転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0992話

 オペレーション・ルシファー。それはBETAの大氾濫とでも呼ぶべき行動により、その戦力を出したハイヴの戦力が減っている事を見越して行われた複数同時ハイヴ攻略作戦の名称だ。

 攻略対象のハイヴは全部で4つ。フェイズ2のウランバートルハイヴとブラゴエスチェンスクハイヴ。そしてフェイズ3の重慶ハイヴ、フェイズ5のブダペストハイヴの合計4つだ。

 俺達が攻略したブダペストハイヴは近くにあったミンスクハイヴから応援が来て俺とレモンが迎撃に出かけたが、寧ろ今回の作戦で最も激戦となったのは重慶ハイヴだった。

 ブダペストハイヴに応援を出したのはミンスクハイヴだけだったのに対し、重慶ハイヴは敦煌ハイヴとマンダレーハイヴの2つから援軍が来たのだから。

 どちらのフェイズもミンスクハイヴよりも低いフェイズ4だったが、2つのハイヴから援軍だ。

 それでも重慶ハイヴにはニヴルヘイムが出撃していたおかげで、何とか対処出来たらしい。……ただし、20万とも30万とも報告された数を相手に普通の攻撃では間に合わなかったらしく、フレイヤを数発使用して対処したらしいが。

 おかげで、重慶ハイヴからそう遠くない位置にフレイヤを使った跡地とでも呼ぶべき巨大な球体状の穴が地面に幾つか存在しているとか。

 BETAの占領地域であり、山や森といった自然も殆どなく、一面が荒れ地のような状況だったのでそれ程致命的ではないが……それでも色々と目立つ地形になってしまったのは確かだ。

 もっとも、その結果もあって重慶ハイヴは日本帝国軍と帝国斯衛軍の協力により無事反応炉を破壊する事が出来たのだが。

 何に驚いたかと言えば、本来であれば犬猿の仲……とまではいかなくても、決して友好的な関係ではない帝国軍と帝国斯衛軍が協力して重慶ハイヴの攻略を成し遂げた事だ。

 いやまぁ、幾ら仲が悪くても他国よりはマシって判断なんだろうが……実際、重慶ハイヴ攻略に回された国連軍の数はかなり少なかったらしいし。

 で、残る2つのハイヴ。ウランバートルハイヴとブラゴエスチェンスクハイヴに関しても攻略は成功した。

 ウランバートルハイヴの方は、大東亜連合軍が、ブラゴエスチェンスクハイヴに関してはソ連軍がそれぞれメインの戦力として攻略に成功したのだ。

 もっとも、両方ともシャドウミラーからの人員は派遣されていたが。

 特にウランバートルハイヴは敦煌ハイヴが近い事もあって、苦戦が予想されていた。だからこそ国連軍としてもかなりの兵力を出したのだろうが……敦煌ハイヴが戦力を送ったのは結局重慶ハイヴだったおかげで援軍の類もなく、スムーズに攻略出来た。

 ただし、この2つに関しては所詮フェイズ2。どちらにもアトリエの類は存在しておらず、入手出来たG元素に関しては極少数だったとか。

 重慶ハイヴの方はフェイズ3というだけあって、アトリエのあるフェイズ5のブダペストハイヴ程ではないにしろ、ある程度のG元素があったらしい。

 それらのG元素は当然条約に従い国連軍の管轄下に置かれ、同時に俺達シャドウミラーに対する報酬として支払われた。

 当然支払う報酬はエザリアが前もって約束を取り付けた通りになった訳で、ウランバートルハイヴとブラゴエスチェンスクハイヴでもシャドウミラーが協力したのが無事に攻略出来た理由の1つ……あるいは最大のものだろう。

 ともあれ、そんな風に結局はシャドウミラーが全面的に協力したおかげでオペレーション・ルシファーは成功し、その報酬としてグレイ・シックス、グレイ・イレブンを始めとしたG元素をかなりの量せしめる事に成功したが、それだけだとマブラヴ世界の国家上層部辺りから恨まれる可能性もあるので、門世界から得た資源の方をかなり割り引いて渡す事にした。

 最初はG元素の件で色々と言っていた者達も、それを聞いて大人しくなったのだから万々歳だろう。

 エルベ藩王国からの資源に関しては既に毎日のようにアルヌスの丘の門を通してゲートに運び込まれているし、旧帝国領の資源に関してもエルベ藩王国以上にこちらに運び込まれてきている。

