転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1057話

「で、戦闘になっている場所はどこだ?」

 

 関西呪術協会の外に出た俺は、周囲を見回しながら陰陽師に問い掛ける。

 既に俺の隣ではあやかと円がそれぞれにパクティオーカードを使ってアーティファクトを出していた。

 あやかは肩と胸元が剥き出しになった黒いパーティドレスと、先端が9条になっている鞭、鮮血の鞭を。

 円はアラブの踊り子が着ているような向こう側が透けて見える程に薄いシースルーの紫の衣装と、両手首、両足首に赤い腕輪と足輪の純炎の涙を。

 2人が2人とも色っぽいとしか表現出来ないような姿に変わり、陰陽師は思わず目を引き寄せられ、2人の格好を知っている神楽坂、近衛、桜咲にしても思わず目を見開く。

 当然俺もまた、そんな2人の姿に一瞬ではあるが目を奪われる。

 毎夜のようにその身体を見てはいても、こうして明るい場所で見ると違うということなのだろう。

 いや、それはともかくとしてだ。

 ここで見てふと疑問に思ったのは、中学時代よりも明らかにボリュームの増している身体だ。

 胸にしろ腰回りにしろ、中学の時よりも増しているのに着ている服はそのまま問題なく着れている。

 つまりこれは、身体の成長に従って服もそれに合わせて変化しているって事なのか?

 不思議だ……いやまぁ、個人的には嬉しい限りだが。

 まぁ、そもそも仮契約が魔法的なものだと考えれば、そこまで深く考える必要はないか。

 

「敵は参道を通ってこちらに向かってきています。千本鳥居の場所で向こうを閉じ込めて仕留めると長は仰ってましたが……」

「閉じ込める、ねぇ。まぁ、大体話は分かった」

 

 鬼の集団……それも、酒呑童子程の鬼が率いる者達だ。普通にこの世界で戦うような事になれば、その被害は計り知れないだろう。

 それに、まずないと思うが一般人に酒呑童子との戦いを見られる訳にもいかないといったところか。

 

「ならそこまで案内してくれ。その千本鳥居のある場所まで行けば、閉じ込めているって場所の中に入る事は出来るのか?」

「……それは、はい。ですが本当にアクセル代表達も行くんですか? いえ、アクセル代表とそちらの神鳴流を習得している烏族の少女はともかく、お嬢様を含めた他の方達は出来れば残って欲しいのですが」

 

 チラリ、と俺と桜咲以外の3人を眺めつつ告げる陰陽師。

 その思いは分からなくもない。俺とあやかと円はシャドウミラーのメンバー……つまり、関西呪術協会にとってはVIPと言ってもいい存在だ。

 それこそ、これから先自分達が売りに出す転移札とかを大量に買い取ってくれる商売相手として、その重要さは言うまでもないだろう。

 そんな俺達が死ぬような事にでもなれば、下手をするとネギま世界VSシャドウミラーなんて展開にもなりかねないのだから。

 まぁ、俺が死んだらの話だが。

 確かに酒呑童子といえば鬼の中でもメジャーな存在であり、相当に強力な妖怪なのは間違いないだろう。だが……それでも所詮鬼でしかない。リョウメンスクナノカミを吸収し、爵位級の悪魔を吸収し、更には幾多もの精霊を吸収して混沌精霊と化した俺をどうにか出来るか。そう問われれば、俺は自信を持ってNoと答えるだろう。

 唯一の不安要素は、混沌精霊の特性でもある物理攻撃無効が効果がない可能性が強いってことか。

 ネギま世界の鬼だけに、当然魔力、気、あるいは妖力といったものを使えるだろう。

 物理攻撃ではあっても、そこにそれらの力が組み合わさっている以上、俺にダメージを与える事は十分に可能だ。

 それも、俺の魔法障壁を抜く事が出来れば、の話だが。

 そんな状況でも俺が来るのを止めないというのは、俺自身がどれだけの力を持っているのかを麻帆良の……正確には近右衛門から情報提供を受けており、それが本当の事なのかを直接確認してみたい。そして何より、純粋に現在迎撃に向かっている関西呪術協会のメンバーだけでは酒呑童子の相手をするのは厳しいというのもあると思われる。

 で、近衛がここに残って欲しいというのは、やはり近衛が詠春の……関西呪術協会の長の一人娘だからだろう。

 ここの者にしてみれば、近衛は一種お姫様に近い存在なのだから。

 ……神楽坂も残って欲しいと言っているのは何でだ? 近衛の友達だってことでか?

