転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0091話

 その機体から受ける威圧感は相当なものだ。ただでさえ威圧感のある機体のダイゼンガーとアウセンザイター、そしてソウルゲインを1機に纏めたのだから無理もない。

 あるいは、この機体こそが継ぎ接ぎの意味を持つラピエサージュという名前にふさわしいのかもしれない。

 

「早かったな、ヴィンデル。システムXNの調子はどうだ?」

「通常転移は安定している」

「あれは、ソウルゲインか? 細部が大分違うが」

 

 俺とヴィンデルの会話を聞き、思わずといった感じで口を挟んできたのはラミアだった。

 

「確かに基になった機体はソウルゲインで間違いない」

 

 ラミアの驚愕の声が妙にツボにはまったので、トリニティゲインの事を少しだけ教えてやる。

 

「アンジュルグ。乗っているのはW17か?」

「そうだ。レモンからも聞いていると思うが、転移の影響で多少愉快な事になっている。……いきなり怒鳴るなよ?」

 

 俺としては面白い口調だが、真面目なヴィンデルには耐えられないだろうと判断したので前もって注意しておく。

 俺の言葉に疑問を思いつつも機密通信装置でアンジュルグと通信を繋げるヴィンデル。両方の機体と通信している俺には隠す事なく2人の会話が聞こえてくる。

 

「ヴィンデル様、その機体はまさか完成しちゃったりしてなかったりしたりしなかったりしちゃうのでしょうですか?」

「……何? レモンの遊び道具ごときが、私に対して……」

「そう怒るなって。今言ったばかりだろ。言語系がやられているらしい。言葉遣いを気にしすぎると血圧が上がるぞ」

 

 ここにいたのがヴィンデルではなくレモンであったのなら、恐らくレモンは凄く喜んだだろう。いや、喜ぶというよりは面白がるか。だが、ヴィンデルではその生真面目さ故に不快感しか覚えないのだ。

 

「W17、俺に対する時と同じように喋って構わん」

「了解。……ヴィンデル様。システムXNを積んでいると思われるその機体……安定しているように見えるが、まさか完成したというのか?」

「その通りだ。見ての通り、通常転移機能に問題はない」

「つまり、お前達本隊が動くという事か?」

「そういう事だな。だからこれから指令も多くなるだろう。レモンはお前に期待している。その期待を裏切るなよ?」

 

 ヴィンデルに対する質問だったが、多少頭に血が上っているヴィンデルでは何を言い出すか分からない為、俺が代わりに質問に答える。

 

「ああ、分かっている。それよりも、これ以上の戦闘遅延は不自然だ。一度交戦すべきだと思うが、どうだ?」

「人形の方から、私に指示をするとはな。だが、トリニティの実戦テストも兼ねて、ここまでやって来たのだ。W17、付き合ってもらうぞ。それにトラブルとは言え、人形ごときに不遜な口の利き方をされるのは不愉快でな」

「すまんな」

「くくっ、ここにいるのがレモンなら大喜びしたんだろうが、ヴィンデルだったのが残念だったな」

 

 日頃冷静なヴィンデルにしては珍しいその様子に、思わず笑みを漏らす。

 

「アクセル、いい加減にしろ。……それと、ゼオラ曹長。お前は一端引け」

「し、しかし、それでは私に与えられた命令を遂行する事が出来ません!」

 

 当然自分も戦う気であったゼオラだっただけに、ヴィンデルの言葉に思わず不満を漏らす。

 ……あれ? 原作だと俺もここでゼオラと一緒に引けとか言われてなかったか?

 

「ヴィンデル、俺はいいのか?」

「お前なら特定の誰かに固執するような事もないし、大丈夫だろう」

「ほう、ヴィンデルが俺を褒めるとは珍しい。……ゼオラ、ここは命令に従え。自分で考え、どちらの命令に従うべきか決めろ。自分で、だ」

「アクセル隊長?」

 

 俺の言葉に怪訝そうな顔をしたゼオラだったが、ゼオラが何か口を開く前にヴィンデルが先に言葉を発した。

 

「機会は別に与えてやる。今回は私の命令に従え。いいな?」

「了解……しました。ラト、連れて帰って上げられなくて、ごめん」

 

