転生とらぶる   作:青竹(移住)

119 / 4295
0102話

「……取りあえず、追っ手は無いようだな」

 

 シロガネのブリッジでヴィンデルがレーダーを見ながら呟く。

 

「惜しい所でした。もう少しでハガネに、テツヤに……」

 

 リーが悔しげに呟くが、その様子は非常に危うい。どちらかというと、自分の恨みをぶつける事が出来なかったのを悔やんでいるようにしか見えない。

 

「リー、一応言っておくが俺達は別に特定の個人に対する恨みを晴らす為にお前を引き入れたんじゃない。そこは分かっているな?」

「アクセル大尉、私は中佐だぞ。もっと口の利き方を……」

「お前の理想がどうなのかは知らないが、少なくてもシャドウミラーでは自分のやる事をきちんとやっていれば一々階級差を気にして喋らなくても構わないんだ。お前もシャドウミラーに所属してある程度経っているんだし、その辺は理解しているだろう?」

 

 俺の話を聞いていたヴィンデルが苦笑しながら口を開く。

 

「私としても最初にアクセルの口の利き方を直そうと思ったのだが、自分で言ってる通りやる事はきちんとやっているし、TPOは弁えているからな。既に矯正するのは諦めたよ。リー中佐も諦める事だな」

「しかし……」

 

 なおも言いつのろうとするリーに向かって、レモンが言葉を掛ける。

 

「あのね、こう考えてみたらどう? ケネスのように能力も態度も無能な人よりは、態度が悪くても有能な軍人の方がマシでしょう?」

「それはそうだが」

「おい、お前等……」

 

 人が黙って聞いていれば言いたい放題……

 

「何、それこそ日頃の行いというものだ」

 

 ヴィンデルのその様子をリーは黙って見ている。

 これはもう少し時間が必要か? だが、そもそもその時間がもうあまり残っていない。原作ではオペレーション・プランタジネットの時に、リーの攻撃によりハガネの艦長であるダイテツ・ミナセは死んでしまう。俺の目的から考えると、ハガネやヒリュウ改といった曲者揃いの部隊を率いる事の出来るダイテツ・ミナセは生き残って貰った方が都合が良い。だが、リーのテツヤ……否、ハガネに対する憎しみを消す事は容易ではなさそうだ。

 いざという時は、後ろからシロガネを撃つしかないか? 出来ればそんな真似はしたくないんだが。……まぁ、いい。それよりも今の問題は。

 

「ヴィンデル、W17の自爆で損傷したトリニティゲインの様子はどうだ?」

「ダメージが結構大きいな。システムXNも損傷を受けた。しかし多少の時間は必要だが、修復には問題無い」

「だが補給や整備をする必要があるだろう。どうする? 現状の物資の状態ではアースクレイドルまでは保たないか、保ってもギリギリという所だが」

「量産型Wにここから30分程の距離にある基地の制圧を命じてある。そこで補給と整備を済ませた後にアースクレイドルへと戻る事にする」

「なるほど。さすがの手際の良さだな」

「さて、じゃあ私はちょっとW17の様子を見たいからこの辺で失礼するわね。基地が近づいたら教えて頂戴」

「レモン、W17の調整は念入りにな」

 

 ヴィンデルの言葉に軽く手を振り、ブリッジを出て行く。

 

「ヴィンデル大佐、彼女は信用出来るのですか?」

「おいおい。レモンはリーが入る前からの、言わば生え抜きのシャドウミラーのメンバーだぞ?」

「アクセル大尉、私はお前に聞いているんじゃない。ヴィンデル大佐に聞いているんだ。で、どうなんでしょうか、ヴィンデル大佐?」

「そうだな、色々と愉快犯的な所はあるが、信用するか信用しないかで言えば、間違い無く信用していると言えるだろうな」

「そうですか、ヴィンデル大佐がそうお考えなら私は従うまでです」

「不服か?」

「いえ。大佐がそう仰るのなら」

 

