転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0991話

 地上に生まれたもう1つの太陽。

 目の前の光景に、思わずそんな感想を抱く。

 実際、その球形状のエネルギーは遠くから見れば地上に現れた太陽に見えないこともないだろう。

 そんな風に思いつつ、レモンを含めてこの場にいる全員――他は量産型Wだけだが――へと通信を入れる。

 

「フレイヤの起動を確認した。二次被害の突風に気をつけろ」

『了解』

 

 レモンからの短い返事。

 同時に、空中に浮かんでいたメギロートやシャドウが地上へと降下していく。

 そして、次の瞬間球形状に広がっていたエネルギーが消滅し……

 

 轟っ!

 

 そんな音と共に、フレイヤによって生じた球形状のエネルギーのあった場所へと空気が流れ込み、同時に激しい突風が周囲を暴れ回る。 

 幸い既に他の面子は地上へと降下していた為に被害は受けておらず、ニーズヘッグにしてもT-LINKシステムによる機体制御で、この突風の中でも普通に空中で浮かんでいられる。

 だが……機体ではなく生身のBETAは、その突風に踏みこたえることが出来ずに次々と飲み込まれていく。

 突然突風に飲み込まれ、フレイヤが起爆した中心点に吸い寄せられてもその時点では生きている個体も多い。だが、そこにレモン達が倒していた無数の突撃級の死体が入ってしまえばどうなるか。……その答えは、突撃級の装甲殻によりすり下ろされるというものだった。

 他にもフレイヤの起爆した場所から離れていたおかげで生き残っていたBETAもいるが、要撃級だろうが重光線級だろうが、その突風に飲み込まれるのを防ぐ事は出来ずに突撃級の装甲殻を含め、他のBETAとぶつかりあってその命を消していく。

 フレイヤの起動が若干早かったのか、20匹程の要塞級が後方の更に後方といった位置にいるが……それにしても迂闊に動けば突風に引き寄せられるだけだというのは理解しているのだろう。10本の足を地面に突き刺して動く様子はない。

 そのまま数分が経過し……やがて荒れ狂っていた突風が収まった時、既にフレイヤが起爆した場所には無数のBETAの死骸しか存在しなかった。

 よく考えたら、この世界の国がシャドウミラーと主に取引をするのはBETAの死骸なんだから、それを消滅させてるって事になるんだよな。

 いやまぁ、フレイヤを使わないと10万を超えるBETAを相手にどうしろって話ではあるが。

 やってやろうと思えば、チマチマと削っていくのでも十分に対処が可能だが、手っ取り早く消滅させる方法があるのだから、そっちを選ばない訳がない。

 そういう意味では、いつも思っているけどアメリカのG弾信者というのは別に理解出来ない訳じゃないんだよな。

 ……ただし、最大の原因はそのG弾が色々な意味で未完成な兵器だって事か。

 明確に理論立てて開発されたのではなく、『Aという存在にBという行為をするとCという結果になる。……何故か』みたいな感じで作られた兵器がG弾だ。

 俺達がこの世界に来るまではBETAに追い詰められて人類存亡の危機だったとしても、広域破壊兵器を作るのならせめてその理論はしっかりと確立して欲しい。

 そして何よりも、シャドウミラーがG弾を認められない最大の理由はやはりG元素にある。

 G弾の生産に必要なグレイ・イレブン。ぶっちゃけ、これは俺達シャドウミラーとしては幾らでも欲しい物質だ。

 魔法との親和性のあるグレイ・シックスに関しても同様だが、こちらはこれまでのマブラヴ世界での行動の報酬により、それなりの量が貯まっている。

 それに現在必要としているのが時の指輪の効果をホワイトスターに与えるというのしかないのに対し、グレイ・イレブンはブラックホールエンジンの性能を上げるという意味で既に使われているのだ。

 幸い触媒として使われているので、機体を動かしても消費するということはない。

 だがそれでも、いつ何が起きるか分からない以上は出来るだけ確保しておきたいと思うのは間違いではない筈だ。

 そもそもG元素というのはBETAが作り出している物質である以上、このままハイヴを攻略していけばそのうち入手出来なくなる可能性も高い。

 ……その時は、月か火星辺りを攻める事になるんだろうな。

 今はしがらみ的な問題でそれが出来ないが。

 そんな風に今更な事を考えていると、映像モニタに映し出されている要塞級が動き始めているのが見えた。

 さすがに10万を超えるBETAのほぼ全てが消滅したとなるとこれ以上は攻められないと判断したのか、自分達がやってきた方へと向かって方向転換をしている。

 特機並みの大きさを誇る要塞級だけあって、その移動速度は遅く見える。……まぁ、それこそ身体の大きさ故の事なんだろうけどな。

 ともあれ、こっちの広域破壊兵器のフレイヤを見せた以上、このまま帰らせて情報を持ち帰らせる訳にはいかない。

 

