転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1067話

 関西呪術協会での交渉が終わってから数日。8月も終わりに向かおうとしている時期、俺の姿はマブラヴ世界にあった。

 もっとも、BETAがどうとかいう話ではない。BETAの間引きに関してはこの世界の国連軍を始めとした軍隊がそれぞれの戦力で積極的に行っているし、同時に占領したハイヴの基地化作業や始まったばかりのテラフォーミング作業も順調に進んでいる。

 恭順派を始めとしたテロリスト達の妨害も多少はあったようだが、それも前もって警戒していた為か、それ程大きな被害は受けずに済んでいる。

 もっとも、恐らくテロリストの方もテラフォーミング作業中に囮として誘き出された為に、それ程余裕がないんだろうと予想されていた。

 いや、寧ろ全世界から敵対視されている状況でここまで勢力を維持出来ていたのが色々とおかしいんだろうが。

 前もその辺は色々とおかしいという事で、国連の方でも手を尽くして調べていた筈だが……まぁ、その辺は色々とあるんだろう。

 一応こっちから手を貸すかどうかという申し出はしたんだが、向こうにも面子があって断られた。

 これが、恭順派がこれでもかと暴れているのであれば話は別なんだろうが、めっきりと活動しなくなったからこそ、マブラヴ世界の者達でどうにか出来ると判断したんだろう。

 ……今この時期に恭順派共が活動していないのは、それこそ次に行動を起こす為の準備をしているからこそだと思うんだが。

 その辺の交渉はエザリア辺りに頑張って貰っているけど、やっぱり面子の問題が根強い。

 まぁ、それも分からないではない。ここ最近のマブラヴ世界の快進撃はその全て……とは言わなくても、殆どが俺達シャドウミラーがいるからこそのものなのは間違いない。

 自分達の世界は自分達で……そう思うのは分からないでもないがな。

 ともあれ、テロリストの動きも沈静化しているし、占領したハイヴの基地化作業も順調。難民を主に雇用して行われているテラフォーミング作業の方も順調に進んでいる。

 つまり、全体的に見ればその殆どが順調に進んでいる中で俺達が……俺を含めてシャドウミラーの実働班が何をしているのかと言えば、現在このマヴラヴ世界で行われているプロミネンス計画の進捗状況を見に来ていた。

 何でも、俺が海だ、京都だとやっている間にも色々と動いていたらしい。

 いやまぁ、それは当然と言えば当然なんだけどな。

 ともあれ、そういう風に進んでいた技術の成果を見ている訳だ。

 ああ、勿論技術班の連中も来ている。……と言うか、先進戦術機技術開発計画でもあるプロミネンス計画の事を考えれば、実働班よりも技術班の方が重要視されるのは当然と言えるだろう。

 今現在も、プロミネンス計画に参加している技術者達と色々と意見交換をしている筈だが……ぶっちゃけ、この世界の技術者がへこまなきゃいいんだけどな。

 特に今回やってきた技術者の中にはロイドの姿もあるし。

 基本的には軽い性格のロイドだが、自分の仕事……より正確には趣味でもある技術に関する事になると、途端に厳しい態度になる。

 もっとも、趣味だからこそ態度が厳しくなると言われれば、納得するしかないんだが。

 その辺の手綱に関しては、セシルに頑張って貰うのを期待するしかないだろう。

 

「それで、リニアガン・タンクの方の運用に関しては戦車の運用をそのまま応用出来るのですが、ガン・ルゥが……あの大きさの機動兵器はこの世界で殆ど発展してこなかった為にどうしても未発達の部分が多いので」

「なるほど。そういう意味でなら私も力になれる……と言いたいところなのだが、な」

 

 プロミネンス計画の話題から、今では純粋な数では戦術機やリニアガン・タンクよりも多くなったガン・ルゥの話題へと話が移り、その運用に関しての話題となる。

 だが、その話題を向けられたコーネリアは小さく苦笑を浮かべて首を横に振る。

 

「コーネリア殿? その、何か言ってはいけないことでも?」

 

 そう尋ねるのは30代程の少将の男。

 ちなみに敬称が殿なのは、俺達シャドウミラーには基本的に階級がないからだ。敢えて挙げるとすれば、俺の代表か? 勿論レモンやコーネリアの様にそれぞれの班を率いているという意味では立場の違いってのはあるんだが。

