転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0093話

「そうですか。リクセント公国が」

「そのせいでノイエDCはヨーロッパ侵攻の足がかりを失ってしまった」

「どのみち、私達にとっては大きな問題ではございませんわね」

「うむ。逆に都合がいいぐらいだ」

「例の件に関しては、私から直接バン大佐に伝えさせてもらいますわ」

「了解した。所で、ミッション・ハルパー決行の日は?」

「オペレーション・プランタジネットの前になるようですわ」

「妥当な線だな」

「私達の計画通りなら、作戦決行時にハガネとヒリュウ改は伊豆基地にいる筈」

「伊豆を抑えるのは誰だ?」

「ケネス・ギャレット少将です」

「あの男か。あまり好みではないが、そんな事を言っている余裕はないか」

「いずれにせよ、シャドウミラーにとっては大きなチャンスですわよ?」

「言われるまでもない」

「では、最後に。……例の彼等との交渉の糸口が見つかりそうですわ」

「何? 本当か?」

「ええ。話が纏まりましたらご連絡します。それでは、ごきげんよう」

 

 その言葉でヴィンデルとミツコ・イスルギとの通信は終わる。

 ヴィンデルの通信を邪魔しないように俺とレモンは離れた所で待機していたのだ。

 その通信を聞いていたレモンは苦笑しながら口を開く。

 

「美しいバラにはトゲがあるって言うけど、あのお嬢ちゃんは別格ね」

「彼女のような存在は時に腐敗の原因となるが、新たな世界を生み出す為の力の源にもなる。だが、大抵の者は不相応の権力を望んで自滅するが、彼女は違う」

「だろうな。彼女は根っからの商売人だ」

 

 ミツコ・イスルギの強かさは量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを鹵獲した時に十分感じている。アギラやアーチボルドと同じく油断できない相手ではあるが、後ろからばっさりとやられる心配は少ないだろう。少なくても俺達が彼女の利益となっている間は。

 

「アクセルが見たプロジェクトTDだってインスペクターに対する売り込みの1つなんでしょう?」

「だろうな。俺が見た時には既に武装されていたし、あのまま開発を続けていればそろそろ次のステップに移る頃合いだろう」

 

 開発を続けていたテスラ研が襲撃されたせいでアステリオンは既にアイビスの手により実戦投入されているのだが、そのデータは果たしてイスルギ重工に渡っているのだろうか。

 

「ある意味凄く純粋なのよ。だからこそ私達もある程度までの手の内を見せられる。切り札は別にしてね」

「システムXNか。……転移による奇襲攻撃を得意としているインスペクターにしてみれば喉から手が出る程欲しいだろうな。イスルギからのスパイの可能性は?」

「そんなのがいれば、目立って仕方ないわよ。量産型Wの性能も上がってきてるんだし、それ程ドジは踏まないわ」

「ローズが彼等との接触に成功すれば、我等が望む世界はより確実なものとなる」

「そうね」

「では、我等も日本へ向かう準備をしよう」

 

 満足げに話すヴィンデルに対し、何かを考えていたレモンが口を開く。

 

「その前に……私達の足を手に入れない?」

「足だと?」

「そ。トライロバイト級は虎の子だし、ライノセラスやキラーホエールじゃ、今後の作戦に対応しづらいでしょ。私達の足として望ましいのはスペースノア級、シロガネなんていいんじゃないかしら?」

「賛成だな」

 

 レモンの意見に真っ先に賛成をしたのは俺だった。

 

「実戦部隊の指揮官として言わせて貰えばキラーホエールは行動する場所が海に限定されるし、ライノセラスに関しては足が遅すぎる。かと言って、トライロバイト級はレモンの言う通り俺達の虎の子だ。これから、特にインスペクターに接触する事を考えるとやはりシロガネが手に入れられるのならそうした方がいい」

「ふむ、確かにそう言われればそうだな。……だが、仮にもスペースノア級だ。手に入れました。ですがこちらの戦力も大きなダメージを受けました、というのは嬉しくないぞ?」

「ま、言い出したのは俺なんだし責任を持ってシロガネを届けてみせるさ」

「ちょっと、言い出したのは私よ?」

「あー、レモンが言い出したんだから、恋人の俺が叶えてみせるという事でどうだ?」

「……そういうのは、時と場所を選んでやってくれ。ともかくシロガネの件は了解した。早速バンに連絡をして出撃許可を貰う」

 

 苦笑をしながら通信装置の前へと移動するヴィンデルに対して、レモンが咎めるような目で俺を見ていたがすぐに真面目な表情になり口を開く。

 

