマ~」
吹雪「……んー」
吹雪「とは言ったものの……」
夕立「鬱蒼としてるっぽい……」
本土から離れた小島、当然の如く手入れなどはされていない為、草木が生い茂っている
吹雪「とりあえず誰かいた形跡がないか、砂浜辺りから探してみよっか?」
夕立「ぽい!」
???「その必要はねぇよ、……っと」ガサガサ
吹雪「ぽい!?」ビクッ
???「救助に来ておいてその声はねーだろ……」
???「もう一人いるんだ、手ェ貸してくれ」
吹雪・夕立「……」
吹雪「……い、行こっか?」
夕立「びっくりしたっぽい……」
―――
>……つまり?
球磨『今言った通りクマ、多分鎮守府近海の逸れ艦隊は壊滅してるクマ』
球磨『しかも艤装が海に沈まずに残ってるなんて、相当珍しいクマ』
>珍しい……?
球磨『アイツら海から生まれて、海に還っていくって言われてるクマ』
球磨『……もしかして知らなかったクマ?』
鳴上「たった今知った」
球磨『世間はそれを知らなかったというクマ……』
球磨『まぁつまり、陸地に近づくこと自体が珍しいって事クマ。相当追い込まれながら戦ってたんじゃないクマ?』
>深海棲艦を陸地に追い込む……
そんなことが出来るのか? 出来るとしたなら、それはもしや……
>……シャドウ、だろうか?
球磨『暫く小島の周りを水偵に周回させるクマ、映像資料としてそっちで記録してほしいクマ』
大淀「了解しました。妖精さんも手伝って下さい」
通信妖精s「あいあいさー」
>海岸には黒々とした液体が漂い、深海棲艦の艤装が散乱している
その艤装が受けた傷は単一的ではなく、様々な方法で攻撃を受けたと推察できる
球磨『音声通信は一端切るクマ、そっちも何時でも出られるようにしといて欲しいクマ』
鳴上「わかった、気を付けてくれ」
球磨『クマー』プツッ
>……なんというか、球磨と話していると緊張感が薄れる
こう、主に語尾のせいで……
大淀「これだけの数が一つの島に流れ着いているなんて……」
通信妖精s「てーへんです?」
通信妖精s「てーへんだーてーへんだー」フヨフヨ
鳴上「俺にもなんで珍しいのか教えて欲しい」
大淀「球磨さんが言った通りなんです、端的過ぎますけどね」
大淀「深海棲艦は此方とは違って、海を根城にしています」
大淀「私達が母港へ帰還することと同じで、深海棲艦も海へ帰還するのです」
>誰かが実際に見たわけではないですが……、と大淀は付け足す
>深海棲艦は、此方の行方不明の艦娘と同じく、霧の中では自身の拠点に戻ることが出来なかった
そしてシャドウと交戦して敗れたのだろう
大淀「ひとまずは通信があるまで待機ですね」
鳴上「だな……」
>執務室での缶詰め状態はまだ続きそうだ……
―――
>……
>要救助者発見の連絡が届いて、幾分か時間が過ぎた……
>……!
吹雪「――着きました! 早く響ちゃんを!」
夕立「長門さん! この子お願い!」
長門「任された!」
長門「明石、付いてきてくれ、入渠ドックを使う!」
明石「はいはーい!」
天龍「……いや驚いたな、腑抜けてる鎮守府かと思ったけど、いい手際だ」
>酷い言われ様だ……
だがまぁ、おおよその原因は……
球磨「……クマ? なんで二人でこっち見るクマ?」
天龍「……あーまぁ、助けてもらった事には本当に感謝してんだ」
天龍「なんせ霧ん中あの島に着いた時点で、残りの燃料も弾薬も何もかも、空っからだったからな!」ハハハ
天龍「とにかく助かった、……えー」
鳴上「八十神鎮守府の、鳴上悠です」
天龍「おう! オレは横須賀鎮守府所属の天龍だ!」ニカッ
大淀「横須賀鎮守府!?」
天龍「あンだよ? ここから近いし、驚くこともないだろ?」
大淀「いやまぁ、そうなんですけど……」
天龍「それとも、オレを見てビビっちまったか? ……フフ、怖いか?」フフフ
鳴上「全然」
天龍「馬鹿な!?」
球磨「阿呆クマ、それより天龍も入渠ドックに早く行くクマ!」
>先ほど運ばれていった響という艦娘もそうだが、目の前の天龍も少なからず怪我をしている
>気丈に振舞ってはいるが、辛そうだ……
天龍「あー……」
天龍「そうだな、今回ばっかりは仕方ねーな……」
天龍「オレにビビらなかった鳴上に免じて、入渠してやらぁ!」
鳴上「ゆっくりするといい」
天龍「おう! じゃあ後でな!」
大淀「て、提督の事、呼び捨て……」ワナワナ
>正直、名前で呼んでくれる方が助かるのだが……
球磨「まだ捜索するクマ?」
鳴上「いや、もう日が落ちる」
球磨「そうクマね、今日はおしまいクマ」
夕立「提督さん! 夕立頑張ったっぽい! ……戦果は無かったけど」
吹雪「深海棲艦、今はこの辺りの海にはいないですね」
>帰路も交戦は起こらず、結局深海棲艦とは出会わなかった
>海図には1-1と書かれていた海域には深海棲艦はいない、と海に出た三人は推察しているようだ
鳴上「二人が回復し次第、話を聞いてみよう」
大淀「そうですね。恐らくあの霧の中で交戦していたようですし、シャドウに関して情報が増えるかもしれません」
夕立「……もう! 無視しないでほしいっぽい!」
夕立「提督さん! 褒めて褒めてー!」ピョンピョン
鳴上「……」
>夕立の気が済むまで、頭を撫でた……
吹雪「……」
>ジッと見られていたので、吹雪も頭を撫でた……
吹雪「そ、そんなつもりじゃなかったのにぃ」ポワポワ
>キラキラしている……
>……
>その後の話し合いで、二人が入渠中の間に、此方で出来ることをすることになった
大淀「では、横須賀鎮守府へ報告しておきますね」
鳴上「任せた」
吹雪「その間、私たちは残った仕事を終わらせちゃいましょう!」
>そう、提督の職務は……
>終わらない……!
