転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0984話

 ニーズヘッグの映像モニタに映し出されているのは、無数のBETA、BETA、BETA。

 文字通りにBETAの山と表現してもいいだろうその光景。

 荒野や岩砂漠といった場所が戦場になっている筈だが、無数のBETAの姿により地面はほぼ全てが覆われている。

 それに対するのは、アンバールハイヴを基地として改造していた中東連合軍、アフリカ連合軍、国連軍。

 間引きでは十分に効果を発揮しているリニアガン・タンクやガン・ルゥの集中運用による遠距離からの攻撃で迫ってくるBETAを必死に防いではいるが、敵の数が20万、あるいは30万ともなればそれは焼け石に水でしかない。

 アンバールハイヴの攻略作戦に参加した者もいるんだろうが、それでもハイヴ攻略作戦では基本的に俺達シャドウミラーが内部に突入していたおかげで、殆どの戦力がこちらに向かってきた。

 その結果、地上に出てくるBETAの数はそれ程多くはなかったのだ。

 それ故にこの世界の戦力であっても十分以上に対応出来ていたし、ハイヴを増やさない為の間引きの作業にしても、これ程の大軍と戦う必要はなかった。

 だが今回は違う。BETAが何を思ったのかは分からないが、こっちに占拠されたハイヴを全力で取り戻しに来たのだ。

 恐らくBETA内で何らかの方針転換があったのかもしれないが……いや、今はそれを考えるよりもBETAを片付ける方が最優先、か。

 

「お前達は地上の援軍として向かえ。BETAの後衛は俺だけで何とかする」

『了解しました』

 

 量産型Wの短い返事を聞き、先程からニーズヘッグに向かって無数に放たれているレーザーをそのままに、より空中の高い場所へと上がっていく。

 その際に見えてくるのは、まだ完全に撤去はされていないモニュメントの残骸。

 ハイヴを完全に基地化出来ていれば、ここまで切羽詰まってなかったのかもしれないが……いや、無理か。ハイヴ内部で俺達が仕留めた無数のBETAの死骸を全部地上に引き出すだけでも一苦労だろう。

 特にBETAの死骸は強烈な悪臭がするし、数も数だ。

 ハイヴのドリフトにしても、使わない場所は埋め立てたりとかもしなければいけないのを考えると、基地として使えるようになるまではまだ暫く掛かるだろう。

 ……フェイズ5ってのも大きいよな。

 それを考えれば、鉄原ハイヴに展開したニヴルヘイムは既にある程度基地化されているという影響もあって、それ程苦労せずに済むだろう。

 もっとも、だからこそ戦闘にあまり慣れていないエザリアが指揮を執るニヴルヘイムと実働班のメンバーの3割を送ったのだが。

 これが初の実戦でもあるレイも鉄原ハイヴだ。この辺、上手く乗り越えて欲しい。

 そして戦闘に慣れているシロガネや、コーネリアが指揮を執る実働班の6割が派遣されたのがリヨンハイヴ。

 一番新しく攻略されたフェイズ5のハイヴであり、当然その内部はまだまだ……それこそアンバールハイヴと比べても基地化は進んでいない。

 だからこそ、それだけの戦力を派遣したのだが。

 そしてアンバールハイヴに援軍として来たのが、俺のニーズヘッグと残り1割の実働班の戦力。

 その1割はメギロートとシャドウのみで構成されている。

 色々と機動力が必要という事で、イルメヤに関しては他の2つの戦場に配備して貰った。

 それでも視界いっぱいに広がっているBETAを相手にするには十分過ぎる戦力だ。

 さて、始めるか。

 

「国連軍、中東連合軍、アフリカ連合軍の司令部に告げる。こちら、シャドウミラー代表、アクセル・アルマーだ。見ての通りBETAの攻撃に対する援軍としてやってきた」

『アクセル代表、やはり来てくれたか! こちら、国連印度洋方面第2軍、第8戦術機甲旅団の指揮を執っているドゥーナ・シリール少将だ。現在臨時としてこのアンバールハイヴ防衛軍の指揮も任されている』

 

 映像モニタに映し出されたのは、50代程に思われる浅黒い肌の初老の男。

 ただし、このマブラヴ世界の軍人らしく弛んだ様子は見えない。

 この外見から考えると、恐らくこの辺の出身なのだろう。

 

「そうか、よろしく頼むシリール少将。既にこちらの戦力を迎撃をしている部隊の援軍に回しているが、構わないか?」

『勿論だ。こちらとしても、今のままではいずれ押し切られていただろうからな』

 

