転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1012話

 アンバール基地の件は、当然マブラヴ世界で大きな問題になった。BETAとの戦いの最前線で起きたテロ行為なのだから、当然だろう。

 幾ら通信を傍受したりしてテロリストの動きを探ろうとしても、そもそも通信を使わずに伝令や伝書鳩といった手段でやり取りをしている以上、察知するのは不可能……とは言わないが、難しいのは事実だ。

 しかも戦術機、ガン・ルゥ、リニアガン・タンクといった兵器をどうやってか分からないが奪っていったのを考えると、このまま放置しておくのはこれまで以上に危険過ぎる。

 その結果、マブラヴ世界の各国が協力してそちらにも対処するという声明を出す事になった。勿論それには俺達シャドウミラーも協力するという文章が混じっており、一定の抑止効果はあると見られている。

 ……ただ、落ち目だった恭順派と難民解放戦線がこんな大規模なテロを行った以上、必ずどこかに後ろ盾はいると思うんだけどな。

 候補は幾つか絞れるが、それでも確実とは言えない。

 ともあれ、現在マブラヴ世界では各基地が防衛体制を見直したりしている訳だ。

 ちなみに、オーストラリアにあるプロミネンス計画の本拠地でもあるカリンダ基地でも、当然防衛体制は強化されている。

 プロミネンス計画という計画の性質上、カリンダ基地にあるのはどれもが最新鋭機だし、最新鋭の技術だ。それを思えば、性能の高い兵器を欲しているだろうテロリストなら狙う可能性は非常に高い場所だろう。

 しかし、それでも……いや、だからこそ防衛の戦力は多く配備されており、カリンダ基地を襲うというのはまず不可能に近い……と思う。

 そもそも、テロリストがアンバール基地から盗んだ戦力でどうにかしようとしても、まず失敗するだろう。

 あるいは俺の予想通りにどこかの組織や国からバックアップを受けているとしても、カリンダ基地をどうにかするだけの戦力を用意するのはまず無理だと思われる。

 何しろバックアップしている組織がそこまで戦力を用意する余裕がないからこそ、アンバール基地から戦術機を含む兵器を奪っていったのだろうから。

 それに、カリンダ基地は俺達シャドウミラーの人員も派遣されている。つまりメギロートやイルメヤ、量産型Wも警備として配備されているという事に他ならない。

 それでも襲ってくるというのなら、それはテロリストを駆除出来る分、寧ろこっちとしてはありがたい話だ。

 ……アンバール基地で捕らえた捕虜が裏にいる奴の事を知っていれば良かったんだがな。ただ、実戦に出ている以上は代えの存在する兵士に過ぎず、当然そいつ等が重要な情報を持っている訳ではない。

 真っ先に奪還した管制室にいた奴にしても、特に重要な情報は持っていなかったらしい。

 色々な意味で追い詰められている筈の恭順派や難民解放戦線が、兵士を捨て駒にしてもいいという程に力を入れたアンバール基地の占拠。それが結局失敗した以上、奴らにダメージを与えたと判断する者もいるが……その辺はどうなんだろうな?

 俺としては、そこまで楽観視は出来ない。

 何の勝算もなく、あんな行動に出るとは思えないのだから。

 まぁ、俺という存在がいたからこそああいう結果になったのを考えれば、実は十分に勝算があったという可能性もなくはないんだが……

 そもそも俺がアンバール基地に行ったのだって、恭順派が何か企んでいそうだけど情報が入手出来ないからだしな。そう考えれば、全ては偶然に偶然を重ねた結果と考える事も出来た。

 何より、向こうの狙いの1つだろうアンバール基地にいた軍人達の排除というのはそれなりに達成されてもいる。

 ……そう。予想通りにアンバール基地でテロリストに捕まった者のうちの何割かは、既にこの世にはいない。それは覆しようのない事実だった。

 その結果、国連軍、アフリカ連合軍、中東連合軍から補充の兵がアンバール基地に送られ、現在は必死に立て直し中だ。

 国連としても、あるいはこれが目的だったのでは? そんな風に考えて注意してみているが、他の場所では何ら怪しい動きはないらしい。

 ……まぁ、現状で動けばすぐに見つかるから今はまだ動いていないだけかもしれないが。

 ともあれ、現在のマブラヴ世界ではアンバール基地の件に加えてBETAの間引き、オペレーション・ルシファーで占領した4つのハイヴの基地化といったようにやるべき事が大量にあり、新たなハイヴ攻略作戦を行える状態ではない。