「レモン、聞こえているか? メギロートとシャドウを使って、ここから撤退しようとしている要塞級の撃破を頼む」

『あら? 自分で行かないの?』

「要塞級の10匹やそこらじゃな。何かあった時にすぐ動けるようにしておいた方がいい」

 

 ぶっちゃけ、ニーズヘッグの戦力を考えると要塞級を仕留めるのはそう難しい話じゃない。いや、それを言うのならレモンのヴァイスセイヴァーは言うに及ばず、シャドウですら楽勝だろう。

 バリアの類を持っていないメギロートやイルメヤでは接近戦を行うとなると若干難易度が上がるかもしれないが、要塞級であろうと確実にダメージを与えられるビーム兵器を持っている以上、要塞級の射程範囲外から攻撃すればいいだけだし。

 ……こうして考えると、BETAの中に遠距離攻撃が可能なのが光線級と重光線級しかいないってのは、随分と助かってるよな。

 まぁ、その2種類がいればマブラヴ世界の軍隊相手には無双出来ていたんだろうが。

 そんな風に考えていると、映像モニタにこの場を逃げ出そうとしている要塞級へと上空から容赦なくサークルレーザーを浴びせかけているメギロートの姿が映し出される。

 特機並みの大きさを誇る要塞級だけにメギロートのサークル・レーザーが数回当たっただけではまだまだ元気だが、それこそメギロートは数が多い。

 普段ならマブラヴ世界の軍隊に数で勝っているBETAが、今はその逆に数によって次々とサークル・レーザーを放たれてはダメージを蓄積している。

 そのまま数分が過ぎ……やがて、1匹、2匹と限界を超えた要塞級から地面へと崩れ落ちるようにして倒れていく。

 

「終わったな」

『そうね。……それで、これからどうする?』

「どうするも何も、既にミンスクハイヴからやってきた援軍は全滅させた。となると、これ以上ここにいる必要はないだろ?」

『そう? 前回の大氾濫でもミンスクハイヴからは多くのBETAが出撃したのが確認されているわ。そして、今日もまた10万を超えるBETAが出てきた。……さて、ミンスクハイヴには今どれくらいのBETAが残っているのかしらね? フェイズ5で、アトリエが存在しているだろうハイヴに』

 

 ……なるほど。レモンが暗に言いたい事は分かる。

 折角ミンスクハイヴのBETAが少なくなっているのだから、このまま攻めて占拠してしまえと言っているのだろう。

 勿論それは出来ない訳じゃない。……というか、寧ろこの戦力でも楽勝で出来るだろう。

 そうすれば、確かにアトリエに存在しているG元素はその全てを俺達が独占できる。それは事実だ。だが……

 

「いや、止めておこう」

『いいの? 後で勿体ないと後悔するかもしれないわよ?』

「そうかもしれないな。けど、ここでソ連に対して将来的にこっちが譲歩をしなければならないような行為をする方が後々不味そうだ」

 

 当然彼我の実力差を考えれば、ソ連が俺達と明確に敵対する事はないだろう。だがそれでも、俺達が向こうの了解を得ずにソ連の国内にあるハイヴを攻略したという事実が残るのは不味い。

 これが知られれば、間違いなくエザリアからの雷が落ちる。

 レオンからも嫌味の1つや2つや3つや4つや5つは言われるのは間違いない。

 あやかは困ったと言いながらも苦言を言ってきそうだし、千鶴にいたっては伝家の宝刀の長ネギ辺りを持ち出してきそうだ。

 そんな不利益を受けてまで、今独断でミンスクハイヴを攻略したいかと言われれば、答えは当然Noだ。

 そもそもこの世界の住人がミンスクハイヴを攻略しようと思えば、何かあった時の為に当然俺達シャドウミラーにも依頼が来るだろう。

 事実、今回それがなければブダペストハイヴの攻略はミンスクハイヴから来た援軍によって失敗に終わっていたのは間違いないのだから。

 ……まさか、ソ連だけでハイヴ攻略を行うとか言わないよな?