―――
>食事処には、いい匂いが漂い始めている……!
>二人の体調も問題ない様なので、食事を取りながら話を聞くことになった
天龍「完全復活した天龍サマだ!」デン
響「同じく、不死鳥の如く復活した響だよ」
響「貴方が司令官だったよね? 助けてくれてありがとう」ペコリ
鳴上「あ、ああ……」
>不死鳥の如く……?
響「助けてもらった上、此方の食事と補給まで用意してくれるとは」
鳴上「困った時はお互い様だ」ニコ
間宮「そうですよぉ、一日近く何も食べてないなら、慌てずゆっくり食べてくださいね」コトン
天龍「おぉー! 旨そう!」グゥー
間宮「クリームシチューです。やけどしないように食べてくださいね。」
間宮「まだ他の料理も持ってきますけど、遠慮なくどうぞ?」
響「……Спасибо」グゥー
鳴上「……?」
>日本語ではなかったが、何語だろう……?
間宮「あら、ボルシチかシチーの方が良かったかしら?」
響「そんなことはないさ、有り難く頂くよ」
>ボルシチ……?
では先ほどの言葉はロシア語だろうか?
鳴上「……じゃあ、いただきます」
天龍・響「いただきます!」
>……凄い食べっぷりだ!
自分も負けていられない!
>……!
>……ものの見事に完食した!
天龍「いやぁ、やっぱ美味かった……」
響「鳴上さんもすごい食べっぷりだったね」
鳴上「少し本気を出してしまった」
響「間宮さんの料理は、やっぱり格が違うね」ムフー
天龍「横須賀の飯も美味いんだけどなー……」
>二人とも満足したようだ
響「……さて、本題だね」
響「その前に、横須賀鎮守府の被害は確認できるかな?」
>横須賀鎮守府に関しては、二人が行方不明になった以外は何もなかったはずだ
>仮にあったとしても、此方より規模の大きい鎮守府なら、多少の事であれば『問題なし』と答えるのだろう
天龍「そりゃよかった。ま、そんなトコだろうとも思ってたけどな」
響「だね、改めて聞いて安心したよ」
天龍「じゃあこっちの情報だな。……といっても霧が濃い上に戦況は滅茶苦茶だったからなぁ」
天龍「なんせ深海棲艦同士で戦ってたんだぜ?」
響「正しくは深海棲艦と、見たことない……恐らく深海棲艦だろうって奴らが戦ってたんだ」
天龍「でも飛んでたしなぁ……」
響「艦載機にしては大きかった、しかも霧の中を飛行するなんて正気じゃないね」
>恐らくシャドウの事だろう
やはり深海棲艦とシャドウが交戦していたようだ
天龍「……? なんか知ってる風だな?」
響「八十神の司令官は、何か心当たりがあるのかい?」
>……
>信じられなくてもいい、自分が知っていることは話すべきだろう……
>自分の境遇と、今日までの事を手短に話した
>そして少ない情報だが、自身の知るシャドウ、そしてペルソナについて話した
天龍「……お前」
天龍「真顔で冗談言うの止めろよな、ちょっと反応に困るぜ……」
響「……うん、ちょっと信じられない」
>ですよね
鳴上「少なくとも自分の境遇も含めて、すぐ信じて貰えるとは思ってないけど……」
鳴上「霧が出ている間は気を付けた方がいい」
天龍「そこに関しては同感だな、アレはヤバい」
響「私達の攻撃があまり聞いていなかったようだし、シャドウ? に関しては出会わないように注意するしかないね……」
鳴上「艤装の攻撃が効かなかったのか?」
響「有効打にはなってないね、飛んでるから魚雷も当たらないし……」
天龍「オレの対艦刀も、懐に入れば問題ないが、飛んでるしなぁ……」
>二人ともシャドウに対して決め手が無いことに唸っている……
大淀「提督ー? いらっしゃいますか?」ガララ
>ここにいるぞ
手を振ると大淀が気づいたようで、此方へ駆け寄ってくる
大淀「後で横須賀鎮守府へ再度連絡をお願いします。なんでも、救助してくれた提督とお話したいとのことで」
>そういう事なら、素直に応じよう
響「私達も一緒で良いかな?」
鳴上「構わないよ」
天龍「助かる、……多分どやされるな」ハァ
響「すぐ連絡しておけばしないより多少マシさ」ドンヨリ
>……厳格な人なのだろうか
ちょっと緊張してきた……
スレに出た子を出すとか言っておきながら、別鎮守府枠で別の子を出す畜生
文章に書いた通り、次回は横鎮の提督を出す予定です。所謂オリキャラですね
そういうのが苦手な方がいたら申し訳ないですが、ご了承ください
肌に合わないと思ったら見るのをやめてくださいね! 読むことは義務ではないです!