転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1003話

 プロミネンス計画が始まってから数日。これまでにも国事に協力しての戦術機開発はしてきたが、ここまで大規模に国が交わって行われる戦術機開発というのは初めてだからだろう。多くの国がどこか困惑し、半ば手探り状態で戦術機開発を進めている。

 そんな中で存在感を発揮しているのは、EU……具体的にはイギリスだ。

 EU内部で第3世代戦術機のEF-2000を開発したという経緯があり、多国間で行われる戦術機開発に関係するノウハウもある程度あるからこそだろう。

 他にも多国間で開発という訳ではないが、自国が戦術機を開発し、それを基にしてバリエーション機を作られていったという意味では、アメリカも多国間で行われている戦術機開発に慣れていると言えるだろう。

 そういう意味で遅れをとっているのは、実は日本だったりする。

 何でも自国開発に目を向けている者が多く、その点で他の国々と上手くいっていないとか。

 ……多国間で協力して戦術機を開発するのがプロミネンス計画だというのに、何だってああいう頭の固い奴らが来たのか疑問に思って崇継に聞こうと思ったんだが……

 

『まぁ、そういう訳で私は飛鳥計画の件で色々と忙しいんだ。アクセルの相手は恭子に任せるよ』

 

 そう告げ、どこぞに通信を経由し、映像モニタに現れたのは崇継の言葉通り恭子の姿だった。

 

『え? ア、アクセルさん? 崇継さんからの通信だと思ったんですけど……どうしたんですか?』

 

 どうやら崇継は特に理由も説明せずに押しつけたらしい。……幾ら飛鳥計画で忙しいからといって、それを説明しないのはどうよ?

 取りあえず疑問に思った事を告げると、恭子は苦笑しながら口を開く。

 

『不知火や吹雪といった第3世代機を日本だけで開発したので、国産至上主義者とも言うべき者達がいるんです。恐らくプロミネンス計画に日本から出向いたのも、そのような者達でしょう』

「日本の技術を広めてやるってか?」

『ええ。特に日本はシャドウミラーから譲渡されたMSの研究でも他国より先を行っていますからね。この機会に一気に日本の技術を広めようというのでしょう。そういう意味では、世界中の国から代表が派遣されているプロミネンス計画は絶好の場ですし』

「なるほどな」

 

 色々と性格に問題がありそうな奴等だが、その考えは理解出来ないでもない。

 ここでもしも日本の戦術機や技術を世界標準とする事に成功すれば、それは将来的に莫大な利益を日本にもたらすだろう。

 そういう意味では見る目があると言えるのかもしれないが……いかんせん、確かに日本の技術は優れているけど、だからといってアメリカの国力を覆せる程かと言われれば、答は否なんだよな。

 恭子としてもそれを理解しているのだろう。どこか困ったように苦笑を浮かべている。

 

「まぁ、日本の技術が高いレベルにあるってのは事実だしな。俺からは特に何も言わないよ。精々頑張ってくれ」

『ええ。……彼等も、その辺を分かってくれるといいのですが』

 

 そんな風に会話をしていると、不意に映像モニタの向こう側で何やら忙しそうにしている声が聞こえてくる。

 同時に何か慌てたような恭子の表情を見れば、何らかのトラブル……あるいは用事が出来たのは確実だろう。

 

『恭子様、そろそろ時間が……』

『分かったわ。すぐに出るから、そちらの方でも準備をしておいて頂戴』

『はい。では準備に取り掛かります。恭子様の方もお願い致します』

 

 そんな会話が聞こえてきた事を考えると、どこかに出掛ける用事でもあったのか?

 そこで崇継から俺に関しての連絡が回ってきて、しょうがなく引き受けたってところか。

 全く、崇継も俺と恭子をくっつけようと狙っているらしいのはいいんだが、せめて相手の都合とかも考えればいいのにな。

 

「悪い、どこかに出掛けるところだったのか?」

『え? あ、はい。ちょっと国連軍と例の計画の件で……』

 

 例の計画……オルタネイティヴ4か。そう言えば、あれってどうなったんだろうな?