 なるほど。権威に凝り固まった様子はないな。現場主義の軍人か。……現場主義で少将まで出世したってのは色々と凄いが。

 いやまぁ、BETAとの戦いの最前線でもあるアンバールハイヴを護衛する国連軍の指揮官だと考えれば、権威主義とかプライドだけが高くて能力は低いような人物を充てる訳にはいかなかったんだろうが。

 

「そう言って貰えると助かる」

 

 向こうの同意を取り付け、少し安堵する。これならこちらの次の行動をあっさりと許可するかもしれないな。

 

「それでこれからの方針だが……いや、その前に一応聞いておこうか。そちらではどうする予定になっている?」

 

 シリールとの会話を交わしつつ、ニーズヘッグは前線へとその姿を移動させる。

 当然そうなればBETAの前衛である突撃級の後ろ、中衛や後衛に位置している光線級、重光線級によるレーザーの照射を大量に受けているのだが、その全てがEフィールドによって防がれている。

 そんな状況でヒュドラのビーム砲や、ランツェ・カノーネでビームを連射しつつ、アンバールハイヴへと向かってきている突撃級を片っ端が撃破している。

 狭い場所で戦術機が突撃級と戦う場合は、突撃級の死骸が邪魔になって非常に面倒な事になるって話だが、幸いここは外だし、何より遠距離からの攻撃が中心なので敵との距離は大きく開いている。

 突撃級の死骸は、寧ろBETAの進軍を多少なりとも停滞させてくれるということでこちらの利益になっていると言えるだろう。

 ……それでも敵の数にジワジワと押し込まれているのだが。

 

『上からはどんな手を使ってもいいから、とにかくこの場を死守せよ、と』

「だろうな」

 

 このアンバールハイヴは、オリジナルハイヴのカシュガルハイヴに最も近い位置にある人類の拠点だ。それを考えれば、国連軍上層部……延いてはアメリカはこの地を出来る限り手放したくないだろう。

 もっとも、オリジナルハイヴが近いからこそ、敵の数が多くなるんだろうが。

 だが、その命令は俺にとっては好都合だ。

 

「分かった。どんな手段を使ってもいいという命令を受けているんだな? ならフレイヤを使う」

『フレイヤ……と言うと、確かアラビア半島防衛戦で使った広範囲破壊兵器でしたな?』

「そうだ。一応前もって言っておくが、放射能や重力異常といったものはない。ただ、純粋に地面が抉り取られるのだけは我慢して貰う必要があるがな」

『……正直、独断で決定していいものかどうか迷うが、実際放射能等の悪影響もないというのは証明されているし、このままでは物量に押し切られるだろう敵の数を考えればそれしか手段がないのは分かる。で、あるのなら……アクセル代表に全てを託そう』

 

 ほう、現場主義もここに極まれりだな。

 アラビア半島防衛戦でフレイヤを使った時は猛抗議が来たんだが。

 いやまぁ、あの時は核と思われていたからしょうがないか?

 ともあれ、こっちとしても許可を貰えるのなら話は簡単だ。

 出来れば、鉄原ハイヴ、リヨンハイヴでもここみたいに柔軟な人物が指揮を執っていればいいんだが。

 

「分かった。なら俺はこれから群れの真ん中でフレイヤを使用する。その間はここにいる戦力だけでBETAと相対する事になるだろうが、メギロートやシャドウがいるから十分に保つ筈だ」

『確かに。こうして見る限りでは、アクセル代表達が援軍に来る前に比べるとBETA共の進行速度はかなり落ちているのが分かる』

 

 それでもジリジリとこっちが物量で押し込まれつつあるというのは変わらないんだよな。

 この数の差だけはどうしようもない。

 もっとも、だからこそフレイヤのような兵器が役に立つんだが。

 メガ・バスターキャノンを使ってこっちとの距離を縮めようとしている突撃級を一掃しながら通信に答える。

 

「なら早速行動を開始するが、構わないか?」

『了解した。幾つものハイヴを陥落させてきたシャドウミラーの実力を期待する』

 

 その言葉と共に通信が切れる。

 色々な意味で俺の担当区域は当たりだったな。

 

「俺はこれから敵の中央から背後を纏めて消滅させる。その間、戦線を維持しろ」

『了解しました』

 

 短く答えた量産型Wの言葉を聞き、空中を浮かんで延々とレーザーを食らっていた状態から、ツイン・ドライブとエナジーウィングを使い、一気にBETAとの距離を縮めて行く。