 小さく呟き、そのまま高機動戦闘用の機体の持ち味である速度を使い、戦域から離脱していく。

 ハガネとヒリュウ改から出撃してきた部隊のうち、その姿を見た何機かが行動を起こそうとするが、ビルトファルケンは既にこの戦場から姿を消していた。

 

「システムXNの復元によって、我々はいよいよ動き出す事が出来る。我らの手によって再びアギュイエウスの扉が開かれるのだ。こちら側ではあの時のような不覚はとらんぞ、ハガネ、そしてヒリュウ改の者共よ」

「連邦軍特別任務実行部隊シャドウミラー指揮官、ヴィンデル・マウザー大佐。来い、実戦テストをするのだろう? 私は機嫌が悪い。お前達のやり方を見ているとなぜか神経系にノイズが混ざる。何があっても恨まないでもらうぞ!」

 

 思わず漏れた、という感じのヴィンデルの言葉に反応したのは俺ではなくラミアだった。その言葉には珍しく苛立ちといった感情が含まれている。原作通りに自我を確立していっているのだろう。

 

「人形風情が面白い事を言うな、W17。アクセル、人形は私が相手をする。指揮は任せたぞ」

「了解した。全機、俺とベーオウルフ。あるいはヴィンデルとW17の戦いに割って入るような奴がいた場合は全力で阻止しろ」

「了解」

 

 量産型Wの返事が一斉に返ってくる。

 

「さぁ、行くぞベーオウルフ!」

 

 アルトアイゼン目掛けて、左右のランツェ・カノーネを両方とも展開して狙いを付ける。

 アルトアイゼンは装甲がかなり厚いので、1撃の威力が高いこの武器で狙いを付けて……っ!?

 

 咄嗟に機体を後方へと待避させる。殆ど同時に、グロウセイヴァーがいた場所目掛けてイルムの乗っているグルンガストから発射されたファイナルビームが地面を抉り、盛大に土煙を巻き上げた。

 

「おいおい。この前の借りをまだ返してないのに、いきなり浮気とは感心しないね」

 

 その口調は、あちらの世界で話したジョナサン・カザハラと瓜二つだった。

 

「ふん、そういう口調は父親にそっくりだな」

「何っ!? お前等親父の知り合いか!?」

「さてな。動きの鈍いお前にはこいつ等がお似合いだ。ランドリオン、こいつを牽制しろ。攻撃よりも回避に専念して時間稼ぎに徹しろ」

 

 命令を受けたランドリオン2機が、まるでグルンガストに纏わり付くように周囲を素早く移動しながらチクチクとマシン・キャノンやホーミングミサイルで攻撃を仕掛けていく。

 チラリとモニタへ視線を向けると、アンジュルグのミラージュ・ソードとヴァイサーガの予備を流用した五大剣を打ち合っているトリニティゲインが目に入る。そしてその隙を突いて攻撃を仕掛けようとしているアルブレードやサイバスター、アステリオンを阻止すべくエルアインスや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが攻撃をしていた。

 また、少し離れた所でも敵の部隊との戦いが始まっているようだ。

 

「あなたを倒せば俺達の質問に答えて貰えるんですよね!」

 

 そう言ってフォトン・ライフルでこちらを攻撃してきたのはブリットの乗るヒュッケバインMk-Ⅱ。……リョウトの乗っているヒュッケバインMk-Ⅲと似ているので戦闘の中では見分けがつかないので声で判断する。

 

「悪いが今回の目的はお前ではない。手合わせに関してはまたの機会にしてもらおうか」

 

 ブースターを小刻みに動かし、フォトン・ライフルの攻撃を回避しそのまま置き去りに……

 

「ちぃっ、ここでもか!」

 

 T-LINKシステムにより背後からグロウセイヴァーへと向かってくる何かを感知し、機体を傾ける事で回避する……が、通り過ぎたその物体はターンを描くように空中で方向転換して再度こちらへと向かってくる。

 

「申し訳ありませんが、僕にもあなたに聞きたい事があるんです。このまま逃がす訳にはいきません!」

 

 リョウトのヒュッケバインMk-Ⅲ、となると今の武器はファング・スラッシャーか? そう確信してしまえば、確かにチラリと見えた武器の形状は十字架状の物が高速で回転していたようにも思える。あの武器で厄介なのは念動力による誘導が可能な点だ。

