転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1025話

 日本から来た一行の、ホワイトスター滞在二日目。

 その日は朝食を食べ終えた後、昨日とは打って変わって全員で纏まって実働班の訓練をしている場所へとやって来ていた。

 当然移動にはエアカーを使ってだ。

 影のゲートで移動した方が手っ取り早かったのだが、どうせなら街中の景色を見ていきたいと要望されれば、こっちがホストである以上はそれに応えざるを得なかった。

 で、いつものようにマリューと千鶴の作った朝食を食べ終えてから、昨日も使ったバス型のエアカーに乗ってこうして実働班の訓練をしている場所までやってきた訳だ。

 そうして、今目の前に広がっている光景……即ち、シャドウミラー幹部の各種専用機や、スティング、アウル、レイ、そしてスレイの乗っているシャドウカスタム機――ただし同じカスタム機であっても、スレイの機体は別格な程に改造されているが――や、メギロート、イルメヤ、量産型Wの使っている標準的なシャドウが多く並んでいる。

 その数、全機合わせて200機オーバー。

 レモンやマリューのような技術班の方に所属している者や、あるいは円や美砂のように実働班にいても生身の戦いが専門であり、シロガネのブリッジクルーである者達の姿はないのだが。

 それでも実働班の者達の多くが集まっており、無人機や量産型Wの機体が並んでいるこの光景は見応えがあるんだろう。

 実際、崇継と恭子、その護衛2人は興味深そうに機体へと視線を向けていた。

 夕呼の方はと言えば……何か微妙に不機嫌だな。

 

「どうした? お前にとっては結構興味深いんじゃないのか?」

 

 マブラヴ世界の中では最高クラスの科学者である夕呼だ。それこそ、マブラヴ世界におけるBETAの件がどうかにかなったら、是非シャドウミラーに引き入れたいと思える程の才能と能力を持つ。そんな人物だけに、実働班の機体を見れば喜んで貰えると思っていたんだが……

 

「冗談じゃないわ。今のあたし達がシャドウミラーの機体なんか見ても、技術力が離れ過ぎていて、百害あって一利なしよ。大体、あたしたちの世界では重力制御技術の入り口で四苦八苦しているのに、シャドウミラーでは量産機ですら重力制御技術を用いた動力炉を使ってるんでしょ?」

 

 どこか不機嫌そうに告げてくる夕呼の言葉に、崇継が確かにと頷く。

 他の3人も同様らしく頷き、霞は特に表情を変える事なく夕呼の隣で機体ではなく俺の方へと視線を向けている。

 まぁ、霞のことだから表情にあまり出ていないだけなんだろうが。

 

「……」

 

 するとそんな俺の考えを読み取ったかのように、霞の表情が微かに不満そうなものへと変わる。……霞の超能力だと、俺の念動力を突破して頭の中を読むとかは出来ない筈なんだけどな。

 

「言いたい事は分かるが……そもそも、実働班の訓練光景を見たいって昨日要望してきたのはお前達だろ?」

 

 そう。今回の実働班の見学は、元々昨日の夕食の時に日本側から要望されたものだ。

 ちなみに夕食はカレーだった。……日中のパーティとは落差がありすぎるような気もしたが、皆が喜んでいたのを考えると、問題はなかった筈。

崇継達にしても、出来ればこちらの戦力とかを多少は確認したいという思いもあったのだろう。確かに友人の家に遊びに来た的な感じの話の流れでホワイトスターにやって来た日本の一行だが、それはあくまでも建前に過ぎないのだから。

 

「確かにそうね。……そうなんだけどね。実際に映像で見てたから大丈夫だと思ってたんだけどねぇ。……理不尽だわ」

 

 しみじみと呟く夕呼をそのままに、早速コーネリアが口を開く。

 

「では、始めるぞ。全員自分の機体に乗り込め」

 

 その言葉に、素早く機体に乗り込んでいく実働班。

 そんな様子を見ていると、不意にクイクイと服を引っ張る感触が。 

 そちらへと視線を向けると、そこには霞が不思議そうな表情を浮かべてこちらをじっと見つめていた。

 

「アクセルさんは、参加しないのですか?」

「……そう言えばそうね。シャドウミラーの最大戦力でもあるアクセルが訓練に参加しないってのは、どうなのよ?」

 

 霞の質問に同意するように夕呼が頷き、崇継達も言葉には出さないが俺の方へと視線を向け無言で尋ねていた。

 だが、俺はその質問と視線に両肩を竦めてから口を開く。

 