 ……いや、寧ろエルベ藩王国だけで旧帝国領の埋蔵されている資源に迫る勢いで出荷しているというのに驚くべきか。

 エルベ藩王国としては、シャドウミラーとはいい関係を築いていきたいというのや、俺達が欲している資源の大半は自分達にあっても使いようがないという理由も大きいんだろうが。

 実際、門世界で重要な資源である鉄鉱石や金銀銅といった代物には手を付けてないし。

 幾ら自前の量産型Wやメギロート、イルメヤを使っての採掘でも、そっち関係はシャドウミラーにとっては特に価値がないんだよな。

 いや、ないって訳じゃないけど、レアアースやレアメタル、あるいは石油の類に比べれば、量が多い割には旨味がそれ程多くない。

 ……金辺りは稀少価値もあってそれなりに欲しいけど、それだってエルベ藩王国との仲を悪くしてまで欲しいかと言われれば、答えは否だ。そんな真似をするのならキブツを使えばいいし、そもそも大量に金を持ち込んだりすれば金相場が物凄い事になってかえって混乱を引き起こすだろう。

 ともあれ、そんな風にオペレーション・ルシファーが終了し、門世界からの資源も格安で売り込んでいる現在は、凪の期間とでも表現すべき程に平穏な時間が流れていた。

 

「そうは言っても、ゆっくり出来ているのは私達くらいでしょ? マブラヴ世界は今大忙しだって聞いてるけど」

 

 ホワイトスターにある家で、俺の隣に座って体重を預けているシェリルがそう告げてくる。

 部屋の中にいるのは、俺、シェリル、スレイ、美砂の4人だけ。

 他の面々は色々と自分のやるべき事や、やりたい事をやっているためにこの場にはいない。

 特に技術班は、今回のオペレーション・ルシファーの結果得たグレイ・シックスにより、時の指輪とホワイトスターの融合に関して停滞していた研究を一気に進めるべく頑張っている。

 政治班はマブラヴ世界との交渉で忙しいし、それ程忙しくないってのは実働班と俺くらいか。

 もっとも、それでも自主的に訓練を行っているコーネリアやイザークのような者はいるし、レイもBETAとの戦いでは思ったよりも活躍出来なかったとして訓練を重ねている。

 シェリルに関して言えば、昨日マクロス世界でのライブが終わって帰ってきたばかりなので、数日は完全に休憩予定だ。

 そんなシェリルの言葉に頷き、口を開く。

 

「ハイヴが1個や2個でもその整備に大わらわになってたからな。特にリヨンハイヴはまだ基地としての改修作業中だったのを思えば、ヨーロッパ方面が厳しいだろうな」

「え? 寧ろ忙しいのは極東方面じゃないの? 重慶ハイヴを含めて3つも落としたんでしょ?」

「重慶ハイヴは日本が、ウランバートルハイヴは大東亜連合が、ブラゴエスチェンスクハイヴはソ連がそれぞれ基地化を進めているが……」

 

 思わずといった風に問い掛けてくるシェリルに答えたのは、俺ではなくスレイだった。

 ちなみにスレイは俺の向かいに座っており、シェリルと反対側には美砂が座って同じく体重を掛けて俺に寄りかかっている。

 左右から感じられる柔らかな身体に思うとことはあれども、さすがに今からそういう行為を行う訳にはいかず――この三人ならあっさり受け入れるだろうが、そこは俺のケジメだ――に、スレイの言葉に言葉を続ける。

 

「リヨンハイヴを攻略してからまだそれ程時間が経ってないのに加えて、ブダペストハイヴもフェイズ5で内部がかなり広大だからな。かなりの数のBETAを地上に誘き寄せていたとしても、まだ相当数のBETAの死骸がその広大なハイヴ内に存在している。それを全て地上まで持っていくのは、相当な労力が必要だろうな」

「それに、BETAの死骸はシャドウミラーとの貿易の材料でもあるんでしょ? 放っておけばかなりの悪臭がするって話だし」

「ああ、そうか。美砂はBETAの悪臭を嗅いだ事がないのか」

 

 美砂の言葉に思わず呟く。

 考えてみれば、美砂達がシャドウミラーに所属してからその辺は話だけでしか説明してなかったな。

 それは美砂よりも早くシャドウミラーに所属したシェリルにしても同様だ。

 ……いや、この2人を一緒にする訳にはいかないか。そもそもシェリルは広告塔の如き存在で、実戦には参加していないんだし。

 それに気が付いたのだろう。スレイが俺の方へと視線を向けながら口を開く。

 

