転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1036話

 ムウとナタルの結婚式が行われてから数日。現在ムウの姿はホワイトスターにはない。勿論オーブにもない。ナタルの姿もオーブにはなく、当然ホワイトスターにも存在しない。

 どこで何をしているのかと言われれば、実は新婚旅行でマクロス世界に行っていたりする。

 新婚旅行の行き先に関しては随分迷っていたようだったが、色々な意味でSEED世界では有名人であるこの2人がSEED世界で新婚旅行というのはちょっと無理が――騒がれてもOKなら問題はなかったが、本人達はゆっくりしたいという希望なので――あり、折角ホワイトスターという異世界に繋がっている場所があるからという事で、他の世界への新婚旅行というのが決定した。 

 ちなみにその中でマクロス世界が選ばれた理由は、純粋にそこが一番観光としてはいい場所だったからだ。

 何しろ現在ホワイトスターから繋がっている場所は、ネギま世界の麻帆良、ギアス世界の陽光、マブラヴ世界のオーストラリアだ。

 その中で、ギアス世界はSEED世界と比べても特に変わったところはないし、マブラヴ世界は新婚旅行で行くべき場所ではないだろう。ネギま世界に関しては麻帆良はともかく魔法界の方にムウはちょっと興味があったらしいが、間違いなく何らかのトラブルに巻き込まれるだろうという事で却下。

 最終的に残ったのがマクロス世界。

 地球から遠く離れた惑星ミュートスという場所と繋がっているだけに、観光名所としても十分以上に期待出来るだろう。

 護衛という意味でもS.M.Sという存在がある以上心配はいらない。

 そういう訳で、現在ムウとナタルはミュートスに新婚旅行中な訳だ。

 ……にしても、ムウはシャドウミラーの幹部であるとは言っても、所詮は実働班の人間でしかない。言い方はちょっと悪いが、いなければ決定的に困るという存在ではない。

 だからこそムウの新婚旅行を許可したのだが。

 それに比べるとナタルは、オーブ軍の最精鋭部隊でもあるアークエンジェルの艦長だ。どう考えても代えのいない存在だろう。

 将来的にホワイトスターに来る時には引き継ぎを済ませているだろうから問題はないと思うが、今はまだ引き継ぎも済ませていない筈だ。

 そんな状況の中で、よくオーブ軍はナタルが新婚旅行として纏まった休日を取る事を許可したな。

 恐らくエザリア辺りが何らかの交渉をしたんだろうが。

 ちなみにムウとナタルが新婚旅行に行っている間、2人の義理の息子的な存在でもあるレイがどうしたのかと言えば、以前からホワイトスターで探していた家に既に移っていたりする。

 悠々自適の毎日……という訳でもないだろうが、それなりに自由を満喫しながら楽しく暮らしているらしい。

 で、ムウがいない間の俺達が何をやっているのかと言えば……

 

「……ちっ、結局は外れだったか」

 

 舌打ちをしながら、視線の先にある小屋を見ながら地面を蹴る。

 苛立ちで力の加減を間違ったのだろう。地面が1m程のクレーター状になってしまったのを見て、円が手を伸ばして俺の頭を軽く叩く。

 

「アクセル君、幾ら何でもやりすぎ。向こうにしても捕まれば破滅なんだから、必死になっていても当然でしょ」

 

 その言葉に溜息を吐き、改めて周囲を見回す。

 ここはマブラヴ世界のアメリカ、ヒューストンから数時間程度の位置にある、それ程大きくはない街の一角。

 ここに恭順派が潜んでいるという情報を、通信を探知していた量産型Wが得て、こうしてやって来たのだが……結局は一歩遅かった訳だ。

 まぁ、アナログ的な手段で連絡を取り合っていた恭順派が通信機を使ったのだ。当然その通信が終わった後は、すぐにここを捨てる気だったんだろう。だからこそ緊急措置って事でアメリカ政府や国連には事後承諾の形で、こうして独断専行的に量産型Wから報告を受けた時近くにいた円と2人でマブラヴ世界にやって来たのだが。

 

「寧ろ、アナログ的な手段を使っている恭順派が、わざわざ通信機を使ったって事は、ここを見つけて欲しかったんでしょ。そうなると、恐らく何らかの罠でも……」

 

