転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1050話

 海の旅行から戻ってきてから数日。この日、俺の姿はネギま世界の京都にあった。

 わざわざここに来た理由は、海で神楽坂が言っていた件に関してだ。

 関西呪術協会に俺達シャドウミラーが近衛の就職先の候補というのを示しておく為に。

 勿論俺が最初にネギま世界に来た時のように麻帆良から新幹線で移動したりはしない。

 影のゲートを使っての転移で、麻帆良からここまでやって来た。

 本来であれば麻帆良と京都間を影のゲートで転移するのは魔力量的に難しいものだがあるのだが、それはあくまでも他の世界での話。

 精霊が潤沢に存在しているこのネギま世界であれば、俺の魔力量があれば全く問題なく転移が可能だった。

 そんな訳で京都に来ているのはいいんだが……

 チラリ、と隣で俺の右腕を組む――というより抱きしめている――あやかの方へと視線を向ける。

 そして反対側の左腕には同じく抱きしめている円の姿が。

 2人の、マリューや千鶴、レモン程に豊かではないが、それでいて間違いなく平均よりも上の柔らかな豊乳が俺の両腕でひしゃげている心地よい感触を味わいながら問い掛ける。

 

「暑くないのか?」

 

 そんな俺の言葉に、何故かこちらも一緒に来ていた神楽坂までもが目を吊り上げて口を開く。

 

「そ、そうよ。大体いいんちょも釘宮も、こんな昼からそんな風に抱きついて、慎みってものがないの!?」

「……アスナに慎みとか言われるとはちょっと意外ね」

「まぁ、確かに。……というか、アスナさん。前から思ってましたが、もう私は高校を卒業したんですから、委員長という役職にはないんですが」

「そっ、それは……しょうがないじゃない。小さい頃からずーっといいんちょって呼んできたんだから。今更言い直しにくいわよ」

 

 あやかの言葉に、神楽坂がどこか慌てたように言い返す。

 小学校低学年から一緒に過ごしてきて、その間ずっといいんちょと呼んできたんだから、かれこれ10年以上も呼んできた呼び方をそう簡単に変えられる訳もないか。

 

「なあなあ、せっちゃん。アスナ、思い切り話ずらされとるん、全く気が付いてないみたいなんやけど……教えた方がええやろか」

「いえ、ここで教えても結局同じ事を繰り返すだけでしょうし……無理に教える必要もないかと。アスナさんが自分で気が付かないと」

 

 今回京都にやって来た主役でもある近衛と、その護衛の桜咲がそんな風に話している声が聞こえてきた。

 ……何だか桜咲の神楽坂に対する態度が厳しいように感じられるが……何かあったのか? それとも単純に神楽坂と長年付き合っていた事による慣れからくるものか?

 

「私がここにいるのは、純粋にシャドウミラーの政治班としてのお仕事の関係です。ただ付いてきたアスナさんと一緒にしないで下さいますかしら」

「……仕事って、あんたの今の様子を見て誰が仕事だなんて判断するのよ。どこからどう見てもバカップル以外のなにものでもないわよ! 大体、それなら釘宮は何でここにいるの?」

「え? 私? 私はあやかの護衛も兼ねてよ」

「……護衛も何も、大魔王のアクセルが来てる時点で誰があんた達に危害を加えられるっていうのよ……」

 

 もう疲れた。そんな風に言いたげな神楽坂だったが、円は得意気な笑みを浮かべて口を開く。

 

「確かにアクセル君に何かをしようと思う者は少ないでしょうけど、関西呪術協会の方で暴走しかねないでしょ? 事実、私達が修学旅行に来た中学の時はあんな大騒動になったんだから」

「確かになー。あの時は色々と凄かったわ。でも、おかげでせっちゃんとまた仲良うなれたんやから、総合的にはお得やったな」

「このちゃん、お得って……」

 

 近衛と桜咲の会話に、思わず苦笑する。

 まぁ、俺としてもあの修学旅行は決して悪いものじゃなかった。

 あの修学旅行がなければ俺は鬼神化というスキルを入手出来ず、延いては悪魔を吸収しての異形化、それが影響していると思われる混沌精霊といった風にはならなかった……いや、なれなかったのだろうから。

 そう考えると、あの修学旅行は今の俺を作った大きな理由の一つと言ってもいいだろう。

 

「はははは。これは手厳しい。ですが、今回は襲われるような事はありませんよ。その為に私が出てきたのですから」

 

