転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1051話

 京都の街中から関西呪術協会の本部へとやって来た俺達。

 バスで移動したので特に疲れるという事もなかったが、それでもバスから外へと降りると真夏の京都の暑さがあやか達の骨身に染み渡っていた。

 どうせなら陰陽術とかを使ってある程度の涼しさを演出してくれてもいいような気がするが……

 少なくてもこちらは交渉に来た立場である以上、不愉快にさせるというのは向こうにしても不利益にしかならないんだし。

 

「いっそエヴァを呼んで京都全体を氷で覆ってやりたいと思うのは間違ってるだろうか?」

 

 実際に暑さは感じなくても、熱気でアスファルトが揺らめいている光景は見ているだけで暑苦しいし、あやかや円の場合は暑さで色々と厳しいものがあるだろう。

 そう考えると、エヴァに頼んで……とも思うのだが。

 

「どう考えても間違ってるでしょ。無茶を言わないの」

 

 円にそう言われてしまっては、こちらとしてもそれ以上無茶を言う事は出来ない。

 

「あ、あはははは。確かに京都の夏は暑いですが、それでもずっと暮らしていれば慣れはするんですよ」

 

 薄らと額に汗を掻いている詠春の言葉に、何故か桜咲と天ヶ崎の2人も必死になって頷いていた。それこそ、俺が本気で言っているかのように。……いや、半ば本気であるのは間違いのない事実なんだけどな。

 ただ、俺の場合は炎と影、召喚魔法以外の魔法は得意じゃない。……苦手と言ってもいいかもしれない。

 そうである以上、エヴァがうんと言わなきゃそんな真似は出来ないんだから、そこまで怯える必要はないと思うんだがな。

 エヴァの京都贔屓……より正確には古き良き日本文化贔屓は、それなりに知れ渡っているのだから。

 ま、その辺は色々と俺の話を聞いているんだろう。近右衛門と詠春の繋がりはかなり深い。そうなれば当然こっちの情報も色々と持っているのは間違いないだろうし。

 

「さて、それではこれからの事ですが、一応確認です。まず第1に木乃香の就職に関しての説明。これを私や関西呪術協会の幹部の前でして貰う。これに異論はありませんね?」

「ああ、そうだな。そもそも今回俺が来た最大の目的はそっちな訳だし」

 

 俺の言葉に詠春が頷く。

 向こうにしても、愛娘の人生すらも懸かっているものだ。当然色々と思うところはあるし、これが本題に近いと考えてもいいんだろう。

 

「長」

「ええ、分かっています」

 

 天ヶ崎の促しに、詠春が小さく頷く。

 その様子はとても昨日今日一緒に行動している者という訳ではなく、どちらかと言えば阿吽の呼吸に近い……そこまで行かずとも、お互いがお互いの呼吸を知っている。そんな風に見えた。

 おい、これってもしかして……そう考えてしまっても、俺は決して悪くはないだろう。

 事実、近衛は微妙な表情を浮かべている。

 まぁ、例え義理の母が出来るとしても、それが天ヶ崎のようなタイプでは色々と思うところもあるんだろう。

 実際、若く美しい母親にはなりそうだが……いや若い、か?

 そう考えた時、まるで千鶴のような反応を見せて俺の方へと視線を向けてくる天ヶ崎。

 理由は色々とあるだろうが、女の勘ってのは相変わらず物凄い精度を誇っているのは明らかだった。

 

「第2に、関西呪術協会とシャドウミラーの貿易に関して。こちらはそちらの……」

 

 チラリと詠春の視線が向けられると、あやかが小さく頷く。

 

「ええ、私が担当させて貰います。とは言っても、基本的には細かい条件の話となりますが」

 

 ……そう言えば、関西呪術協会との貿易って具体的にどうするんだろうな? いや、転移札を始めとした魔法関係の品を輸入するというのは既に理解している。だが、そうなると一方的に輸入するだけなのか?

 輸出の方はどうなるんだ?