 

「だが、来ると分かっていれば!」

 

 グロウセイヴァーの頭部ユニットの左に設置されたバルカンポットからバルカンを発射。リョウトはそれを回避しようとファング・スラッシャーを念動力により動かすが、それを先読みする事でバルカンを当て続ける。いくら1発の威力が弱いバルカンと言えども、当て続ければ……

 

「そんな!?」

 

 破壊されたファング・スラッシャーを見て驚きの声を上げるリョウトに構わず、その場に2機を置き去りにする。

 幸いヒュッケバイン2機は両方ともテスラ・ドライブ未搭載機である為、空を飛ぶグロウセイヴァーに1度抜かれてしまえば追いつくのは難しい。

 

「待たせたな、ベーオウルフっ!」

「お前もその名で俺を呼ぶか。だが、手加減はせんぞっ!」

 

 アルトアイゼンの左腕に装備されている3連マシンキャノンが放たれるが、そんなものに今更当たる筈もなくクロノスのブースターで一気に攻撃範囲から抜け出る。

 

「そんな攻撃が効くと思ってるなら、甘いな!」

 

 ビームガトリング砲とリニアレールガンの砲身を展開。武器ラックからガン・レイピアを取り出し、3つの射撃武器で同時にロックオンする。

 

「いくら装甲自慢とは言え、これに耐える事は出来るか!?」

 

 ガン・レイピアから放たれる幾筋もの細長いビーム弾、ビームガトリング砲から雨の如く撃ち込まれる細かいビーム弾、その2つの武器の発射音に紛れて狙い澄ましたかのようにアルトアイゼンの関節部分へと狙いを付けるリニアレールガン。

 さすがのキョウスケ・ナンブといえどもこの3つの攻撃全てを重装甲PTのアルトアイゼンで回避しきれる筈もなく、1秒ごとに機体の装甲が削られていく。

 そもそもグロウセイヴァーの事を知らないのでしょうがないとは言え、射撃特化とも言えるこの機体相手に距離を取っての牽制を仕掛けてきたのが奴のミスだ。

 こちらのキョウスケ・ナンブは他のパイロットより腕は上だが、やはりあちらの世界のベーオウルフ程の脅威は感じない。いや、まだ成長要素が残っていると判断すべきだな。だが、まずは絶望を知って貰う!

 

「ファント」

「アクセル、そこまでだ」

 

 ファントムを放とうとした俺を止めたのは、敵の攻撃ではなくヴィンデルからの通信だった。

 チラリとそちらの方を見ると、トリニティゲインの両肩に装備されているアウセンザイターの盾、シュルター・プラッテにビーム刃を形成してサイバスターとアステリオンへと投げつけ、牽制している様子が目に入ってくる。

 

「っ……ふぅ。慣らしはもういいのか?」

 

 一瞬、感情のままに叫ぼうとしたが、そもそも今回の戦いはヴィンデルがトリニティの慣らしとヒリュウ改やハガネの部隊の実力を肌で感じてみる事だった筈だ。それを思いだし、深呼吸で気持ちを落ち着ける。

 

「ああ、実力は大体分かった。トリニティの慣らしも上々だ。つまりこの戦闘の目的は果たした。退くぞ」

「了解。全機、トリニティを中心に集まれ。転移フィールドから漏れるなよ」

 

 俺の通信を聞いた味方機が、トリニティゲインを中心にして態勢を整える。ヒリュウ改やハガネの部隊もこちらと向き合うようにして態勢を整えている。

 敵機の中で一番損傷が酷いのはアルトアイゼンだろう。だがそれでも受けている損傷は全て表面的なものだというのは、その装甲の厚さとキョウスケの腕を物語っている。

 

「では、退くぞ。システムXN、起動」

 

 ヴィンデルの言葉と共に、システムXNによる転移フィールドが展開。そのまま何かを叫んでいる敵部隊を置き去りにして俺達はライノセラスの近くへと転移をした。




名前:アクセル・アルマー
LV:28
PP:35
格闘:218
射撃:236
技量:228
防御:225
回避:253
命中:275
SP:366
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:134

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