 ともあれ、このままコーネリアに相手をさせるのもどうかと判断したので、口を挟む。

 

「悪いな、この世界に輸出している兵器は俺達シャドウミラーでは殆ど使われていないんだ」

「アクセル代表。しかし、コーネリア殿はガン・ルゥ発祥の地でもある……何と言いましたか。ギアス世界という場所の出身なのでは?」

 

 へぇ、一介の少将にしてはそれなりに調べているようだな。

 いや、そもそも俺達の相手をするように命じられていたんだからこそ、その辺の前知識は持っておくようにしたのか。

 だが……特定の者達以外はシャドウミラーとの行き来が出来ない現状、どうしてもその知識には限界がある。

 例えば、コーネリアがギアス世界出身なのは事実だが、ガン・ルゥの運用にも詳しいと思っているところか。

 少将の言葉に首を振ってから口を開く。

 

「確かにコーネリアはギアス世界出身だが、コーネリアのいた国で使われていたKMFにガン・ルゥはなかったんだよ。こう言ってはなんだが、ガン・ルゥというのはKMFの中でも生産性を最重要視して作られた機体だし」

「……生産性を、ですか? それにしては随分と高性能ですが」

「まぁ、そもそも技術的なレベルが違うからな。どうしてもその辺の認識に違いは出てくる」

 

 ぶっちゃけ、俺がこの世界にやって来た時の戦術機は、動きの硬直とかがあったのもあって、色々な面で酷かった。

 レモンから聞いた話によると、OSの方も色々と問題が多かったらしいし。

 それでもこっちの協力でその辺は大分マシになったらしいが。

 

「とにかく、ガン・ルゥよりも高性能なKMFは幾つもある。コーネリアが使っていたのは、その中でも最高峰の機体だったし、指揮していた機体もガン・ルゥよりも性能は上だ。……この世界の住人にも分かりやすく説明するとなると、ガン・ルゥはF-4のような存在で、コーネリアが乗っていた機体はF-22といったくらいに性能が離れている」

 

 正確にはF-4は戦術機の元祖という位置づけにある機体である以上、その位置に相応しいのはグラスゴーなんだろうが。

 バージョンが色々とあるという点でもF-4とグラスゴーは似ているように感じる。

 

「それは、また……」

 

 少将が俺の言葉に唖然として呟く。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。その生産性の高さやライセンス生産を認めているという事もあって、今のマブラヴ世界ではガン・ルゥが急速に普及している。

 もっとも、生産性が高いとは言っても、それはあくまでも戦術機に比べればだ。

 この世界の技術では、ガン・ルゥの生産にもそれなりの負担になっているのは事実。

 これで引くか? そうも思ったが、少将の男は再び視線をコーネリアの方へと向ける。

 

「それでは、ガン・ルゥの戦術とは言いません。KMFそのものの戦術をご教授願えますか?」

「ふむ。そこまで言うのであれば、私としても構わない。……だが、KMFしか戦力がなかった私達の世界と違い、この世界では戦術機とリニアガン・タンクを含む戦車がある。ああ、いや。戦車や戦闘ヘリに関しては私達の世界にもあったが、それでも戦術機と組み合わせて運用をするとなると、色々と違うところも出てくるだろう?」

 

 その言葉は事実だ。実際、この世界の戦術機は、純粋に近接戦闘となればガン・ルゥは相手にもならない程の能力を持つ。

 それらと組み合わせる以上、ギアス世界の戦術がそのまま流用出来る筈もない。

 まぁ、参考程度には出来るんだろうが……寧ろ、先入観がないままに戦術機、KMF、戦車と組み合わせた戦術を使っているこっちのマブラヴ世界の方が発展してるんじゃないだろうか。

 特に人間同士が争っていたギアス世界と違い、こっちの世界は負ければ人類滅亡という中での戦いだ。当然その必死さは他の世界とは比べものにならない。

 別に他の世界が戦争を遊び感覚でやっているという訳ではなく、純粋にこの世界の人類が洒落にならない危機を迎えているってだけで。

 

「なるほど。では……そうですね、1度JIVESでシミュレーションをお願い出来ませんか? 双方とも通常編成の戦術機、戦車、KMFで指揮のみという形で」

「指揮のみ? それはシミュレーションに参加する者は戦闘に参加しないという事か?」

 

