転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0962話

『うわあああああああああああああああああああああああああああ!』

 

 新生龍2匹分の死体を回収し、トリニティゲインと俺がダークエルフの集落へと戻った時に聞こえてきたのはそんな歓声。……いや、大歓声と表現した方がいいか。

 とにかく耳に痛い程の歓喜の声だった。

 まぁ、気持ちは分からなくもない。何しろ自分達を餌の如く貪っていた新生龍が2匹も存在していたのだ。自分達だけではどうしようもないと微かな希望に縋ってエルベ藩王国に頼っても、そのエルベ藩王国は現在帝国に対して独立戦争を挑んでおり、回せる戦力がない。

 文字通り死を覚悟するしかない状況だったのが、俺達シャドウミラーを紹介されてアルヌスの丘までやって来て、その結果がこれだ。

 回り道に回り道を重ね、ようやくここ新生龍を倒す事に成功したのだから。

 それも俺の庇護下に入るというおまけ付きで。

 ダークエルフはハーディとかいう冥府の神を祭っていたそうだが……あっさりと俺に乗り換える選択をしたらしい。

 なんでもいざという時に助けてくれない相手より、実際に助けてくれた俺の方が祭るに値するという判断らしいが、正直崇められるのは面白くない。

 別に俺自身が宗教を嫌っていても、宗教全てを禁じている訳ではないので、俺に見えないところでそういう風にやる分には……ハイエルフもそんな感じだし、認めざるを得ないだろう。

 これに関しても、混沌精霊という存在の俺はその辺の亜神よりも存在の格的に上の存在だからこそなんだとか。

 いつの間にか門世界の基準では神様扱い――亜神だが――になっている辺り、色々と思うところはあったりするんだけどな。

 ああ、ちなみにダークエルフが崇めていた冥府の神ハーディとかいう神は、ロゥリィが嫌悪している神だ。冥府というのが地下にあり、その関係で影のゲートを嫌っているらしい。

 その辺はともかくとして、ダークエルフ達の歓呼の声に迎えられた俺はそのままトリニティゲインの手の上から飛び降りる。

 一瞬地上にいるダークエルフが悲鳴を上げたが、俺が空を飛んでいるのを見ると再び歓声が上がる。

 

「アクセル様、新生龍の討伐ありがとうございます」

 

 ダークエルフの長老が深々と頭を下げてくるのに、何でもないと首を横に振る。

 

「気にするな。何だかんだ言って、結局倒したのはあいつだしな」

 

 チラリ、とトリニティゲインのコックピットから乗降用のケーブルを使って降りてくるムラタの方へと視線を向ける。

 トリニティゲインの周囲には大勢のダークエルフが集まっており、その足にペタペタと触れている。

 指紋とかがつきそうだが……まぁ、整備に関しては量産型Wがやるんだし構わないか。

 

「結局ムラタだけで倒してしまった以上、私が来た意味は何だったんだろうな」

 

 溜息を吐きながら呟くのはコーネリア。

 確かにエザリアはダークエルフとの交渉、イザークはエザリアの護衛といった風にそれぞれがやるべき仕事があったのに、コーネリアは特にこれといってやるべき仕事がなかった。本当に、ただそこにいただけだったというのは事実なんだよな。

 もっとも、最初から新生龍がそれ程強くないというのは分かっていた。そもそも、新生龍よりも格上である古代龍ですらサラマンダーで相手にもならなかったのだから。

 

「物見遊山……というのは言い過ぎだろうが、門世界を見学するという意味ではそれ程悪くなかったんじゃないか?」

「そうか? ……そうか? ……そうか」

 

 何やら首を傾げてくるコーネリアだが、そもそも実働班のトップとして非常に忙しい毎日を送っている。

 最重要なのは実働班の実力を維持し、あるいは上げる事。それ以外にも現在常に戦闘が巻き起こっているマブラヴ世界に関しての情報を入手し、戦術アドバイザーのような真似もしている。門世界に関しても異世界間連合軍という形をとってはいるが、その戦力の大部分はシャドウミラーである事に変わりはない。

 現在戦闘らしい戦闘が起こっていない他の世界にしても、SEED世界ではロゴスの動きから目を離す訳にはいかないし、ギアス世界にしてもまだブリタニア貴族が不満を燻らせている。ネギま世界も完全なる世界の造物主は結局まだ捕まっておらず、スパロボOGs世界に至っては未だにレモンにも解明出来ない状態で隔離されている状態だ。

