転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1049話

「あー……楽しかった旅行ももう終わりなのね。大学の休みはまだ暫くあるけど、バイトも忙しいし、課題も多いし。何だか以前に大学生は遊べる時間が多いって話を聞いたんだけど、全くの嘘よね、嘘。嘘も嘘の大嘘。とんだペテンだわ」

 

 俺の隣で神楽坂が焼いて超包子特製出汁醤油を塗ったトウモロコシを食べながら愚痴る。

 シェリルを始めとしたライブも大盛況のうちに終わり、現在俺達……具体的には今回の海の旅行に来ていた者達は、夜の浜辺で打ち上げのバーベキューパーティを行っていた。

 バーベキューパーティは昨日の昼にもやったが、やっぱりこういう時は皆で楽しめるバーベキューがいい。

 ちなみに、そのまま全て同じという訳ではない。今回の海の旅行の締めくくりという事もあって、このバーベキューパーティは色々と手の込んだものが用意されている。

 例えばミニトマトをベーコンで巻いて串に刺した奴。

 トマトを炭火で焼く? というので最初は半信半疑の者も多かったが、これが食ってみると意外や意外、かなり美味い。焼かれたトマトというのがそれなりに意外性があり、他の参加者達にも受けていた。

 他にもベーコンでチーズを巻いたり、ハムでウズラの卵の燻製を巻いたり……こうして考えるとベーコン率が高いな。

 ともあれ、串に刺して作ったそれらを炭火で焼いて食うといった料理や、それ以外にも超包子を経営している四葉ならではと言うべきか、バーベキューの鉄板で焼き餃子や焼き小籠包といった料理を作っては、皆に食べさせている。勿論その中には焼きそばもある。

 そんな料理を皆が美味そうに食っているのを幸せそうに見ているんだから、四葉は心の底からの料理人と言ってもいいだろう。

 花見の時もそうだったが、こういう風に色々な世界の住人が1つのイベントをやる為に集まるっていうのは、他の世界と繋がりを持っているシャドウミラーだからこそだよな。

 少なくても、普通に暮らしているだけでは他の世界の者達と繋がりを持ったりは出来ないだろう。

 今のシャドウミラーがどのような組織であるのかを象徴している。そう言っても言い過ぎではないだろう。

 

「ねぇ、ちょっとアクセル。聞いてるの!?」

「あー、聞いてる聞いてる。お前はバイトを入れすぎなんだよ。確か奨学金も受けてた筈だろ? そっちを考えれば、ここまでバイトを入れなくてもいいと思うんだが」

「だって……奨学金って言っても、そんなに額は大きくないのよ? 将来的には返さないといけないし」

「……だろうな」

 

 確かに神楽坂の学力は俺が知っているバカレンジャー時代の時に比べれば格段に上がっていると言ってもいいだろう。だが、それでも所詮神楽坂は神楽坂。

 返済義務のない奨学金を得られる程に成績を上げられる筈もない。

 

「近右衛門やら高畑からも援助をして貰ってるんじゃなかったのか? というか、お前の場合は血筋を考えれば何とでもなりそうな気が……」

 

 こう見えて、神楽坂はウェスペルタティア王家の血を引く者だ。当然そっち関係でどうにかすれば……

 

「嫌よ。残念だけど、私は私。ウェスペルタティアとは関係のないままでやっていきたいの」

「……まぁ、神楽坂がそう考えてるのならそれはそれでしょうがないが……となると、残りはもっと時給の高いバイトとか?」

 

 具体的には夜のバイトだ。

 別に18禁的なバイトではなく、キャバクラとかそっち関係。いわゆる、お酒の相手をするって奴だな。

 俺自身は酒を飲まないからよく知らないが、それでもあの手のバイトがとんでもなく高額だというのは分かっている。

 ……接待とか打ち合わせとか、はたまた俺達が今やっているような打ち上げとかで使う為にホワイトスターにはその手の店もあったと思う――俺自身はアルコールという時点で行った事がないが――し、神楽坂の容姿なら十分に美人と呼ばれるべきレベルなんだから、相当に指名されるだろう。

 まぁ、あの手の仕事はホステスの方にも高い知能を求められるって話だから、そっち方面は色々と不味いのは事実だろうが。

 そんな風に考えていると、神楽坂が俺の方をジト目で眺めてくる。

 

「あのね、アクセル。時給が高いバイトっていかがわしいバイトじゃないでしょうね?」

「神楽坂が思っている程にいかがわしいバイトじゃないと思う」

「……本当に? アクセルの普段の生活の事を思えば、とてもじゃないけどそうは思えないんだけど。私とアクセルじゃ、その辺の基準が大きく違うし」

 

