大統領の命令もなしに暴走した事実をどうとでも出来る力、か。
シャドウミラーならともかく、このマブラヴ世界でそう言われるだけの力となれば、それが何かは考えるまでもない。
戦術機？ まさか。確かにこの時代の兵器としてはオーパーツ並に高性能の兵器だが、それにしたってあくまでも時代に対してってだけで、シャドウミラーの中でも最低性能の人型兵器、リオン……そしてSEED世界から大量に入手した、ストライクの量産型の簡易型とも言えるストライクダガー、ギアス世界のKMFであるヴィンセントやガレスといった機体と比べても圧倒的に低い。
ガン・ルゥ相手ならある程度有利に戦えるかもしれないが……所詮はその程度でしかない。
となると、戦車？ 戦闘機？ それにしたって格別戦術機よりも強力な訳ではなく、少なくても映像モニタに映し出されている中将が言うように、暴走をどうにか出来るだけの威力を持った兵器とは言えないだろう。
となると……やっぱり持ってるな？ G弾。
ビルから要請があったとは言っても、俺自身はそこまで本気でこの艦隊にG弾が配備されているとは思っていなかった。
G弾というのは、その性能に色々と問題があるとしても、本来ならBETAに対する為の武器として開発された兵器だった筈だ。
それが……よりにもよって最初に使われるのがBETAではなく、幾ら潜在的な敵だとしても同じ人類だというのは、色々な意味で致命的だ。
特にG弾に対するイメージそのものが失墜するし、更にはそれを行ったアメリカに対する世界中の反感も物凄い事になるのは間違いない。
以前までのこの世界であれば、それでもアメリカは自分達の国力でそんな反感を押し殺せただろう。事実、俺達がこの世界に来るまで世界を支えていたのは圧倒的な国力を誇るアメリカだったのは間違いのない事実なのだから。
しかし……その一国独裁とでも言えるマブラヴ世界の情勢は、変わってしまった。
俺達がオーストラリアを始めとした国々に技術的なテコ入れをし、戦術機よりも安く、それでいて高性能な兵器を大量に輸入した。
イギリスにいたっては、ガン・ルゥのライセンス生産すら始め、それを機にガン・ルゥのライセンス生産は世界中に広がっていった。
それを行えるようになったのも、イギリスがガン・ルゥに使うユグドラシルドライヴに代わる小型バッテリーを開発したおかげだ。
シャドウミラーから得られた技術や、輸入した兵器を解析して得た技術。それらのおかげで他の国々も急激に国力を増しており、今はまだアメリカがこの世界で最大の国力を持った国ではあるが、それも遠くない将来には他の国々と拮抗する事になるだろう。
そんな風に追いつけ追い越せとばかりに、後ろから他の国々が迫ってきている状況だ。とてもG弾を人類に使った件をどうにか出来る筈もない。
ビルもそんな最悪の未来を危惧したからこそ、全てのG元素やG弾、それに纏わる資料やデータを全て俺達に提供してでもこの件をどうにかしようとしたのだろう。
「G弾は使わせる訳にはいかないな」
『っ！？』
まさかG弾の事を知られているとは思わなかったのか、映像モニタに映し出された中将の表情が目に見えて固くなる。
だが、次の瞬間には目に蔑みの色を浮かべて口を開く。……いや、叫ぶ。
『ふんっ、G弾の威力がどれ程のものかを知っていながら儂の前に立ち塞がるか。幾らシャドウミラーと言えども、我が国で開発されたG弾に掛かれば、どうという事はない！ そもそも、お前等がこの世界に来た時から全てはおかしくなったのだ！ お前等のような存在がいなければ……』
なるほど。どういう勢力が今回の件を仕組んだのか分からなかったが、今の台詞と表情を聞いて理解した。G弾信者。恐らくこれが今回の件を引き起こした者達の正体だろう。
この男の口から出たG弾に対する過剰なまでの信頼は、俺が見てきたG弾信者特有のものだ。
そう考えれば、確かに今回の件を引き起こしたのも理解出来る。
このG弾信者達は、現状を理解出来ない……いや、受け入れたくなかったのだ。
自分達が必死に開発してきたG弾。上手くいけばアメリカをこの世界の覇者とするだけの力を持つその兵器は、シャドウミラーの登場によって一気に無用の長物と化した。
これが、ただ威力が高いだけの爆弾……それこそ、戦術機での自決用やハイヴの動力炉破壊用として使われているS-11のようなものであれば、話は別だっただろう。
だがG弾は周辺に恒久的な重力異常を起こすという致命的な欠点がある。
それを考えれば、G弾を使わずにハイヴを攻略出来る今の状況をこの世界の者――G弾信者を除く――が選ぶのは当然だったのだろう。
