転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1038話

 映像モニタに映し出されているのは、一面の荒野。

 現在俺達がいるのは、ギアス世界の陽光から大分離れた場所だ。

 何故ギアス世界に来ているのかと言えば、それはとあるテストの為だった。

 

「周囲に機体や人間の反応は無し。いつでもテストを開始出来るわよ」

 

 その報告をしたのは円。

 そう。俺が現在いるのはシロガネのブリッジであり、他にもブリッジクルーの美砂や量産型W、艦長のマリューの他にも技術班を代表してレモンの姿もあった。

 

「一応これは既に枯れた技術……とまではちょっと言い過ぎだけど、十分に運用実績のある技術だから、心配は特にいらないと思うけどね」

 

 レモンが自信に満ちた笑みを浮かべてそう告げる。

 実際、今回の試験は新しくこのシロガネに搭載されたシステム……量産型システムXNが上手く起動するかどうかのチェックという意味合いの方が強い。

 以前から……特にマブラヴ世界で活動を始めてから度々指摘されていたのが、シロガネの移動能力の低さだ。

 いや、勿論普通の移動速度に関してはかなり高いものがある。この場合の移動能力の低さというのは、システムXNを搭載していないという事だった。

 ニーズヘッグ、ニヴルヘイム、シロガネ。この1機と2隻――ニヴルヘイムを隻と表現するのは正しいのかどうか分からないが――は、現在のシャドウミラーの中でも突出した戦力であると言ってもいい。

 だがこの中で、唯一シロガネのみがシステムXNを装備していなかった。

 今まではそれで良かったのかもしれない。だが、一度に多数の戦場が存在するこのマブラヴ世界においては、転移装置であるシステムXNを持たないと部隊の展開が非常に遅くなる。

 勿論このシロガネに搭載されたシステムXNは、量産型のシステムXNだ。つまり、OGs世界でインスペクターの要望により作っていた、世界間転移の能力を持たず、同一世界間のみで転移が可能な転移装置。

 元々はグロウセイヴァーに搭載されていた物だが、今では研究も進んでシステムの安定性や性能、大きさといったものが大分改善されている。

 同一システムであるゲートにより、技術的な蓄積が溜まったのも大きいだろう。

 もっとも、ゲートシステムは世界間転移、量産型システムXNは同一世界間での転移という違いはあれども、その辺に関しては基は同じ技術という事もあり、融通が利くらしい。

 更に言えば、ニヴルヘイムにも量産型システムXNが搭載されており、幾度となく使われている以上、この新型の量産型システムXNは既に実戦証明されているのも同様なのだ。

 勿論ニヴルヘイムとシロガネでは艦のシステムそのものが大きく違う。具体的に言えばニヴルヘイムはギアス世界のダモクレスを基にして開発された移動要塞であり、シロガネはOGs世界のスペースノア級万能戦闘母艦を基にしてシャドウミラーが改造……いや、魔改造した艦だ。

 どちらもシャドウミラーの技術がふんだんに使われているとしても、やはり基になった技術が違う以上はその辺、慎重にならざるを得ない。

 システムXNそのものがOGs系の技術であることを考えれば、シロガネと相性はいい筈なんだが……OGs系の技術と一口に言ってもシロガネは地球連邦軍が開発したものであり、システムXNはシャドウミラーが……より正確にはニーズヘッグに搭載されているオーパーツとすら言えるアギュイエウスを基にレモンやギリアムといった者達が開発したリュケイオスを、更にレモンが量産した代物だ。

 ……こうして経歴を考えると、ストライクの量産型の簡易型であるストライクダガーと似たようなところがあるな。

 勿論細かいところは色々と違うんだろうが。

 ともあれ、俺達に取ってはお馴染みの技術でもあるシステムXNをこうして実験で使おうという事になった訳だ。

 ちなみに、何故ギアス世界で実験をしているかと言えば、転移先を宇宙に設定しているからだったりする。

 このギアス世界は石油とかを使っていない関係もあるんだろうが、宇宙開発は殆ど進んでいない。勿論ダモクレスが宇宙近くまで上がった事を考えると全く開発されていないという訳ではないのだろうが、純粋に宇宙開発という意味ではマブラヴ世界よりも後進世界であると言ってもいいだろう。

 まぁ、必要は発明の母とかいう言葉がある通り、マブラヴ世界の場合はBETAという存在がいるからこそ宇宙開発が進んだ面もあるが。……いや、その前に火星へと向けて探査衛星を送っていた事を考えると、純粋に世界観の違いってのもあるんだろう。