 ああ、それと部屋の中での会話を聞いていたというのもあるんだろうな。

 身体が鈍ってるだの、余計な肉がついているだの、果てにはストリップショーだからな。陰陽師が不安に思ってもしょうがない。

 ……きっちりと神楽坂の身体は見ていた癖に。

 何気にこの陰陽師って結構女好きだよな。今もチラチラとあやかと円に視線を向けている。

 いやまぁ、肩や胸元、背中の大きく開いているパーティドレス、アラブの踊り子の如きシースルーの衣装を着ている2人だから、男であれば目を奪われるのは当然なんだろうが。

 

「部屋の中では色々と言ったが、全員戦力としては十分以上に期待出来る。それに、これもさっき言ったと思うが、シャドウミラーと関西呪術協会が協力体制を取るという意味ではもってこいのイベントだろ」

「……分かりました。これ以上言っても時間を無駄にするだけですね。ですが、くれぐれも気をつけて下さい。酒呑童子はもとより、連れられている鬼の方にしても相当の力を持つ者達です。せめてもの救いは、茨城童子がいない事でしょうが……」

 

 茨城童子、確か酒呑童子の部下だった鬼だな。酒呑童子が殺された時に逃げ延びたとか何とかだった気がするが……ああ、逃げ延びたから今回の酒呑童子の復活に顔を出さないのか?

 それも今回の酒呑童子が本物ならの話だが。

 

「では……行きますが、よろしいですね?」

 

 陰陽師は確認するようにそう告げ、懐から数枚の呪符を手に持ちこちらの意思を確認してくる。

 出来れば俺達に戦って欲しくないというのは変わらない思いなのだろうが、それでもこっちとしては色々と目的がある以上はそれに否と答えるしかない。

 あやか、円、神楽坂、近衛、桜咲の5人に視線を向けると、全員が厳しい表情で頷く。

 特に桜咲は手に持った大太刀でいつでも近衛を守れるように厳しい表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「ここです」

 

 陰陽師がそう告げたのは、鳥居が幾本も連なっている参道。

 ただし周囲は静寂に満ちており、鬼の姿どころか人の姿すらも見えない。

 どこからどう見ても無人。

 

「……ここでいいんだよな?」

「はい。先程も言いましたが、こことは隔離された空間に酒呑童子達を引きずり込む事には成功していますので。今も中では長達が酒呑童子率いる鬼達と戦っている筈です」

 

 その陰陽師の表情が厳しく引き締められているのを見る限りでは、とてもではないがこっちの方が有利……という訳ではないのだろう。

 それでいて絶望に満ちた表情をしている訳でもない以上、恐らく互角か、ややこちらが押されているといったところか。

 そこに俺達が加われば、戦局を覆す事が出来ると思いたいな。

 

「では、戦いが行われている異空間の中に入ります」

 

 最後の確認を込めて尋ねてくる陰陽師に頷きを返す。

 あやかや円を含めた他の面々もそれぞれ武器を構えながら頷く。

 それを見た陰陽師は、手に持っていた呪符を鳥居が並んでいる参道の中でも一番近くにある鳥居へと触れ、何かの呪文を唱え……

 次の瞬間目に入ってきたのは、大勢の陰陽師と神鳴流の剣士、そして鬼の姿だった。

 異空間という話だったが、こうして見る限りでは先程までいた外の様子と大して変わらない。

 ただ違うのは、外が静寂に満ちていた世界だったのに対して、こちらは戦場と化していたというところか。

 数で言えば、この場にいる全員を合わせれば200人近いだろう。ただし、その半数以上が鬼であり、陰陽師と神鳴流の剣士は50人前後といったところか。

 他にも、前鬼、後鬼なのだろう。陰陽師を守っている鬼の姿もあるが、紛らわしいな。

 

「蓮見、何故お嬢様を……そして客人を連れてきた!?」

 

 呪符を投げ、そこに竜巻を作り出していた陰陽師がこっちに気が付いたのかそう告げてくる。

 どうやら俺達をここまで案内した陰陽師の名前は蓮見というらしい。

 今更ながらそんな事を思いつつ、蓮見と呼ばれた陰陽師が何かを言う前に俺が口を開く。

 

「今回の件に関しては、こっちから申し出た事だ。この男は悪くない」

「アクセル代表! だが……見ての通り、ここは戦場。殺し、殺される場ですぞ!」

 

 50代程の陰陽師の言葉に、俺は分かっていると頷く。

 

「全て承知の上だ。これから関西呪術協会とシャドウミラーは関係を深くしていくんだ。それを思えば、こうして共に敵に当たるというのは寧ろ悪くない出来事だろう」

「ですが……ええいっ、詳しくは長に……」

 

 そう言うが、近くにいた別の陰陽師がすぐに首を横に振る。

 