 呟き、トマトのベーコン巻きを口へと運ぶ神楽坂。

 予想外に美味かったのか、驚きに目を開く。

 この辺は四葉の賄い飯を毎日食っていても新鮮な驚きを味わう事が出来るんだろうな。

 

「ふぅ、これ美味しいわね。こっちのウズラの卵も燻製にしてあってハムと良く合うし。……って、そうじゃないわ。私が元々アクセルに話し掛けたのは、京都行きの件が話したかったからなの」

「京都行き? 旅行にでも行くのか? まぁ、この海の旅行程に全員集合って訳にはいかないだろうが……ああ、でもマブラヴ世界の崇継や恭子辺りならネギま世界の京都に興味が……」

「じゃなくて!」

 

 最後まで言わせて貰えずに言葉を遮られる。

 そうして俺の方を見ている神楽坂の視線は、どこが咎めるような色。

 

「あのねぇ……前にこのかが夏休みになったら京都に帰るって言ってたでしょ。それに付いてきて貰いたいのよ」

「……俺が、か?」

 

 神楽坂の言葉に、首を傾げる。

 いや、その意味は分かる。以前に聞いた話だと、このままだと近衛は麻帆良で魔法使いになるか、関西呪術協会で陰陽師になるしかない。そして今の近衛は魔法使いである以上、麻帆良に近い存在だ。

 正式に麻帆良の魔法使いになってしまえば、最近は収まってきていた関西VS麻帆良の戦いが再燃する可能性が非常に高い。いや、確定事項と言ってもいいだろう。

 それをどうにかする為に、麻帆良でも関西呪術協会でもない第3の選択肢を近衛は視野に入れている。

 その第3の選択肢というのが、俺達シャドウミラーな訳だ。

 確かにその2勢力にしても、シャドウミラーと敵対しようとは思わないだろう。

 麻帆良に関しては、それこそ間近で俺達シャドウミラーがどれだけの力をもっているのかを見てきた経験があるし、関西呪術協会にしても近右衛門の方から少なからず連絡がいっている筈。

 そして俺達にしても、近衛がシャドウミラーに入ってくれるというのは非常にありがたい。

 近衛自身がネギよりも大きい魔力を持っており、治療特化の魔法使いだ。

 魔法の指導者がエヴァである以上、どうしても回復魔法は今一つなんだよな。

 勿論全く使えないという訳ではない。それこそ、初心者教本に載っているような簡単な回復魔法なら使える者も数多くいるだろう。

 だが……近衛の回復魔法というのは、それとは桁が違う。

 既に次元が違うとすら言ってもいい。

 まぁ、その代わり攻撃魔法に関しては『魔法の射手』のような簡単なものしか使えないんだが、その辺に関しては特に心配していない。

 そもそもシャドウミラー自体が攻撃特化と言ってもいいような性格を持つ。……まぁ、その辺が俺に関係しているのは置いておくとしてだ。

 それに近衛がシャドウミラーに入るとなれば、間違いなく桜咲も一緒に来るだろう。

 そうなれば護衛に関しては桜咲に任せればいいし、神鳴流に関しての訓練をしているムラタにしてもありがたいだろう。

 量産型Wを護衛役にするというのも1つの手だ。

 更に……近衛と桜咲が来るとなれば、神楽坂が来る可能性も高い。

 個人的な希望としては、このままネギパーティの面々をそっくりそのまま取り込んでしまいたいと思うんだが……それは難しいだろう。

 

「で? どう? 京都まで一緒に来てくれるの?」

「あー……そうだな。特に用事がなければ行ってもいいんだが。何泊くらいだ? 一週間とか言われると、さすがに無理だぞ?」

 

 今は若干安定しているとは言っても、マブラヴ世界の方で何が起きるか分からないってのもある。BETAしかり、テロリストしかり。

 他の世界にしても、いざとなれば何が起きるか分からないし。

 いざとなったらニーズヘッグのシステムXNを使えば即座にホワイトスターに転移出来ると考えると、そこまで深刻になる事もないか?

 

「さすがに一週間とかは言わないわよ。私だってバイトあるんだし。2泊3日ってところかしら」

「まぁ、そのくらいなら何とかなる、か」

 

 そう告げると、神楽坂は頷く。

 

「じゃ、決まりね。詳しい日程に関しては、決まったらアクセルに知らせるから」

「分かった。まぁ、真夏の京都旅行ってのもいいもんだろ」

 

 京都は盆地で、夏の暑さは日本でも屈指のものがあるんだが、混沌精霊の俺の場合、その気になれば暑さとかは無視出来るし。

 

「あら、アクセル。また恋人を増やすの? 相変わらずそっち方面は精力的ね」

 