 いや、言わないか。そもそもハイヴ攻略で得た鹵獲物質は基本的に国連が所有権を有する。

 以前の、BETAに国土を蹂躙される前のソ連なら独自行動に出たかもしれないが、今のソ連は国力的にはかなり減っているしな。

 その独自行動に出た結果が、中国と一緒にこのマブラヴ世界の現状を作り上げたのだと考えると、色々報われないところではあるが。

 

「ま、とにかくミンスクハイヴの攻略作戦はなしだ」

『了解。じゃ、BETAの処理も完了したし、ブダペストハイヴに戻る?』

「……そうだな。一応念の為にイルメヤを何機か残していってくれ。また追加で援軍が来たりしたらすぐに連絡出来るように」

『そうね、分かったわ』

 

 偵察という面では空を飛べるメギロートがいいんだが、シャドウならともかくバリアの類を装備していないメギロートでは、光線級や重光線級のレーザーに集中照射されれば撃墜される可能性が高い。

 ならシャドウを……とも思うが、シャドウがメギロートやイルメヤに比べると非常に高コスト機体だけに、なるべくこういう事には使いたくはない。

 何しろ、ゲシュペンスト・タイプRVと同じくらいのコストが掛かっているのだから。

 その分G・テリトリーとかもあって高い性能を誇るんだが。

 まさか数で勝負するための量産型Wとシャドウの両方がこれだけの高性能になるとは思ってもいなかったよな。 イスルギ重工を経営しているミツコ辺りが見たら、何を言われる事やら。

 そもそもキブツの存在で色々と突っ込みが来るのは間違いないか。

 ……そう言えばあっちの世界、未だに連絡が取れないがどうなっているんだろうな。

 そんな風に考えていると、再びレモンが口を開く。

 

『こっちの準備は終わったわ。イルメヤにも動きを極力抑えるように設定しておいたから、恐らくは心配いらないでしょう』

「そうか、じゃあ向こうに戻るとするか」

 

 既にシャドウやメギロート、イルメヤは俺達の周囲に集まっている。

 本来であれば、この大所帯で移動するには一苦労なのだが……幸い、俺達にはそんなのを苦にしない転移装置がある。

 

「システムXN、起動。転移座標入力。転移フィールド生成開始」

 

 その言葉と共にニーズヘッグを中心にして光の繭のような転移フィールドが生み出され、全て合わせて数万機はいるシャドウミラーの機体全てを包み込む。

 そして……

 

「転移」

 

 そう呟いた次の瞬間、既に俺達の姿はブダペストハイヴが見える位置にあった。

 視線の先では、空を飛んでいるシロガネが地上にいるBETA目掛けてビームを放って数百匹のBETAを纏めて消滅させていた。

 それを眺めつつ、ニーズヘッグのツイン・ドライブを起動させて空中へと浮かび上がる。

 ……地上にいれば味方の機体が光線級や重光線級のレーザーに巻き込まれないとも限らないしな。

 そんな風に考えつつ空中へと浮き上がると、その心配が実は殆ど無用だった事が判明する。

 既に地上にいるBETAの数は恐ろしく少なくなっており、その死骸が無数に散らばっているのだから。

 

「シロガネ、聞こえているか。こちらアクセルだ。ミンスクハイヴから向かっていた援軍については片付けた。こっちの方はどうなっている?」

『アクセル君? 良かった、無事だったのね』

 

 映像モニタに映し出されたのは、安堵の表情を浮かべた円の顔。

 

「ああ、被害らしい被害はない。それでこっちの様子は?」

『ミンスクハイヴからの援軍をアクセル君達が引き受けてくれたおかげで、こっちの方は順調よ。少し前にアトリエを発見して確保したわ。……まぁ、メギロートがいるからこその快進撃なんでしょうけど』

「だろうな」

 

 光線級や重光線級のレーザーを集中照射されるような事でもないかぎり、メギロートをどうにかするのは難しい。

 勿論メギロートを囲んで集中攻撃すれば何とかなるかもしれないが、そもそもメギロートにはBETAではどうやっても防げないサークル・レーザーがある。

 その時点でメギロートの圧倒的な有利は明らかだし、それを補助するかのように戦術機もいる。……いや、本来はメギロートの方が補助なんだけどな。

 しかも戦術機はEF-2000という第3世代機に乗っている者が多かったり、パイロットも精鋭揃いとくれば順調に進まない筈もない。

 結局、この後1時間もしないうちにブダペストハイヴの反応炉の停止が成功し、オペレーション・ルシファーとして進んでいる他の3つのハイヴ攻略も無事に成功したとの連絡が入る事になる。

 

 

 

 

 

 ……あ、モニュメントを壊してないな。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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