転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1048話

『あたしの歌を聴けぇっ!』

『銀河を、抱きしめて!』

『よろしければ私の歌も聴いて下さい!』

『ついでに私の歌も聴きなさい!』

 

 舞台の上で、4人の歌姫とも呼べる者達が歌を歌っている。

 銀河の妖精シェリル・ノーム、超時空シンデレラランカ・リー、プラントの歌姫ラクス・クライン、その3人より多少落ちるが、シャドウミラーの歌姫と言ってもいい柿崎美砂。

 競泳大会の時にいないと思っていた4人がいなかった理由がこのゲリラライブだ。

 ちなみにこのゲリラライブ、セットを用意したのは技術班のフィリオが中心だったりする。

 相変わらずアイドル好きなのは変わらないんだよな。

 こればかりは、半ば不老に近くなっても全く変化がない。

 ともあれ、このライブは半ば突発的な感じで決まったらしい、

 シェリルが同じ歌手という事でラクスと交友関係があり、そこにランカも加わって昨日話して意気投合し、このライブを計画したとか何とか。

 ……夜は俺と一緒だったのに、よくそんな時間があったものだ。

 で、そのついでとばかりにシャドウミラーの中でも歌が得意として有名な美砂が一緒に引っ張り出されて……って感じらしい。

 美砂にとっては色々な意味で厄介な事だったと思うが、こうして見る限りでは本人も結構楽しんでいるようだし特に問題はないんだろう。

 もっとも、歌っている美砂が時々俺と視線が合うと微妙にジト目になるのは……やっぱり競泳大会であった大河内とのトラブルが原因か。

 豊丘と呼んでもいいだけの胸を思い切り揉みしだき、ゴール直前では水に濡れた大河内の後ろ姿に思わず目を奪われた。

 ゴールで待っていたレモンもどこか呆れた視線を向けていたし、トップグループだったせいか海の中から俺のそんな様子を見たコーネリアやスレイ、円もまた同様だった。

 ……レモンの近くにいた夕呼は、面白そうに笑っては自分も海に入って水に濡れてあげようか? とまで言ってきたし。

 特に美砂の場合は大河内と同じ元3-A組というのもあって、余計にそういう思いが強い……んだろう。多分だが。

 この辺に関しては、今日家に帰ってから色々ととっちめられそうな気がする。

 寝技で何とかなればいいんだが。

 そんな風に考えている間にも、ライブはどんどん進んでいく。

 このライブを聴いていて驚いたのは、やはりその歌だろう。

 誰もが知っている歌ではなく、今日の為に昨日から即興で考えた歌らしい。

 この辺、勿論完璧主義者のシェリルとしては完全に納得出来てはいないみたいだが、今回はあくまでも身内同士のライブという事もあって、何とか納得したんだろう。

 いや、本当に繰り返し思うけど、昨日の夜は俺と一緒だったのによくもまぁ、歌を考えたり振り付けを覚えたりする時間があったものだ。

 もしかして魔法球とか使ってないだろうな?

 さすがに魔法球をホワイトスターから持ってくるというのは色々と不可能に近いが……何しろ、向こうに残っている技術班が普通に魔法球の中にいるし。

 ああ、いや、でも別に魔法球の中に入っていても持ち運びできない訳じゃないのか。

 ただ、シャドウミラーの魔法球は色々な意味で最新型だったり、時の指輪と融合していたりして、とてもではないが迂闊に外に出せるようなものではない。

 それこそ、ホワイトスターに何かあった時には最優先にして運び出す必要があるという、最重要機密の1つなのだから。

 シャドウミラーに所属しているものが、まさかそんな真似をする事はないだろう。

 となると……ああ、案外エヴァの魔法球を使ったのかもしれないな。

 ネギま世界のエヴァの家にある魔法球は、確かに貴重と言えば貴重だが、ホワイトスターにあるもののように持ち出せない程に貴重品って訳でもないし。

 その辺を考えれば、やはりエヴァの魔法球……か?