 BETAに対してはかなり有利に戦況を進めているし……いや、それでも分かっている事は少ない。そうなると、相手の生態とかそういうのを理解する為に諜報活動は必要なのか。

 

「そうか、忙しいところで迷惑を掛けたな。俺の方の用件はそれで済んだ。じゃあそっちも頑張ってくれ」

『あ、はい。その……今日は色々と忙しかったのであまりお話しが出来ませんでしたが、今度ゆっくりとお話し出来るようにしたいですね』

「そうだな。とにかく、今は日本の方も重慶ハイヴの件で忙しいんだろ? そっちに集中してくれ」

『はい。……全く、崇継さんの馬鹿。タイミングが悪いんだから』

 

 そう告げ、通信が切れる。

 ……最後の一言は独り言だったのか? それとも俺に独り言を聞かせる為だったのか?

 そんな風に思いつつも、その場を後にする。

 向かうべきは交流区画。

 基本的に今は急ぎでやるべき事がある訳じゃないし、何をするにしても今は中途半端な時間だ。プロミネンス計画にしても、基本的に動くのは技術班や実働班の一部だしな。

 さすがにプロミネンス計画でニーズヘッグを使う訳にもいかないだろう。いや、寧ろサラマンダーでもちょっとやりすぎと言える。

 影のゲートを使い、人に見つからない場所から姿を現す。

 そのまま表通りの方へと向かって歩いて行くと、まず見えてきたのは大勢の人。

 こうして見る限りだと、門世界の襲撃でホワイトスターに訪れる人が減ったという事はないらしい。

 すぐに対応したのが功を奏した。そう思いたいところだ。

 もっとも多少不安があったとしても、それは自分達の利益になるのを考えるとある程度は許容範囲内なんだろう。でなければマブラヴ世界での取引とかは、とてもではないが出来ないし。

 寧ろマブラヴ世界での取引を考えると、ホワイトスター内はずっと安心だろう。

 もし以前のように空間に直接門を作ってどこぞの世界が侵略してきたとしても、余程の事がない限りは量産型Wで対処可能だし、メギロートやイルメヤもある程度の距離ごとに隠されるようにだが配備されている。

 普通の世界であればギャングやらスラムやらといった犯罪の温床もあるんだろうが……幸いここはホワイトスターの中であり、ゲートを使ってしか入ってくる事は出来ない。そうである以上、そういう勢力がホワイトスターに入ってくる事はまず出来ないだろう。

 まぁ、比較的自由に行き来出来るギアス世界、SEED世界、マクロス世界からは色々と裏技を使って入り込もうとした奴らもいたが……量産型Wに目を付けられ、何らかの動きを起こした瞬間に捕獲されてそれぞれの世界に送還されている。

 結局は門世界の件は特に何か影響を与える事もなく、今もホワイトスターは変わらずに隆盛を極めている訳だ。

 そんな風にホワイトスターの中を見ながら歩いていると、不意に見覚えのある店が目に入る。

 超包子。四葉がやっている店だ。

 既に午後になっている事もあり、客の姿は殆どない。

 少し腹も減ったし……ちょっと食べていくか。

 そう判断して、店の中に入ると……

 

「おい」

 

 思わず呟く。

 まず店の中。客の数は満杯という程でもなければ、ガラガラという訳でもない。程々の人数だ。 

 だが俺が思わず声を上げたのは、当然それが理由ではない。

 視線の先……超包子の衣装に身を包み、手には中華まんと麻婆豆腐を持った神楽坂の姿があったからだ。

 その神楽坂は、俺の姿を見るとあちゃあ、とでもいうように顔を顰める。

 どこからどう見てもウェイトレス以外の何ものでもなかった。

 それを見て、思うところはたった1つ。

 

「……そうか。やっぱりバカレッドでは大学の授業についていけなかったのか……」

「ちょっ、違っ!」

「シャドウミラーに入るんなら、せめて俺に話を通すくらいはして欲しかったんだけどな。あやか経由でエザリア辺りにでも話を持っていったのか? にしても、まさか3ヶ月も経たずに大学を退学するなんてな……」

 

 俺が口を開けば開く程に、超包子の中にいる客から神楽坂へと哀れみの視線が向けられていく。

 それに気が付いたのだろう。神楽坂は顔を真っ赤にしながらうーうーと唸り……

 

――アスナさんにはバイトをして貰っているんですよ、アクセル君――

 

 厨房から姿を現した四葉がそう告げてくる。

 同時に、店の中にいた客からの哀れみの視線が消えていく。

 

「ううっ、五月ちゃん……ありがとう」

――大事なバイトですから――

「ほら、アクセル。五月ちゃんの話を聞いた? 大体、そう簡単に大学を退学する訳ないじゃない。ちょっとお金が必要だったからバイトさせて貰っているだけなのよ! ……あ、これ注文の肉まんと麻婆豆腐です」

