転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1061話

 一旦空を見上げ……澄み切った空を見上げながらも、ここが異空間である事を思い出す。

 つまり今俺が見ているこの空の景色は、どれ程リアルに見えようとも決して本物ではないんだろう。

 そんな風に考え、遠くから聞こえてくる戦闘音で我に返り、先程のは見間違えだったのかもしれないと判断し、改めて自分のステータス画面へと視線を向ける。

 だが、やはりスキル覧の中で混沌精霊の下に表記されているのは……つまり、先程酒呑童子をスライムで吸収して入手したスキルは鬼眼というものだった。

 いや、何で鬼眼? そこは普通魔眼だろ?

 それとも、もしかして酒呑童子が炎獣や俺に向かって使っていたのとは全く違う、別の能力なのか?

 ふと疑問に思い、空間倉庫から鏡を取り出して自分の顔を映す。

 その鏡に映し出されているのは、側頭部と額から天を衝くように3本の角が伸び、後頭部から伸びている角は側頭部の下を通って前方へと向かって伸びているという、混沌精霊の姿となった俺だ。

 それを確認しつつ、改めて鏡に映し出された自分の目へと視線を向けるが、そこに映し出されているのは普通の目。特に何か変化がある訳でもない。

 つまり、あの鬼眼って能力は別に鬼の目を発現させるような能力ではなかったって事か。

 じゃあ……と、いよいよ嫌な予感を覚えつつ、鬼眼を発動すると念じながら魔力を目へと向ける。

 瞬間、先程の戦闘で酒呑童子と同様に、俺の目も微かな光を放つ。

 ……どうやらあの魔眼で間違いない、か。

 いや、つまり元から酒呑童子が使っていたのは魔眼ではなく鬼眼という能力だったのだろう。

 そう考えれば、何らかの特定の状態異常を相手に与えるのではなく、ランダムな状態異常を与えるというのも納得出来る……か? いや、微妙に納得したくないな。

 まぁ、鏡を見て反射した結果自分に状態異常が掛かるという良くあるパターンにならないだけマシだとでも思っておくか。

 ただ、鬼の使う専用の魔眼という意味で鬼眼という能力なのだとしたら、その割には酒呑童子は何であそこまで消耗してたんだ?

 単純に酒呑童子が魔眼とかの特殊能力を使うのに適してなかっただけか? ……それは普通に有り得るな。実際、戦った時にも殆ど肉弾戦を仕掛けてきていた訳だし。

 そう考えると、分からないでもないが……

 

「結局は実際に使って自分で解明していくしかないか」

 

 そういう結論に達する。

 これが例えば、スパロボOGsとかに出てくるスキルであれば、原作を知っているだけに俺にも大体理解出来る。

 だが、このネギま世界が原作のものを俺は知らない。

 恐らくゲーム、アニメ、漫画、小説。その辺りのどれかだとは思うが、とにかく知らない以上は予想も出来ない。

 これが、ネギま世界に来た時に吸収した魔法とか、分かりやすい奴だったらまだ良かったんだが。

 ともあれ、不幸中の幸いと言うべきか、単純に幸いだと言うべきか、今ここから少し離れた場所では未だに鬼と関西呪術協会の戦いが続いている。

 向こうではあやかと円の俺の恋人2人に、大学を卒業したらシャドウミラーに入る事になるだろう近衛と桜咲。後は何だかんだで付き合いが長くなりそうな神楽坂といったように俺の知り合いもいる。

 詠春が向こうに行った以上こっちの勝ちは揺るがないだろうが、それでも少しでも早く戦いを終わらせた方がいい。

 ……まぁ、入手した鬼眼というスキルを使ってみたいという思いがあるのを否定はしないが。

 ともあれ、鬼眼を習得した身体の痛みも既にない。後は実際に鬼眼を使って実験し、同時に敵にダメージを与えるという一石二鳥の手を試すにはもってこいだ。

 混沌精霊としての力を使用し、空中へと浮き上がる。

 そのまま未だに戦いが続いている方へと向かって移動し……

 

「うおっ!」

 

 突然飛んできた風の刃を纏った呪符の一撃を咄嗟に回避する。

 慌てて地上へと視線を向けると、そこには10人を超える陰陽師と神鳴流の剣士が俺の方に視線を向けていた。

 しかもその視線は申し訳ないという謝罪の視線でもなく、どちらかと言えば絶望に満ちた視線だ。

 ……何で俺にそんな視線を向ける?