「俺が参加すると、色々とおかしい事になるからな」

「おかしい事? 何よ、それ」

「まぁ、ぶっちゃければ俺が強すぎるってのが原因だよ。そもそも、俺の機体はシャドウミラーのフラッグシップで最新鋭技術の塊だ。機体スペックだけでも他の機体を圧倒的に引き離す性能を持っている」

 

 正確には、最新鋭技術をニーズヘッグで試してデータを収集し、それを他の機体にフィードバックする役割を持っているといったところか。

 まぁ、その辺はわざわざ話す必要はないだろうが。

 

「それに、俺自身の操縦技術に関しても色々と常識外な事になっているからな。それこそ、ニーズヘッグを使えば俺1人対他のシャドウミラー全員とかいう風になる」

 

 自分よりも圧倒的に強い相手にどう対応するか……それこそ、ダークブレインやネオ・グランゾンといったような相手と向き合った時に、戦力差で絶望しないという意味での訓練にならピッタリかもしれないな。

 

「なら、別にアクセルの専用機のニーズヘッグじゃなくてもいいんじゃない? 何て言ったかしら、サラマンダーとかいう機体もあったでしょ。……戦術機のような機体が戦闘機に変形するなんて、馬鹿げた機能を持った」

 

 何故か頬をヒクヒクとさせる夕呼だが、何かサラマンダーに思うところでもあるのか?

 そんな風に思いつつも、首を横に振る。

 

「サラマンダーはサラマンダーで色々とあるんだよ。何だかんだと機体性能は非常に高いし、自慢じゃないが俺の操縦技術は精鋭揃いのシャドウミラーの中でも突出し過ぎているとか」

 

 ぶっちゃけ、地道に訓練をして操縦技術を上げるしかない他の奴等と違って、俺の場合はPPというものが存在している。これを使えば、お手軽に能力値を上げる事が出来るんだよな。

 もっとも、実際に上げられた能力を身体に馴染ませる的な意味での調整は必要だが、それにしても他の者達に比べれば圧倒的に有利だ。 

 更には他の者達同様に地道な訓練によっても操縦技術が上がる事を考えると、色々な意味で卑怯臭い感じではある。

 だが、まさか夕呼にそれを言う訳にもいかずに、結局は肩を竦ませて誤魔化す。

 

「ふーん……何か隠しているような感じだけど。ま、いいわ。今は騙されておいてあげる」

 

 呟き、社を近くへと呼び寄せ、その耳元でわざとこちらに聞こえるように話す。

 

「いい、社。男ってのは建前と下半身が全く違う事を考えているんだから、気を付けなきゃ駄目よ? 特にアクセルの場合は色々な意味で危険な相手なんだから」

 

 その言葉が聞こえたのだろう。崇継が面白そうな笑みを浮かべ、恭子はどこか責めるような視線を俺の方へと向けてくる。

 

「……夕呼、嫌がらせはその辺にしておけ。それより、そろそろ始まるぞ」

 

 このまま夕呼と話していては、いつまで経っても終わらないと判断し、改めて演習場の方へと視線を向ける。

 そこでは、実働班が3つに分かれてそれぞれ向かい合っている。有人機と無人機、量産型Wの機体といった風にそれぞれバランス良く混じり合ったその部隊分けは、コーネリアが実働班を良く見ているからこそだろう。

 さっきの夕呼の言葉のように、俺がここに混ざったりすればあっという間に戦力的なバランスが崩れるのは確実だ。

 それを思えば、やっぱり俺がこの訓練に参加しないで良かったよな。

 

「これは、珍しい模擬戦ですね。2つの陣営に分かれての模擬戦であればよく話を聞きますが、3つの陣営とは」

 

 恭子の言葉に他の面々も同意するように頷く。

 だが、その質問に俺が答えるようと思った瞬間、夕呼が口を開く。

 

「あら、それ程難しく考える必要はありませんわ。元々シャドウミラーというのは、未知の世界へと転移して、その世界との繋がりを作る国家です。つまり、転移した世界で2つの勢力による戦いが起きており、そこにシャドウミラーが参戦するという形になる事も想定されているのでしょう」

 

 そんな夕呼の言葉に、俺もまた小さく苦笑を浮かべて頷く。

 

「確かに夕呼の言う通りだな。俺の言いたい事を完全に言われてしまったけど……まぁ、そんな感じだ。今のところはそんな風な状態にはなっていないが、将来的にそんな風になる可能性があるし」

 

