転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0974話

 帝都付近での戦闘が終わってから数日。その短い間にも事態は色々と進んでいた。

 まず最も大きかったのは、帝国の滅亡……いや、消滅が公表された事だろう。

 それも、ただの公表ではない。この世界では当然TVやラジオといったものはなく、情報は人伝になるのが普通だった。だがエルベ藩王国を始めとした連合国からの要請により、映像を送ることの出来る通信機を村や街、あるいは都市といった場所へと幾つも貸し出し、そこで帝国の滅亡と、以後は連合軍が旧帝国領土を統治していく事を宣言した。

 同時に、現皇帝であるモルトと、次期皇帝であったゾルザルが皆の前で斬首され、そのシーンも当然全ての人々に放映された。

 ゾルザルは地震の夜の件で重症を負ってはいたが、それでもまだ騒ぐ元気はあったらしく、最後まで見苦しく周囲の者達に罵詈雑言を吐いていた。それでも身動きが出来ない状態にされ、斬首用の斧を手にした者が位置につくと、ようやく本当に自分の命が消える寸前であると理解したのだろう。最後まで見苦しく泣き喚きながら首を切断され、命が絶たれた。

 そして次に斬首されるのは、モルト。何故このような事態になったのかがまるで分からない、認めたくないとブツブツと呟きながらもゾルザルと同様に首を切断される態勢に固定される。

 その際に、皇帝である自分に何をするのかと喚いていたが、既に帝国という国自体はなくなっており、皇帝が皆の前で斬首される光景も旧帝国領にある村、街、都市には全て見られていると、丁寧な事に通信機をモルトの前に持ってきて、その光景を見せてやり、更にはモルトの判断により帝国という国は滅亡し、後世まで愚帝としてその名が語り継がれるだろうという内容を朗々とした声で宣言されると、そこで限界だったのか、ついに精神の均衡を崩したかの如く泣き喚き、死にたくないと騒ぎながらも身体を固定され、斬首が実行された。

 現皇帝と次期皇帝。この2人の斬首を持って帝国の滅亡を宣言し、また同様に帝国がホワイトスターに攻め込んだ件に関しての謝罪とすると宣言した。

 ちなみに捕らえられたディアボは死刑にはならなかったものの、生涯幽閉という措置となり、ピニャに関しては身分剥奪の上で蟄居となった。

 尚、ディアボの幽閉というのは牢屋であり、ピニャの蟄居というのは屋敷の敷地から出てはいけないという事なのだが、この辺の待遇の差は皇子と皇女というのもあるし、民衆に対しての人気の面もある。

 他にも帝国貴族は軒並み取り潰しとされ、財産は没収。当主は斬首でそれ以外の者は一文なしで帝都を追い出される事になった。

 正直、それは色々と不味いんじゃないかと思ったが、連合国内でも貴族に対して色々と恩義のある者達もおり、複雑怪奇なやり取りがあった結果、そのように落ち着いたとか何とか。

 ……何か反乱フラグが建ったような気しかしないんだけどな。

 いやまぁ、俺達がこの世界のやりように関わるという事は、こっちに不利益がない限りは基本的にないんだから、反乱があったとしてもこの世界だけでどうにかなっている分には全く構わないんだけど。

 また、今回の件に関する賠償金の交渉についても進んでおり、エザリア、あやか、千鶴の3人は相当に連合国側へと攻め込んだらしい。

 最初は金貨での支払いを求めたのだが、その額が帝国時代の年間予算20年分以上と、とても払える額ではなく、結果として資源で支払う事になる。

 ……それが、最初からのエザリアの狙いとも限らずに。

 それでも連合国としては頑張ったと言うべきか、鉄や銅といったように門世界で普通に使われている金属に関しては賠償金の中に含まない事になった。

 まぁ、元々単純な鉄や銅なんかはキブツであっさりと作れるのを考えれば、レアアースやレアメタルのような希少性の高いもの、あるいは石油といった向こうの世界では殆ど使われていないものやその他の金属といった資源を得たのは、お互いにとってWIN-WINの関係だったのだろう。

