転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0985話

 3月も半ばになって起きた、ハイヴ奪還作戦とでも言うべきBETAの大規模な行動は、大氾濫という名前でマブラヴ世界の軍人、あるいは政治家といった者達の心胆をこれ以上ないくらいに冷やした。

 それも当然だろう。1年程度でハイヴを3つも奪還――しかもそのうちの2つはフェイズ5――したのだから、BETAに勝てるという希望が広がっていたのも当然だ。そして間引きの作業とかでも、俺達を通して購入しているリニアガン・タンクやガン・ルゥ、あるいはそれらの技術を研究して性能の上がった戦術機のおかげで犠牲になる人員が加速度的に減っていたのだから。

 そんな状態であったのだから、BETAに対する認識が甘くなっていたのは間違いない。

 だが……この世界の住人は忘れていたのだろう。BETAというのは自分達の認識の及ばない存在であるという事を。

 それを如実に示したのが、今回の大氾濫だった。

 幸いにも俺が守り切ったアンバールハイヴ以外の、鉄原ハイヴ、リヨンハイヴ共にハイヴの防衛には成功した。特にリヨンハイヴはシロガネを含めて多くの戦力を派遣した事もあって、被害も殆どない状態だったらしい。

 勿論被害が皆無という訳ではない。20~30万のBETAを相手にしているのだから、数十人、あるいは百人を超えるだけの被害は出ているだろう。

 それでも長年BETAとの戦いを行ってきたマブラヴ世界にしてみれば、被害は軽微という扱いになる。

 シャドウミラー側の被害に関しては、イルメヤやメギロートが何機か小破、あるいは中破しているが、大破の機体は存在しない。

 ただ、シロガネのブリッジクルーとしてBETAとの実戦に初参加した円と美砂が、BETAの嫌悪感をもたらす外見で色々と精神的にダメージを受けたらしいくらいか。

 それに比べて、問題は鉄原ハイヴだ。このハイヴは当然の如く大東亜連合がメインの戦力として防衛していたのだが、ここでまたその大東亜連合に所属している某国がやらかした。

 何を思ったのか、自分達の部隊だけで突出したのだ。

 現在のマブラヴ世界のBETAに対する戦術は、その主戦力が数を揃えられるリニアガン・タンクやガン・ルゥのように遠距離からの攻撃を重視したものとなっている。

 アメリカと同じ戦術であるが、実際に遠距離から一方的に攻撃するのが有効なのは事実だ。

 だというのに、何を思ったのかその某国は自分達の部隊で突出した。

 ……あるいはBETAの中衛や後衛にいる光線級、重光線級を先に始末しようと思ったのかもしれないが、あまりにも迂闊としか言えない行動だった。

 国連軍、日本帝国軍、更には大東亜連合の他の国々に対しても何も言わずの独断専行であった為、当然の如く韓国軍の行動に合わせられる筈もなく、大きな被害を受けてそのまま撤退したらしい。

 更に悲惨だったのは、韓国軍が撤退してからそう時を置かずにニヴルヘイムが戦場に到着。当然の如く光線級、重光線級から放たれるレーザーは全てがニヴルヘイムに集中して、戦場では光線級と重光線級の脅威がなくなったことだ。

 シャドウミラーが援軍で到着するというのは当然連絡されていた筈なんだが、何を思ったのか……あるいは日本と仲のいいシャドウミラーに対して色々と思うところがあったのかもしれないが。

 しかも例によって例の如く、シャドウミラーの到着が遅れた為に韓国軍が多大な被害を受けたとして謝罪と賠償を要求し、すぐに他の大東亜連合を組んでいる国々に撤回させられている辺り、既に既定路線というか、お馴染みのやり取りと言ってもいいだろう。

 ちなみにこちらでBETAとの初陣だったレイは、スティングやアウルとチームを組んで特に怪我や機体のダメージもないままに戦いを潜り抜けた。

 使っている機体はスティングやアウルと同様のシャドウをカスタム化したものだが、ムウと同じようにドラグーンとかファントムとかそっち系の適性はあるだろうから、いずれ他の2人共々専用機を用意したいところだ。

 とにかく、急に起きたBETAの大氾濫はどうにか対処する事が出来た。

 いや、結果的に見ればマブラヴ世界の戦力が受けた被害は軽微である以上、寧ろ氾濫があって良かったと考えるべきなんだろう。

 ……これに乗じてBETAがハイヴを取り戻すんじゃなくて別の場所にハイヴを作るべく行動していたら色々と後手に回っただろうが、幸いそういう事はなかった。

 だからこそ……そう、だからこそ、こういう話が出てきたのは理解が出来るのだ。

 