 魔法関係である以上、ギアス世界、SEED世界、マクロス世界、マブラヴ世界が欲しがるような高性能な機械部品やら何やらを必要とするとは思えない。

 シャドウミラーの技術班が作った便利な家電やらを日常用に? まぁ、それもないとは言えないだろうが……

 それに関してはあやかに任せるしかないか。

 

「では、一先ずは旅の疲れを癒やして下さい。木乃香の就職に関しての説明は、昼食を食べた後を予定していますので」

 

 昼食か。現在がまだ午前10時過ぎなのを思えば、まだ随分と時間がある。

 これは俺にこの場所に慣れておくようにという、向こうの好意だろう。

 向こうにしても、シャドウミラーとの関係を悪くしたいとは思っていない筈だし。

 

「ああ、それで頼む。京都の食事だし、楽しみにしているよ」

 

 修学旅行の時も思ったが、京風の食事というのは俺の味覚的にかなり合う。

 勿論濃い味付けというのも嫌いじゃないんだが。

 この辺、どんな料理を食べても……それこそ塩分過多とかの料理を食べても特に身体に影響はない混沌精霊ならではだよな。

 不老と同じくらいありがたい能力だ。

 俺にとっての食事というのは、純粋に娯楽でしかない。勿論体内に入った食べ物を分解して魔力として取り込んでいる以上、決して無意味という訳ではないが。

 どんな食べ物をどれだけ食べても健康に全く影響がないというのは、食道楽という意味ではかなりありがたい体質だ。

 

「では、お部屋の方に案内させて貰います。よろしゅう」

 

 そう言い、頭を下げてきたのは天ヶ崎……ではなく、他の巫女。

 何というか、修学旅行で来た時にも思ったが、巫女が多いのは詠春の趣味……だったりするんだろうか。

 まぁ、趣味というのは人それぞれだ。巫女を好むという性癖はそれ程おかしくはないだろう。残念ながら、俺にはその辺良く分からないが。

 そんな風に考えながら、親子や上司と部下としての会話があるのだろう近衛と桜咲をその場に残して、俺達は巫女に本部の中を案内されて進んでいく。

 すると、巫女を見ている俺に何か感じるものがあったのだろう。円がクイクイ、と服を引っ張ってきた。

 

「ね、ね、もしかしてアクセル君って、いわゆる巫女萌えな人? もしそうなら、今度夜に巫女服着てあげようか?」

「あー……別に巫女服を否定はしないが、そんなにどうこうって訳じゃないな。円の場合は結構似合いそうなのは否定しないけど」

「……よろしければ、巫女服をお渡ししましょうか?」

 

 俺達を案内している巫女が、小さく笑みを浮かべながらそう告げてくる。

 どうやら話が丸聞こえだったらしい。……まぁ、別に声を潜めたりはしていなかったし、当然か。

 

「ちょっと、アクセル。恥ずかしい真似は止めてよね」

「……俺だけなのか?」

 

 何故か神楽坂に責められるが、元々の話の発端は円だった筈。

 

「釘宮の場合は、アクセルの悪影響でああいう風に汚染されたんだから問題ないでしょ」

「……色々と言いたい事はあるが……そもそも汚染って何だよ、汚染って」

「そのままの意味よ。大体、アクセルの汚染……感染速度は並じゃないんだから……そんなアクセルに影響されたいいんちょとかも、もう駄目よね」

「ちょっと、アスナさん!? ご自分が彼氏いない歴=年齢だからって、恋人のいる私達を僻まないでくださいます?」

「ちょっ、べ、別に私だって彼氏を作ろうと思えば、すぐに作れるわよ!」

 

 いつものように言い争いを始めた2人だが……まぁ、客観的に見て神楽坂の言っているのは事実だろう。

 ああ、俺の感染がどうとかいう話ではなく、神楽坂が恋人を作ろうと思えばすぐにでも作れるって話の方だ。

 実際、神楽坂は美女と表現してもおかしくない程に顔は整っているし、身体も出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。元3-A組の中では千鶴程の男好きのする身体ではないが、それでも十分に魅力的と言える身体つきをしている。

 明るい性格から人とも仲良くなりやすいし、努力家でもある。

 ここまでを考えればモテない理由はないんだが、その馬鹿正直で外見とは似合わない子供っぽい性格が影響して、色々と失敗しそうだ。

 まぁ、取りあえず……

 

「ほら、お前達その辺にしておけ。一応ここは交渉相手……敵地というのはちょっと言い過ぎだが、そういう場所なんだぞ?」

 

 案内役の巫女も呆れたような……というよりは笑みを我慢しているような感じで視線を向けている。

 普段はあやかもこういう風にはならないんだが、やっぱり神楽坂がいると違うんだろう。

 

「あら、そうでもありませんよ。皆さん若々しくて、とても微笑ましいかと」

 

 巫女がそう告げるが、明らかに交渉相手としてはマイナス要素だろう。

 あー……この件をエザリア辺りが知ったら、色々と凄い事になるかもしれない。

 