 そんな中、俺達シャドウミラーが何をしているのかと言えば……

 

「アクセル様、ご覧のように私達もこのホワイトスターで十分に暮らす事が出来るようになりました。これも、アクセル様を始めとしたシャドウミラーの皆様のおかげです」

 

 そう告げて深々と一礼してきたのは、ホワイトスターに移住してきたハイエルフ……そしてダークエルフの纏め役でもあるホドリューだった。

 そんなホドリューの後ろでは、ホワイトスターにある自然区画でもある公園の中で暮らしているハイエルフやダークエルフの集落が存在している。

 勿論、全てのハイエルフ、ダークエルフがここにいる訳ではない。中には居住区画に住んでいる者も少数ながら存在しているのだから。

 だが、それでもやはり殆どは自然と共にいたいという事で、こっちに来ているのも事実だった。

 

「そうか、ここで暮らす事になったのはいいが、何か不都合とかはないか?」

 

 本来であれば、自然と共に暮らすのがハイエルフやダークエルフだろう。だが、ここはホワイトスターの自然区画ではあっても、所詮は人工の自然だ。ホドリュー達が以前暮らしていた森に比べれば、明らかに不自然なところはある筈だ。

 その辺を心配して、門世界の門が崩れる前には前もってある程度の人数がここで暮らしていたんだが……取りあえず短期的には何の問題もないようで何よりだ。

 ただ、長期的に見た場合のデータが不足しているのが気になる。

 まぁ、それを調べる前に門の崩壊が起きてしまって、結局済し崩し的にあの場にいたハイエルフやダークエルフは俺達と共に来る事を望んだんだけどな。

 

「ですが、少しばかり不安……と言うか、慣れない事もありますね」

「慣れない?」

「ええ。この公園が一般に開放されているのは分かりますし、それが私達とこのホワイトスターでしたか? ここに訪れた人達との交流を図るためというのは理解しています。ですが、それでもまさかあれ程の大人数が来るとは予想もしていませんでしたので」

「ああ、そっちか。……まぁな」

 

 ホドリューの言葉に頷く他のハイエルフやダークエルフに苦笑を漏らす。

 ハイエルフやダークエルフといった存在は、ファンタジーに詳しくない者でも何度か聞いた覚えがあるだろう。それだけメジャーな存在なのだから、当然実際にこのホワイトスターの中にいると知れば、見に来る者も少なくない。

 この公園は交流区画からそう遠くない位置にあるのも関係してるのだろうが。

 ただ、ネギま世界の者は亜人というのには慣れているらしく、それ程多くはない。

 ……まぁ、魔法界にはドラゴンとか普通にいるしな。エルフっぽい種族も魔法界で見るのは珍しくはない。それが本当にエルフなのかどうかは分からないが。

 同時に、マクロス世界の者もそれ程多くはない。向こうは向こうで銀河中に人類が広まっている為か、エルフのように耳が尖っているゾラ人も珍しくないし。身近な例で言えば、ミハエルとか。

 それでも両世界からハイエルフやダークエルフを見に来るのが完全にゼロって訳じゃないのを思えば、色々な意味でこの公園が有名になっているのが分かるだろう。

 特に3-Aの方からは朝倉や早乙女が何度となく訪れているらしいという報告は受けている。

 ……妙な騒ぎを起こさないといいんだけどな。

 あの2人、大学に進学して早々色々と騒ぎを起こしているって話を神楽坂経由で聞いてるし。

 

「ワイバーンの類を見に来る奴とかもいるし、他にもこれから色々な世界に俺達が向かえば、それだけ珍しい生き物とかが増えると思う。そういう中には、色々と横暴な奴もいるかもしれないが……」

「アクセル代表の顔に泥を塗るような真似はしません。……ただ、あまりにも酷いようであれば、こちらとしても自衛の行動を起こしますが」

「そうしてくれ。別に俺としても、お前達に一方的に被害を受けろとは言えないしな」

 

 まぁ、基本的にはホワイトスターに来る人物はその世界の承認を受けた者だ。だとすれば、そうそうおかしな奴が来る事もないと思うが。

 それに、もしそんな奴が騒動を引き起こしたとすれば、それはその世界に対するペナルティとなる。

 その辺については最初から通告してあるので、向こうとしても騒動を引き起こすような奴をホワイトスターに送ってきたりはしない……と思う。

 

