転生とらぶる   作:青竹(移住)

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番外編046話 凛の夢 2話

 ふと気が付いた時、目に入ってきた光景が何なのか、凛にはすぐに理解出来た。

 普通に夜寝る時に見る夢とは大きく違う、現実感。

 それはどう考えても普通の夢とは思えなかった為だし、前日にも同じ経験をしているのも大きい。

 つまり……

 

「これは、アークエネミーの記憶ね」

 

 呟く。

 目に見えるのは、ベッド。

 どこか質素というか、物の少ない部屋。

 大きさにして6畳程だろうか。

 そんな部屋のベッドに……

 

「なっ、なななななななっ! 何よこれぇっ!」

 

 凛の目に入ってきたのは、気怠げに笑みを浮かべている女の姿。

 いや、それだけであれば問題はなかっただろう。

 だがその女が一糸纏わぬ姿の上に毛布1枚しか被っていないのを見れば、現在がどんな状況なのかは明白だった。

 桃色の髪が特徴的で、艶然とした表情を浮かべている女。

 凛にとっては悔しい事に、その胸は自分と比べても……いや、友人の某弓道部部長や、かつての妹と比べても尚大きい。

 普段は知的な美人だろうと理解出来るそんな人物が、額に汗を残している。

 事後……どころか、それこそたった今その行為が終わったと、見て分かる程の光景。

 

「アークエネミーの奴……年上趣味だったのかしら」

 

 自分でも顔が真っ赤になっているのを理解しつつ、チラチラとその気怠げにベッドに寝転がり、それでいて幸せそうに笑みを浮かべている女を見ながら呟く。

 毛布を被っていて裸身の大部分は隠れていても、見て分かる程に身体中に赤い跡……いわゆるキスマークがついていた。

 そんなキスマークを、桃色の髪の女はどこか愛おしげに撫でる。

 幸福。もしも現在凛が見ている光景に題名をつけるとしたら、そんな題名だろうか。

 

「アークエネミーが何歳の時の光景なのかしら? 昨日見た学校の光景といい、この部屋の中身といい……どう考えても私達と同じか、かなり近い年代よね?」

 

 呟く凛。

 良く見れば、2004年である凛が暮らしている時代と比べても明らかにオーバースペックの機器類が部屋の中に転がっていたりしたのだが、生憎と電子機器の類には壊滅的に苦手意識を持っている凛がそれに気が付く事はなかった。

 

「○○○○?」

 

 桃色の髪の女が何かを呟くが、その声は聞こえてこない。

 だが、女の見ている方を見れば、凛にもそれがどういう事なのかは大体理解出来た。

 何故なら、女の見ている方からは水音が聞こえてきているのだから。 

 事後直後といったこの雰囲気を考えると、そこで誰が何をしているのかは明白だった。

 即ち……

 ガチャリと扉が明く音がして、そちらに視線を向け……一瞬赤い髪が見えた瞬間、まるで電源を切ったかのように目の前の光景がシャットダウンされ、凛は自分がタイミング良く――あるいは悪く――目が覚めるのだと理解するのだった。


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