転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1039話

 シロガネに新たに追加されたシステムXNの試験が終了してから暫く。既に8月に入り、世間的には夏と呼ばれる季節になっていた。

 本来であればホワイトスターの中は人工的に気温の変更が出来る。その機能を使えば1年中一定の気温を保つ事が可能で、それこそ常春の楽園にする事も難しい話ではない。

 ただ……そうなると困る者も出てくる。具体的に言えば農場にいる各種動物や、ワイバーン。それと自然公園に住んでいるエルフ族に関しても、去年までは門世界で暮らしてきたんだから、季節の移り変わりがないとなると身体の調子が悪くなる者も出てくるだろう。

 ああ、それと自然公園にある木とか、そういう自然に関しても影響してくるか。

 ともあれ、そういう理由でホワイトスター内でも日本の四季に応じてそれなりに気温を変化させている。

 もっとも、夏だからと言って気温40℃、冬だからと言って気温マイナス20℃とか、そういう極端な気温にはしないが。

 マブラヴ世界のオーストラリアの人達にすれば、日本の四季を参考にしたこの季節の変化に関しては色々と思うところはあれども、その辺に関してはこちらに合わせて貰うしかない。

 とにかく、今、ホワイトスターの季節は夏な訳だ。気温に関しても30℃近く、十分に暑く、家の中ではエアコンを使って涼しんでいる。

 

「やっぱり夏といったらカレーですわね。特に辛口のカレーを食べると夏! という気がします」

 

 辛口のビーフカレーを食べながら、あやかがしみじみと呟く。

 

「そう? 季節とかはあまり関係なくカレーとか食べてるけど」

「シェリルさんの言いたい事も分かりますが、やっぱ私達にとっては夏と言えばカレーなのですわ。汗を流しながらカレーを食べるというのは、どうしても夏というものを感じさせてくれます。……それにしてもこのカレー、妙に美味しいですわね」

 

 シェリルに言葉を返しながら、しみじみと呟くあやかの言葉に全員が頷く。

 やがてその視線は、このカレーを作った人物でもある千鶴の方へと向けられる。

 

「ふふっ、ちょっと牧場の方からいいお肉を貰ったから、奮発してみたのよ。出汁を取る為に牛骨や牛肉をたっぷりと使って、それこそお肉から旨味をこれ以上ないくらいとってからスープを作ったの。そして最後に具としてのお肉を焼いてカレーと混ぜたんだけど……評判はいいみたいね」

 

 笑みを浮かべる千鶴だが、牛肉はともかく牛骨からスープを作るとなるとアク取りやら余分な油を取ったりとかで、かなり大変な筈だ。それをいつの間にかやってるんだから、さすがと言うべきだよな。

 ……魔法球とか使って、実は数日煮込んでいるんですとか言わないよな?

 いや、言うなら言うでいいんだけど。

 

「ああ、なるほど。だから肉がパサついてないでジューシーなのだな。ジャガイモも少し溶けている感じで丁度いいし」

 

 美味しそうに食べながら呟くコーネリア。

 今では普通に一般人が食べる料理を食べているが、元ブリタニア帝国の皇女だと言って信じる奴がいるか?

 まぁ、何だかんだとカレーを食べている仕草はマナーに沿ってるし、キリリとした表情をしているのを見れば嫌でも納得するんだが。

 ちなみにコーネリアの言葉を聞けば分かるように、うちのカレーではジャガイモは若干煮崩した感じになるのが普通だ。

 完全にカレーに溶かすとか、煮崩れるのは嫌なので出来る直前に下茹でしたジャガイモを入れるとか、色々な流儀というか好みがあるのが分かるが、少なくてもうちのカレーに関してはそうなっている。

 この若干煮崩れているのが俺の好み的に一番合うし、レモンを始めとしてカレーライスを食べた事がなかった者達も、最初に食べたカレーがこのタイプだったからこれが普通だと思っている。

 本場というかインドカレーとかとカレーライスのカレーは似てるようでかなり違うものだし。

 カレーライスを知っているあやか達にしても、若干ジャガイモが煮崩れているタイプのカレーは別に嫌いって訳じゃないらしく、このカレーが今の俺の家のカレーとして定着している。

 そんな風にカレーを食べ、サイドメニューのポテトサラダを食べ、他にもトッピングとして用意されている各種のメニューでカレーを自分の好きな風にアレンジながら夕食を楽しんでいると、不意にスレイが口を開く。

 