「出撃するのなら誰を連れて行くの?」

「W16だろうな。今回のような作戦の場合、W15みたいな個人としての戦闘能力は大して必要ない。必要なのは量産型Wを指揮する事が出来る指揮能力だ」

「作戦って、もう考えてるの?」

「何、簡単な釣り餌だ。ハガネと共に行動をしているシロガネだが、リクセント公国の奪還は主にハガネの手柄。シロガネの艦長はハガネの副長の同期だという話だし、対抗意識はある筈。そこを突いてやれば案外容易く釣れるだろう」

 

 実際にはシロガネ艦長のリーは、ハガネの副長であるテツヤに対して憎しみにも近い感情を抱いている。まぁ、自分の家族の住む街がエアロゲイターに襲われた時にハガネから裏切り者が出たおかげで部隊展開が遅れて……となれば、話は分からなくもない。今回はそれを利用させてもらうが。

 

「なるほど、了解したわ。W16には用意させておくわね。他の戦力はどのくらい持っていくの?」

「そうだな。ヴィンデルにああ言った手前、それ程多く連れていく訳にもいかないか。量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとエルアインスを5機ずつって所だな。後はW16にシロガネ突入の指揮を取って貰うから突入艇を1機だな」

「分かった。用意しておくわ」

 

 丁度作戦の話がまとまった所で、ヴィンデルが通信装置の前からこちらに移動してくる。

 

「許可は貰った。ただし、ノイエDC側から1人同行させるそうだ」

「お目付役か?」

「ああ。噂をすればなんとやら。プロジェクトTDのメンバーの1人がノイエDCに合流してきたらしい」

 

 スレイか。見た目は完全にお姉様系統なのに、実はブラコンという凄まじいギャップの女だ。プライドが高いだけならまだしも、下手に実力もあるから扱いにくい。

 

「ま、バン大佐からすれば色々と独自の行動をしている俺達は怪しく見えるんだろうし、しょうがない。ヴィンデル、ライノセラスを使うが構わないな?」

「ああ。土産を楽しみにしている」

 

 

 

 

 

「アクセル大尉、スレイ・プレスティ少尉だ。よろしく頼む」

 

 ライノセラスで移動中、ブリッジにいた俺にスレイが近づいてきて話し掛けてきた。

 敬礼をしてはいるが、内偵が仕事な為かその目にはこちらを観察するような光が浮かんでいる。

 にしても、オウカにしろ、ゼオラにしろ、スレイにしろ。何で俺と一緒に行動する女パイロットは基本的にこちらを疑いの目で見るんだろうな。

 

「ああ、話は聞いている。スレイ少尉の仕事は作戦区域後方の警戒だ。臨時少尉とは言え、階級を貰っている以上こちらの命令には従って貰うが構わないな?」

「はっ!」

 

 敬礼するスレイを見てから、ライノセラスの操舵を担当している量産型Wへと声を掛ける。

 

「シロガネのレーダー範囲ギリギリの場所を移動していろ。そのうち餌に食い付いてくる筈だ」

「了解」

「アクセル大尉、本当にあのスペースノア級がこんな簡単に餌に食い付くのか?」

「食い付くさ。いや、食い付かざるを得ないって所だな。あの艦の艦長は手柄を欲しがっている。そこにその手柄が来ては……ほらな」

 

 レーダーを見ると、シロガネがこちらへと向かい進路を変更している。思わず口元に笑みを浮かべつつ、量産型Wへと指示を出す。

 

「取りあえず、ハガネと一緒では色々と都合が悪い。チュニジア近辺までシロガネを引きつけろ。あちらとしてもハガネと共同で手柄を立てるよりはシロガネだけで、と考えるだろうしな」

 

 不審そうなスレイだったが、数分後、俺の予想は外れる事なく的中した。

 シロガネがハガネと別行動を取り、こちらへと向かってきたのだ。

 

「よし。引き離しすぎず、近づけさせすぎずの距離を保て。目標の地点までは後10分程だ。……スレイ少尉、お前の任務は作戦地区後方の警戒だ。そろそろ出ろ」

「了解した」

 

 頷き、ブリッジを出て行くスレイの背を見送る。

 スレイは確かにプライドが高く、それに見合っただけの能力も持っている。だが、全て自分を基準に考えている。それ故にシロガネの行動を予想出来なかったのだろう。

 実戦経験の少なさ……というよりは、スレイ個人の問題だな。勿体ない。素質だけで言えば相当のものを持っているんだが。

 

「カリオン、出撃しました」

 