 そんな声と共に現れる一人の男。その人物が誰なのかというのは、すぐに分かった。見覚えのある人物だったというのもあるが、以前よりも強さを増しているのを感じられたからだ。

 いや、恐らくこれがこの人物の本当の力なのだろう。俺達が会った、このネギま世界で考えれば4年前の時は剣士であるこの人物は長としての仕事でそれどころではなかった為に衰えていたのだから。

 

「近衛詠春。こうして会うのは随分と久しぶりになるな」

 

 そう、姿を現した人物……関西呪術協会の長でもある近衛詠春へと声を掛ける。

 

「ええ、お久しぶりです。アクセル代表も以前に比べると……随分と大きくなりましたね」

「あの時は元々何らかの理由で幼児化してただけだしな。今のこの姿が本来の俺の姿だよ」

「それはそれは……しかも両手に花とは羨ましい」

 

 俺の両腕に抱きついているあやかと円を見て、微笑ましそうにそう告げる。

 そんな視線を向けられたあやかは、さすがに相手の組織で最も偉い人物を前に俺の腕に抱きついてはいられなくなったのか、そっと離れて優雅に頭を下げる。

 

「初めましてですわ。シャドウミラー政治班の雪広あやかと申します。今回こちらに訪れた理由は既にお知らせしていると思いますが……」

「ええ、聞いています。私共と致しましても、今回のお話は渡りに船といいましょうか。前向きに検討していきたいと思いますので、よろしくお願いします」

 

 そんなあやかの側に、こちらも俺から離れた円が付き従う。

 護衛として派遣されてきた以上は当然の態度だが……仕事をしているあやかや円を見るのが初めてというのもあるのだろう。神楽坂は少し驚きの表情を浮かべて2人を見ていた。

 今回あやかが俺と一緒に来た理由は、関西呪術協会との貿易に関してだ。

 陰陽術の呪符を含め、ホワイトスターに輸出する数を増やせないかという交渉。

 特に、転移札だ。あれは魔力を通すだけで転移が可能という、とてつもなく便利な代物だ。

 勿論転移距離に限界があったり、制作過程の問題でどうしても高額になってしまうという難点もあるが……中間貿易地点で、殆ど何もしなくても勝手に金が集まってくるホワイトスターにしてみれば、多少値段が高かろうが気にする事ではない。

 ぶっちゃけ値段以上の性能を秘めているしな。

 何かあった時の緊急脱出手段としては、これ以上のものはないだろう。

 陰陽術を使って制作する以上、シャドウミラーで作れる奴がいないというのは……

 近衛がシャドウミラーに入れば桜咲も一緒に来るだろうが、桜咲が陰陽術を使えるとしても、所詮は神鳴流の補助程度。

 とてもではないが、転移札を作るような真似は出来ない。

 陰陽師をシャドウミラーに引き入れるのが一番いいんだろうが、それもまた希少性から難しい。

 それなら、多少高くてもしっかりとした性能の転移札を輸入した方がいいという判断からだ。

 勿論転移札以外にも色々と目的のマジックアイテムがある。魔力を通すだけで式神を使う呪符とかは是非欲しい。

 その辺の交渉を今回あやかが行う訳になった訳だが……自分の出身世界、高校時代の同級生の父親が交渉役というアドバンテージがあっととしても、よくこんなに大きな交渉を任される事になったな。

 この辺、あやかの能力が成長してきているという事なんだろう。

 千鶴とかも同様に成長はしているんだろうが、今回はあやかの方が先を行ったというところか。

 まぁ、それはそれとして……だ。

 お父様、久しぶりやーとか言っている近衛や、後ろに控えている桜咲も別にいい。

 やっぱり渋いわ……とか言っている神楽坂に関しても、色々と問題はありそうだが放っておこう。

 ただし……

 視線を詠春の背後にいる1人の女へと向ける。

 眼鏡を掛けている女で、両肩や胸元が大きく見える程に着物を着崩している女。

 俺はその人物に見覚えがあった。

 何故なら、修学旅行の時にこの地で起きた事件。それで散々見た相手なのだから。

 そんな風に俺がその女へと視線を向けていると、神楽坂もまた気が付いたのだろう。そして桜咲が控えていたのは、恐らくこの女の存在に気が付いていたからか。

 ともあれ、その女に気が付いた神楽坂が大きく叫ぶ。

 

「ああああーーーーっ! あんた、あの時の着ぐるみ女! 何でここにいるのよ!」

 