 行きがけの駄賃とばかりに、突撃級の上空を通りながら腹部拡散ビーム砲を射出し続け、そのままBETAの群れに1本の道を作るかのように真っ直ぐ進む。

 そうしてやがてBETAの群れの中央付近。丁度突撃級の最後尾辺りに止まると、そのままランツェ・カノーネの砲口を下へと向ける。

 だが……ここで撃つのはランツェ・カノーネのビームではない。その砲口の下に取り付けられているフレイヤだ。

 本来であれば、BETAの優先撃破目標になる爆弾やミサイル、あるいは砲弾の類だが……幸いここにはそれ以上にBETAの優先度が高いニーズヘッグの姿がある。

 BETAのその正確無比な判断力があるからこそ、寧ろ安心して俺はフレイヤを撃ち放つ事が出来た。

 

「死ね、BETA共。……お前達の死骸を手に入れられないのは残念だが、それでもここにお前達の居場所はない」

 

 その呟きと共に、T-LINKシステムでフレイヤ弾頭の効果範囲を設定してトリガーを引き、瞬間ランツェ・カノーネの砲口の下についているフレイヤ弾頭が発射される。

 その弾頭は俺の予想通りにレーザーの一切を照射されず、目的の場所へと向かって突き進む。

 まぁ、ニーズヘッグとフレイヤではどちらの方が高度な兵器なのかというのは明白だし、その辺を考えれば当然だろう。

 そして、放たれたフレイヤ弾頭はBETAの群れの真ん中……丁度中衛の中間辺りで起爆する。

 そして生まれる球体状のエネルギー。

 リミッターの無い状態であれば半径100km程にまでその効果範囲は広がるのだが、ここでそこまで効果範囲を広げてしまえば、アンバールハイヴにまで届いてしまう。

 よって、本来の効果範囲の5分の1、半径20km程度まで抑えた効果範囲は、BETAの最も数の多い小型種や要撃級、光線級を含む中衛を綺麗さっぱり消滅させ、更にその効果範囲は前衛の突撃級の半ば、後衛の要塞級、重光線級の大半をも飲み込んだ。

 前衛と後衛の被害の大きさの違いは、やはり突撃級の移動速度故だろう。

 更に、フレイヤの効果はこれだけでは終わらない。

 球形状のエネルギーはその場にあった空気そのものをも消滅させており、次の瞬間にはそこに周辺の空気が大量に流れ込んで二次被害をもたらす。

 突撃級もバランスを崩しながら強制的に背後へと引き寄せられ、重光線級は抵抗すら出来ないままに吸い込まれていく。要塞級にしても10本の足で踏ん張りきれず、こちらもまた同様に引き寄せられていった。

 そうして引き寄せられた先でそれらのBETAがぶつかり、すり潰され、砕け、刺し貫かれる。

 フレイヤの一発だけで20万、あるいは30万と言われていたBETAの数が7割から8割程がその姿を消した。

 同時に、防衛線を展開していたリニアガン・タンク、ガン・ルゥ、戦車、戦術機の攻撃が一瞬止まる。

 唯一動いているのは、シャドウとメギロートのみだ。

 BETAの方も後ろで受けた被害に関わらず、まっすぐにアンバールハイヴへと向かっている為に、このままでは押し込まれつつあった。

 アラビア半島防衛戦の顛末を知らない者がいるとも思えない。となると、恐らく映像で見たか、実際に見たかの違いか? いや、ここがアンバールハイヴで、更に中東連合軍、アフリカ連合軍もいる以上、あの光景を生で見た者は少なくない筈だ。

 ともあれ……

 

「いつまでぼうっとしている気だ! 動け! お前達の守るべきものは後ろにいるんだぞ! その為にお前達はそこに立っている筈だろう!」

 

 オープンチャンネルでそう叫び、同時に他の者達の戦意を高める為に『燃える天空』を突撃級に背後から放って数十匹の突撃級を燃やし尽くす。

 それで我に返ったのだろう。防衛線を展開していた部隊もまた攻撃を始める。

 BETAがここまで押し込む事が出来たのは、純粋に数が多かった為だ。その数の大半がフレイヤで消滅した以上、既にそこにあるのは掃討戦に近い。

 攻めて来たBETAを1匹残らず生かしては帰さんと攻撃が行われ……終わってみれば、被害は俺達が到着する前に光線級や重光線級から遠距離攻撃で撃破された機体のみと、かなり少数の被害に留めることが出来たのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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