「そう言えば、今年は海に行かないのか?」

 

 その言葉に、確かに今年は海に行っていなかったと思い出す。

 確かに夏と言えば海なのは事実だ。だが、幸か不幸かここ最近は色々と忙しかった事もあって、海には行っていない。

 去年はマブラヴ世界の海に行ったが、マブラヴ世界の海は重金属の影響で色々と危険なのは事実だしな。

 獲った魚とかも、その辺が効果のない俺はともかく、他の皆がバーベキューとかで食べる事も出来ないし。

 

「海、かぁ。そう言えば確かに今年はプールにも行ってないわね。正確にはシャドウミラーに入ったばかりでそんな暇がなかったってのが正しいけど」

 

 円がスレイの言葉に同意するように頷き、美砂を始めとして他の者達もそれぞれ頷く。

 そして、その場にいる全員の視線が向けられるのは……当然、俺。

 一斉に9人からの視線を向けられると、思わぬ迫力がある。

 これが普通の見知らぬ一般人であれば話は別なのだが、ここにいるのは全員が俺の恋人達だ。

 そうである以上、当然視線に込められる力に抗える訳もない。

 正確には、やっぱり夏である以上1度くらいは海に行っておきたいという意見には同意したというのもあるんだけどな。

 全員の視線を向けられ、俺は黙って口に運んでいたスプーンを皿に戻して両手を挙げる。

 

「分かった、分かった。なら今度……そうだな、皆に時間が出来た時にでも海水浴に行くか」

「え? 本当!?」

 

 俺の言葉が意外だったのか、美砂が嬉しそうに尋ね返す。

 確かにここのところ皆で出掛けるって事もなかったし、家族サービスって訳じゃないけど、恋人サービスくらいはしないとな。

 

「それはいいんだけど、どこの海に行くの? 去年はマブラヴ世界の海だったけど、向こうの海は色々と危険でしょう?」

 

 そう告げてくるレモンの言葉に、従者組以外の者達が確かに……と頷く。

 

「そうだな、なら候補としてはネギま世界……は、シャドウミラーが表向きになってないから却下するとして、マクロス世界の方もまだ惑星の調査が完全には終わっていないから一応却下。マブラヴ世界は去年の件もあって却下。そうなると残るのはギアス世界とSEED世界か」

「そのどっちかなら、私はオーブかなぁ。常夏の島って感じだし」

「あー、美砂の言葉も分かるけど、オーブの海はこれまで何度か泳いだ経験があるしな。出来れば、まだ泳いだ事がないギアス世界の海にしたい」

「えー。だってオーブで泳いだ事があるのは、アクセル君達だけでしょ? なら私達も……」

「あ、ごめんなさい美砂。私とあやかは、何度かオーブに交渉で出向いた時に泳がせて貰ったわ」

 

 千鶴の口から出たその言葉に、美砂が……そして何気に仲間外れにされていた円が一瞬驚き、次の瞬間にはブーブーと文句を言う。

 

「ずるいわよ、2人で」

「そうよ、美砂の言う通りだわ。それなら、私達を誘ってくれても良かったじゃない」

「……そうは言うけど、向こうの都合で数時間くらい時間が空いた時とかなのよ? さすがにそんな時に他の人を誘ったりは出来ないわ」

「それに……こう言っては何ですが、2人共来ない方が良かったと思いますわ」

 

 どこかうんざりとした表情で呟くあやかに、円や美砂だけではなくレモン達の視線も向けられる。

 千鶴はあらあらといつも通りに笑っているだけだが……

 そんな俺達の視線に押されるように、あやかが口を開く。

 

「私達がまだエザリアさん程に顔が知られていないというのもあるのでしょうが、どうしても、その……殿方からのお誘いが」

『ああ』

 

 それだけで、皆が納得の表情を浮かべる。

 あやかはその金髪が眩いお嬢様風の美形であり、身体に関しても標準を大きく超える程のボディラインを持っている。それこそ出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいるといったような形で、少しでも女に興味のある者であれば目を奪われるだろう。

 ただしお嬢様風の美形であっても、いわゆるお淑やかな深窓の令嬢といった風ではない。良く言えば誇り高く、プライドのある人物。悪く言えば高飛車系といった感じの美形だ。そんな相手に声を掛ける事が出来る者がいれば、それはかなりの勇気の持ち主と言ってもいいだろう。