「美砂や円にも1度BETAの死骸を見せておいた方がいいんじゃないのか? 好んであの悪臭を嗅ぎたいとは思わないが、それでも私達が戦うべき相手だ。実感というものは大事にした方がいい」

「……そうだな。確かに一度その辺は経験しておいた方がいいか」

 

 俺とスレイの話の内容で、自分がどんな目に遭うのか分かったのだろう。俺の腕を抱きしめながら美砂は嘆く。

 

「うわぁ……藪蛇だわ」

「まぁ、あの匂いは一度嗅げばそうそう忘れる事が出来ないというのは、私が保証しよう」

 

 笑みを浮かべるスレイの様子に、薄らと嗜虐的な色が見えたのは俺の気のせいではないだろう。

 

「ともかく、フェイズ5のハイヴなんだから、半径30kmもの広さがある場所でBETAの死体を探し出して地上へと移動させて、その後は使わないドリフトを埋め立てたりしなきゃいけないし、使う場所は使う場所で前線基地として使えるように整備もしないといけないからな」

 

 しかもドリフトは色々な意味で曲がりくねって迷路状態になっているからな。それを把握するだけでも一苦労だろう。

 俺と同じ感想を抱いたのだろう。シェリルが心底嫌そうな表情を浮かべながら口を開く。

 

「うわ。半径30kmの迷路とか、どんなのよ。あたしはそんなのごめんね。……ま、アクセルがどうしても一緒に行って欲しいって言うなら、考えないでもないけど」

「あ、ちょっと。シェリル、ずるいわよ。それなら私だって……」

 

 美砂とシェリルが俺を挟んで言い合いをしているのを眺めつつ、これからの事を考える。

 今回のオペレーション・ルシファーで援軍を出してきたミンスクハイヴ、敦煌ハイヴ、マンダレーハイヴ。……この3つの中でも、マンダレーハイヴ以外の2つは大氾濫の時にもBETAを出したハイヴだ。続けて2回も……それも出したBETAの殆ど全てが皆殺しにされたと考えると、間違いなく戦力は減っている筈だ。

 マブラヴ世界の国々としては、出来ればこの2つのハイヴを戦力が減っているだろう現状で、BETAが補充される前に攻略したいところだろう。

 特にその2つの内の敦煌ハイヴは、オリジナルハイヴであるカシュガルハイヴのすぐ近くにあるのだから、橋頭堡的な意味としてはこれ以上ない位置にある。

 そこの戦力が手薄になっているのだろうから、その気持ちは当然分かる。

 けど、純粋に戦力がないってのも事実なんだよな。

 今回のオペレーション・ルシファーで、3つハイヴを手に入れ、その整備や守備戦力という意味でも現在のマブラヴ世界はカツカツの状態だ。

 いや、寧ろ人手や戦力も足りない可能性すらある。

 ……もし本当にそんな事になったりしたら、折角攻略したハイヴをBETAに取り戻される可能性すらある、か。

 もっとも、この世界の住人にしてもさすがにそこまで愚かではない筈だ。恐らくBETAがハイヴを取り戻そうとして動き出せば、俺達に援軍の要請が来る筈だ。

 けど、そうだな。ならいっそ……

 

「敦煌ハイヴを俺達が攻略して、管理するというのもありか?」

 

 カシュガルハイヴのすぐ隣にあるハイヴだ。マブラヴ世界の住人ではオリジナルハイヴであるカシュガルハイヴから50万、あるいは100万といった数のBETAが攻めてきてはどうしようもないだろう。

 だが、それを受け止めるのが敦煌ハイヴを占拠した俺達だったりしたら?

 ……まぁ、フェイズ4のハイヴだから、占拠する事自体にはG元素以外特に旨味は存在しない。だが、攻めてくるBETAそのものが俺達にとってはキブツで使う為の原材料となる。

 

「本気か? ……いや、アクセルが言うんだ。どんなに突飛な事であっても本気なのだろうな」

 

 スレイが驚きつつも納得するといった器用な真似をしながら呟く。

 

「ああ、本気だ。それに何だかんだ言ってハイヴの中にある反応炉はこれまで殆ど調べられていないだろ? 今回攻略した4つのハイヴも全て反応炉が破壊されたらしいし」

「……なるほど。反応炉が生きたままハイヴを攻略すれば、レモンやマリューは喜ぶかもしれないな。私達ならハイヴの内部にいるBETAがどれだけ襲ってきても、量産型Wや無人機にドリフト内部の見回りを任せておけば……」

 

 スレイも納得したところで、この件はシャドウミラー内で一旦話し合われ、その後マブラヴ世界へと提案される事になる。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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