 そう叫びつつ、詠春に抱きついている近衛を背後に庇う。

 この辺の動きはそれなりに素早いものだ。

 同時に、こんな街中でアーティファクトを取り出したりしない辺り、神楽坂も成長してるんだなとしみじみ感じてしまう。

 そんな思いを抱きながら、神楽坂の後頭部へと軽く手刀を入れる。

 目の前の女……天ヶ崎千草だったか? その女に意識を集中していた為か、あっさりと手刀が神楽坂の後頭部へと命中した。

 

「痛っ! ちょっ、アクセル! いきなり何すんのよ! あんたも知ってるでしょ! あの着ぐるみ女は……」

「いいから落ち着け。詠春と一緒に来たんだ。それを考えれば、もう脅威ではないってのは分かるだろ」

 

 チラリ、と娘と戯れている詠春へと視線を向けて告げると、それに気が付いたのだろう。詠春は抱きついていた近衛を地上に降ろしてから口を開く。

 

「ええ。彼女……天ヶ崎千草は現在私付きの者として働いて貰っています。天ヶ崎」

「以前は迷惑を掛けてしまい、申し訳ありませんでした。今は心を入れ替えて関西呪術協会の為に働いてるさかい、よろしゅう頼みます」

 

 深々と一礼。

 いや、その服装でそういう事をすると、色々見えてはいけないものが見えそうになるんだが。

 現に周囲を通りかかった男のうちの何人かが、天ヶ崎の胸元へと視線が吸い寄せられているし。

 それを見た、恋人と思しき相手が抓ったり足を踏みつけたりしている様子も見える。

 俺はそれを見ない振りをして――あやかと円の視線がこちらに向けられていたのもあるが――詠春へと問い掛ける。

 

「信用してもいいんだな?」

「ええ。まぁ、彼女がこうなったのもシャドウミラーという存在のおかげというのもあるんですけどね」

「……俺達が?」

「はい。このまま麻帆良だけがシャドウミラーと取引をしていては関西呪術協会は置いていかれる。一応転移札で細々と取引はしていましたが、それでもやはり時間が経つにつれて差が開いていくのはしょうがないですからね。それならこちらから積極的に……といったところです」

 

 ふむ、なるほど。まぁ、あの修学旅行が終わった後に聞いた話だと、天ヶ崎は魔法使いに色々と恨みがあったのは事実らしいが、同時に関西呪術協会が麻帆良の下につく事になるんじゃないかという不安もあったって話だし、おかしくはないのか?

 

「まぁ、何かあった時にそっちで責任を取れるんなら、俺としては何も言わないが……」

「ちょっ、いいのアクセル!?」

 

 俺が天ヶ崎を認める発言をしたのが余程意外だったのだろう。神楽坂が信じられないといった視線を向けてくる。

 

「別にシャドウミラーは関西呪術協会の上位組織って訳じゃないんだから、向こうの人事をこっちがどうこう言える訳もないだろ。それに、ここまで言い切ったんだ。もし天ヶ崎が何かを企んでいた場合、その責は全て関西呪術協会へと向かう。向こうもそれくらいは承知の上での行動だ」

 

 暗に何か騒動が起きれば、それは関西呪術協会のせいだと告げると、それを理解したのだろう。天ヶ崎の頬がヒクリと動き、詠春もまた苦笑を浮かべて頬を掻く。

 

「ま、もしそんな事になった場合……下手をすれば、関西呪術協会どころか京都その物が消えるかもしれないんだ。その辺に関しては十分理解して行動してくれ」

「……ええ。では早速ですが、協会の方に行きましょうか。ここでこうして夏の京都を楽しむのもいいのですが、やはり暑いですしね」

 

 汗を拭く詠春だが、その汗は先程の俺の言葉ではなくこの暑さによるものだろう。……多分。

 ああ、なるほど。天ヶ崎がああいう開放的な格好をしているのも、実はこの暑さ対策だったりするのか?

 個人的には京都ならではのデザートとか食べてみたかったんだが……その辺は関西呪術協会に期待するとしよう。

 一応こっちは向こうにとって色々な意味で重要な取引相手になるかもしれないんだ。食事に期待してもおかしくないよな?

 そんな風に考えつつ、この場にいる面子は詠春の用意したバスに乗って移動を開始する。

 バスの中はエアコンのおかげで過ごしやすかったが、冷たい京風デザートとかが出てこなかったのが残念だった。

 いやまぁ、冷蔵庫付きのリムジンとかじゃないんだから、それは当然だろうが。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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