 ……もっとも、出会いを求めて海に来ている者達にしてみれば、駄目元というのもあるんだろうが。

 そして千鶴。言うまでもなくマリューやレモン、コーネリアといった年上組に勝るとも劣らぬ程の双丘を持ち、本人も一見するとおっとりとした、優しそうな性格に見える。

 ただし、その本質は芯が強く自分が間違っていないと思えばどんな相手にも決して退かないだけの意志の強さを持つ。

 特にその両手が長ネギを持った時には危険が迫っており、何よりもその勘の鋭さは女の勘というレベルを遙かに超えて、一種の……

 

「アクセル君? 妙な事を考えていない?」

「いやなんでもない」

 

 ニコリと笑みを浮かべて視線を向けてくる千鶴に、すぐに何でもないと首を横に振る。

 この勘の鋭さを考えると、千鶴を相手にして迂闊な真似は出来ないだろう。

 ともあれ、筋金入りの美女2人だ。それは確かに男共が放ってはおかない。

 だが、この2人は……その、まぁ、何だ。俺に対して一途に愛を捧げてくれているという奇特な人物でもある。それだけに、男の誘いに乗るような性格じゃないし、あるいは男の方が強硬な手段を取ってきたとしても、相応の強さを持つ。

 少なくてもSEED世界の住人程度では、エヴァに十分以上に鍛えられたこの2人をどうこう出来る筈もない。

 

「千鶴の場合はその凶悪なまでの兵器があるしね。それこそ、男を吸い寄せるかのような力を持ってるから」

「あら、それを言うならレモンさんやマリューさん、コーネリアさんだって同様でしょう?」

 

 そんなやり取りをしているのを聞きながら、恐らくしつこくこの2人に言い寄った男達は碌な目に遭ってないんだろうと判断する。

 

「とにかくそういう事だから、出来れば私としては海水浴に向かうならギアス世界がいいわね」

 

 千鶴のその言葉に、全員が頷く。

 まぁ、確かにナンパ目的で多くの男がいるという場所にレモン達のような人目を惹き付けて止まない程の美人を連れていけば、騒動になるのは分かりきっている。

 それこそ俺の事を知っているのなら余計な騒動は起こらないだろうが、オーブという小さな島国であっても、そこに暮らしている人数は膨大だ。

 更に今のオーブはSEED世界の中でも最も人口密度が高い。

 それはそうだろう、以前の戦争で勝者となった国であり、俺達シャドウミラーと唯一行き来出来る場所であり、貿易に関しても独占している国だ。

 普通であれば、そういう国に住みたいと思う者が多く出てくるのは当然だろう。

 そして、人が多くなればなる程に俺達シャドウミラーの存在を……正確にはシャドウミラーに所属している俺達の顔を知らない者が出てくる。

 そんなのに限って、妙に権力を持っていたりするから質が悪い。

 そういう意味ではSEED世界もギアス世界も同じようなものだが、SEED世界では実績があるからな。その辺を考えると……

 

「そうだな、ならギアス世界の方に行くか」

 

 そう口に出す。

 瞬間、話を聞いていた皆が嬉しげな声を出すのを聞くと、俺もまたやはり嬉しい。

 一番喜んでいるのは、やはり海に行けなかったと残念がっていた円と美砂。

 他の者達にしても、声には出さないが全員が嬉しそうな笑みを浮かべて言葉を交わしている。

 

「ねえ、アクセル。どうせなら他の人達も呼んでもいい? ランカちゃんとか、アルトとゆっくりしたいでしょうし」

「そうだな。花見とかにも来てたし、どうせなら派手に呼んで皆で楽しむか」

 

 個人的には恋人達と一緒に過ごす海というのも良かったんだが、大勢で楽しむのもまた楽しい。

 それにいざとなれば、エヴァの持っている魔法球を借りてその中にある海で楽しむという事も出来るし。

 既に誰を誘うかで話し合っている者達を横目に、どうせなら……と考える。

 マブラヴ世界の海しか知らない崇継や恭子、夕呼や霞といった面々も誘ってみるか。

 実際、今のマブラヴ世界は、シャドウミラーはそれ程忙しくはないが、向こうの世界の住人にしてみれば物凄く忙しい。

 ハイヴの基地化作業や、テラフォーミング作業、それらの護衛に、あるいはテロリストの捜索。BETAの監視や間引きといった作業もある。

 そう考えると、1日くらいはゆっくりと休ませてやった方がいいだろう。

 そう考えて、早速向こうの世界へと連絡を取るべく通信機へと手を伸ばす。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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