だからこそ、それを我慢出来ずに今回の件を引き起こした。そういう事か。
……うん？ 今、一瞬……
待て。待て待て待て。
もしも今回の件でG弾の威力を周囲の者達へと見せつけたとして、それからどうする？
こんな真似をした以上はG弾信者達にしても、テロリストや反逆者扱いされるのは既に決定済みだ。そんな状況でどうする？
幾らG弾があっても、結局俺達シャドウミラーに対してどうにか出来る訳でもない。それこそ、こっちにはG弾以上の破壊力とクリーンな兵器でもあるフレイヤが存在しており、更にそれを量産するのも難しくはない。
それを思えば……つまり、こんな真似を引き起こしてもどうにかするだけの目算がある、という事か？
けど、それは何だ？
一瞬脳裏を過ぎったのは、SEED世界のブルーコスモスやロゴスだが、既にあの組織にそれだけの実力はない。
それ以前に、ゲートの使用すら許可していないんだから、G弾信者と連絡の取りようがないだろう。
なら、何を狙っている？ この地球上では……
そこまで考えた瞬間、脳裏に閃くものがあった。
そう、この世界の地球でこんな真似をした以上は地球に残るという事はまず出来ない。だとすれば、こいつらは地球に残るという事は考えていない訳だ。
かといって、どうする？ ゲートを使って他の世界に逃げ込むのか？ まさか、シャドウミラーが厳しく管理している以上、そんな真似が出来る筈もない。
なら、どうするか。
残された答えはそれ程多くはない、つまり……
「この件、後ろで糸を引いているのはオルタネイティヴ5派か？」
『っ！？』
俺がその結論に至ったのが、余程意外だったのだろう。映像モニタに映し出された中将の顔は、信じられないとばかりに引き攣っている。
そんな相手の顔を見て、思わず鼻を鳴らす。
「何だ、もしかして自分達の事が見抜かれるとは思ってなかったのか？ まぁ、確かに色々と予想外な展開ではあるが、考えてみればG弾信者がいる時点でオルタネイティヴ5派と結びついているのはおかしな話じゃないだろ」
元々オルタネイティヴ5は、地球を脱出した後で地球に残っているハイヴに対してG弾で攻撃を仕掛けるというプランだ。
それを考えれば、オルタネイティヴ5派とG弾信者が結びついているのもおかしな話ではない。
……いや、オープンチャンネルでオルタネイティヴ5とかの名前を出してしまったが、そもそもこんな事件が起きてしまった以上は隠し通すのは無理だろうし、大目に見て貰おう。
となると……
「つまり、恭順派の後ろにいたのもソ連じゃなくてお前達だった訳だ」
『……』
既に中将の表情には憎悪しか残っていない。
この件をこんな場所で公表されるとは思ってもいなかったのだろう。
今それを公表されたくなければ、通信を返してくる必要はなかったんだが。
まぁ、艦隊の中で半分以上の3隻が降伏したとなると、これ以上俺に言いたい放題にはさせておけなかったってのが正確なところか？
どちらにしろ、向こうのミスはありがたい。
「そして、ここまで強攻策を採る事が出来る理由。ゲートを使って異世界に逃げられる訳でもなく、このままG弾の恐怖で世界を支配するでもない。その理由は……」
そこまで言った時、向こうも俺が何を言おうとしているのか理解したのだろう。表情に憎悪を浮かべたまま叫ぶ。
『黙れ、それ以上言うな、言うんじゃない！』
自分達の奥の手が知られて……いや、この場合は予想されているというのは、向こうにしても思ってもみなかっただろう。だが、今はその表情こそが俺の予想が正解であると示してくれていた。
即ち……
「宇宙だな」
『宇宙？ それならシロガネが行ってるだろ？』
俺の言葉にそう割り込んできたのは、ムウ。降伏していない残り2隻のうちの片方、中将が乗っていない方の軍艦へとガン・レイピアを向けて、いつでも発射出来る状態のまま首を傾げる。
「違うな。宇宙は宇宙でも、俺が言っているのはそっちの宇宙じゃない。もっとあるだろう？ 宇宙にはこいつらオルタネイティヴ5派が頑張って建造しているものが」
『……っ！？ 地球脱出用の宇宙船か！』
「正解」
ムウの言葉に俺が頷くと、中将が映し出されている映像モニタの方でも戸惑っているような表情を浮かべている者が何人か映し出される。
なるほど、ブリッジにいても全員が全員向こう側じゃないって訳だ。
中将にしても色々と言い返したいのだろうが、軍艦に装備されている武器は全てが破壊されているし、戦術機もニーズヘッグが全機行動不能にしている。
