転生とらぶる   作:青竹(移住)

1044 / 4304
0990話

「そう言えば、何だかんだ言いつつ俺が実際に戦うのは随分と久しぶりなような気がするな」

 

 シロガネが見える位置でツイン・ドライブで空中に浮かび、時折飛んでくるレーザーをEフィールドで防いでいるニーズヘッグのコックピットの中で呟く。

 帝国との戦いは戦力差が開きすぎていた影響もあって、俺は殆ど出番がなかったしな。

 それこそ、シャドウ、メギロート、イルメヤの3機種だけでどうにかなってしまう程に技術レベルや文明レベルそのものが圧倒的に差があった。

 となると、BETAの大氾濫の時……ん? いや、それだとそう前って訳でもないか。

 そんな風に考えていると、映像モニタに美砂の姿が映し出される。

 

『アクセル君、国連軍と欧州連合軍からの了解を貰ったわよ。やっぱり向こうでもミンスクハイヴから向かってきているBETAの相手は出来ないから、こっちに任せるって』

「そうか。……妙に時間が掛かったのは?」

 

 既にミンスクハイヴからのBETA10万規模がこちらに向かっているというのを察知してから20分が過ぎている。シャドウミラーとして考えれば、初動が遅いとしか言いようがないような速度だ。

 だが、美砂の代わりに映像モニタに姿を現したマリューが、どこか呆れた様に口を開く。

 

『あのね、アクセル。それはそもそもシャドウミラーが即断即決過ぎるのよ。敵の援軍を察知して把握してから、上にシャドウミラー協力の許可を貰って、私達に要請してくる。それを30分でやったのなら、とてもじゃないけど遅いとは言えないわよ。……もっとも、早いとも言えないけどね』

『確かにうちのトップは基本的に直感で判断して敵に突っ込んで行ったりするから、その辺の判断は早いわよね。……これでその判断が間違っていたりしたら笑い話にしかならないんだけど、最終的に見るとその判断が間違っている事は殆どないから何も言えないのよね。困ったものだわ』

 

 そう告げるのは、ニーズヘッグから少し離れた場所で同じくテスラ・ドライブで浮かんでいるヴァイスセイヴァーのコックピットにいるレモン。少し離れているのは、万が一にもレーザーによる攻撃に晒されない為か。

 いや、ヴァイスセイヴァーにしろ、動力源はブラックホールエンジンに換装されているし、テスラ・ドライブもフィリオのカスタマイズしたテスラ・ドライブを使っているから、グラビティ・テリトリーとEフィールドは装備していて、レーザーは物ともしないんだけどな。

 言葉では困ったと言っているが、その表情を見たり言葉を聞けば面白がっているのが明白だ。

 

「レモン、量産型Wやメギロート、シャドウへの指示は終わったのか?」

『ええ、その辺はもう完了したわ。取りあえず私達シャドウミラーはこっちに向かっているBETAに対応するけど、ブダペストハイヴの内部に突入した戦術機部隊と一緒に行動しているメギロートは積極的に行動に出るようにね』

 

 自分達だけでブダペストハイヴの攻略を目指していた欧州連合軍としては、断腸の思いの決断だった筈だ。

 だが、俺達の参戦が決まった以上は既にメギロートをただつけておくだけというのは意味がない。それなら戦力としてきちんと使った方がいいだろう。

 

『アクセル君、その……気をつけてね。アクセル君の事だから、殺しても死なないとは思うけど』

 

 映像モニタに映し出された円が心配そうにそう告げてくる。

 この言葉を聞けば分かるように、今回シロガネは俺達に同行しない。何しろ、シロガネの最大の役目は上空に存在している事。……より正確には、上空で光線級、重光線級の攻撃を一手に引き受け続けて、戦術機やリニアガン・タンクを含めた戦車、ガン・ルゥに対するレーザー照射を防ぐという事にあるのだから。

 シロガネ……そして今はニーズヘッグに照射されているレーザーは、戦術機を含めて色々な意味で天敵だ。それを思えば、やっぱりレーザーを自分に集中させるという効果を発揮出来る機体に関しては重要なのだ。

 

「任せろ。すぐに戻ってくるから、円や美砂はシロガネの方でこっちの戦場をフォローしてやってくれ。特に俺達の参戦が決まった以上、これからはシロガネは防御だけじゃなくて攻撃にも参加する事になるからな」

 