 そんな風な声が聞こえ、視線を向ければそこにいたのは夕呼。

 手に持っている皿には色々と肉が乗っている。

 さすがに夜ともなれば、この海への旅行で見慣れた紐の如き水着ではない。

 夕呼の豊満な身体をこれでもかとばかりに見せつけていた水着の代わりに、今は半袖のワンピースを身につけており、その上から夕呼らしい白衣を身に纏っていた。

 

「ちょっ、な、なんですかいきなり!」

 

 夕呼に対して叫ぶ神楽坂だが、その頬は薄らと赤く染まっている。

 からかい甲斐のある奴、と認識されたのだろう。夕呼はネズミをいたぶる猫の如き笑みを浮かべて口を開く。

 

「あら? 何かおかしい事を言ったかしら? 貴方がアクセルと一緒に不倫旅行で京都に行くんでしょ? この時期なんだし、熱帯夜の京都で熱い夜を過ごす、と。そういう風に思ってたんだけど、何か間違ってた?」

「大間違いです! な、な、何だって私がアクセルと不倫旅行に行かなきゃいけないんですか! 大体私は年上の人が好みなんです!」

「アクセルと貴方の年齢を考えると、十分に年上だと思うけど?」

「それはそうですけど……大体アクセルは外見の年齢を自由に変更出来るんですから、そんなの当てになりませんよ。それに私が言っている年上ってのは、もっと年上! それこそシャドウミラーで言えばムラタさんみたいな人です!」

「……む?」

 

 噂をすれば何とやら。串焼きにした肉に齧り付いていたムラタが、丁度その場を通りかかる。

 そうして、俺と夕呼、神楽坂へと順々に視線を向け……やがて一言。

 

「悪いが、今の俺は女にうつつを抜かしている暇はないんだ。悪いが他を当たってくれ」

 

 それだけを告げ、去って行く。

 

「……別に告白した訳でもないのに、フラれた……」

 

 そして残ったのは、告白する以前にフラれるという結果だけが残った神楽坂のみ。

 にしても、女にうつつを抜かしている暇はない、か。ロゥリィの件が多少なりとも絡んでいると思うのは、俺の考えすぎか?

 

「あらあら、攻撃する前に撃墜された……って感じかしら」

「夕呼、お前な……」

 

 若干面白そうな表情を浮かべている夕呼に、思わず突っ込みを入れてしまった俺は決して悪くはないだろう。

 そもそも、夕呼が神楽坂に絡んでなければこういう風にはならなかったんだから。

 

「それにしても、京都に行くとか聞こえてたけど……何でまた?」

「そうだな……就職説明会? まぁ、そんな感じだよ」

「就職説明会ねぇ。シャドウミラーがどういう組織かを知れば、真っ先に就職したいと思う人が多いと思うけど。特に不老なんかは魅力が大きいでしょ?」

「確かにそれはシャドウミラーの売りの1つだが、それを目当てに来た奴は、何かあったらあっさりと裏切りそうな気がする」

 

 即物的なだけに、自分に不利になればあっさりとシャドウミラーから抜けそうな、そんな予感。

 そういう意味では、あまり好みじゃないんだよな。

 

「そうかしら? ホワイトスターにいないと不老の効果がないのなら、寧ろシャドウミラーという集団に強い執着を持ちそうなものだけど」

「それはそれで困るのも事実なんだよな」

 

 変な宗教観を持っていて、シャドウミラーなりそれ率いている俺なりを信仰するようになったら……

 折角ハイエルフやダークエルフが敬うのを止めるようになったのが、元の木阿弥になりかねない。

 

「ま、とにかくだ。この神楽坂はともかく、あそこにいる近衛は優秀な人材だからな。シャドウミラーとしては是非欲しい人材なんだよ」

 

 そう告げた途端、夕呼をジト目で睨んでいた神楽坂が反応して、そのジト目を俺の方へと向けてくる。

 

「ちょっと、私はともかくってどういう事よ? これでも一応ネギのパートナーだったんだけど?」

「確かに神楽坂の運動能力は非常に高いのを認める。ただ、純粋に生身の戦闘力って意味で、シャドウミラーにはお前よりも上の者は幾らでもいるしな。お前の特徴でもある魔法無効化能力に関しても、正直ネギま世界以外だと……」

 

 喋っている間にどんどんと神楽坂の機嫌が悪くなってくのを見て、思わず視線を逸らす。

 その先にいた夕呼は、何故か神楽坂に向かって興味深げな視線を送っていた。

 おい、もしかして妙な実験に使おうとか考えていないだろうな?

 さすがにそういうのはこっちとしても許容出来ないんだが。

 ともあれ、海の旅行最終日はこうして皆で賑やかに、そして楽しく過ごすのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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