転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0996話

 アウルに連れて行かれたのは、二条城の敷地の中でも人があまりいない場所だ。

 桜の木がある訳でもなく、建物の陰になるような形になっており、通路からはまず人に見られない場所。

 一応そういう隙間だからという事で、崇継が用意しただろう斯衛が何人かいたのだが、普段はどこか軽い感じのアウルがこれ程までに真剣な顔をしている以上、その会話を聞かせる訳にもいかずにシャドウミラー代表としての立場を使って場所を移って貰った。

 

「……で、俺に話ってのは? その表情を見ると、かなり真面目な話のようだが」

 

 離れていても聞こえてくる、花見を楽しんでいる声をそれとなく聞きつつアウルに尋ねる。

 そのアウルは、やはりどこか深刻そうな顔をしたまま口を開く。

 

「アクセル、俺……美砂に告白したんだ」

「……は?」

 

 一瞬、何を言っているのか分からなかった。

 いや、勿論言葉の意味は分かる。美砂に告白した。そう言ったのだろう。

 だが、何故そもそも美砂に告白をする?

 

「……色々と聞きたい事はあるが、まずはこれから聞くか。遊び半分や、何かの罰ゲームとか、そういうので美砂に告白した訳じゃないんだな?」

「当然だろっ!」

 

 本気の怒りが籠もった声。なるほど、確かにお遊びとかそういうのじゃないらしい。

 だが……

 

「そもそも、お前と美砂はそんなに仲が良くなかったと思うけどな」

 

 エザリアに引き取られ、イザークの弟という扱いで暮らしてきたアウルに、3年前からシャドウミラーに入る事を希望してきた美砂だ。当然色々と接触する機会はあっただろう。

 それは俺も理解しているし、何度か2人が話しているところを見た事もある。

 だが2人の様子は、決して甘酸っぱい雰囲気だとかそういうのではなかった。寧ろアウルが美砂に突っかかり、あるいは美砂がアウルをからかうような、そんな感じの仲。

 そんな俺の言葉に、アウルはどこか拗ねたように視線を逸らす。

 

「そんなの、俺だって分かんねえよ。確かに俺と美砂はその……別に仲がいいとか、気が合うとか、そういうのはなかった。シンやステラとか、レイとマユの関係とはかなり違うってのは分かってる。……でも、しょうがねえだろ! 気が付いたらいつの間にか好きになってたんだから!」

 

 思いの籠もった叫び。

 だが……

 

「で、美砂は?」

「……分かってて聞いてるのか? 断られたよ。それもあっさりとな。分かってたんだよ。美砂がアクセルの事しか見えてないってのは」

「そうか」

 

 俺に出来るのは、短く言葉を返す事だけだった。

 この状況で俺の口から慰めの言葉が出れば、それは間違いなくアウルを傷つける。

 あるいは言葉の上手い奴なら、アウルを傷つけないで励ませるのかもしれないが、俺には無理だった。

 せめてもの救いは、美砂がこの手の事に慣れていた事だろう。

 あやか、千鶴、円、美砂。いわゆる従者組と呼ばれている4人は、全員が全員ちょっとその辺では見る事が出来ない程に魅力的な女だ。

 それぞれが個性的な魅力を備えている4人だが、その中でも特に美砂は今時の女といった感じの、言ってみれば4人の中では最も親しみやすい魅力を持っているとも言える。

 当然そうなれば美砂に対して好意を抱き、恋心を抱くという者が多くなるのも事実だ。

 エヴァの魔法球の中で行われた卒業パーティの時に朝倉から聞いた話によれば、高校3年間で最も告白された数が多かったのは美砂だって話なんだから、その辺は事実なのだろう。

 あやかや千鶴の場合はいわゆる、高嶺の花。家が財閥だったり会社の経営をしていたりというのや、本人の性格もあって手が出しにくい。

 その点、円と美砂は出自が一般人だという事もあって、声が掛けやすいんだろう。

 そして円と美砂では、円の方は生真面目なタイプで――中学の時はバカレンジャー予備軍だったが――気も強く、そういう意味で美砂の方が告白数が多くなった訳だ。

 ……まぁ、その円にしても以前聞いたように告白された数は多かった訳だが。

 ともあれ、そんな美砂だ。アウルが好きになるのも分からないではない。

 色々な意味で予想外な組み合わせだったが。

 

「で、それを俺に言う為にわざわざ呼び出したのか?」

「……ああ。美砂はその、なんだ。一応アクセルの恋人の1人だろ? で、アクセルはシャドウミラーの代表だ。そんな相手に告白したんだから、一応言っておくべきだと思ってな」

 