 事実、エルベ藩王国ではそんな資源が多く眠っているというのは確定しており、既に採掘作業に入っている。

 シャドウミラーの技術力を考えれば、本来であれば実際に採掘を開始するまで数ヶ月……下手をしたら数年は掛かるだろう作業を数時間で終えてしまう。

 午前中にその地を調査して、有望な鉱脈があると分かれば午後から採掘する。こんな無茶が普通にまかり通るのだ。

 この辺、無人機のメギロートやイルメヤが工作機械としてもかなり優秀なおかげだからだろう。

 エザリアとしても経験を積ませたいのか、採掘作業に関してはあやかや千鶴に多くの仕事を割り振って経験を積ませている。

 

「また、随分と多いな。これ全部がレアアースだったり、レアメタルだったりするのか?」

 

 輸送機から運ばれてくるコンテナを眺めつつ、思わず呟く。

 数十のそのコンテナに積まれているのが全てがレアメタルやレアアースの類だとすれば、それはもう『レア』とは言わないんじゃないだろうか。

 

「あーはーはー。確かにアクセルの言う通りかもしれないけどねー。ざーんねーんでしたー! これは全部レアメタル、レアアースの類ですぅ!」

 

 エルベ藩王国から発掘された資源の第一陣に驚いていた俺に対し、輸送機から降りてきたロイドが嬉しそうにそう叫ぶ。

 

「って、ロイドさん! それよりもこれを運ぶ先とか、仕分けとかをきちんと考えて下さい!」

「えー、そういう面倒なのは全部君に任せるからさぁ。僕は魔法球の方に戻って研究を……」

「ロ・イ・ドさん?」

「はいごめんなさいすぐに作業に掛かります」

 

 ロイド使いのセシルという呼び名は伊達じゃないな。……まぁ、あくまでも技術班の中だけで呼ばれている名前であり、本人にそれを言うと顔を真っ赤にして怒って鉄拳制裁されるって話だけど。

 まぁ、それはともかくとして。

 

「で、セシル。具体的にはどんなのがあったんだ?」

 

 こういう場合、ロイドに聞くよりもセシルに聞いた方が手っ取り早い。

 

「あ、はい。レアメタルではガリウム、リチウム、ルビジウムといったところですね。レアアースだと ジスプロシウムやホルミウム辺りが多いです。……凄いですね、本当にエルベ藩王国はレアメタルやレアアースの宝庫ですよ。有望そうな場所だけを見ても、かなりの埋蔵量が見込めます。それこそ、レアなんてつかないくらいに」

「なるほど、確かに資源大国と言われているだけはあるな。……石油の方はどうだ?」

「そちらも大丈夫です。……ただ、石油は精製作業が必要なので、それを設置するとなるとどうしても目立ちますから、妙な考えの人達が襲ってくる可能性がありますけど……」

「ああ、その辺は問題ない。メギロートとイルメヤを派遣する予定になっているからな。当然量産型Wも」

 

 そもそも現状で俺達に攻撃を仕掛けるということは、色々な意味で自殺行為でしかない。だが帝国の残党だったり、それ以外でも未だに俺達を甘く見ている奴等が攻撃を仕掛けてこないとは限らないのが、この門世界なのだ。

 勿論、エルベ藩王国を始めとした各国としては俺達と敵対したくないのだが、寧ろ俺達に攻撃して連合軍と同士討ちさせようと駆虎呑狼の計の如き策略を仕掛ける奴がいないとも限らない。

 色々な意味で、採掘場の護衛に関しては準備しておく必要がある。

 

「なるほど。……寧ろそんな状態の採掘場に襲ってくる人達が可哀相になりますね」

「あーはーはー。自業自得でしょ、そんなのは。そーれーよーりーも、僕はもう行ってもいい? 行ってもいいよね?」

「あーもう、ロイドさん! すいません、後は私がやりますので、ロイドさんを先に行かせても構わないでしょうか?」

 

 溜息を吐きながらそう尋ねてくるセシルだが、そう言いつつもロイドの世話を焼けるのを喜んでいるのを俺は知っている。

 何しろこの2人、居住区画でも家は隣同士なのだ。……まぁ、ロイドは魔法球の中で研究三昧な日々を楽しんでいるから、殆ど家に帰る事はないんだが。魔法球の中の研究施設で寝起きしているロイドは、当然セシルとも一緒な訳で……ある意味では同棲していると言ってもいいのかもしれない。