「そ、その……お見苦しいところをお見せしてしまいましたわ」

「……ごめんなさい」

 

 そんな風に2人が謝っているのを見ながらも、巫女は小さく笑みを浮かべつつ部屋へと案内する。

 

「こちらが女部屋で、この隣が男部屋となります」

「へぇ……」

 

 案内された部屋を見て、思わず感嘆の声を上げる。

 近衛の友人だったり、就職先予定という事もあるのだろう。用意された部屋は広く、20畳くらいもあった。

 どう見ても1人で使うような場所ではない。大勢の人数が泊まるような部屋だ。

 それだけ俺達が歓迎されているというのを現しているのだろうが、素直に受け止めるというのもちょっとな。

 ……詠春辺りの性格を考えれば、実は普通に歓迎しているだけとも考えられる、か?

 

「では、私はこの辺で失礼します。もし何か用事があれば、そこの電話の内線を使って貰えばすぐに対応しますので」

 

 ペコリと頭を下げて去って行く巫女を見送り、取りあえず部屋の中を見回す。

 女部屋とは襖で繋がっており、自由に行き来出来るようになっているのが分かる。

 ……まぁ、神楽坂がいる以上迂闊な真似は出来ないだろうが。

 夜に関しても、ここでいつものように過ごせば向こうに弱みを握られる可能性もある。

 もっとも、本気でそこまでするとは思っていないが。もしそんな真似をすれば、それは即ちシャドウミラーとの全面的な対決を意味するのだから。

 もしそんな事になれば、京都の上空をメギロートやシャドウが飛び回り、地上をイルメヤが闊歩し……という光景になるのは間違いない。

 詠春にしても、関西呪術協会の者にしても、俺達がそれを出来るだけの……1つの国どころか、1つの世界を相手取るだけの戦力を持っているというのは、麻帆良から……正確には近右衛門から聞いて知っている筈だ。

 それを考えると、妙な真似をするとは思えないが……

 そんな風に考えていると、いきなり襖が開かれて円が顔をだす。

 

「うわ、アクセル君の部屋も私達の部屋と同じ感じね。……こっちは3人なのに、アクセル君は1人でこの部屋を使うのって、ズルくない?」

「そう言われてもな。男部屋と女部屋で分かれたんだからしょうがないだろ?」

「ちっちっち。いい、アクセル君。確かに普通は男部屋と女部屋で分かれるのは当然と言えるわ。けど、それはあくまでもその男女が何の関係も……具体的には友人程度までの関係だった場合よ」

 

 ふふん、と笑みを浮かべながらそう告げる円。

 いつもは抑え役に回る筈の円が、今日は妙に突っ走っているように見える。

 いやまぁ、円にとっては護衛の仕事もあるけど実質的には旅行に近いんだから、その気持ちも分からないではないけどな。

 

「つまり、アクセル君と同棲している私はこの部屋に泊まっても問題ない訳よ」

「大ありですわ!」

 

 円に待ったの声を掛けたのはあやか。

 腰に手を当て、円を指さすというポーズを取りながら言葉を続ける。

 

「大体、アクセル君と同じ部屋になるというのであれば、それは私でもいいではないですか! 何故円さんだと決まってるんですの!」

「……いいんちょ、そっちなの……」

 

 話を聞いていた神楽坂が、頭痛が痛いとばかりに額を押さえる。

 そんな様子を眺めつつ、俺達は暫く部屋で雑談をする。

 さすがにこの類の部屋らしく、どちらかと言えば家の客室と言うよりは高級旅館の部屋といった感じだ。

 しかもかなり高級な旅館の。

 恐らくは関西呪術協会の客が来る時に使われている部屋なんだろう。

 そう思うと、色々と思うところもある。

 以前にここに来たあの時と比べると、随分と時間が経った気がする。

 それこそ、中学生だったあやかや円が高校を卒業するくらいなんだから、それも当然か。

 ……俺自身はマクロス世界に行っていたせいでそれ程時間が経っているようにも思えないが、それでも1年程度は経っているといった感じだ。

 

「アクセル君、どうしましたの? 随分とアンニュイな表情を浮かべて」

「いや、何でもない。ちょっと色々とあったと思ってな」

 

 あやかにそう言葉を返すと、向こうも同じ気持ちだったのだろう。小さく笑みを浮かべてから、部屋に用意されていた急須を使ってお茶を淹れ、俺へと手渡す。

 普段は紅茶を――缶やペットボトルだが――飲む俺だが、たまには緑茶もいいものだとしみじみ思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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