 そんな2人の様子を眺めていたのだが、ラミアとレモンの事が頭を過ぎる。

 そろそろ時間、か。

 ヴィンデルに声をかけ、そのままブリッジを出る。

 

 

 

 

 

「W17は行ったのか」

 

 個室の中に1人で佇んでいたレモンへと声を掛ける。

 

「アクセル……ええ、行ったわ。W17……いえラミア・ラヴレスの意思で」

「そうか。だが、ヴィンデルの立場的にもこのまま黙って行かせてやる訳にはいかないが、分かっているな?」

「ええ。ここで散るならラミア・ラヴレスとしてはそこまでよ」

「……分かった」

 

 レモンを軽く抱きしめ、頭を撫でてから格納庫へと向かう。

 

「アクセル、そろそろ基地に到着……どうした?」

「W17が脱走したらしい。現在格納庫へと向かっている」

「何!? ……了解した。そのまま格納庫へ……うおっ!」

 

 ヴィンデルの言葉の途中でシロガネの船体が揺れる程の爆発が起きる。恐らくラミアがハッチを破壊したのだろう。

 

「ヴィンデル、俺はこのままW17を追う。そっちは補給物資の積み込みをしておいてくれ」

「1人でいいのか?」

「裏切り者のW17に対する粛正、これも実行部隊の隊長である俺の役割だろう」

「……そうか、任せた」

 

 ヴィンデルからの通信を切り、そのまま格納庫へと急ぎグロウセイヴァーへと搭乗する。

 

「グロウセイヴァー、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 テスラ・ドライブを稼働させ、ラミアの破壊したハッチからその後を追う。幸いハッチが破壊されてから俺が格納庫に到着するまでそう時間差はなかった為、ラミアの乗っているアンジュルグは射程距離内にいた。

 それにしても、原作だとここで隠しユニットを入手できた筈なんだがラミアの乗機は相変わらずアンジュルグのままだ。エキドナが乗っているヴァイサーガはともかく、アシュセイヴァーは何機か予備機があったと思うんだが。

 つまり、隠しユニットの入手条件を満たせなかったんだろう。

 

「W17、止まれ」

 

 アンジュルグの進行方向へと向かい、ガン・レイピアを撃ち込む。

 

「武装解除して、レモンからの再調整を受けろ。そうすれば今回の件は見逃してやる」

「それではラミア・ラヴレスとしての私は失われてしまいます。そうならない為に私は出てきたのです。Wナンバーとしての自分と決別する為に」

「決別か。やはりお前はレモンの最高傑作に値するよ。W17……いや、ラミア・ラヴレス。だが、この先に進みたいのなら俺を倒していく事だ」

「了解した」

「ここではシロガネに被害が出る。少し離れるぞ。ヴィンデル、先にも言ったが補給物資の搬入を急いでくれ。何かが近づいてきているぞ」

「T-LINKシステムに反応があるのか?」

「というよりも、念動力が俺に何かを告げているという感じだな。嫌な予感がする」

「……了解した。物資の搬入を急がせる」

 

 

 

 

 

 シロガネからある程度離れた所で、アンジュルグと向かい合う。

 既に俺はT-LINKシステムの結界を生成し、いつでも戦闘が可能な状態だ。

 

「来い、ラミア・ラヴレス。お前がW17ではなくラミア・ラヴレスとして進むというのなら、そうするに足る力を俺に見せてみろ。時間はそうある訳ではないが、全く無いという訳でもないからな。お前がそれまで生き残る事が出来たのなら……」

「了解です。命令ではなく、ラミア・ラヴレスとしての道を行く為に隊長を倒して進みます。隊長、立ち塞がるなら撃ち貫くのみ」

「くくっ、その言葉だけでお前が誰の影響を受けたのか良く分かるな……来い!!」

 

 どちらかと言えば射撃型のアンジュルグだが、距離を取って戦うのではなくミラージュ・ソードを展開して、グロウセイヴァーへと斬りかかってくる。

 その攻撃を横に移動する事で回避し、頭部のバルカンポッドから発射されるバルカンで牽制する。

 