 量産型Wの報告に頷き、獲物との駆け引きへと意識を集中する。

 それから10分程たち、索敵担当の量産型Wからの報告が入る。

 

「まもなく目標が戦闘エリア内に侵入します」

「ここまでは予定通り、か。スレイ少尉はどうしている?」

「大人しく後方警戒任務をしています」

「ふむ、ヴィンデルの言う通り、バン大佐からの命令でこちらの行動を見張っていると見るべきだな。W16、突入艇で待機していろ。そろそろフェイズ3だ」

「了解しました」

 

 ブリッジの隅でこちらの邪魔にならないように待機していたエキドナが、数人の量産型Wを連れてブリッジを出て行く。残りは既に格納庫で待機しているのだろう。

 

「来ました、シロガネです」

「良し。一度反転し、地対空ミサイルを撃ち込め。その後再度反転して後退。敵を引きつけろ」

 

 こちらの命令通り地対空ミサイルがシロガネへと撃ち込まれるが、シロガネの展開しているEフィールドにより殆どの攻撃が無効化されている。

 それを確認してからライノセラスを再度反転し、後退を開始する。

 

「よし。これで奴は俺達がシロガネを誘き寄せるのが目的だと判断する筈だ。そしてその隙にハガネを狙う為に逃げに徹する、という風にな」

 

 シロガネの艦長であるリーが優秀だからこそ陥った落とし穴。まさに策士策に溺れるという奴だ。

 案の定、今まで以上に熾烈に攻撃を仕掛けて来る。シロガネから撃ち込まれた連装副砲がライノセラスの周囲を吹き飛ばすが、操舵しているのは量産型Wだ。そんな事で動揺はしない。

 

「フェイズ4に移行だ。俺はグロウセイヴァーで出撃する。同時にエルアインスや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを展開。なるべく威力を絞った武器で敵を攻撃しろ。そうすればEフィールドを解除して主砲を撃ってくる筈だ」

「了解」

 

 量産型Wへと命令をして、そのまま格納庫へと行きグロウセイヴァーで出撃する。同時に計10機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとエルアインスも出撃し、シロガネに向かってスプリットミサイルやG・レールガンを撃ち込む。

 十数発の攻撃が命中するが、Eフィールドに無効化され続けている。そしてついに主砲で一掃する事にしたのか、Eフィールドが解除された。

 

「今だ、T-LINKシステム、フルコンタクト。ファントム!」

 

 グロウセイヴァーから放たれた20機のファントムが、レーザーブレードを展開してシロガネの主砲のある位置からEフィールド内へと潜り込む。

 

「シロガネを喰らえ、ファントム!」

 

 20機のファントムは俺の意思に従い、シロガネの対空機銃をレーザーブレードにより次々に破壊していく。その様はまるで訓練された猟犬が獲物に食らいつくかの如くだった。

 そして十数秒後、シロガネの対空機銃はその全てをファントムにより破壊されて使い物にならなくなっていた。

 

「W16、行け!」

 

 ライノセラスへ通信を送るのと、突入艇が発進するのは殆ど同時だった。

 だが、その突入艇目掛けてシロガネからVLSホーミングミサイルが狙いを付けている。

 

「やらせるか、ファントム!」

 

 再度T-LINKシステムを通し、ファントムを操作。レーザー弾をミサイル弾頭目掛けて発射する。同時に発射されたミサイルはシロガネのすぐ近くで爆破された。

 その爆発を尻目に、突入艇からシロガネ内部へとエキドナが侵入するのを確認。取りあえず一息ついた、といった所か。

 シロガネも内部に侵入したエキドナや量産型Wにどんどん占拠されていっているのか、既に空中に浮かんでいるだけといった感じだ。

 そんな様子を見ている事、5分程。シロガネに侵入したエキドナからの通信が入る。

 

「アクセル隊長、シロガネを無事鹵獲完了しました」

「すぐに動かす事は出来るか?」

「現在量産型Wが操舵方法を学習中です」

「そうか、なるべく急げ。お客さんだ。……この距離で間に合うとは、さすがプロジェクトTDの機体だな」

「隊長?」

「……来たぞ。ハガネのアステリオンだ」

 

 両肩に2機のテスラ・ドライブを装備した機体。その外見はテスラ・ドライブを除けばガーリオンを彷彿とさせる。

 そしてアステリオンがこの戦場に到着したのと殆ど同時に、1機の戦闘機が後方からこの戦闘区域へと入ってくる。

 緋色に染められたその戦闘機は、スレイの操るカリオンだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:28
PP:35
格闘:218
射撃:236
技量:228
防御:225
回避:253
命中:275
SP:366
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:134

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