 基本的には物理攻撃を無効化し、高い戦闘能力と生存能力を持つ俺が最初に転移して向こうの世界にゲートを設置。その後ホワイトスターと行き来出来るようにするというのが大体の流れなのだが……その辺が常に上手くいくかどうかも分からず、あるいは上手くいったとしても転移した世界にいる勢力と上手く友好関係を持つ事が出来るとも限らない。

 ギアス世界、SEED世界では幸い俺が原作を知っていたから、特に問題なく友好的な関係を築く事が出来た。

 マクロス世界に関しても、シェリルが登場人物として出てくる原作は知らなかったが、マクロス7までは見ていたのでその延長線上で上手い具合にカバー出来た。

 だがネギま世界とマブラヴ世界に関しては一切の原作知識がない状態での交渉だ。

 その2つでは幸い近右衛門やオーストラリア政府といった相手と友好的な関係を築けたが、原作知識がない故にそう出来ない可能性もある。

 その結果が、転移した世界にいる戦力を巻き込んでの三つ巴、下手をすれば四つ巴や五つ巴といった戦いになる可能性もある。

 それに対応する為には、やはり慣れが一番大事だろう。

 その為にこそ、こうして一度に2つ以上の勢力を相手にしての模擬戦というのはやっておくに越した事はない訳だ。

 その辺の事情を、原作知識云々というのを抜かして説明すると、夕呼以外のメンバーは納得した表情を浮かべる。

 ただし、霞は相変わらずウサギの耳をピコピコとしていただけなので、その辺がどうなっているのかは分からない。

 まぁ、特に質問もないようだし、問題はないんだろうが。

 

「なるほど。シャドウミラーには、シャドウミラーなりに色々大変な事があるのか」

 

 しみじみと呟く崇継の視線の先で、いよいよ戦いが始まった。

 まず最初に動いたのは、特機であるムラタのトリニティゲイン。狙うのはエキドナが操る特機のヴァイサーガ。

 五大剣同士がぶつかり合い、離れた場所にいる俺達の方にも激しい衝撃が伝わってくる。 

 戦術機同士の戦いは勿論、シャドウのようなPTでは有り得ない程の激しい衝撃。

 その迫力に、崇継と恭子とそれぞれの護衛が目を見開く。

 実際に、普段から戦術機に乗っているからこそ、自分達が戦うのと全く違うというのが理解出来るのだろう。

 また、イザークの乗るヒュッケバインMk-Ⅲが真っ直ぐにムウの乗るアシュセイヴァーへと向かって突っ込んでいく。

 それを待ち受けていたムウはソードブレイカーを放って迎え撃とうとしたのだが、そこにスレイのシャドウが放ったビーム・ガトリング砲のビーム弾が横から叩きつけられ、着弾したと判断されたソードブレイカーは地面へと落ちていく。

 三つ巴だからこそ起こったその展開の中、次に動きを見せたのはイザークだった。

 ムウのソードブレイカーが半分程脱落したのを見て、もう脅威ではないと判断したのだろう。アシュセイヴァーの横をそのまま通り過ぎ、まだ十分に戦闘力を残しているスレイのシャドウへと向かっていく。

 その手に握られているのは、高出力プラズマソードのロシュセイバー。

 それを迎え撃つようにスレイのシャドウは、通常では装備していないビームソードを手に持つ。

 基本的に通常のゲシュペンストが装備出来る武器は全て装備出来るというのは、素体が量産型ゲシュペンストMk-Ⅱであるシャドウの特徴の1つだ。

 振るわれるロシュセイバーをビームソードで受け止め、そのまま胸部のクロスマッシャーを放とうとしたところで、スラスターを噴射してその場を大きく飛び退く。

 そんなシャドウとタイミングを合わせるようにして反対方向へと跳躍したヒュッケバインMk-Ⅲ。

 次の瞬間には、その2機の間を裂くかのようにアシュセイヴァーがハルバートランチャーを使って放った無数のレーザーが通り過ぎていく。

 そんな三つ巴の戦いは、至る場所で繰り広げられていた。

 スティングとアウルとレイの3機のシャドウがそれぞれの武器を撃ち、M950マシンガンの弾丸とビームガトリング砲のビーム弾が弾幕の雨を作る中を回避しながら間合いを詰めてプラズマバックラーを叩き込もうとしたり、それを援護するためにコーネリアのラピエサージュが放つO.O.ランチャーからビームと弾丸が連続して放たれたり……そんな具合で戦いが続いていく。

 

「これは……何ともまぁ」

 

 そんな戦いを、日本からの一行はただ唖然として見る事しか出来なかった。

 それでもすぐに我に返り、少しでも戦闘を見逃さんとしたのは、さすがにそれなりの立場にいる者達だったからだろう。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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