 現状で一番安全なマクロス世界にしても、これまでプロトデビルンやバジュラといった存在が確認されている以上、後から何が出てきてもおかしくはない。

 それらに対してシャドウミラーが干渉する時、最も忙しくなるメンバーの1人が実働班の隊長でもあるコーネリアなのだ。

 そうである以上休める時に休み、羽を伸ばせるときに羽を伸ばすのはそうおかしくない話だろう。

 その辺の説明をするとコーネリアも納得したのか、やがて気にした様子がなくなる。

 

「さて。まぁ、それはそれとしてだ。ダークエルフの移動に関してはどうする? 新生龍を倒した以上もう少し森で過ごしてから俺達に合流するか?」

 

 これまで自分達が生まれ育ってきた森だ。新生龍を倒したからといっても、すぐにこっちに合流するのは思うところがあるだろう。そう思っての問い掛けだったのが、ダークエルフの長老は寸分の躊躇いもなく首を横に振る。

 

「いえ、出来ればすぐにでもアクセル様のいる場所へ連れて行って貰えると助かります。勿論これまで過ごしてきた森に対して思うところはありますが、それでも現状ではアクセル様達に庇護して貰うのが最も良いかと」

「……そうか」

 

 色々と思うところはあれど、ダークエルフ達がそれを望むのならそれがいいだろう。

 アルヌスの丘にいたとしても、輸送機とかを使えば戻ってくるのは難しくないし。

 もっとも、エルベ藩王国との関係もあるから、そう頻繁には出来ないが。

 

「なら1時間程やるから、ここを出る準備をしろ」

「お任せ下さい。……まぁ、殆ど着の身着のままでここまで来たので、準備にはそう時間が掛かりませんし」

 

 苦笑を浮かべ、集まっている他のダークエルフ達に声を掛けた長老は、自分も準備をする為にだろう。そのまま俺に一礼して去って行く。

 

「アクセル様、此の身としても感謝の言葉がありません。仲間達の仇を取ってくれて……ありがとうございます。ムラタ殿、と仰いましたか。あの巨人を操る腕は見事でした」

 

 ヤオもまた、そう頭を下げて去ってく。

 それを見送り、さて1時間どうやって暇を潰すか……空間倉庫の中に何か面白い雑誌か何かなかったかと思いつつ……ふと気が付く。

 コーネリアは俺の隣にいる。エザリアも既に用件は済んだ以上やる事がないのでここにおり、その護衛としてイザークも同様だ。ムラタも取りあえず新生龍との戦闘で満足したのか、何を言うでもなく待機している。

 テュカは同じエルフとして、そして同じ境遇にあった身として引っ越しの準備を手伝いに向かった。レレイはエザリアの側で色々と興味の赴くままに会話している。

 ここまではいい。だが……

 

「ロゥリィはどこに行った?」

 

 思わず呟く。

 少し前までは間違いなくいた筈だというのに、ロゥリィの姿が完全に周囲から消えているのだ。

 他の者達もそれに気が付いたのだろう。周囲を見回すが、当然その姿はどこにも存在しない。

 

「ダークエルフ達の方に行ったんじゃないの?」

 

 エザリアが呟くが、コーネリアがそれを否定する。

 

「いや、ダークエルフ達と一緒に向かったのはテュカだけだ。ロゥリィはいなかった」

「となると、森の中か? 新生龍の死体でも……いや、そもそも新生龍の死体は既にアクセルが確保しているんだから……」

 

 そんな風に話しながらも、心配する様子は殆どない。

 そもそも、ロゥリィの実力はムラタと渡り合えるだけのものがある。例え森の中に1人でいたとしても、それこそ新生龍辺りが出てこなければ身の危険は存在しない。

 そして実際、森の奥から気配が近づいてきて、声を掛けてくる。

 

「私をぉ、呼んだかしらぁ?」

 

 誰が声を掛けてきたのかは、その特徴的な語尾を聞けば明らかだった。

 

「ロゥリィ、あまり1人で勝手な行動は……」

 

 俺が言っても全く説得力がないとは知りつつも、一応この中では一番高い地位にいるという事もあってそう声を掛けたのだが、戻ってきたのは何故か満面の笑み。

 

「あらぁ、ごめんなさいぃ。ちょっとやる事があったのよぉ。うふふふぅ」

 

 ……妙に機嫌がいいな。何かあったのか? それは俺だけではなく、他の者達にしても同様の疑問だったのだろう。ロゥリィの担当はお前だろうと一同の視線が向けられたムラタが口を開く。

 

「妙に機嫌がいいが、何かあったのか?」

「えぇ、ちょっとねぇ。目障りだった虫をプチッと潰してきたのぉ。いえ、この場合は蛇かしらぁ?」

 