「なるほど。射撃戦闘では勝ち目がないと見て、近接戦闘を挑むか。確かにこのグロウセイヴァーの性能を知っているお前ならそうするだろう」

「隊長とグロウセイヴァー相手に射撃戦をする程無謀ではないのでな!」

 

 まるでフェンシングのような素早い突きを連続で放ってくるアンジュルグだが、T-LINKシステムによる結界でその動きを感知している俺にとっては回避するのはそう難しくない。

 

「アダマン・ハルパー、起動!」

 

 こちらに攻撃の為の動作をさせまいとする連続の突きだが、人間で言う後方宙返りの要領で空中で1回転し、その姿勢制御中にアダマン・ハルパーを起動。

 

「はぁっ!」

 

 そして空中で1回転したその勢いのまま、掬い上げるように大鎌で下から斬り上げる!

 

「くぅっ!」

 

 大鎌をミラージュ・ソードで受け止めるアンジュルグだが、その隙を突くようにしてさらにアンジュルグの内側へとグロウセイヴァーを潜り込ませる。

 そもそもグロウセイヴァーはアンジュルグの半分程度の大きさしか無い為に、ラミアとしても狙いを付けづらいのだろう。

 

「威力は低いが、この距離から直撃を食らってはどうかな? ファイア・ダガー発射!」

 

 グロウセイヴァーの胸部装甲が展開し、多段弾ミサイルが発射される。それを至近距離から連続して食らい、その巨体が弾けるように吹き飛ぶ。

 

「くっ、さすが隊長……やるな」

「お前はW17ではなくラミア・ラヴレスとして進むと決めたんだろう? その道もここで終わりか?」

 

 アダマン・ハルパーを馬上槍状態へと変化させ、その切っ先をアンジュルグへと向ける。

 その馬上槍を構えて突撃しようとしたその時、突然アラートが鳴り響く。

 

「ちぃっ、どうした!?」

 

 俺の質問に答えたのは、シロガネの艦長であるリーだった。

 

「こちらへ急速接近中の物体あり。数は3。反応から見て、特機とパーソナルトルーパーだ」

「ハガネの追っ手か?」

 

 ヴィンデルが呟くように口に出すが、その言葉で思い出した。ハガネではない、クロガネからの追っ手だ。

 

「ヴィンデル、どうやらこれが俺の嫌な予感の正体だったらしいな。補給物資の搬入はどうだ?」

「もう少し時間が必要だ」

「そうか。だが……来たぞ!」

 

 俺の声と同時に戦場へと突っ込んできたのは3機の機体だった。1機はゲシュペンスト・タイプRV。こちらの世界では珍しく、ゲシュペンストなのにテスラ・ドライブを装備しているのが特徴的だ。そしてもう1機はあちらのテスラ研でも見た事のある特機、スレードゲルミルの素体となったグルンガスト参式。そして最後の1機はリョウトも乗っていたヒュッケバインMk-Ⅲだ。

 この3機に乗っていて、そしてこの場所に現れる。つまりそのパイロットはギリアム・イェーガー、ゼンガー・ゾンボルト、レーツェル・ファインシュメッカーの3人で間違いないだろう。

 

「良く最後まで持ちこたえたな、ラミア・ラヴレス。お前の希望が来たぞ」

「隊長……?」

 

 疑問の顔でこちらを見るラミアを無視し、新たに現れた3機へと機体を向ける。

 だが、まるで俺が機体をそちらに向けるタイミングを待っていたかのように、ゲシュペンスト・タイプRVからの通信が送られてきた。

 

「応答せよ、シャドウミラー隊指揮官、ヴィンデル・マウザー大佐」

「馬鹿な、奴は……」

「ヘリオス・オリンパス!?」

 

 絶句するヴィンデルとレモンの声を聞きながら、俺はその男、ヘリオス・オリンパス……否、ギリアム・イェーガーが口を開くのを待った。




名前:アクセル・アルマー
LV:28
PP:40
格闘:218
射撃:236
技量:228
防御:225
回避:253
命中:275
SP:366
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:135

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。