 そう告げた、その時。まるでタイミングを計っていたかのように、ピッという電子音が鳴ったのを聞き取る。

 その瞬間、反射的に俺は円を抱きかかえながら小屋の前から離れる。

 同時に、つい数秒前まで視線の先にあった小屋は派手な爆音と共に爆発した。

 円を抱きしめながら地面を転がり、ゴロゴロと回転する。

 色々と柔らかい円の身体を感じつつ、俺自身を盾とする形で腕の中の円を爆発の影響から守る。

 背中へと幾つもの木やコンクリートの破片といったものがぶつかってくるが、俺に触れた瞬間にダメージを与える事なくそれらは燃え尽き、あるいは溶かされていく。

 そのまま数秒。爆発の影響がなくなったのを確認すると、円を抱きしめたまま周囲へと視線を向ける。

 街外れにある小屋である為、近くに誰かがいる様子はない。この辺から電波の類が出ていないのは量産型Wから報告を受けていたので、恐らく今の爆発は無線でスイッチを入れたとかではなく、タイマーの類をセットしてあったものなのだろう。

 周囲に人の気配がないという事は、これは俺達に対する攻撃というよりも完全に置き土産といったところか。

 そうなると今回の件は無駄足に近かったってことになるんだろう。

 

「そ、その……アクセル君? もう大丈夫だから、離してくれてもいいんじゃないかなって思うんだけど。どう?」

 

 俺の腕の中にすっぽりと収まっている円がそう告げてくる。

 毎夜夜の営みを行っているのに、このくらいで恥ずかしがらなくても……そうも思うんだが、やはりいつもの寝室ではなく野外でこのような体勢になっているのは恥ずかしいのだろう。

 そんな風に考えながら、腕の中にある円の柔らかな身体を離す。

 円の身体と甘酸っぱい体臭が離れていくのを残念に思いつつも、周囲の様子を確認する。

 街の端にあるような小屋であるとしても、これだけの爆発があったのだ。当然街の方でも気が付いたらしく、警察に連絡したのだろう。パトカーのサイレン音が聞こえてきた。

 

「ね、アクセル君。その、どうする? このままここにいると警察とかに事情聴取されることなりそうだけど。そうなると、無駄に時間が掛かると思うし、不法入国したのを咎められそうなんだけど」

「……そうだな。なら一旦ここを離れるか。円、こっちに」

 

 それだけで俺がどのような手段を取ろうとしているのかを理解したのだろう。円は先程抱きしめられた事を思いだしたのか、微かに頬を赤く染めながらも近づいてくる。

 そんな円が俺の近くに来たのを確認し、影のゲートを展開してそこへと沈み込む。

 次に姿を現したのは、先程爆発のあった場所から20km程離れた場所。

 ……20kmとか、日本で言えばかなりの距離なんだけど、アメリカみたいな場所ではそれ程でもないんだよな。隣の家までちょっと……っていうのは大袈裟過ぎるが。

 ともあれ、爆発のあった場所から転移してきた俺と円は近くにあった街へと入っていく。

 一応俺は有名人ってことで帽子やサングラスで顔を隠しているが、円はメディアに露出していないので、ネギま世界だったりシャドウミラーと直に接した者でなければその正体に気が付く事が出来る者はいないだろう。

 その円は、俺の腕に抱きつきながら口を開く。

 

「さて、これからどうするの? 折角の手掛かりも殆ど意味がなかったし」

 

 街中を歩きながら円がそう告げてくる。

 道にいる者達のうち、若い男の多くがこちらに視線を向けては口笛を吹いたりしてくるが、絡んでくるような者の姿がないのはお互いにとって幸いだったと言ってもいいだろう。

 この辺の平和さも、BETAに対して有利な戦況になっているから。……そんな風に思うのは、俺の考えすぎだろうか。

 ただ、もしもBETAに押され気味であったとすれば、一般市民の心はかなり荒んでいて、自暴自棄に近い者もいた筈だ。

 それに比べれば、取りあえず今は基本的にそんな事はない。……まぁ、テロリストにすればそんな感じになっている者も少なくはないだろうが。

 

「ちょっとどこかで何か食べていくか?」

 

 腕を抱いている円にそう尋ねると、一瞬驚きの表情を浮かべるが、すぐに納得したように頷く。

 

「そう言えばアメリカは食料に関しては天然物が多いんだっけ?」

「ああ。俺達が来る前から食糧自給率に関してはかなり高かったし、そこに他の世界からの輸入もしているしな」

 

 もっとも、アメリカ人と日本人では色々と味覚が違う。日本人にすれば大雑把な味付けで量が多いというのがアメリカの食事に対する印象だろう。

 実際には店によって色々と違うんだが。

 美味い店は本当に美味いというのは、OGs世界で世界中を放浪している時に十分味わっている。

 

「うーん、あ、そうだ。じゃあTボーンステーキを食べてみたい!」

「……いや、それは構わないが……食い切れるのか?」

 

 Tボーンステーキ。その名の通り、T字型の骨がついているステーキであり、片側がサーロイン、もう片方にヒレ肉という、1度で2度美味しいステーキだ。……ただし、アメリカで頼む本場のTボーンステーキともなれば、非常に大きい。それこそ、アメリカ人でも数人で食べるくらいの量になるのも珍しくない。