 もっとも、ロイドはともかくセシルにそんな事を言えば、恐怖のブルーベリージャムおにぎりが唸って光って爆発……はしないと思うが、色々と酷い目に遭いそうな気がする。

 

「ああ、好きにしろ。やる事をしっかりやってれば文句は言わないさ」

「ありがとうございますー。いやぁ、シャドウミラーはいいよねぇ。研究三昧の日々を送るには最高の場所だよ。研究費も研究素材も使いたい放題! 時間に関しても魔法球があるし……本当にシャドウミラーに所属して良かった」

「そうか。今も言ったが、こっちとしてはやる事をやってれば文句は言わないよ」

 

 資金にしろ、素材にしろ、基本的にはキブツがある以上無尽蔵に好きなだけ利用出来る。更に魔法球は外の1時間が中では2日間だ。ロイドのような研究馬鹿にとって、シャドウミラーの技術班というのは、ある意味理想だろう。

 休日とかを楽しむタイプの性格なら全く合わないだろうが、研究が趣味という性格ならこれ以上ない程の労働環境だ。

 

「じゃあ、僕は行くね、行きますね、行きますよー」

 

 そう告げ、去って行くロイド。

 セシルは溜息を吐いてそれを見送る。

 放っておけないというところなんだろう。

 実際ロイドは技術班の中でも問題を起こしやすいメンバーであり、セシルだけではなくエキドナからも色々と目を付けられている存在なんだからしょうがない。

 

「えっと、これが今回採掘できたレアメタルやレアアースの詳細なデータとなります。石油に関しては今回試掘という形だったので、あまり量がないんですが」

 

 セシルから渡された書類に目を通す。

 そこには先程セシルが口にしたレアメタルやレアアースの他にも、幾つもの名前が並んでいる。

 ……いや、本気でかなりの埋蔵量が期待出来そうだな。

 もっとも、この殆どはマヴラヴ世界の方に回されるんだろうが。

 それ以外の世界でも足りないのは回してやってもいいかもしれないな。特にネギま世界だと麻帆良と雪広財閥、那波重工という1つの都市と2つの財閥やら会社やらでこっちと取引をしている以上、色々と足りない物も多いだろうし。

 一応ブルーマーズ計画を実行している関係上、雪広財閥ににしろ那波重工にしろ、世界規模で展開はしている。それでも、不当な圧力を掛けてくる国もあるらしい。

 魔法使いが国に関与しているような場所であれば、ブルーマーズ計画に関しても余計なちょっかいは出してこなかった。……今までは、だが。

 ここで契機になったのが、麻帆良がMMから独立した事。その辺の関係で色々とあったらしい。

 なので、今では以前程魔法協会のバックアップも受けられない状態になっているとか何とか。

 まぁ、それでも魔法使いの中にはMMにベッタリって訳じゃなくて、きちんと世の中の情勢を見比べている魔法使いとかは、何だかんだと協力してくれているって話だからそれ程問題は大きくないんだが。

 魔法界の方でも、色々と騒動が起きているらしいからな。やっぱり大きいのはブルーマーズ計画を進めている俺達がMMから距離を取っている事か。

 麻帆良もMMから独立したし、MMが色々な意味で落ち目になっている。

 向こうもそれを理解しているのか、色々と蠢いているらしいが……ネギが邪魔をしているらしく、殆ど実を結んでいない。

 というか、ネギとフェイトがお互いに悪口を言いつつもそれなりに仲良くやってる方が俺にとっては驚きだった。

 意外と相性悪くないんだな、あの2人。

 SEED世界のオーブに関しても色々と奴隷の件で思うところはあったようだが、島国という立地上資源は多くあった方がいい。

 また、オーブの民を奴隷とした原因のモルト皇帝とゾルザル皇子が処刑されたという事、あるいは帝国そのものが滅亡したという事もあり、門世界に対して不快感は抱いているが、以前よりはマシになっている。

 そんな風に考えつつ、取りあえず運ばれて来た資源を空間倉庫に収納し、ホワイトスターへと運ぶのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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