 そう、シャドウミラーの作戦参加が正式に決まった以上、当然シロガネもその防御力だけではなく、この世界の兵力に比べて莫大とも表現出来るその攻撃力を発揮出来る。

 ……もっとも、シロガネの攻撃参加が許可されるのはニーズヘッグが転移した後だから、それを直接この目で見る事は出来ないんだが。

 何故メギロートは既にハイヴ内で戦闘に参加しているのに、シロガネは俺達と同時なのかという理由に関しては、欧州連合軍と国連軍の間に色々と複雑な事情もあるのだろう。

 面子とか実力とか発言権とか。その辺諸々に。

 

「さて、そろそろ時間か。レモン、準備は?」

『こっちはいつでもOKよ。さっきも言ったけど、ここに残していく分のメギロートとイルメヤにも指示は出しておいたし』

「マリュー、そっちは?」

『こっちもいつでもいいわ。ニーズヘッグの転移が完了したら、それに合わせて連装副砲、連装衝撃砲、多重連装ビーム砲を一斉射撃するつもりよ。射程圏内にいる部隊に対する通知も完了済み』

 

 どっちも準備OK、と。

 なら、早速こっちも動くとするか。

 

「システムXN、起動。転移座標入力。転移フィールド生成開始」

 

 その言葉と共にニーズヘッグから光の繭が生み出され、転移する戦力全体を覆っていく。

 

「マリュー、円、美砂。こっちは頼んだ。今夜は皆で祝杯だ。……アルコール以外でな」

『ふふっ、分かったわ。今日の夜はたっぷりとサービスしてあげる』

『ちょっ、こんな時に何を……』

『ウブね、円。こういうのはお約束って言うのよ。アクセル君、私も今夜は色んな意味でサービスしてあげるから、頑張ってきてね』

 

 それぞれに声を掛け、夜のサービスという言葉に小さく笑みを浮かべてその言葉を口にする。

 

「転移」

 

 そうして転移が完了し、次の瞬間には映像モニタの先にはこちらに向かってくる無数のBETAの姿があった。

 転移したのはいいが、予想以上にBETAが詰めてきてるな。

 

「レモン、早速だが量産型W達に指示を出してくれ。俺は空中で……」

 

 そこまで告げた時、丁度タイミングを見計らうようにしてBETAの後方から放たれるレーザーがニーズヘッグに着弾する。……より正確には、Eフィールドに弾かれているというのが正しいのか。

 

「見ての通り、俺は光線級と重光線級の的になりながら攻撃しないといけないからな。そっちの方の指揮に関しては任せる。上空から見て、何か妙なところがあったらそっちに連絡を入れる。それと突撃級の死骸をバリケード代わりにして、動きを止めたら……」

『ええ、分かってるわ。この前の大氾濫の時と同じ要領でしょ? まぁ、アクセルとニーズヘッグならBETA相手に何の心配もいらないでしょうけど、一応気をつけてね』

「そっちもな」

『ふふっ。マリューじゃないけど、今日の夜にはたっぷりとサービスしてあげるから、楽しみにしててちょうだい』

 

 艶然とした笑みでそう告げると、通信が切れる。

 同時にヴァイスセイヴァーがO.O.ライフルを取り出し、突っ込んで来る突撃級の群れへと向かってビームを放つ。

 続いてヴァイスセイヴァーの背後に控えているイルメヤの群れもビームガトリング砲を放ち、そのイルメヤの上空に展開しているシャドウもまたビームガトリング砲を放つ。

 2機種から放たれるビームガトリング砲は、無数のビームの雨と化して突撃級に降り注ぐ。

 その攻撃により突撃級の群れが転倒し、背後から迫ってくる他の突撃級の進路を邪魔して、中には速度を殺しきれずにそのまま突っ込み、乗り上げている突撃級の姿すらもある。

 そんな風な突撃級の上をメギロートの群れが悠々と飛び越え、BETAの中衛に位置している要撃級や戦車級、あるいはその他のBETAを駆逐していく。

 当然ながら、最優先撃破目標は中衛の中に位置している光線級だ。

 更に、上空に浮かんでレーザー照射を受け続けている俺にしても、ただそのままって訳じゃない。

 

「メガ・バスターキャノン……発射」

 

 その言葉と共に、ヒュドラ後部へと内蔵されているメガ・バスターキャノンから巨大なビームが発射され、中衛部分にいるBETAをあっさりと薙ぎ払っていく。

 そんな光景を見ても当然AI制御のメギロートが混乱する様子を見せる筈もなく、メガ・バスターキャノンのビームから生き残った要撃級や戦車級を含む小型種へと、上空からサークル・レーザーを放っては駆逐していく。