 ……虫? 蛇? 門世界で暮らしている以上、その手の生き物が苦手だとは思えないんだが……いやまぁ、それでいいのなら別に構わないか。

 他の者達も特にこれ以上話を聞く必要は無いと判断したのか、自分達のやるべき事へと戻っていく。

 そんな中、俺は改めてロゥリィとムラタの方へと近づいていく。

 

「ロゥリィ、一応聞いておくけど影のゲートは……」

「嫌!」

 

 即断。

 一瞬前までの機嫌の良さは何だったのかと言いたくなるくらいの様子に、小さく溜息を吐いてムラタの方へと。

 

「ここに来るのに使った大型VTOL輸送機を出すから、ロゥリィのお守りは頼めるな?」

「むぅ……しょうがないか。だが、操縦はどうする?」

 

 さすがにムラタでも大型VTOL輸送機の操縦は専門外だとばかりに告げてくるが、その辺に関しては全く問題ない。

 

「俺達がここに来る時に量産型Wが操縦してきただろ。帰りもそっちに頼むさ。って訳で、早速移動するか。俺達は影のゲートだから特に場所の問題はないけど、そっちは違うだろ?」

 

 その言葉に頷くムラタ。

 結局俺とムラタ、ロゥリィと量産型Wはそのままここに来た時に俺達が着地した場所へと移動し、一足先に旅立つのだった。

 ……結局アルヌスの丘に到着するのは俺達の方が先なんだけどな。

 

 

 

 

 

「お待たせしました、アクセル様。……ロゥリィ聖下の姿が見えないようですが」

 

 ダークエルフの長老の言葉に先に帰ったと伝えると、残念そうな表情を浮かべる。

 ダークエルフの崇めている神とロゥリィは敵対関係に近いものがあるってのに、妙に拘っているな。

 ……いや、ダークエルフが崇めるのはハイエルフと同様に俺になるからいいのか。

 思わず自分の言葉で微妙に気分を沈めつつも、周囲を見回す。

 ダークエルフの数は200人程。こうしてみるとハイエルフの倍近く存在しているな。

 この辺の被害の大きさは、元々ホドリューが住んでいる場所にハイエルフが集まってきて集落を築いたのと、以前からこの地に集落を築いていた違いだろう。

 ただ……

 

「エザリア、この人数でも大丈夫か?」

「ええ、問題ないわ。コンテナハウスなんだから、足りない分はすぐにでも供給できるわよ。それに、森の中の方が落ち着くという人もいるんでしょ?」

「うむ。勿論絶対に森の中でなければならないという訳ではないが、そちらを好む者もおる」

「なら大丈夫でしょ。森の中にいるハイエルフ達にも一応前もって言ってあるから。……そうよね?」

「あ、はい。父がその辺は任せて欲しいと」

 

 エザリアの言葉にテュカが頷くのを見ると、さすがに手回しが早いというべきか。

 

「それに、試験的に何人かにはホワイトスターの中に来て貰う予定でいるわ。もっとも、最初から交流区画の中とかじゃなくて、自然のある場所だけど。それで特に悪影響がないようなら、そのまま徐々にホワイトスターに……」

「おい、待て待て。そこまで勝手に決めてもいいのか?」

 

 エザリアの言葉を聞き、思わずといった様子で口を挟む。

 だが、本人は何を言っているのかとでも言いたげにこちらへと視線を向けてきた。

 

「別に勝手に決めている訳じゃないわよ? 前々から話は進めてきてたんだし」

「……そうなのか?」

 

 確認の意味を込めてテュカの方へと視線を向けると、全く何の迷いもなく頷きを返される。

 

「はい、父を始めとした数人が自分からその実験に参加するそうです」

「実験というのはちょっと人聞きが悪いわね。せめて試験的にと言って欲しいわ」

 

 そんな風に言葉を交わす様子からは、確かに無理強いしているような雰囲気はない。

 なるほど。いやまぁ、俺としてもいずれはそうなると思っていたから別にいいんだけどな。

 

「分かった。……そろそろ時間も時間だ。一気にアルヌスの丘に向かうぞ。全員集まれ!」

 

 その言葉にコーネリアを始めとするシャドウミラーのメンバーやダークエルフ達が全員集まり……次の瞬間には影のゲートを生成し、そこに沈み込んでいく。

 

 

 

 

 

 ……尚、さすがに200人を超える人数を影のゲートで転移させるのは大量にSPを消費することになり、アルヌスの丘に戻ってからの采配に関しては完全にエザリアに任せる事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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