「長は酒呑童子との戦いで手が離せない。もし手伝って貰えるのなら、遠慮しないで手伝って貰った方がいい。ここで面子に拘って仲間を殺してしまえば、後々後悔する事になるのは俺達だ」

 

 同年齢程の仲間からその言葉を聞いた陰陽師は、周囲を見回す。

 そこら中で起こっているのは、無数の鬼と戦う神鳴流剣士、陰陽師の姿。

 その様は、とても現代で見る事が出来るとは思えない程の戦闘風景……戦場であり、何も知らない者であればここがファンタジー世界の光景ではないかと思える程だ。

 ……いや、ファンタジーの門世界での戦争を見た限りだと、向こうでもここまで魔法的な存在がメインにはなってなかったけどな。

 少なくても大太刀を振るって雷を落としたりとかをしている者はいなかった。

 どちらかと言えば向こうは魔法の代わりに弓矢とかが主流になってきていたので、中世の戦いと言った方が正確だろう。

 

「それもそう、か。アクセル代表、シャドウミラーの力を貸して貰いたい」

「勿論構わない。そのつもりでここに来たんだしな。……あやか、後方から魔法とアーティファクトで援護を、円は遊撃でピンチになっている陰陽師や神鳴流の剣士の手助けを。俺は酒呑童子の方を押さえる」

「ええ、分かりましたわ。私達が来た以上はこれ以上の被害は出させません」

「そうね。鬼なんか私の炎で燃やし尽くしてやるわ!」

 

 2人が自信を感じさせる笑みを浮かべてそう告げ、俺も空中へと浮かび上がろうとして……

 

「ちょっと待ちなさいよ! 私達はどうすればいいのよ!」

 

 神楽坂のそんな声に引き留められる。

 早速呪文を唱えて『魔法の射手』を100本単位で撃っているあやか。空中で止まった俺の横を、純炎の涙の力を使って円が空を飛んでいき、空中から地上の鬼を狙って炎を生み出す。

 この酒呑童子の襲撃の中でも、不幸中の幸いだったのは酒呑童子が率いてきたのが全て鬼だったということだろう。

 以前修学旅行の時に天ヶ崎が近衛の魔力を使って召喚した時は、鬼以外にも烏族のように空を飛ぶ能力を持った種族がいた。

 だが、今回は鬼だけであり、全ての鬼が地上にいる以上、制空権は簡単にこっちが奪える。

 唯一にして最大の不安要素は、酒呑童子が空を飛べるらしいって事か。

 少なくても俺が知ってる伝承では空を飛ぶ能力を持っていた筈だ。

 だが、その酒呑童子も現在は紅き翼として勇名を馳せた詠春が対峙している。

 そう簡単に空を飛んで一方的にこちらに対して攻撃を仕掛ける事は出来ないだろう。

 ……逆に言えば、詠春という最大戦力を向こうの酒呑童子に押さえられているということでもあるんだが。

 ともあれ、空から地上へと向かって炎を生み出しては、神鳴流の剣士や陰陽師に対して援護をしている円の様子を眺め、声を掛けてきた神楽坂の方へと視線を向けて口を開く。

 

「お前達……特に近衛と桜咲は関西呪術協会を差し置いて俺が指示を出してもいいのか? 神楽坂は……まぁ、うん」

「ちょっと、何よそれ。私が何なのよ」

 

 そもそも、ここに突入する前に大まかな戦闘方針に関しては告げていた筈なんだが……もうその辺は忘れたのか? 神楽坂なら有り得るな。

 そんな風に考えながら、陰陽師の方へと視線を向ける。

 向こうもその視線で俺が何を言いたいのか理解したのだろう。戸惑ったように口を開く。

 

「今はアクセル代表が指揮を執って貰えればと。お嬢様やその護衛は将来的にはシャドウミラーに所属するという話ですし、そちらのお嬢さんは魔法無効化能力の持ち主なのでしょう? 陰陽師の私達と行動を共にするには、色々と相性が悪すぎます」

 

 なるほど。まぁ、確かにそうか。

 ハマノツルギを持っている神楽坂が振るう一撃は、魔法に関しては最強の攻撃手段とも言える。迂闊にハマノツルギを振るって術を妨害されたりするのは向こうとしても困る、か。

 

「分かった。なら近衛は回復魔法を使って陰陽師や神鳴流剣士の治療を。神楽坂はその護衛。桜咲は円と同様に上空からピンチの味方の援護を」

 

 その言葉に3人が素早く頷くのを見ながら、俺も先程から感じる巨大な気がぶつかり合っている方向……詠春と酒呑童子が戦っている場所へと向かって飛んでいくのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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