 

 そう告げ、テーブルの上へと料理を置いた神楽坂はビシリとこっちに指さしながら口を開く。

 

「あんまり人聞きの悪い事を言わないでよね!」

「分かった分かった。俺が悪かったよ。そう言えば中学の時も新聞配達をやっていたって話をあやかから聞いてたな。その関係か?」

 

 太股の根元までスリットの入っているチャイナドレスを着た神楽坂は、その容姿のレベルの高さや出るところがしっかりと出て、締まるところはしっかりと締まっているという体型の関係もあって、かなり見応えのある姿をしている。

 実際、客の中にも何人かがスリットから見えている神楽坂の白い太股に目が釘付けになっている者もいた。……女はその手の視線に鋭いと言うが、全く気が付いた様子がないのは神楽坂だからで納得してしまうな。

 

「学費とかの件はもう大体いいんだけど……ちょっと今度の休みに京都に旅行に行く事になってね。その旅費とかを稼いでおきたいのよ」

「……近衛の件か?」

「そ。まぁ、関西の方でも色々と微妙になっているみたいよ。その件をどうにかするって話だけど」

 

 なるほど。確かに関西呪術協会の件を考えれば、一旦その辺をどうにかしておきたいと考えるのも悪くない話だろう。

 特に近衛はシャドウミラーに所属するのも検討しているって話だし。

 

「ならいっそ、こっちからも人を出すか?」

「え? うーん……でも、どうだろ? 確かにそうしてくれれば色々と助かるんだろうけど……ごめん、私だけじゃ判断出来ないわ。後でこのかに聞いて見る」

「そうか。そうしてくれ。こっちからならいつでも人を出せるからな」

「……もしかして、アクセルが来るとか言わないでしょうね?」

 

 俺の言葉にジト目でそう告げてくるが、それに対する俺の反応はそっと目を逸らすというものだった。

 いや、だって現状シャドウミラーのメンバーの中で一番暇なのって俺だし。

 

「ちょっとぉ! 大体あんたが3年前京都に行った時、何が起きたのか忘れてないわよね!?」

 

 がーっと告げてくる神楽坂だったが、それを止めたのは俺ではなく……

 

――アスナさん、お店で騒いでは駄目です――

 

 ポンと神楽坂の肩に乗せられたのは、四葉の手だった。

 軽く置かれた手であり、決して力が入っている訳ではない。にも関わらず、神楽坂はその動きをまるで魔法でも掛かったかのように一瞬にして止め、コクコクと頷く。

 

「わ、分かってるわよ。五月ちゃん。その、ほら。やっぱりこう……ね?」

――分かればいいんですよ――

 

 ほんわかとした笑顔を浮かべる四葉に、超包子の店で食べていた客達から合いの手が入る。

 

「いよっ、さっちゃん。さすが!」

「やっぱりさっちゃんのこれがないとなぁ……」

「俺としては、明日菜ちゃんのチャイナドレス姿の眩しい太股が……」

「チッチッチ。やっぱり明日菜ちゃんのチャイナドレスでのチャームポイントと言ったら、あの豊かに膨らんでる胸だろ。いやまぁ、シャドウミラーの幹部陣には及ばないけど」

「そうそう、明日菜ちゃんってスタイルいいんだよな。俺最近これだけが楽しみでさぁ」

「ふーん。なら口説いてみたらどうだ? もしかしたら万が一があるかもしれないぞ?」

 

 そんな風に客が話している声が聞こえてくる。

 恥ずかしくなったのだろう。神楽坂はチャイナドレスの裾や胸元を気にするような仕草をしているが、それが余計に女として開花した艶のようなものすら醸し出す。

 ズシン。

 不意に聞こえるその音に、超包子の中にいた客達の視線が向けられる。

 そこにいたのは四葉。先程までは持っていなかった、身の丈を超える大きさのしゃもじを抱えている。

 ……何に使うんだ? ああいうの。

 

――あんたら、女の子にセクハラは禁止だよ――

 

 ビシリと告げたその言葉に、再び周囲はざわめき……何故かどこかほんわかとした気持ちで叱られるという奇妙な雰囲気の中、皆が満足げに笑みを浮かべて食事を済ませる。

 尚、俺も肉まんとフカヒレまん、豚角煮まん、カレーまん、ピザまんといった中華饅頭を十分以上に味わうのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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