 

「ちょっと、アクセル君。姿、姿! 大魔王様の状態になってるわよ!」

 

 地上の鬼へと向かって炎の塊を雨霰と降り注いでいた円が、慌ててそう叫ぶ。

 そして地上の方では、あやかと神楽坂が慌てて周囲にいる者達に俺の事を説明している声が聞こえてくる。

 ああ、なるほど。確かに俺のこの格好を見れば、角が生えているんだし鬼の援軍と勘違いしても仕方ない。

 とにかく敵と間違われないように元の姿に戻っておくか。

 指をパチンッと鳴らして身体全体を白炎で覆い、次の瞬間には俺の姿は20代で多くの者に知られているアクセル・アルマーへと戻っていた。

 同時に、先程俺の方へと攻撃してきた陰陽師の顔色が真っ青になる。

 ……まぁ、それもしょうがない。鬼の援軍だと考えて死を覚悟して攻撃した相手が、実は関西呪術協会の新しい取引相手として貿易の交渉に来ていたシャドウミラーの代表だったんだから。

 俺の姿を考えれば攻撃したのも分からないではないが……その辺の償いに関しては、貿易の交渉であやかに頑張って貰うとしよう。

 個人的にはこっちに被害が出てないし、さっきの呪符に関してもこっちの魔法障壁を貫ける威力はなかったし。

 ともあれ……

 

「どうやら無事だったらしいな」

 

 空から攻撃していた為だろう。こうして見る限りでは円は特に怪我をしている様子も見えない。

 

「まぁ、その辺はね。向こうも一応こっちに攻撃してくるけど、修学旅行の時と違って鬼だけが相手だから、空を飛んでくる相手はいないし。攻撃するにしても……」

 

 そう呟きつつ、純炎の涙を使って空中で移動する。

 すると数秒前に円の身体があった位置を、鳥居の破片と思われる物が通り過ぎていく。

 

「ね? 見ての通り、地上からは物を投げるくらいしか攻撃手段がないから、まず心配いらないわ」

「普通なら妖術なり何か特殊な攻撃をしてきてもおかしくなさそうだが……そういうのもないのか?」

 

 鬼とは言っても、中には魔力や妖力といった力の扱いに長けている者がいてもおかしくない。

 そう思った俺の問い掛けに、しかし戻ってきたのは小さく横に振られる首というものだけだった。

 

「どうやら、良く言えば前衛系。悪く言えば脳筋だけが集められてるみたいよ? 身体強化をする鬼はいるけど、特殊な攻撃をしてくる鬼の姿はないわね。……もっとも、気で身体強化をしてさっきみたいにこっちに向かって物を投げつけてくるって時点で多少は厄介だけど」

 

 小さく肩を竦める円。

 その際に、アラブの踊り子の如き衣装の下で、平均よりも大きめな双丘がユサリと揺れる。

 今がどういう時か……それこそ関西呪術協会にしてみれば、自分達の本拠地近くまで攻め寄せられているという事態にも関わらず、思わず円の肢体へと目を奪われた。

 ……これは多分、昨夜ここに泊まってあやかや円を抱いていないからだな、うん。

 自分に無理矢理言い訳をしていると、そんな俺の視線に気が付いたのだろう。円がふと悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

 

「あら、どうしたのアクセル君。もしかして私の姿に見惚れてた?」

 

 ふふっと笑みを浮かべつつ、俺を誘うように扇情的な表情を浮かべて踊り子の衣装を軽く揺らす。

 その仕草は、戦闘中にも関わらず……いや、寧ろ戦闘の最中だからこそなのか、俺の目を惹き付け……

 

「ちょっとぉっ! あんた達、この一大事の中で何やってんのよぉっ!」

 

 地上から聞こえてきた神楽坂の声で我に返る。

 ……もしかして、俺達の会話が聞こえてたのか?

 何だかんだで神楽坂の身体能力や五感も人間離れしてるよな。

 咸卦法を使ってる訳でもないのに、あれだけの能力を叩き出すのは素直に凄い。

 

「残念ね。アスナに怒られちゃったから、この続きはまた今夜にでも」

 

 いつもは真面目なだけに、こうしてたまに艶っぽく笑うとそのギャップにやられる。

 俺の頬をそっと撫で、唇同士だけの重ね合わせるだけのキスをしてから円は他の場所へと飛んでいき、再び地上にいる鬼へと向かって炎を打ち出す。

 

「あ、あわ、あわわわわ……」

 

 そして、俺達の近くで顔を真っ赤に染めながらあわあわ言っているのが、烏族の白い翼を露わにして大太刀を手に持っている桜咲。

 どうやらキスシーンは刺激が強すぎたらしい。

 いや、けど大学生にもなってこれだと、少し初心過ぎる気がしないでもない。

 ……まぁ、だからと言って、地上で今のキスシーンを見ていた、円だけズルいと八つ当たりに近い一撃で鬼に対して鮮血の鞭を振るっているあやかのようになって欲しい訳ではないが。