 とにかく、このギアス世界はシャドウミラーと交流のある世界では最も宇宙開発が行われていない世界だ。それ故に、システムXNで転移して宇宙に出ても殆ど問題はない訳だ。

 コロニーがあるSEED世界、宇宙開発という意味ではギアス世界とそう大差ないが、そもそも俺達シャドウミラーが表に出てはいないネギま世界、宇宙移民が活発で、既に宇宙こそが活動の中心となっているマクロス世界、BETAという脅威の為に生き残りを賭けて宇宙開発を進めてきたマブラヴ世界といった他の世界と比べると、間違いなくこの世界がベストの実験場だった。

 

「じゃあ……実験を開始するわ」

 

 マリューの言葉にその場にいる全員が頷く。

 俺もまた、念の為ではあってもいつ何が起きても大丈夫なように意識を集中する。

 いやまぁ、同じOGs系の技術でもあるシロガネとシステムXNだ。ニヴルヘイムで実験した時に比べれば殆ど危険はないと思うんだけどな。

 

「システムXN、起動」

「システムXN、起動」

 

 マリューの言葉を円が繰り返しながらシステムXNを起動させる。

 

「転移座標入力」

「転移座標入力……OK」

 

 円の隣に座っている美砂が転移先である宇宙――地球のすぐ近くだが――の座標を入力。

 

「周辺に何か異常は?」

「……周辺の異常、特に何もなし」

 

 円の言葉にマリューが頷き、口を開く。

 

「転移フィールド生成開始」

「転移フィールド生成開始するわ」

 

 マリューの言葉を繰り返した美砂が呟き、量産型システムXNが起動して光の繭を生成していく。

 この光景を遠くから見守っている陽光の……具体的には星刻達がじっと見守っている事だろう。

 一応転移装置に関してはシャドウミラーの重要機密ではるが、このギアス世界を実験に使わせて貰っている関係上、公開しているのだから。

 まぁ、確かにシステムXNは重要機密なのは間違いないが、それでもこれまで幾度となく人前で使ってきた技術であるのは変わりない。

 なら別にこれくらい見せてもいいだろうという判断からだ。

 システムXNとシロガネの相性が悪くて転移に失敗、それこそ爆発するといった事にでもなれば、色々と危険だが……まぁ、技術班を信じられないって事はないし、その辺に関しては心配いらないだろう。

 そうして、事実……

 

「転移」

「転移」

 

 マリューの命令により光の繭が消えると、既に周辺は地球上から宇宙空間になっていた。

 

「転移、無事に完了したわ」

「そう。円、美砂。一応念の為に周辺の様子を探って頂戴。それと予定通りの場所に転移出来たかどうかの確認もお願い」

 

 そんな風に命令を出しているマリューを横目に、俺とレモンはお互いに小さく肩を竦める。

 

「全く、マリューももう少し自分達の技術を信用してもいいと思うんだけどね」

「確かに」

 

 レモン率いる技術班の技術力の高さは、ネオ・グランゾンのキーとなるパーツのバリオン創出ヘイロウを解析出来、更には同じような性能のものを小型化出来る――性能は若干落ちるが――という時点で、その技術力は保証付きと言ってもいい。

 他にも最近では時の指輪とホワイトスターの融合とかの実績を残しているし。

 

「これが……宇宙、なのね」

 

 小さく呟く円の声。

 

「……ん? ああ、そうか。円も美砂も、宇宙に来たのは初めてだったか」

「ええ。まぁ、普通の高校生が宇宙に来るなんて事は私達の世界だと滅多にないし」

 

 円の隣で映像モニタを見ていた美砂が同意するように頷く。

 

「その割には火星に行ったりとかは普通にしてるんだけど」

「ゲートを使っての移動だしね。……まぁ、そう考えると宇宙とかよりももっと凄い事をやってる気がするけど」

 

 円と美砂の言葉に思わず頷く。

 それはレモンやマリューにしても同様だったのだろう。お互いに目を合わせて笑みを浮かべていた。

 門世界との行き来が不可能になった以上、確かにネギま世界が唯一魔法がある世界であり、その魔法を使った転移装置があるという点でも色々と特異な世界であるのは間違いないが。