 見かけによらず馬鹿正直な奴。

 今のアウルを見てそんな風に思ってもしょうがないだろう。

 勿論愉快か不愉快かと聞かれれば、それは不愉快と答える。

 だが、誰かを好きになるというのは理屈ではない。そもそも、理屈で言えば9人もの恋人を持っている俺は色々な意味でアレな存在だろう。

 自分で自覚出来ないのが恋心なのだ。

 それに、美砂がアウルを受け入れたというのならともかく、それを断った以上、俺がどうこう言う必要はない。

 

「ふぅ、分かったよ。別にお前を責めはしないさ。そういうものだってのは理解しているつもりだし。けど、そうだな。出来れば次からは恋人のいない相手を狙ってくれれば、俺としても嬉しいんだけどな。そうなればこういう騒ぎにはならいし」

 

 まぁ、誰を好きになるかなんてのは、自分で決められる訳でもない。

 取りあえず付き合って、そこから好きになっていくというのなら話は別だが。

 

「……ああ。今回は俺が色々と悪かったよ」

 

 そう呟いたアウルだったが、その視線が真っ直ぐに俺の方へと向けられる。

 

「けど……いいか、美砂を泣かせるような真似をしたら絶対に許さないからな。例えそれがアクセルだったとしても、必ず後悔させるぞ!」

「ああ、当然だ」

 

 アウルの言葉に、一瞬の躊躇なく頷く。

 それを見て納得したのだろう。アウルは俺をその場に残すと、そのまま去って行った。

 アウルの経歴を思えば、恐らくは美砂が初恋だったんだろう。

 そう言えば去年マブラヴ世界でグアドループに旅行に行った時、男同士で集まって女の話題になった時があったが……確か、ムウがアウルには意中の相手がいるとか何とか言ってたな。

 となると、もしかしてアウルは随分と前から美砂に想いを寄せていたのか?

 そんな風に考えていると、ふとこちらに近づいてくる足音が1つ。

 聞き覚えのあるその足音の主は、恐らく俺とアウルが消えたのを理解して探していたのだろう。

 やがてその人物……美砂が姿を現す。

 俺の方へと向けている視線は、どこか後ろめたい色がある。

 

「アクセル君、その……ちょっと探してたんだけど、ここにいたんだ」

「ああ。そっちはいいのか? 折角の花見なのに他の面子と楽しまないで」

「何言ってるのよ。折角の花見なんだから、アクセル君と一緒にいたいんじゃない」

 

 小さく笑みを浮かべ、手に持っていた林檎飴を差し出す。

 ……俺は林檎飴を持ってきた覚えがないんだが。となると、四葉辺りが別口で持ってきたのか?

 まぁ、それで何が悪い訳ではないので林檎飴を受け取って、2人揃って地面に座ってから口へと運ぶ。

 舐めるのではなく、噛み砕くといった感じで水飴と林檎の味が口の中へと広まる。

 そんな風にお互いが無言で林檎飴を食べる事、3分程。

 花見の席から聞こえてくる歓声や笑い声を聞いていると、ポツリと美砂が口を開く。

 

「その、聞いた? アウルが……」

「ああ」

 

 最後まで言わせず、美砂の言葉に頷く。

 その言葉を聞いた美砂は、どこか慌てたように言葉を続ける。

 

「言っておくけど、アウルとは別に何もなかったんだからね。変な勘違いをしないでよ」

「分かってる」

 

 呟き、隣に座っている美砂の肩を抱き寄せる。

 

「あ……」

 

 一瞬小さく呟き、だがすぐに美砂は俺に身体を預けてくる。

 柑橘系の香りが薄らと漂うのは、恐らく香水だろう。

 その香りと共に美砂の肩を抱きながら、アウルの事を思う。

 もしも俺と出会う前に美砂とアウルが出会っていたら……あるいは、この2人がくっついていた未来もあったかもしれない。だが、俺の方が先に美砂と出会ってしまった以上、既にその未来は存在しない。

 もっとも、俺がネギま世界に転移していなければ、アウルと美砂が出会うといった事もなかったんだろうが。

 せめてアウルには、誰かいい相手が出来ればいいんだけどな。

 

「アクセル君、私……幸せだよ? アクセル君に出会って、普通の生活とは縁遠くなってしまったけど、その代わりに私にはアクセル君がいる。円を含めて他の人達もいる。それも、この時の指輪のおかげでずっと一緒に。……まぁ、恋人が私以外にも大勢いたり、夜は夜で色々な意味で凄い事になってるけど」

 

 どこか照れたような笑みを浮かべる美砂の姿に、俺も思わず小さく笑みを浮かべながら肩を竦めて口を開く。

 