 あやかに対しては、今夜にでもたっぷりサービスして機嫌を直して貰うとして……

 

「さて、いよいよお目見えの時間だ」

 

 呟き、目に魔力を込めながら鬼眼発動と念じながら地上へと……特に鬼だけが集まっている方へと視線を向ける。

 流された魔力が片っ端から消費していく感覚は、まるで底なし穴に水を注いでいる感じ。

 確かにこれは消費が色々と激しいな。酒呑童子が1度使っただけであれだけ消耗していた理由が分かる。

 だが……その分、鬼眼の効果は強力だった。

 俺の見ている先で多くの鬼が毒、麻痺といった典型的なものから、動きが鈍くなったり、身体に妙な斑点が出来て口からピンク色の泡を吐いたり、その場で眠ったり、混乱して仲間に攻撃したりとしている者達がいる。

 しかもそれらの効果が、俺の視界に入っている殆どの鬼に対して起きているのだから、威力に関しては圧倒的だと言ってもいいだろう。

 ただ、こうして使ってみて分かったのだが、色々と使いにくい面もある。

 例えば視界に入った相手には無条件でその効果が発揮される事だ。

 つまりこれは、敵と味方が混戦になっている場所に向かって使った場合、味方にも影響がある事になる。

 サイバスターのサイフラッシュの如き、敵味方識別機能がない訳だ。

 そうなると、使い所は非常に限られると言ってもいい。

 更には鬼眼の効果が発揮したのが殆どと表現したように、効果のない鬼もいる。

 こうして見る限りだと、前の鬼の陰に隠れていた鬼に対しては効果を発揮していない。

 それでも全てという訳じゃないのを見ると、恐らく俺が見た範囲……例えば身体の半分以上を見るとか、そういうのがあるんだろう。この辺は要検証といったところか。

 そして……先程の大量に消費した魔力。……ん? 待てよ。魔力、魔力か。確かに大量に消費したが、それはそれだけ鬼眼に魔力を流し込んだからじゃないか? つまり、魔力の量を調整すれば……

 ふと思いつき、再び上空から地上へと……先程とは違う場所にいる鬼の集団に向けて鬼眼を発動する。

 ただし、今回発動する魔力は先程の半分……いや、4分の1程度だ。

 鬼眼の効果はすぐに現れる。

 相手に与える状態異常自体は先程と同じだが、明らかにその効果は弱まっているのが分かった。

 つまり、状態異常の威力……威力というのはちょっと表現が相応しいか? この場合ゲーム的に言えばLvか? 魔力を大量に消費すれば、毒Lv.9とかになるけど、消費する魔力が少ない場合は毒Lv.1とか。

 感覚的な話で明確にLvを調整出来る訳ではないが、恐らくそれ程間違っていないだろう。

 なら次に俺がやるべきは、どれだけの魔力を消費すれば、どれだけの状態異常を相手に与える事が出来るか。それとさっきは無理だと判断したが、出来ればサイフラッシュの如く敵味方識別可能で状態異常を使えるようになればいい。

 こちらは感覚的にかなり難しいというの分かるが、それでも努力を続ければそのうち何とかなる……といいなぁ。

 後は可能なら鬼眼で相手に与える状態異常を選べればいいんだが……これも感覚的な問題が、不可能だということが分かる。

 状態異常の種類に関しては、もう諦めるしかないだろう。

 そう判断しながら魔力を使って鬼眼を使用しては、どの程度の魔力で効果があるのかを確認していく。

 そんな風に上空から攻撃されれば、鬼にしても堪ったものではないのだろう。上空からの攻撃により、多くの鬼がどうしようもない程の混乱状態へと陥っては、その隙を突くかのような陰陽師と神鳴流の剣士により仕留められていく。

 鬼眼は味方にも効果がある以上混戦状態の場所には使えないが、その代わりに敵だけがいる場所……つまり、敵の背後に向かって使えば、それはかなり効果的な攻撃方法となる。……俺がやってるのは状態異常を付与しているだけだから、撃墜数とかは全く挙がっていないが。

 後の問題は……そうだな、酒呑童子は炎獣にも鬼眼を使って状態異常を付けていた。

 となると、生命や意思の有無というのは関係ないのか?

 それとも、中途半端に意思があったからこそ効果があったのか……

 メギロートや量産型W、後はBETA辺りで一度実験してみる必要があるか。

 もっとも、メギロートの場合は毒とかの効果があっても意味はないだろうが。

 混乱とかだと、AIの方が混乱するのか?

 その辺も微妙にちょっと興味がある。

 そんな風に考えている俺の視線の先では、詠春が真・雷光剣を使用して纏めて鬼達を倒しているところだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:355
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1180

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