 10万を超える数のBETAである以上、メガ・バスターキャノンの攻撃でも1度だけではBETAに与えるダメージはたかが知れている。それだけに、そこから何度かメガ・バスターキャノンを放っては、BETAの数を減らしていく。

 いや、中衛の場所にいるBETAを消しゴムで消すかのように消滅させていくこの作業は、慣れてくると結構楽しいな。

 そんな風に攻撃しながらも、それでもBETAの足が止まらないのはBETAらしいと言えばらしいのだろう。

 今までに何度も俺達シャドウミラーと敵対しているというのを考えれば、航空機に対抗して光線級や重光線級を生み出したように何らかの対抗策を用意してきてもおかしくない。

 もしくは、このマブラヴ世界の兵器に関しては有効な対抗策を生み出せても、ビーム兵器メインの俺達への対抗策を考えるのは難しいという線もあるか。

 ともあれ、上空から放つメギロートのサークル・レーザーによって次々と中衛のBETAは死骸へと姿を変えていくのだが、そんな状況でもBETAの進軍が止まらず、やがて後衛も姿を見せ始める。

 BETAの中でも最大種……いや、母艦級の存在が発覚したのを考えれば、既に最大種とは言えないが、それでも最大級の存在ではある要塞級がおり、その背後には相変わらずニーズヘッグに向かってレーザーを射出し続けている重光線級の姿もいる。

 ……まぁ、ぶっちゃけ俺としては厄介なのは重光線級よりも光線級の方なんだよな。

 重光線級は、確かにレーザーの威力は通常の光線級よりも高いかもしれない。だがレーザーの威力がどれだけ高くても、ニーズヘッグのバリアのうち一番外側に存在するEフィールドすら突破出来ないのでは、重光線級も光線級も変わらない。

 寧ろ、小さくて数が多い通常の光線級の方が機動力が高い分だけ厄介さは上だ。

 ……もっとも、そのやり取りにしても相手の動き次第では纏めて消滅させる事が出来るのだが。

 実際、ニーズヘッグの映像モニタに映し出されているのは、着々と突撃級を仕留めてはその場で転がし、バリケード代わりにしているレモンのヴァイスセイヴァー率いるシャドウとイルメヤの光景だった。

 

「レモン、そっちの状況は?」

『順調よ。後はBETAの後衛が距離を縮めてくれれば準備が完了ね』

「そうか。なら一網打尽にするまではもう少しか。言うまでもないだろうが、くれぐれも油断をしないでくれよ」

『誰に言ってるのよ。アクセルとの付き合いの長さを考えればそのくらいの事はきちんと分かってるわよ。それより、アクセルの方こそ注意してよね』

「それこそ、誰に言ってるんだ。……まぁ、お互いに気をつけるとしようか」

『そうね』

 

 小さく言葉を交わし、お互いにいつものように減らず口を叩いて通信を切る。

 今はレモンとイチャつくよりも、とにかく敵をこっちの予定通りに誘導しないとな。

 そんな俺の思いとは裏腹に、メギロートは空中を飛び回りながら中衛のBETAへと向けては上空からサークル・レーザーを放っている。

 円状のレーザーが命中すれば、その場にいるBETAは死骸へと姿を変える。

 だがすぐにまた湧き出てきたかのようにその隙間を埋めるのだ。

 普通の人間のパイロットであれば、間違いなく心折られるだろう光景。

 だが、そこはメギロート。無人機のAIがそんな事で心折られる筈もなく、ただ淡々と受けた命令をこなして中衛に存在しているBETAの数を減らしていく。

 俺もまた同様に、地上へと向けてヒュドラから放つビーム砲や、胸部拡散ビーム砲、ランツェ・カノーネ、T.T.キャノンといった武器を使い、グレートグランドマスターキーを使った魔法をも使ってBETAの数を減らしていく。

 そのまま10分程が経過し……

 

『アクセル、敵BETAの殆どが射程圏内に入ったわよ!』

 

 レモンからの通信を聞き、それと同時にメギロートがこの場から撤退していく。

 それを見ながら、T-LINKシステムによりランツェ・カノーネの砲身下部についているフレイヤに効果範囲を始めとした各種数値を入力。

 入力が終了した次の瞬間にはフレイヤを放ち……次の瞬間にはBETAの群れの中央部分で球形状のエネルギーを形成しBETAのほぼ全てを飲み込むのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。