「そういう美砂だって夜は随分と積極的じゃないか」

「あ、あはは。そう? まぁ、その話はともかく。確かに私やアクセル君、それにレモンを合わせて他の皆の関係ってのは一般的じゃないんだと思う。けど、それでも私は今の生活に十分満足しているって言いたいわ。例えアクセル君と出会う前の過去に戻ってやり直すとしても、間違いなく私はアクセル君と共にいる事を選ぶ。……ま、ネギ君のパーティに入るのも面白そうではあるけどね」

「確かにそれは否定出来ない事実だ」

 

 ネギパーティと俺のパーティというのは、ネギま世界に俺がいた時によく使われていた言葉だが、ネギパーティは参加人数も多く、ワイワイガヤガヤとした楽しさがあったように思える。

 それに比べると、俺達の方はあやか、千鶴、円、美砂の4人。それに茶々丸が入る時があったくらいか。

 傾向としては、ネギパーティの方は広く浅くというのに対し、俺達は深く狭くといった感じだ。

 勿論、ネギ達の付き合いが決して浅い……表面だけのものだというつもりはない。単純に俺達の付き合いが濃すぎたからこそ、比較してそうなるのだろう。

 

「あ、ほらアクセル君。林檎飴……」

「ん? ああ」

 

 食いかけだった林檎飴へと口を伸ばすと、まるでそのタイミングを待っていたかのように――実際に狙っていたのだろうが――美砂がすいっと俺の前に顔を出し、唇を合わせる。

 感じるのは美砂の唇の柔らかな感触。そして林檎飴の……より正確には水飴の味。

 そのまま30秒程キスをしていると、不意に周囲に声が響き渡る。

 

「ちょっ、美砂!? あんたいないと思ったらこんな場所で……しかもアクセル君と2人きりでイチャついてるとか、どういうつもり!?」

 

 俺から離れていく美砂との唇の間の銀糸に太陽が煌めく。

 それを見て、円ががーっとばかりに口を開く。

 

「美砂、ちょっとずるくない? 大体昨夜もあんたってば……」

「はいはい、悪かったわね。今夜は私の分もあんたに譲って上げるから怒らないの」

「……いや、別にそれが羨ましくて言ってる訳じゃないんだけど」

「大丈夫よ、ほら。私もいつも以上にアクセル君と一緒に円を可愛がってあげるから」

「だ、だから! 別にそんな事言ってないでしょ! 全くもう。ほら、美砂がアクセル君を独占していると、シェリルとかも機嫌が悪くなるんだから。行くわよ」

 

 そう告げ、まだ林檎飴を持っている俺の手を引っ張る円。

 そのまま美砂と一緒に3人で、花見の会場へと向かう。

 

「ひゅーひゅー、恋人2人と一緒になにをしてたんだよ。こっちはナタルがいないってのに、狡いぞ!」

 

 シェリルじゃなくて、ムウに突っ込まれてもなぁ……

 酒を飲んでいるのだろう。顔を赤くしながらそう叫ぶムウに、思わず溜息を吐く。

 

「そんな風に言うなら、ナタルも連れてくれば良かったじゃないか」

「俺だって当然最初はそのつもりだったさ。……けど、仕事だって言うんだから、しょうがねえだろ」

「仕事?」

 

 呟き、とある方向へと視線を向ける。

 そこでは、オーブのアークエンジェル隊に所属している筈のディアッカが、イザークと一緒に花見を楽しんでいた。

 それを見て、ムウも俺の言いたい事を理解したのだろう。小さく溜息を吐いて口を開く。

 

「あのなぁ、MSのパイロットと戦艦の艦長が……それも、オーブの中でも最大戦力のアークエンジェルの艦長が一緒の仕事量な訳ねーだろ」

「……まぁ、それは確かに」

 

 ムウと話していると、アウルがディアッカに話し掛けているのが見える。

 アウルとディアッカか。特にアウルは失恋したばかりなのを考えると、妙な影響を受けないといいけど。

 

「アクセルさん、これ美味しいですね。シャドウミラーというのは、このような料理を毎日食べられるのですか?」

 

 黒酢餡の掛かった鶏肉の唐揚げを口へと運びながら恭子が嬉しそうに告げる。

 衣はサクッと、肉はジューシーで、黒酢餡の甘酸っぱさを考えると確かに日本人好みでご飯が進む一品……いや、逸品だろう。

 

「毎日というか、店に行けば多分食べられる……と思う」

 

 一応花見という事で、四葉はかなり手間暇を掛けてこの料理を作っている。そうである以上、店で出すかどうかは……

 

「そう、ですか。出来ればいつか……ホワイトスターに行ってみたいですね」

 

 そんな風に恭子とゆっくり話しつつ……花見の時間は過ぎてくのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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