転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1045話

 目を覚ましてまず最初に視線に入って来たのは、案の定と言うべきか肌色の存在。

 そのまま俺の右腕を枕にして眠っているレモンと、左腕を枕にして眠っているシェリルの髪をそっと梳る。

 

「う、ん……」

「やん……」

 

 レモンとシェリルのそんな声を聞きつつ、視線を周囲に巡らせる。

 いつものように俺の眠っているベッドの近くには……と思ったが、俺とレモン、シェリル以外の姿はどこにもない。

 ベッドではなく更に部屋の中を見回すと、ここがいつもの部屋ではなく、ベッドも俺の寝室にあるような部屋の半分以上を占めるような大きな物ではない。精々ダブルといったところか。

 そこまで考えてようやく思い出す。そうそう、そう言えば俺は泊まりがけで海に来てるんだった。

 このテントに関しては、普通の物よりもかなり大きい特注品――全てのテントが技術部謹製という意味では特注品なんだが――ではあるが、それでも俺の恋人達全員が入るような……それこそ俺がいつも使っているベッドの大きさのテントを作るのは無理だったらしい。

 もう少し時間を掛ければ何とかなりそうだと言っていたが、今回の場合は純粋に時間が足りなかったんだろう。その辺に関しては後日に期待という事か。……まぁ、こういうテントを使う機会が次にいつ来るのかは分からないが。恐らくは……来年の海水浴か? いや、このテントの性能を思えばいっそ冬のスキーやスノボーでも。

 そこまで考えてすぐに却下する。冬山だと色々と問題も起きそうだしな。それも色っぽい関係じゃなくて生命の危機的な意味で。

 ともあれ、ここは海の近くなんだろう。このテントに限って言えば防音性能を高くしてある――理由は俺の隣で裸で眠っているレモンとシェリルを見れば言うまでもないだろう――ので、波の音は聞こえてこないが。

 ここ最近はレモン達9人と俺1人というのが夜のパターンだったのだが、このベッドでそんな真似が出来る筈もなく……くじ引きをした結果、俺と一緒に夜を過ごすのを勝ち取ったのが、レモンとシェリルだった。

 色々とぐったりしているのは、恐らく昨日頑張りすぎたせいもあるのだろう。

 やはり旅先という……

 

「ん、アクセル? ……ああ、そう言えば……ふわぁ、おはよう」

 

 俺が何かを考えるよりも前に、レモンが目を覚ます。

 そのレモンの声が刺激になったのか、シェリルもまた目を覚まして、そのストロベリーブロンドの髪を掻き上げながら口を開く。

 

「アクセル……ん? ああ、そうね。全く、自分から望んでおいてなんだけど、もうちょっと夜の大魔王ぶりも程々にしておいた方がいいわよ? 正直昨夜は色々と厳しかったもの。……まぁ、その分私としてもそれだけ愛されているって実感出来るんだけどね」

「ふふっ、夜の大魔王っていうのは確かに言い得て妙ね」

 

 シェリルの言葉を聞いていたレモンが、俺の身体に抱きついてその柔らかな豊丘をひしゃげさせつつ笑みを浮かべる。

 

「褒められてるのか、怒られてるのか、窘められてるのか……どれだ?」

「さぁ? 全部じゃないかしら。レモンもそう思わない?」

「否定は出来ないわね。……それより、そろそろ身支度を済ませましょ。このままだと色々と騒がれそうだし」

「……確かにね」

 

 身体は汗やら何やらで非常に気になる。汗も掻いてる事だし、こんな状態で人前に出るのはさすがに遠慮したいところだ。

 ムウやら夕呼、ミハエル辺りに何を言われるか分かったものではない。

 

「じゃあ、まずは昨日も行った温泉に行くか。幸いあそこの温泉はここから結構距離が離れている自然の温泉だ。人に見られるって事はないだろうし」

 

 その言葉にレモンとシェリルが頷き、取りあえず少し出掛けてくるという書き置きだけ残して影のゲートで温泉へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ずるい、ずるい、ずるい!」

 

 そう駄々をこねているのは、朝倉。そんな朝倉の周囲には幽霊状態の相坂が浮かんで困ったように朝倉へと視線を向けている。

 ……今更だが、相坂ってネギま世界はともかくギアス世界にもやってくる事が出来たんだな。一応例の依り代――ヌイグルミに入った藁人形――は持ってきているらしいのだが、今は取りあえずそんなのは関係なく動けているらしい。

 

「そう言われてもな」

 