「複数ハイヴの同時攻略作戦……オペレーション・ルシファーねぇ」

 

 マブラヴ世界の国連がオーストラリアを通して要請してきた計画書を見ながら、思わず呟く。

 そんな俺の言葉に、何とも言えない視線を向けているのは、映像モニタに映し出されているあやかだ。

 

『一応このマブラヴ世界の歴史については勉強しましたが、正直歪としか言いようがないですわね。もっとも、BETAという存在がいるからこそこんな形になってしまったのでしょうが』

「……まぁ、考えている事は分かるんだよ。あれだけのBETAを戦力として出してきたんだから、ハイヴに残っているBETAの数はかなり少なくなっている筈だという予想に関しても理解出来る」

『ですが、そのような前提を覆すのがBETAなのでしょう?』

「そうだな」

 

 それもまた、事実。

 あやかの言葉に、計画書に書かれている攻略予定のハイヴを見る。

 まず鉄原ハイヴ近辺のハイヴとして、ウランバートルハイヴとブラゴエスチェンスクハイヴを同時攻略。この2つに関しては、作られたのが鉄原ハイヴとほぼ同時期という事もあって、両方ともフェイズ2だというのが同時攻略という選択肢になった理由だろう。

 まだフェイズ2であり、もっと大きなフェイズとなる前に攻略して後顧の憂いを絶つという日本、ソ連、大東亜連合の考えは理解出来ないでもない。

 この2つのハイヴを同時攻略するか、あるいはフェイズ3の重慶ハイヴ1つを攻略するかで色々と揉めたらしいが。まぁ、重慶ハイヴの位置を考えれば、こちらもなるべく早く潰しておきたいというのは分からないでもない。

 重慶ハイヴを潰せば、そこからマンダレーハイヴ、敦煌ハイヴに対する足がかりになるしな。

 ウランバートルの場合は敦煌ハイヴとクラスノヤルスクハイヴ攻略の足がかりになる。

 どっちもどっちな気がするが、結局決め手はハイヴ1個と2個の差だったのだろう。

 ああ、それとハイヴ内の戦力が少なく、フェイズの低いハイヴならマブラヴ世界の戦力でどうにか出来るという自信もあるんだろうな。

 ちなみにこの案を提出したのは日本、ソ連、大東亜連合なのは、支配地域の問題か。

 そして欧州軍からはリヨンハイヴの最も近くにあるブダペストハイヴの攻略作戦。フェイズ5のこのハイヴの攻略は色々と難しそうな気もするが、この戦線の援軍に出たマリューからの報告によれば、リヨンハイヴに攻めて来たBETAの大半がブダペストハイヴからで、ミンスクハイヴからは少数……って事らしい。

 そのBETAも当然ながら殲滅したので、欧州連合軍にしてみればブダペストハイヴを攻略するのは今という判断か。

 特にリヨンハイヴ攻略作戦の時には、ハイヴ内部の敵の数が多すぎて結局はシャドウミラーに援軍を要求したという事もあり、次こそはという思いが強いという報告も入っている。

 ただブダペスクハイヴに関してはそれ程心配していない。欧州連合軍の第3世代機のEF-2000もあるし、ガン・ルゥのライセンス生産で数に関しても十分以上に揃っている。

 本当にブダペスクハイヴのBETAが少ないのなら、恐らくは攻略するのは難しくない筈だ。

 そして……アンバールハイヴ。ここが思い切り問題となっている。

 アンバールハイヴの近くにあるハイヴは、イランにあるマシュハドハイヴ。アフリカ連合軍と中東連合軍から提案された攻略対象とされているこのマシュハドハイヴは、色々な意味で危険な場所にある。

 まず、オリジナルハイヴでもあるカシュガルハイヴの近くにあり、地上で2番目に作られたハイヴだ。規模的にはフェイズ5とされているが、数多くあるフェイズ5のハイヴの中でも最もフェイズ6に近いのは間違いない。