 訝しげに尋ねるコーネリアに、少将は苦笑を浮かべながら頷く。

 

「はい。その、シャドウミラーの機体と私達の機体では性能差が有りすぎますので」

「……ふむ、そうだな。それはそれで面白い。アクセル、構わないか?」

 

 視線を向けて尋ねてくるコーネリアだが、その瞳にあるのは獰猛な闘争心のみ。

 例え慣れない相手や手駒であっても、やる以上は本気で挑むというのが如実に表れている。

 実際、色々な世界と交流のあるシャドウミラーだが、その機体性能は他に類を及ばない程の代物だというのは事実だ。

 特にマブラヴ世界はその技術レベルが低い事もあって、その差はより大きいだろう。

 

「分かった。いい経験になるだろうし……他に参加したい奴はいるか?」

 

 その言葉に、スレイやイザーク、レイといった真面目な面子だけではなく、オウカまでもが参加を希望する。

 このまま技術班を待っているのもなんなので……という事もあり、俺達はそのままJIVESのある場所へと向かう事になった。

 

 

 

 

 

「うおっ! マジか!? あそこにリニアガン・タンクを伏せさせてたのかよ!」

「ガン・ルゥを完全に囮として使っているな。小型で小回りが利く状態でミサイルやキャノン砲を発射しながら街中を逃げ回られれば、向こうとしても厄介でしかないし」

 

 アウルの驚く声と、スティングの納得するような声を聞きながら、JIVESによるコーネリアの模擬戦を眺める。

 映像に映し出されている中では、少将の操る戦術機部隊がリニアガン・タンクのリニアガンにより真横から奇襲されて、かなりの被害を受けている。

 それでも戦術機部隊と一緒に街中を進んできていたガン・ルゥは、その小ささで攻撃を回避しながら前方へと進んでいく。

 少将側のリニアガン・タンクは、定石通りに遠距離からの援護射撃を行っていたが、すぐに砲塔をコーネリア側のリニアガン・タンク部隊へと向け……次の瞬間には上空を一気に飛んできた戦術機部隊によって、真上から撃たれた突撃砲により致命的なダメージを受ける。

 この辺、光線級や重光線級の影響により殆ど本能レベルで空を飛ぶという事に忌避感を持っているマブラヴ世界特有の弱点だよな。

 俺達シャドウミラーにとって、空を飛ぶというのはあって当たり前の事。……まぁ、イルメヤは空を飛べないが。

 それにKMFの運用という意味では空を飛ぶというのはあまり考えられていないんだよな。コーネリアがブリタニアにいた時は、空を飛ぶKMFなんてランスロットとガウェインくらいしか存在しなかったし。

 もっとも、そのKMFにしてもフロートユニットで殆どの機体が一気に空を飛ぶようになってしまったが。

 ともあれ、上空からの一撃は致命的だった。

 リニアガン・タンクが全滅してしまえば、既に遠距離攻撃の手段はガン・ルゥのミサイルくらいしかない。

 だが少将側のガン・ルゥは既に街中に入っており、それぞれが個別に行動している。

 結果的には少将側のリニアガン・タンク部隊を殲滅した戦術機部隊が背後からの隙を一撃を加え、その頃にはガン・ルゥも反転して殆ど包囲状態になり……最終的にはコーネリアの部隊に大きな損害を与えることが出来ないまま一方的にダメージを食らって敗北判定を受けるのだった。

 

「……さすがに実働班を率いているだけの事はあるな」

「何だ、羨ましいのか?」

 

 俺の隣で呟いたスレイにそう告げると、戻ってきたのは小さな笑み。

 

「そうだな。私は確かにコーネリアを羨ましいと思っている。だが、それでも今の私ではコーネリアに勝てるとも思えないのも事実だ。だが、いつか……いつか必ずコーネリアに勝てるようになってみせるさ」

 

 そう告げるスレイの目は、爛々と輝いていた。

 自分よりも上の者に対する闘志を剥き出しにしたその姿は、スレイの強さの秘密と言ってもいいだろう。

 どこまでも貪欲に力を求める。そういう意味では、ムラタと似ているようなところがあるのも事実。

 ……ああ、そう言えばスレイとムラタがシャドウミラーに入ったのは同時期だったよな。

 そんな風に考えつつ、早速次は自分の番だとばかりにJIVESのコックピットへと向かって行くスレイの姿を見送るのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:355
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1180

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