 ちなみに朝倉がここまで駄々を捏ねている理由は、言うまでもなく温泉の件だ。

 俺達だけが朝から温泉に入ったのが羨ましいらしい。

 いや、朝倉の場合だと妙な写真とかを撮れなかったからこそ、こうして駄々をこねているという可能性も捨てきれない……というか、そちらの方が多いだろう。

 何しろ、大学に行っても朝倉は麻帆良のパパラッチと呼ばれているらしいし。

 中学の時からそのスタイルは何気に中学生離れしてたし、顔に関しても十分美形なんだから、パパラッチの活動よりももっと有意義な事に動けばいいのにな。

 こうして駄々をこねている状況でも巨大な胸は大迫力で揺れ、俺以外にも朝食の為に集まっている男の視線を釘付けにしている。

 ……あ。ムウとミハエルとオズマがナタルとクランとキャサリンにそれぞれ足を踏まれたか抓られたかしたらしく、顔を顰めているな。そしてランカとナナセとかいう女は悲しそうな表情で自分の隣にいるアルトとルカを眺めている。

 

「分かった、分かった。これを食べ終わったら希望する奴はまた温泉に連れて行くから申し出てくれ」

 

 一応汗を流したり、俺とレモンとシェリルの3人で温泉に入って色々とあった後始末はきちんと済ませているから、問題はない……筈だ。

 

「えー……そういう意味じゃないんだけど」

 

 喜んでいる他の面々に比べると、何故か不満そうな朝倉の姿。

 

「もしかして俺達が温泉に入っている光景を盗撮したかった……とかじゃないよな?」

「へぇ? もしそうなら色々と面白そうな事になりそうだけど。本当なの?」

「あら、レモン。そんな筈ないじゃない。もしそうだとしたら、私としてもそれなりの対処をさせて貰う事になるんだし」

 

 そんなシェリルの言葉に、何か思うところがあったのだろう。朝倉が微妙に顔を引き攣らせながら尋ねる。

 ……おい、もしかして本当に盗撮でもする気だったのか?

 満面の笑みと表現すべき笑みを浮かべたシェリルだが、その笑みはどちらかと言えば獲物を見つけた肉食獣の如き笑みだ。

 

「そうね、まずやるべき事は幾つもあるけど、最初にやるのは声明でしょうね」

「声明? ……げ」

 

 その一言に最初は何を言っているのかと首を傾げた朝倉だったが、すぐに理解する。

 そう、今のシェリルはシャドウミラー所属の歌手であり、広報塔の役割も担っている。

 そんな人物がネギま世界に所属する一大学生――能力的にはとても一般人とは言えないと思うが――を声明で非難すればどうなるか。

 更に、朝倉の場合は将来的に当然マスコミ関係の仕事に就きたいだろうし、麻帆良関係のマスコミとなれば、将来的にはもしかしたら他の世界に関しても取材して記事にしたりするかもしれない。そんな時、シェリルが朝倉を非難していたという事が知られれば……間違いなく、そっち関係の仕事に就くのは難しくなるだろう。

 

「勿論それだけじゃないわよ? ネギま世界の弁護士を雇って訴えたり、ネギま世界そのものに謝罪と賠償を要求したりする必要も出てくるでしょうね」

 

 次々にシェリルの口から出てくる言葉に、それを聞く度に顔を引き攣らせていく朝倉。

 もしも本当に盗撮をしていたとすれば……自分の将来を想像しているのだろう。

 もっとも、シェリル本人にしてもそこまで本気でやるとは思っていない。寧ろ今こうして告げているのは半ば悪戯半分という一面もあると思われる。

 それを理解したレモンも、小さく笑みを浮かべて口を開く。

 

「そうね。なら私の方でもメギロート辺りを使って盗撮をしてきた相手につきまとわせようかしら。それこそ、1日24時間中常に録画し続けるとか。勿論風呂もトイレも関係なくね。……どう?」

 

 ただでさえ引き攣っていた朝倉の表情が、真っ青に染まる。

 盗撮する方は良くてもされる方は嫌なんだろう。いやまぁ、それは当然か。

 しかも朝倉程の容姿やスタイルともなれば、盗撮映像を欲しがる奴はかなりの数に上るだろうし。

 ただまぁ……これ以上苛めるのも可哀相だろ。

 そう思って、取りあえず仲裁しようと思ったのだが……

 

「だ、大体アクセル君が夜中にエロエロでネトネトな事をするっていうから楽しみにしてたのに……まさかあのテントが完全防音になっているなんて……」

 

 ……ほう。

 

「なるほど、どうやらまだまだ反省が足りないみたいだな。なるほど、エロエロでネトネトな体験がしたいのか。言ってくれればすぐにでもしてやったのに」

「え? あ、いや、ちょっと待った。今のはなし!」

 

 俺の言葉に何かを感じたのだろう。慌てたように告げてくる朝倉に、笑みを浮かべたまま指を鳴らす。

 瞬間、空間倉庫から出てきたのは銀色の液体状の物質……スライムだ。

 そのスライムは、朝倉へと向かって素早く身体を伸ばしていく。

 勿論普段使うように吸収したり切断したりはしない。ただ純粋にスライムのネトネト感を味わって貰うだけだ。

 

「きゃ、きゃーっ! ちょっ、ごめん、ごめんってば。冗談……冗談だからぁっ!」

 