 それにマシュハドハイヴの近くにはカシュガルハイヴの他にもボパールハイヴ、ウラリスクハイヴの2つがある。

 カシュガルハイヴを入れて3つのハイヴから丁度同じ位置にあるのだから、マシュハドハイヴを占領した後で守り切れるかどうかと言われれば……正直微妙だろう。

 それにカシュガルハイヴから近い位置にある以上、BETAの個体数が少なくなっているとしても、それは信じにくいというのも事実だ。

 かといって、ウラリスクハイヴ、ボパールハイヴを攻略するにしても、マシュハドハイヴが楔となって邪魔。

 もしどうしてもマシュハドハイヴを攻略するとしたら、まず最初にマシュハドハイヴを攻略して、BETAが準備を整えないうちにカシュガルハイヴに主戦力を向け、押さえとしてウラリスクハイヴ、ボパールハイヴにも攻略部隊を出す。

 当然そうなれば、反対側からも戦力を出し、敦煌を攻略してすぐにカシュガルハイヴに戦力を向かわせるという手段が欲しい。

 どうしてもアンバールハイヴ側から3面作戦が出来ないようなら、ヨーロッパ側で今回のブダペスクハイヴを攻略してもらった後、そこからウラリスクハイヴまで手を伸ばして貰うという方法もある。

 その辺を説明すると、あやかが難しい顔をしながら頷く。

 

『ですが、それはマブラヴ世界の方でも分かっているのでは? それでいてこの反攻作戦の提案をしてきたという事は……』

「ああ。恐らく俺達の戦力を当てにしているんだろうな」

 

 正直、この選択が間違っていると言い切れないのはそこだ。

 確かに俺達シャドウミラーの戦力があれば、一件無茶ともとれるこの作戦は可能だ。だが、問題は……

 

「俺達がハイヴ攻略を手伝って占拠したとしても、それを維持出来るかどうかって事だろうな」

 

 そう。マシュハドハイヴを攻略するの自体は、俺達が手を貸せばそれ程難しくはないだろう。だが、それを防衛するのにもこちらの戦力を頼られるようになってしまえば、色々と面倒な事態が起きかねない。

 例えば自分達だけでこの世界の戦力たり得ないと考えて、半ば暴走するような事すら起きるかもしれないのだ。

 普通であればまず有り得ないだろうが、このマブラヴ世界ではBETAに自分達の故郷が占領されているだけに、郷土愛のような自国に対する思いが強い。

 あるいは、シャドウミラーの戦力に頼り切りになられても困る。

 その辺を考えると……

 

「今回のハイヴ攻略作戦に関しては、中国方面とヨーロッパ方面に限定して、アンバールハイヴのある中東方面は現状維持の方がいいと思うんだけどな」

『なるほど。ではそのようにオーストラリアを通して国連に提言したいと思いますが、構いませんか?』

「頼む。それと今はハイヴの数を減らしていくのが重要だという認識を持っているというのを付け加えてくれ」

『それは……中国方面でのお話ですの?』

「敢えてどことは指定しないが、な」

 

 シャドウミラーが手を貸せば、フェイズ5ハイヴを攻略するというのはそれ程難しくない。であるのなら、フェイズ2や3といったハイヴがこれ以上成長する前に攻略してしまうのが、俺としては正しい選択だと思う。

 とにかく、このマブラヴ世界ではBETAの基地となるハイヴの数が多すぎる。

 この世界の軍事技術を考えれば、それでも寧ろ頑張っている方だと言えるのかもしれないが……それでもやはり、今までのツケが回りに回ってきている形だ。

 

「それと、当然シャドウミラーに対する援軍を要求するようなら、相応の報酬の提示を忘れないようにな」

『ええ、その辺はエザリアさんから十分に言われていますわ。アトリエのないフェイズの攻略に参加する場合、今まで国連やアメリカが得たG元素を要求するとか。あの方、以前から思っていましたが色々と怖い方ですわね』

「何だ、雪広財閥の交渉をしてきたって割には随分と弱気だな」

 

 その言葉に、拗ねたように視線を逸らすあやか。

 

『確かに経験はそれなりに積んできたつもりですが……結局は雪広財閥の娘という事で手加減されていたんですわ』

 

 なるほど。それがエザリアの本気の交渉を見て自信をなくしたか。

 

「確かにな。エザリアは、レオンが来るまではシャドウミラーの政治や外交交渉を一手に引き受けていた人物だ。その経験はかなり大きいだろう」

『ええ。千鶴さんも少し自信をなくしているように見えますわね』

「逆に考えれば、これからお前達はどこまでも高みに昇れるって事だろう? 時の指輪を身につけたんだから」

『……そうですわね。そう考えれば、寧ろエザリアさんのような方がいるというのはありがたいと言えるのかもしれませんわね』

 

 笑みを浮かべるあやか。

 そのまま20分程話し、完全に立ち直ったと判断して通信を終えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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