 ただ、エヴァがその辺の手伝いというか面倒臭い真似をするかと言われれば、微妙だが。

 茶々丸辺りが動いたのなら、その可能性があるかもしれないが……さて、どうだろうな。

 そんな風に考えていると、不意に横から差し出される皿。

 そこに乗っているのは、ウツボを捌いて塩焼きにして餡を掛けたものだ。

 正直、ウツボというのは脂がのって……のりすぎて捌きにくいって話だったんだが、昨日といい、今日といい、随分と上手く料理されている。

 

「はい、アクセル君。四葉さんから差し入れよ」

 

 そう言って皿を差し出してくる千鶴に礼を言い、受け取る。

 そのまま一口サイズに切り分けられたウツボを口へと運ぶ。

 甘酸っぱい餡と共に口の中に広がるその味は、まさに絶品。

 

「美味いな」

「競泳大会三位の商品らしいわよ。良かったわね、アクセル君。美味しい料理を用意して貰えて」

「あー……確かにな」

「ふふっ、けどアクセル君的には、食べるのならこういう料理じゃなくて大河内さんの方が良かったのかしら」

「げふっ!」

 

 突然のその言葉に、思わず息を吐き出しそうになる。

 まさかここで責められるとは思ってもみなかった。

 噴き出しそうだった料理を何とか堪え、飲み込んでいく。

 つい数秒前までは十分に味わっていた料理だったが、今の一言であっという間に味の余韻が消えてしまった。

 

「いや、別にあれはだな」

「ふふっ、冗談よ冗談。ちょっとアクセル君をからかってみただけ」

「……心臓に悪い真似はしないでくれると助かる」

「あら、アクセル君に心臓なんてないじゃない。その代わりに愛はたっぷりとあるみたいだけど」

「誰が上手い事を言えと」

 

 そんな風なやり取りをしながらも、千鶴の機嫌自体はそれ程悪くないのを知って安堵する。

 いつもはお淑やかと言うか母性的な千鶴だが、一度怒るとその威力は物凄い事になるからな。

 特に長ネギを出してきた時には注意が必要だ。

 フニュリ、とした柔らかい感触。

 突然のその感触だったが、それには十分過ぎる程に覚えがある。

 俺の恋人の中でもトップクラスに大きく、柔らかいその母性の象徴とも呼ぶべき豊乳は、現在俺の脇腹に思い切りひしゃげるように潰されていた。

 千鶴が俺の身体に抱きついているからこそ感じられるのだが……

 

「突然なんだ? いや、俺は嬉しいんだけど」

「ふふっ、何でもないわよ。ただちょっとアクセル君の温もりを感じたくなっただけ」

 

 艶のある笑みを浮かべながら抱きついてくる千鶴に、俺は特に何を言うでもなくそのまま好きにさせる。

 かなり際どいビキニの水着を着ている千鶴と、上半身は裸の俺。

 ぶっちゃけ、普通に裸で抱き合っているのと大して変わらないように感じる。

 そんな俺の様子を見て千鶴も嬉しそうに笑みを浮かべ、そのまま俺と千鶴は2人でゆったりとライブを聴きながら時を過ごす。

 だがここがライブ会場であり、その客層がシャドウミラーの関係者である以上、当然その光景は周囲に見られて当然のものであり……

 

「うわっ、大胆な真似を……」

 

 そう呟いたのは一体誰だったか。だが、その言葉が周囲に聞こえると他の者達の視線が俺と千鶴の方へと向けられるのは当然だった。

 そんな真似をしていれば、当然ステージの上にいるシェリル達にしてもこっちに注意が――もともと何度もこっちに視線を向けてきてはいたから当然だが――向けられる。

 

『こら、アクセル! せっかくあたしが歌ってるんだから、きちんと聴きなさい! 大体千鶴もこっそりと隙を狙うなんてズルいわよ』

 

 歌が丁度一段落したという事もあって、シェリルのそんな声がマイクによって響き渡る。

 そうなれば、今まではこっちに気が付いていなかった者達の視線も集まり……

 

「ふふっ」

 

 だが、千鶴はそんな視線は関係ないとばかりに、女としての笑みを浮かべて俺に抱きつく力を更に強める。

 

「確かに千鶴ばかりだとズルいな。なら、私も入れさせて貰おうか」

 

 そう告げて千鶴とは反対側から抱きついてきたのはスレイ。

 千鶴の柔らかさとは違い、弾力のある豊丘が俺の身体に押しつけられる。

 

『きゃーーーーっ!』

 

 そんな黄色い悲鳴が上がったのは、当然の事ながら元3-A組。

 それぞれが好奇心で目を輝かせて俺の方へと視線を向けている。

 中でも、朝倉と早乙女が特に目を輝かせてこっちに視線を向けていた。

 ……妙な同人誌の記事にされたり、新聞の記事になったりしないだろうな?