 そんな声が聞こえてくるものの、スライムはヌルヌルと朝倉の身体に絡みついていく。

 朝倉の首だけが出ている状態になり、身体はスライムによって完全に覆われ、まるで雪だるまの如き姿になっている。

 その中ではどんな風になっているのか……海の近くだという事で、今日は朝から皆が水着姿だったのが幸いしたのか、それとも災いしたのか。

 ともあれ、恐らく朝倉の水着の中にまでスライムは入り込んでいるんだろう。

 武士の情けでスライムと俺の感覚は同調させていないが、恐らく中ではどこの18禁ものだって感じになっている筈だ。

 ……まぁ、それでも最後の一線は超えないように命じてあるので問題はないだろうけど。

 

「ん、あ、あんっ、ちょっ、どこに入って……ま、待った待った待った! 駄目だってばそこは! あ、そっちも駄目、駄目駄目駄目ぇっ!」

 

 慌てたような声から、若干艶っぽくなってきたところで一旦スライムの動きを止めて空間倉庫の中へと戻す。

 その後に残っていたのは、まるで事後とでも表現すべき程に汗とか涙とかでクタクタになった朝倉の姿だった。

 ビキニの水着も若干すれており、色々と危うい姿になっている。

 

「ちょっとやり過ぎたか?」

 

 そんな色っぽいとも、艶っぽいとも表現出来る朝倉の姿を見ながら思わず呟くと、レモンとシェリルの両方が当然とばかりに頷く。

 そんな朝倉を前に、まだ若くリビドー的に持てあましている者達がどこか落ち着きのない様子で朝倉へと視線を向けていたが、やがてやってきた神楽坂や近衛、桜咲を始めとしたネギパーティ組が朝倉を男の視線から隠す。

 

「ちょっと、アクセル。やり過ぎよ」

 

 そして神楽坂の責める言葉は当然俺の方に向けられる訳で……

 

「人の夜の営みをデバガメしようとした相手に手加減をしろと? ほう、なら今度神楽坂が男とそういう関係になったら朝倉に教えてやろう。その時は喜んでお前をデバガメしに行くと思うが……まぁ、神楽坂ならその辺は許容範囲なんだろう。俺は人の目の前でそういう行為をする趣味はないが、神楽坂は随分と開放的な性癖を持ってるんだな」

「なっ、なななななな……だ、誰が……誰が露出狂の淫乱女よ! そういうのはいいんちょにでも言ってあげなさいよね」

「ちょーっと待ちなさいアスナさん。何でそこに私の名前が出てきますの? 大体私はアスナさんみたいにそっちの趣味はありませんわよ?」

 

 神楽坂の言葉が聞こえたのか、あやかが殆ど反射的にそう告げる。

 この2人は相変わらず仲がいいというのか何というか……

 あやかも、俺と一緒にいる時とは全く違う表情を見せている。

 これは幼馴染みだからこその表情だろう。

 少し神楽坂が羨ましく感じるが、あやかの女の顔というのは俺といる時にしかしないのを思えば、必ずしも神楽坂だけが羨ましい訳でもないか。

 

「何よ、だっていいんちょってばアクセルと毎晩毎晩その……18禁的な事をしてるんでしょ! それも大勢で。そんなの露出狂じゃなきゃ出来ないわよ!」

「な、な、な……何を言ってるんですの!? 私達は愛し合っているからこそ肌を重ね、お互いを理解し合っているのです。そんな誰でもいいような破廉恥な性癖と一緒にして欲しくありませんわ!」

 

 いや、それは事実だけどな。別にそれを大声で言う必要はないと思うんだ。

 

「へぇ、愛し合っているねぇ。そうなの、レモン?」

 

 昨日とは違うが、それでも相変わらず紐のような水着を着た夕呼が姿を現す。

 そのからかうような口調に、レモンは頬を赤らめ……るでもなく、艶然と微笑む。

 

「ええ、勿論よ。私はアクセルを愛しているもの。そんな相手に抱かれることが何かおかしいかしら?」

「……まさかそこで認めるとは思わなかったわね。全く、少しは照れるなりなんなりしてみなさいよ」

「あら、アクセルと一緒に暮らすにはこのくらいの事で照れていてはやっていけないわよ?」

「あの娘は随分と照れてるみたいだけど?」

 

 神楽坂とギャーギャー言い合っているあやかを見ながら告げる夕呼。

 元3-A組は毎度の事とトトカルチョを始めている。

 しかもキラ達SEED世界の者達や、アルト達マクロス世界の者達も巻き込まれて賭けていた。

 

「ま、あやかはまだアクセルの女になってからそれ程時間が経っていないしね。いずれその辺も理解するようになるわよ」

「……まぁ、否定出来ない事実よね」

 

 シェリルがレモンの言葉に同意するのを聞きながら、俺がここにいてもいいものかどうかを真剣に迷うのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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