 それに肉というのは飼料にかなりの穀物を消費するから、値段的にもかなり高額になるだろう。

 

「大丈夫よ。もし私が食べきれないようなら、アクセル君が食べればいいじゃない」

「……まぁ、それならいいか」

 

 以前スパロボOGs世界で放浪している時に食べたTボーンステーキは、まだ俺が人間だった為もあって何とかギリギリ食い切れる量だった。

 相当に腹がふくれて、暫く肉を食いたくないと思ったのを覚えている。

 それを思えば、今の俺は食べ物を食べて腹一杯で動けなくなるという事はない。

 食べた瞬間に完全に分解されて魔力と化して身体に吸収してしまうので、俺にとって食事というのは純粋に味を楽しむものとなっている。

 

「そうだな、じゃあちょっと探してみるか。丁度都合がいい事に案内してくれそうな奴等が来てくれた事だし」

 

 見るからにこちらに絡もうとしている数人の柄の悪そうな男達を眺め、思わず笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

「……へぇ、ああいう奴等が案内した店にしては随分と雰囲気がいいな」

「そりゃ、あそこまで脅されれば全面降伏するのは当然だと思うけど」

 

 先程の男達から教えて……それはもう丁寧にお願いして教えて貰った店は、かなりいい雰囲気の店だった。

 決して高級店という訳ではない。一般人が入るような店だ。

 もっとも、今は肉の類はそれなりの高級品になっているから、一般人でもかなり頑張らないと入る事は出来ない店だろうが。

 

「脅すとか、人聞きが悪いな。俺は誠心誠意お願いしたつもりなんだけどな」

「誠心誠意ねぇ。……ま、アクセル君がそう言うのならそれでいいけど。それよりも早く食べましょ。本場のTボーンステーキを」

 

 どことなくスルーされたような気がするが、ともあれ確かに円の言葉通りここにいても無駄に時間を使うだけだ。店の店員もこっちを気にしているしな。

 そう判断し、早速店の中に入ってTボーンステーキ2枚を注文する。

 1枚は俺の分、もう1枚は円の分だ。

 そうして注文から暫くが経ち、やがてTボーンステーキが運ばれてくる。

 

「うわぁ……本当に大きいわね。日本で出るステーキで考えると3人……いえ、5人分くらいはあるんじゃない?」

 

 当然このマブラヴ世界でこのくらいのステーキともなると、かなりの金額だ。

 店にしても一見の客にこれだけのステーキを提供とするとなると、色々不安があるのだろう。前払いを求められた。

 勿論それに関してはあっさりと応じたのだが。

 何しろ、シャドウミラーとしてはこのマブラヴ世界との取引でかなりの金が存在している。

 BETAの死骸を引き取るのにも多少の金を貰っているし、兵器に関しては完全に売り手市場だ。

 今でこそガン・ルゥに関してはライセンス生産という形になったが、それにしても当然ライセンス生産という形である以上は黙っていても金が入ってくる仕組みになっている。

 そうなれば当然マブラヴ世界での金が少なくなる為に、シャドウミラーのメンバーにはマブラヴ世界で金を使うという行為を推奨すらしている。

 そういう訳で、俺達はチップをたっぷりと払ったおかげで店からも上客と見なされて丁寧な扱いを受けていた。

 

「ま、ともかく食ってしまおう。ステーキは熱いうちに食うべきだ」

 

 鉄板の上に乗っているから、そう簡単に冷えるような事はないだろう。だがそれでも、やはり時間が経てば味が落ちるのは当然だった。

 

「そうね。……アクセル君、食べきれなかったら、私の分も食べてね?」

「牛丼をペロリと平らげるんだ。このステーキも食べきるだろ?」

「……あのね、女の子に大食いとかちょっとデリカシーに欠けるんじゃないかしら」

 

 そう言いつつも、まずはヒレ肉の部分をナイフで切って口へと運ぶ円。

 さすがに焼きたてでこの街の住人――チンピラだが――お勧めの店だけあって、非常に美味だ。

 この前のムウとナタルの結婚式で食べたステーキも美味かったが、これはそれとは別の美味さがあるな。

 そんな風に告げると、円も同意見らしく頷きを返す。

 

「特にサーロインの部分が美味しいわね。それにソースもスパイシーなバーベキューソースで」

「このソース、出来れば買って帰りたいな」

「そうね。頼んでみれば売ってくれるんじゃない?」

 

 そんな風に会話を交わしつつ、俺と円はステーキを味わう。

 尚、円は結局7割程食べたところでギブアップ。残りは俺の腹へと収まる事になる。

 ちなみにバーベキューソースは店でも普通に売っていたらしく、結構な量を買って店の従業員達に酷く喜ばれることになった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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