 もっとも、そこまで一般的じゃなくても魔法的な要素って意味だとギアス世界のギアスやら遺跡やら、OGs世界のラ・ギアス関係とかがあるんだが。

 それでもネギま世界程広く使われている訳じゃないのは事実だ。

 個人的にはラ・ギアスのルオゾールとかシュウ、サフィーネが使う、デモンゴーレムとか、ルオゾールの機体の攻撃を無効化するような奴とかはかなり興味あるんだけどな。

 手数という意味では、ぶっちゃけメギロートよりもデモンゴーレムの方がお手軽だし。

 ……ただ、実は一番興味深いのはサイバスターのポゼッション……憑依現象だったりする。

 確か風の精霊が機体に憑依する事によりとんでもない力を引き出すという奴だった筈だ。

 そして俺は混沌精霊であり、ニーズヘッグの操縦にはT-LINKシステムが多用されている。

 この辺を考えると、似たような事が出来てもおかしくないんだよな。

 もっとも、パイロットの消耗が激しいとかそういう問題もあるか。

 それと、ラ・ギアスにおいては精霊の種類が純粋になればなる程に高位精霊という扱いになる。ガディフォールが風系低位・砂塵に対して、サイバスターが風といったように。

 その考え方でいくと、俺の場合は混沌精霊という形である以上は高位精霊という扱いにはならない気がする。

 基本的には炎で、そこに影とかその他諸々の要素が混ざっている感じだし。

 

「初めての宇宙がギアス世界だったのは、ある意味幸運だったかもな」

「……何で?」

 

 気分を変える意味でも告げたその言葉に、円が首を傾げて答を促してくる。

 

「実験を始める前のミーティングでも言ったと思うが、ギアス世界では宇宙開発が殆ど進んでいない。つまり、それはスペースデブリとか、視界を遮るようなコロニーみたいな建造物とかがないって事だ」

 

 勿論それは他の世界からしても、些細な違いでしかないだろう。

 だが、それでも……こうして円や美砂が生まれて初めて生で見る宇宙の景色だ。その少しでも綺麗な光景を見せたい。

 そう思うのは、2人を恋人としている俺の傲慢だろうか。

 まぁ、傲慢でも構わないと言えば構わないんだけどな。そもそも、シャドウミラーの代表として幾つもの世界を纏める立場にあるんだから、多少傲慢でもなければ務まらない。

 それに本当の意味で傲慢だったりするのなら、今の様に他の世界と共存するのではなく支配するだろう。それこそ、ヴィンデル率いるシャドウミラーがOGs世界で最初に企んだ時のように。

 それをしないだけでも、俺はそれ程傲慢ではないだろう。

 それに、そのように傲慢な性格であれば恐らくレモンはともかくコーネリア、マリュー、スレイ、シェリル、あやか、千鶴、円、美砂といった者達とこうして愛し合う仲には絶対になれなかった筈だ。

 

「ふーん。確かにこうして見ると地球は綺麗よね」

「そうね。この辺に関しては石油を使っているネギま世界よりも、このギアス世界の方が綺麗かもしれないわね」

 

 マリューの言葉に、全員が頷く。

 確かにこのギアス世界では石油は基本的に使われていない。それを思えば、石油を使っているネギま世界や、今は違えどもかつては石油を使っていたSEED世界に比べると大気の影響もあって地球が綺麗に見える事だろう。

 特にマブラヴ世界でBETAにより破壊された地球の光景を以前夕呼に見せて貰った事があるが、それとは大違いだ。

 青い宝石。確かどこかの宇宙飛行士が確かそんな風に言っていたと思うが、まさにそれに相応しい光景と言えるだろう。

 

「その辺の詳しい事は分からないけど、出来ればこの光景はいつまでもこのままにしておいて欲しいわね」

 

 ポツリと美砂の口から出たその言葉は、殆ど無意識のものだったのだろう。だからこそ、その場にいた全員が特に異論もないように無言で同意する。

 そのまま皆が黙って地球を見て、どのくらい経っただろう。5分? いや、10分程度は経った筈だ。

 そんな俺達を我に戻したのは、量産型Wの言葉だった。

 

「地上の陽光から通信が入っています」

 

 その言葉を聞き、地球に見惚れていた事に気が付く。

 そうそう、そう言えば俺達はシロガネのシステムXNのテストをしていたんだったか。

 慌てて通信に出ると、そこに映し出されていたのはコメカミに血管を浮き上がらせた星刻の姿だった。

 どうやら転移実験をして消えた後で俺達から全く連絡がないので、色々と心配したらしい。

 その後、何度か謝った事でようやく許して貰えたのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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