「アクセル様、その、此の身に言い寄ってくる者が多いのですが……」

 

 そう告げたのは、ダークエルフのヤオ。

 それも分からないではない。ヤオはダークエルフとしても美形であり、その身体も男好きのするものなのだから。

 だからこそ、言い寄ってくる男もいるのだろう。

 

「お前自身はどう思っているんだ? 別に俺を気にする必要はない。お前自身が好んだ相手なら、好きにして構わない」

 

 ダークエルフという事で、将来的に死に別れるという事もあるだろうが、それに関してもグレイ・シックスと時の指輪の件が成功すれば解決するし。

 ……いいところまで行ってるって話は聞いてるけど、まだ完成には結びついてないんだよな。

 その辺、出来れば早いうちにどうにかして欲しい。

 まぁ、シャドウミラーの技術班で無理なら、どこのどんな奴が研究しても無理だろうが。

 そんな風に思う程には、俺は技術班を信頼している。

 

「そうですか、分かりました。此の身としてもしっかりと相手を見定めたいと思います」

 

 真剣な表情で告げてくるヤオだが、聞いた話によると色々と運が悪い……それも特に男運が悪いらしいんだよな。そんなヤオに言い寄ってくる男。……出来れば純粋にヤオに惚れたとか、そういう感じだといいんだが。

 ともあれ、ハイエルフやダークエルフの方に特に問題はないらしいと聞き、安堵の息を吐く。

 ……が、次の瞬間には、思わず目を見開く事になった。

 

「それで、アクセル様。もし良ければ私達も他の世界とやらに行ってみたいのですが、許可を貰えますか?」

 

 ホドリューのその台詞と共に。

 

「あー、一応確認の為に聞くけど、他の世界ってのはギアス世界、SEED世界、ネギま世界、マクロス世界、マブラヴ世界といった世界のことか?」

「はい。以前のようにマブラヴ世界にあるシャドウミラーの基地だけではなく、その世界の住人と触れ合ってみたいのです」

「お、お父さん! アクセル様に急に何を言ってるのよ! 失礼でしょ!」

 

 そんなホドリューに、怒髪天を衝くかの如く目を尖らせて告げるのは、ホドリューの娘でもあるテュカ。

 俺の方へと向けて何度も頭を下げている。

 うーん、いやまぁ、そもそもホドリュー達がハイエルフの集落から飛び出して自分達で村を作っていたのは、自分達以外の種族と触れ合いたいって気持ちがあったからなのを考えると、それ程不自然な話じゃないか。

 ただ……

 

「ホワイトスターに来た相手と交流するのはいいんだが、他の世界に行くとなると、どうしてもその耳とかが目立つんだよな。となると、まずネギま世界は駄目だろうし」

 

 いや、認識阻害結界の事を考えれば、コスプレとか何とかで誤魔化せるか? ……意外といけそうな気もするな。

 

「他の世界なら、シャドウミラーと交流を持っている世界だから問題はなさそうだけど……SEED世界は止めておいた方がいいかもな」

 

 オーブの住民を連れ去ったのが門世界の帝国だとしても、同じ門世界出身ということで妙な目で見られる可能性は十分にある。

 そうなれば、オーブ世界の方で暴発する可能性もある。

 

「……そう、ですか」

「ああ。同時に他の世界に関しても門世界に襲われたというのがある以上、今向こうに行くのは止めておいた方がいいかもしれないな」

 

 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという言葉があるが、それと同じように向こうの世界にいった者達が何かされる可能性もある。

 勿論そいつ等にしても分かっているんだろう。それが八つ当たりだとは。

 だがそれでも、やはり心の中にある憎しみの類はどうしようもない。

 ホワイトスターに来る奴にはそういう奴がいない……とは言わないが、それでもホドリュー達が他の世界に向かうよりはそんな目に遭う可能性は少ない。

 

「そうですか……」

 

 再度同じ言葉を口にするホドリュー。

 やはり色々と残念だったのだろう。

 

「もう少し我慢してくれ。数十年……とまでは言わないが、数年くらい我慢してくれれば、他の世界に関しても感情は落ち着くだろうし」

 

 その言葉に、ホドリューと……そして他にも数人のハイエルフやダークエルフは残念そうな表情を浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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