出撃してきていない隠し球の戦術機があるかもしれないが、結局は戦術機。シャドウミラーの機体相手に何が出来る筈もない。
そして通信を切る事も出来ないのは、何かあった時に即座に反応しなければいけない為。
映像モニタで、既に鬼の如き形相をしている中将を見ながらスレイへと文章の形で通信を送る。
今の俺はこうして通信に出ていなければいけないので、言葉にする事は出来ないんだよな。
『けど、そもそも宇宙船の建造を始めてからまだそれ程経ってないだろ？ この世界の技術力でそう簡単に地球圏の外に出て行けるだけの宇宙船を作れるとは思えないんだけどな。SEED世界ならコーディネーターがそんな感じでどうにかしてそうだけど』
ムウが何に関して言っているのかというのは、大体分かった。恐らくジェネシスに関してだろう。
『ふんっ、この世界の技術力とザフトを一緒にするな』
不愉快そうな表情のイザークに、中将の顔色がますます怒りで赤く……いや、どす黒くなっているのを感じながらも、軽く肩を竦める。
「別にそこまで無理をする必要はない。そもそも俺達シャドウミラーの技術が入っている状態で、人類が有利となっている状態でリソースも増えた。そんな中で宇宙船を1隻程度、となればどうだ？ それも空いたリソースの全てを使えば。……1隻作るのも無理だと思うか？」
『それは……けど、そこまでするのかよ？ それってようするに自分達だけが地球から逃げ出して、他の奴等は見捨てるって事だろ？ 元々の狙いである種の保存にしたってオルタネイティヴ5派だけでどうにか出来る筈もないし』
「だろうな。だからこそだよ。取りあえず自分達だけが生き延びる為に地球を捨てる決意をしたんだろ。自分達の思い通りにならない世界はいらないって感じで。……違うか？」
『違う！ 儂等が考えているのはそんな俗物的な事ではない！ お前達のようにこの世界の存在ではない者達にはそれが分からんだけだ！』
怒声を発する中将だが、既にその顔色が俺の言葉が真実だということを教えている。
いや、さっきから俺の言葉に対して一々怒っていたりもしたけどな。
「なるほど。じゃあ、お前は誰の指示で動いているんだ？」
『そんなの、言える訳がなかろう！』
少なくてもこいつがオルタネイティヴ5のトップじゃないのは確定か。
まぁ、その辺は予想してたけどな。この男はあくまでも前線司令官くらいしか務まらないだろう。
次はどんな情報を喋って貰うかと考えていると、スレイのシャドウからシャドウミラー用の通信で連絡が入る。
ただし、オープンチャンネルで向こうと話している状態だ。声を出す事は出来ない。
それはスレイも理解しているのか、簡単に図面だけを送ってくる。
……そう、先程俺がそっと頼んだ通りの図面を。
その図面に映し出されているのは、中将の乗っている軍艦の図面。それも、軍艦の中の奥深くに光点がある。
なるほど、G弾はあそこか。
既にミサイル発射口の類も全て破壊されており、G弾に関しても発射する事は出来ない。なら、向こうが妙な真似を考えるよりも先に……
スレイに感謝の意味を込めて頷き、中将に向かって口を開く。
「色々と話を聞きたいんだが、それはまた後でとさせて貰おう」
『何？』
訝しげに言葉を返す中将を無視し、T-LINKシステムを使ってNジャマーⅡを起動させる。
向こうにしてみれば、G弾に関しては当然厳しく管理している筈だ。それこそ、いざとなれば遠隔装置で爆破も出来るように。
だが……ニーズヘッグに搭載されているNジャマーⅡは、非常に強力な電波阻害機能を持つ。それこそ、遠隔装置ではG弾を起爆出来ないだろう程に。
映像モニタに映し出されていた中将の映像が消えたのを確認し、そのままヒュドラのビームソードを使って軍艦の装甲を破壊。中へと突っ込み、G弾の保管してある場所へと向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV：42
PP：370
格闘：301
射撃：321
技量：311
防御：311
回避：341
命中：361
SP：1402
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル：EXPアップ
SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法（炎）
魔法（影）
魔法（召喚）
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数：1183