 何となく嫌な予感を覚えつつ、それでもその視線を努めて無視してまだ皿の上に残っているウツボへと箸を伸ばす。

 今は、ただひたすらこの味を楽しむ事にしよう。

 いや、視線を向けられても特に気にはしないんだが、それでもやっぱり多少は気になると言えば気になる。

 

『あんたねぇ……後で覚えてなさい。きっと目に物みせてあげるんだから。ランカちゃん、ラクス、美砂。アクセルの度肝をぬくような歌を歌うわよ! もっと力を込めて歌いなさい!』

『ちょ、シェリル本気? 私はこれが限界よ!』

『成せば成る。成さねばならぬ何事も。つまりやろうと思えば出来ない事はないのよ!』

『あらあら、確かにそれはそうですわね。私ももっと頑張らせて貰いますわね。キラ、私の歌を聴いて下さっていますか?』

『あ、私も……その……アルト君……』

 

 そんな風に話している声が聞こえてくる。

 何というか、色々な意味で酷いコンサートだ。

 せめてもの救いは、身内だけだからこういうネタも許容範囲だという事だろうか。

 個人的にはこういう行き当たりばったりなのも嫌いじゃないんだけどな。映像とかじゃなくて、直接こうやって間近で見ているからこそのやり取りは。

 

「ち、ち、ち、千鶴さん! スレイさんもズルいですわよ! 私だってアクセル君の力強い胸板に抱きつきたいですのに!」

「いいんちょ、人前だって事を分かってるのかしら……」

 

 キーッとばかりに叫ぶあやかの横で、その親友の神楽坂が溜息と共に呟く。

 相変わらず仲が悪いようで良いよな。

 

『シェリルさん、シェリルさん。次の歌、そろそろお願いします』

 

 そんな風に聞こえてきた声は……確かランカのマネージャーのエルモだったか? 一緒にギアス世界に来てたのか。ちょっと意外だ。

 ……いや、そんなに意外でも何でもないか?

 シェリルがシャドウミラーに所属した以上、今のランカはマクロス世界の中で押しも押されぬトップアイドルの一人だ。

 そのランカが異世界に行くと言うんだから、それは当然一人でやる事は出来ないだろう。

 勿論兄のオズマや恋人のアルトといった面々もいるが、それとは別にランカの所属事務所からも人を出す必要があった訳だ。

 ……まぁ、それで社長のエルモが来る辺り、シャドウミラーに負けない程の人材不足だとは思うが、あのエルモってのは何気に結構強いしな。

 身体の動かし方を見る限りでは、相当な訓練を受けた事がある筈だ。

 また同時に、エルモは一時期シェリルのマネージャーもしていた事もあって、シェリルとの相性は決して悪くはない。

 現に今も、エルモの呼びかけでシェリルは気を取り直して歌の方へと意識を集中し始めたし。

 シェリルにしても、一瞬で意識を切り替える事が出来る辺り、プロと言ってもいいだろう。

 

『……コホン。じゃあ、ちょっと聴いて頂戴。今日の為に昨日から美砂やラクス、ランカちゃんとアイディアを出し合って作った曲よ』

 

 その声と共に流れ出す音楽は、シェリルにしては珍しくどこかほのぼのとした雰囲気を感じさせるメロディだ。

 意外と言えば意外だが、考えてみればこのグループにはこの手の音楽がメインのラクスがいる。そう思えば不思議って訳でもないのか?

 偽ラクスのミーアの音楽は、どちらかと言えばシェリルに近いものがあったと思うが。

 この辺に関しては、ソロで歌っているシェリルなら……と思ったが、よく考えたらバンドを組んでいる奴はいないな。

 敢えて挙げるなら、でこぴんロケットの美砂だが、そのでこぴんロケットにしたってずっと活動はしていないし。

 聞いた話によると、高校の麻帆良際でも何度かやったとか何とかいう話を聞いたが……まぁ、結局は美砂と円はシャドウミラーに来たが、桜子や和泉は自分の道を進んでいるからな。自動的にその解散という扱いになったんだろう。

 何かイベントとかがあれば復活するんだろうが。

 そんな風に考えつつ、歌に耳を傾ける。

 アップテンポの激しい曲を得意とするシェリルだが、こういう歌にも負けずについていけるのは、正直凄いと思う。

 伊達に銀河の妖精じゃなかった。そういう事なんだろう。

 その証拠に、少し前までは俺の方へと意識を集中していた周囲の者達もいつの間にか歌に意識を惹き付けられ、声も出さずに聴き入っているのだから。

 それに関しては俺に抱きついている千鶴やスレイも同様で、俺の身体を抱きしめ、抱きしめられつつステージの上から聴こえてくる歌に聴き入っていた。

 そのまま歌が終えるまで全員がそちらに心奪われ……そして最後のサビが終わったところで、周囲からは盛大な拍手がされるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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